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この項目では、手塚治虫の漫画について説明しています。
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『どろろ』は、手塚治虫による日本の少年漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)にて1967年(昭和42年)35号から1968年(昭和43年)30号まで連載された後、『冒険王』(秋田書店)にて1969年(昭和44年)5月号から10月号まで連載された。戦国時代の日本を舞台に、妖怪から自分の身体を取り返すべく旅する少年・百鬼丸と、泥棒の子供・どろろの戦いの旅路を描く。
1967年(昭和42年)8月27日号より『週刊少年サンデー』(小学館)で連載が始まるが、暗く陰惨な内容が読者に受け入れられず、手塚が内容に対する迷いを感じ始めたこともあり、単行本では「無常岬の巻」にあたる話の1968年(昭和43年)7月21日号の回で1度連載終了となり、「第一部・完」と表記された[1]。テレビアニメ化に伴い掲載誌を替えて1969年(昭和44年)、『冒険王』(秋田書店)で5月号から10月号まで連載された。5月号とその別冊付録、6月号に掲載された最初の2回は、過去の原稿の再録や改変を行い設定を一新した新たな内容の序盤が掲載され、続いて新作が連載されて、アニメ終了時期と同じ10月号で一応の完結をみるが、こちらもストーリーとしては途中までとなり、きちんとした物語の完結には至らなかった。単行本は『週刊少年サンデー』連載分をもとに『冒険王』連載分もまとめられ、最終ページの地獄堂が戦火で焼失したくだりなどを含めた加筆、細部の変更、修正、削除を加えられて発刊されたが、見開きや扉絵は収録されていない。単行本は、連載された話の順番を入れ替えた秋田書店サンデーコミックス版と、後に連載順の内容で編集され細かな修正がなされた講談社手塚治虫漫画全集版の2種類が存在しており、全集の発売後に出版された文庫サイズの漫画は秋田書店、講談社どちらも全集版と同じになっている。また、『冒険王』の弟誌である『まんが王』には、手塚プロ制作のセル画漫画によるどろろも1969年(昭和44年)4月号から10月号まで連載された。漫画以外のメディア展開は上記のテレビアニメの他、後年にゲームソフト、実写映画も製作された。
時代劇で妖怪物という、かなり特殊なジャンルとして発表されたが、手塚が雑誌で語っているとおり、その暗さから明るいものばかりの漫画の中で当時の読者に受け入れられにくく不人気であった。内容は手塚得意のバラエティ豊かなドラマ、特に戦争に対する庶民の怒りが語られ、1つの村が隣国同士の争いに巻き込まれて「ばんもん」という壁に分断されてしまう「ばんもんの章」は、ベルリンの壁や板門店に対する強烈な風刺で描かれている。ちなみに退治した妖怪が何匹目なのか、作中で何度か言及がなされているが、これらの数字は連載当時の様々な理由により、全体的には必ずしも整合性は取れていない。
本作は漫画としては中途半端な形で終了したが、1969年(昭和44年)のテレビアニメ版では漫画で描かれなかった部分も補完され、全ての魔物を倒し完結している。アニメは放映開始初期は原作と同じ『どろろ』だったが、途中から百鬼丸の名もうたったタイトル『どろろと百鬼丸』に変更がなされて放映された。再放送については、全身に欠損を持つある種の障害者と盗賊の孤児が主人公ということで、障害者差別など微妙な問題が多く、CS放送の時代劇チャンネルなどを除き地上波ではほとんどなされていない。モノクロ作品である点も再放送されがたい理由である。鈴木良武も1978年(昭和53年)のインタビューで、「今でも人気があるが、絶対に再放送できない。いろいろ問題があるから。用語にも」と語っている[2]。
こうしてかなり不遇な境遇を歩まされた作品であったが、奪われた身体を取り戻すために妖怪と戦いながら冒険するという設定や、義手、義足の中に刀や爆薬などの武器を仕込んだ主人公というアイディアが一部に受け、カルト的なファンを生みもした。小説家の大沢在昌も「手塚作品の中で最も好きな作品」と語っており[3]、漫画家の小林よしのりも「ドロドロと情念が渦巻いていた感じが良かった」と述べている。『魍魎戦記MADARA』の主人公・摩陀羅の生い立ちや設定も、百鬼丸をモチーフにしている[4][5]。
『どろろ』というタイトルは、手塚の「友達の子供」が泥棒のことを片言で“どろろう”といったことをヒントにした、と手塚は記している[6]。手塚治虫漫画全集のあとがきでは「友だちの子どもが」ではなく「ぼくの子どもが」となっているが[7]、これについて手塚プロダクション公式サイトのコラムで黒沢哲哉は、説明が煩雑になるのを避けて簡略化したためだろうと解説している[8]。「ぼくの子どもが」と述べられている手塚の長男・手塚眞も「(どろろうと言っていたことを自分は)まったく覚えていません[9]」、「僕が言ったのなら父は「子どもが」とは書かず「息子が」と書くと思う。僕が小さい頃うちに泥棒が入ったことがあり、もしかしたらそのときに誰かが「どろろう」と言ったのかも知れないし、あるいはそう言っていなくても父にはそう聞こえたとか。ちゃんと確かめておけばよかったが、今となっては謎のままなのも、それはそれで面白いかなと思っている[10]。」と見解を述べている。
単行本化するにあたって内容の書き直しが行われており、どろろを殺せば百鬼丸が元の身体に戻れるという『冒険王』連載当時の設定も、単行本ではなくなっている[注 2]。2013年(令和5年)3月に国書刊行会から刊行された『手塚治虫トレジャー・ボックス どろろ』には、『週刊少年サンデー』版、『冒険王』版と5月号付録版、カラーの扉絵やイラスト、『週刊少年サンデー』1968年2・3号の企画「特別大画報どろろ百鬼」、「特別大画報どろろ妖怪屋敷」のほか、手塚を始め当時『週刊少年サンデー』に漫画を連載中だった漫画家8名が「紅組」と「白組」に分かれ、紅組は『どろろ』、白組は『もーれつア太郎』の1頁分パロディを発表する企画で、紅組は『もーれつア太郎』の赤塚不二夫を始め、藤子不二雄[注 3]、つのだじろう、板井れんたろう[注 4]、白組は本作の手塚を始め、川崎のぼる[注 5]、園田光慶[注 6]、九里一平[注 7]で構成された「紅白ものまねまんが合戦」が、雑誌掲載当時の内容で収録された。ただし、『別冊少年サンデー』4月号、6月号、8月号に掲載された4色や2色のカラーページは収録されていない。
『どろろ』について手塚は手塚治虫漫画全集のあとがきにおいて、「水木しげるが描く一連の妖怪もののヒットと、それに続く妖怪ブームにあやかり作り上げたキワモノ」と語っている[7]。しかし、この発言について手塚プロダクション公式サイトのコラムで黒沢は、妖怪マンガの大ブームが巻き起こる最中に後追いで『どろろ』を発表したような印象を受けるが、本格的な妖怪ブームが始まったのは水木の『ゲゲゲの鬼太郎』が1968年(昭和43年)1月にアニメ化したことで始まったのに対し、『どろろ』の連載が始まったのは『週刊少年サンデー』1967年(昭和42年)8月27日号で、連載開始が妖怪ブームよりも半年から1年も早かったことを指摘した上で、ブームを他人よりもいち早くとらえていた手塚の流行アンテナが鋭すぎるゆえに、そのように語ったのではないかと書いている[10]。ただ、水木しげるの『悪魔くん』がテレビドラマ化されたのが前年の1966年(昭和41年)10月からで、これが妖怪ブームのきっかけになっており、マンガとしての『ゲゲゲの鬼太郎』が人気を呼んだのも、読み切り掲載から連載漫画に昇格した『少年マガジン』1967年(昭和42年)5月7日発売号[注 8]「吸血鬼エリート」の回からである。
原作は最後の魔物を倒すところまでいかない状態で終了しているが、このことが物語のその後や多数のリメイク制作を喚起する要因になっている。この欠損に対して、後述のPlayStation 2版では百鬼丸が身体を全て取り戻すという補完が行われている。手塚作品の中でもリメイクが果敢に挑戦されている作品のうちの一つで、実写映画版は、どろろが大幅に原作と違う設定で描かれていたり、架空の異世界が舞台になったりしている。
2005年(平成17年)12月9日に秋田書店から発売された、様々な漫画家が『ブラック・ジャック』を描いたアンソロジー『ブラック・ジャックALIVE』2巻に収録されている永井豪の「嵐の夜に」では、武器をもっと強力なものにして欲しいと百鬼丸がブラック・ジャックに依頼、左脚に仕込まれた火炎放射器で万代を、右足に仕込まれたミサイルで九尾の狐を、右腕に仕込まれたガトリング砲でなぜか金小僧を倒し、どろろと共に立ち去る。
『ヤングチャンピオン』では道家大輔による『どろろ梵』が連載され、『チャンピオンRED』では士貴智志による『どろろと百鬼丸伝』が2018年(平成30年)12月号から連載されており[注 9]、後者は単行本の第1巻が2019年(平成31年)4月19日に発売された[11]。また、『テヅコミ』で連載のカネコアツシの漫画『サーチアンドデストロイ』は『どろろ』を原作に描かれた近未来SFになっている[12]。『テヅコミ』ではフロランス・トルタの脚本、フィリップ・カルドナの作画による(翻訳は原正人)読み切り「血の味―妖刀誕生」も掲載された。この他、田畑由秋・大熊ゆうごによる『ヤング ブラック・ジャック』で、『どろろ』をモチーフにした「無残帳編」が描かれている。
2022年(令和4年)12月より日本では「ピッコマ」で韓国では「kakaopage」でフルカラー縦スクロール漫画の『どろろ Re:Verse』の連載配信開始。韓国スタジオ・テラピン制作で、脚本・絵コンテはイ・ドギョン、絵はBeanが担当。現代を舞台としたリブート作品[13]。
これらリメイク作品には前述の永井をはじめ、PlayStation 2版に沙村広明や雨宮慶太なども関与しており、『どろろ』という作品に対する支持の高さを物語っている。
なお、『手塚治虫トレジャーボックス』にも掲載されている『週刊少年サンデー』1968年(昭和43年)2・3号の企画「紅白ものまねまんが合戦」では、4名の漫画家藤子不二雄、つのだじろう、板井れんたろう、赤塚不二夫が描いた『どろろ』の漫画と、各作品への手塚のコメントが掲載された。
永井豪&ダイナミックプロのマンガ作品『ドロロンえん魔くん』とコラボした永井豪の作品『どろろとえん魔くん』は、成長したどろろが主人公になっており、妖怪退治をしていれば百鬼丸と再会できるかも知れないと、偶然出会ったえん魔くんの力を借りて旅をするという内容で、最終話では異形の存在になった百鬼丸も登場する。2012年(平成24年)11月16日号に読み切りで掲載され、2013年(平成25)2月22日号から2014年(平成26年)3月7日号に連載で『週刊漫画ゴラク』に掲載された[14]。
- プロローグ
- 室町時代の中ごろ、武士の醍醐景光は、ある寺のお堂で魔物に通じる48体の魔神像に天下取りを願い出て、その代償として魔神の要求する通り、間もなく生まれる自分の子を生贄として彼らに捧げることを誓う。その後、誕生した赤ん坊は身体の48箇所を欠損した状態で生まれ、母親と引き離されて化け物としてそのまま川に流され、捨てられてしまう。医者・寿海に拾われた赤ん坊は、彼の手により義手や義足を与えられた。
- どろろとの出会い
- 14年後、成長した赤ん坊は百鬼丸と名乗り、不思議な声に導かれるままに自分の身体を取り戻す旅に出る。旅の途中、百鬼丸は数人の大人から袋叩きにされていた幼子の盗人どろろと出会う。百鬼丸はどろろを助けるが、どろろは礼を言うどころか彼の左腕に仕込まれた刀に目を付け、しつこく百鬼丸を付け回すようになった。初めは邪険にしていた百鬼丸だが、自身の身体の秘密や生い立ちを話してもびくともせず、むしろ面白がってますます自分に興味を持ってくるどろろを、どこか憎めなかった。そして幾多の危機を乗り越えていくうちに、いつしか2人の間には相棒とも友人とも呼べる奇妙な絆が生まれる。
- そして2人旅の道中、声が教えた通り、魔物を倒すたびに奪われた48箇所の身体は1つずつ復活していく。だが、異形の体と妖怪退治の力を持つ少年、盗人の子供という身の上ゆえに、2人は行く先々で人々に忌み嫌われ、絶えず追われ続ける不遇が続いていく。
- 弟殺しによる苦悩
- そうして2人がさらに旅を続けていくうち、遂に因果の糸車は再び回り始め、百鬼丸は残虐な征服戦争を行う景光と、己が父親と知らぬまま再会、母親と弟・多宝丸とも出会う。景光が多くの人を殺した国境「ばんもん」で百鬼丸は多宝丸と対決するが、突如妖怪から景光は父親で多宝丸が弟だと告げられ、激しい動揺と共に多宝丸を斬り捨ててしまう。
- 妖怪を打倒した後、両親に捨てられ、実の弟を自らの手で殺め、実の父に憎まれるまでになってしまったことに深く絶望した百鬼丸は自暴自棄に陥り、どろろと別れて自害しようとするが、たびたび自分の前に姿を現してきた謎の男・びわ法師に止められる。
- 野盗の埋蔵金
- その直後、どろろの危機を察知して駆けつけ、妖怪を倒した百鬼丸は、どろろの父であった野盗・火袋が隠した埋蔵金のありかがどろろの背中に刻まれていることと、「隠された埋蔵金を元手に農民たちと共に圧制に立ち向かってほしい」という火袋の悲願を知る。「父から使命を託されたどろろに力添えをすることこそが一人前の立派な人間として生きる道だ」とびわ法師に諭された百鬼丸は、真の目標を見定めて生きる気力を取り戻し、再びどろろと共に旅に出る。
- 紆余曲折を経て、火袋を裏切った野盗イタチを伴って埋蔵金のありかにたどり着いた百鬼丸たちだが、埋蔵金を狙って追跡してきた領主の追っ手が上陸し、壮絶な戦いが勃発する。イタチは埋蔵金を狙った拍子に崖から落ちかけた自分を救ってくれたどろろに報いるため、侍たちと斬りあって重傷を負い、一目だけ金を拝ませてくれと頼むが、そこに金は埋められていなかった。イタチが埋蔵金を狙っていることを察した火袋が、あらかじめ別の場所に移していたのだった。自業自得の結末に力なく倒れこむイタチは最後の力を振り絞り、追っ手を退けるために大岩を抱きかかえて身を投げ死亡する。死屍累々の惨状を前に落胆するどろろを励まし、百鬼丸はどろろと共に妖怪退治の旅を再開する。
- 醍醐景光との決戦
- その後、醍醐景光が建設を指揮する砦の建設現場に差しかかった百鬼丸は、再びどろろと別れ、仕官希望を装って屋敷に入り込む。一方、どろろは景光によって村を滅ぼされた建設作業の従事者たちに反乱への協力を要請されるが、掘っていた抜け道の穴から侍の目をそらすために囮となって暴れまわった末に捕まり、景光と百鬼丸の前に引き出されてしまう。仕官希望が本意ならばどろろを切り捨てろと言い渡された百鬼丸は、刀を携えてどろろに迫る。
- しかし、百鬼丸の狙いは景光の背後に潜んでいた妖怪だった。48の魔物たちの残りが群れ集まって形を成した妖怪・鵺が現れたのだ。百鬼丸はかろうじて何匹かの妖怪を仕留める。その混乱の隙に乗じて農民たちが一斉になだれ込み、侍たちを倒して景光を圧倒、砦を制圧する。醍醐景光は妻と共に追放され、百鬼丸との因縁にもひとまずの決着がつくこととなった。
- 喜びもつかの間、百鬼丸は自分の刀をどろろに餞別として譲り渡し、父の志を継いで農民たちと共に権力と戦うように言い残し、妖怪を追い求めてまた独り、どこかへ旅立っていく。
その後、48体の魔神像が落雷で焼失したことがナレーションで語られ、百鬼丸が魔物を全て倒したことが示唆されつつ物語は幕となる。
ここでの「アニメ」は1969年(昭和44年)の第1作を指している。
- 百鬼丸(ひゃっきまる)
- 主人公の一人。白い錨柄の貧相な着物を着た一本差しの少年。彼には幼い頃から死霊や妖怪がつきまとう。
- 醍醐景光の実子であるが、生まれる前に48体の魔物への生贄として差し出される。その結果、身体の48箇所が欠損したヒルコのような存在として生まれ落ち、父により川に流されてしまう。川下で医者の寿海に拾われ、欠損部分を手製の義眼・義手・義足などで補ってもらい、人間らしい姿をあてがわれ、それ以後は普通の人間と違わない姿で成長していく。義手は成長の後に肩の力のみで指先まで動かすことが可能な特別製の義手を旅立ちの前に授けてもらっている。
- 自分の体を奪った元凶である48の魔物を1匹ずつ倒すごとに、倒した魔物が奪った部位が徐々に戻っていくようになっており、48の部位すべてを取り戻すことを目的として妖怪退治の旅を続けている。
- 腕には仕込み刀、足には百鬼丸が「万代の巻」で掛けると皮が焦げ肉を腐らせる毒と言い、「どんぶりばらの巻」で熱湯、薬と言っている「焼水(やけみず)」 [注 10]と、腰の筋肉を収縮すると中の焼水が押されて飛び出す放射器、鼻は爆薬「雷玉(いかずちだま)」など、体中に武器が仕込まれている。目は見えずとも不思議な直感が働き、心の目で障害物を避けることができる。声帯を取り戻すまで、通常の会話は読心術と心の中に言いたいことを伝える霊能(テレパシー)で行なっており、同時に口を動かすことでしゃべっているように見せかけていた。
- 厳しい現世を生き抜いているせいか、若い割に飄々としており、滅多なことでは心を開かない。妖怪を退治しても自身が異質な存在であるため、助けたはずの村人などから憎まれたり追い出されることが多いのも関係している。基本的に妖怪相手が専門であるが、必要とあらば相手が人間でも斬り殺すことは容赦しない。剣の腕は我流ながら達人の域に達しており、数十人が相手でも軽く倒してしまう。
- 最愛の女性であったみおや罪のない子供たちを侍に斬り殺されて以来、身分を盾に高慢に振る舞う権力者に対し嫌悪感を抱いている。
- どろろと初めて出会う「百鬼丸の巻」で百鬼丸は「生まれて14年」と口にした。「ミドロの巻」では「琵琶法師と別れてから1年も経つ」と口にしている。「発端の巻」の頃はまだ刀が両腕の義手に収まっていたので刀身の無い柄や鍔、鞘などの外身だけ腰に挿している。「人面瘡の巻」では、今までヘソや髪の毛などを取り戻したが手足みたいな大きい部位が戻ったのは初めてと口にしている。「ばんもんの巻」では景光に「(身体は)まだ30箇所もあちこち足りない」と言っている。最終話では餞別に右腕に仕込まれていた刀をどろろに譲り渡し、農民と共に権力と戦うよう言い残して去って行く。
- アニメでは、「百鬼丸の巻・その二」のナレーションで「それから15年、その赤ん坊は百鬼丸として」と解説。「ばんもんの巻」のナレーションで「20年昔、川に捨てた我が子(百鬼丸)」と解説。雨宿りをしていたお堂で魔物から「お前の体は人間から我々が買い取ったもの。お前が人間のように生きることは我々への裏切り。お前が並の人間のように生きたければ我々48の魔物を討ち倒すしかない」と告げられ、それをきっかけに旅に出る。妖怪から神経を取り戻す前は松明で手が焼けても気付かなかった。腰に下げている刀は育ての父・寿海から受け継いだ名刀。アニメ最終話では、どろろと別れ1年間、単独で妖怪退治の旅に出て47匹目まで倒し、最後の妖怪と判明した景光も倒したが、壮絶な体験から心を閉ざし、何も告げず一人でひっそり旅立った。
- 手塚漫画スター・システムのキャラクターとして後に、『ブラック・ジャック』にも2度出演した。
- どろろ
- もう一人の主人公。百鬼丸を「あにき」と呼ぶ幼い子供の泥棒。盗賊の火袋とお自夜の間に生まれるが、物心つく前に夜盗仲間の裏切りにより両親もろとも流浪の身となり、後に両親と死に別れて孤児となった。母親のお自夜は「上の2人の子供は侍に殺された」と語っていたため、第3子にあたる[注 11]。
- 両親を喪った後ひとりこそ泥として生活しているところを百鬼丸と出会い、彼の義手に仕込まれた刀に目をつけて後を付け回す。原作、アニメともども最終話では百鬼丸と別れ農民たちと生きていく道を歩む。
- 顔立ちは母・お自夜に似て、性格は父の火袋に似ている。強情で生一本だが根は優しく、妖怪退治の恩を受けながら異形の百鬼丸を疎んじる村人たちに怒りを露にして歯向かったり、自分と同じ子供を殺した醍醐に弔い合戦を挑もうとした。その他、両親を裏切った野盗イタチが危機に落ちた際には見捨てることなく手を差し伸べ助けている。盗人に身をやつしどんなに人から蔑まれても決して人間としての誇りを失わず、幼いながら強固な精神力とどんな困難にも立ち向かう勇敢さを併せ持つ。それゆえ無謀な行動も多く命の危険に晒されることが多い。その一方、父から託された使命を遂行することを躊躇する気弱な一面もある。
- 最初こそ刀だけが目当てと言い切っていたが、旅を共にする内に百鬼丸に対して強い好意と信頼を寄せるようになり、置いていかれるくらいなら切り捨てられて死ぬ方がましだと言い切るほどまでになった。
- 刀などの武器は持たないが身体能力は高い。特に石の投擲の腕はかなりのもので百鬼丸の命を救ったことも多い。体は非常にタフで、大人数人にリンチされてもケロリとしている。また、まるで破壊音波のような大声の叫び声を出して相手を失神させる得意技を持つ。
- 原作やアニメでは本来の性別が伏せられ、少年であるかのように描写されていたが、最終話で女の子であることがはっきりと明かされる[注 12]。
- 原作では、風呂や水浴びをやたら拒み続けていたが、それは父親の遺した財宝の在り処が記された地図の刺青を背中に入れられていたためだった。背中にある刺青の地図は、何か興奮したりカッと血が上ると蕁麻疹のようにボーッと背中に浮き出し、いつの間にか消える。原作では年齢が不明だが、アニメでは、24話「四化入道」で5歳だと百鬼丸が口にした。なお、「ばんもんの巻」では百鬼丸から何年風呂に入っていないのか聞かれ「4年」と答えており、手塚プロダクション公式サイトにも4年間体を洗っていなかったと記されている[16][17]。
- 『冒険王』の連載では、どろろは百鬼丸から奪われた48カ所の身体を魔物がこね回して作りあげた存在で、どろろを殺せば全部の身体を一度に取り戻せるため、百鬼丸が苦悩した。
- 後に手塚漫画スター・システムのキャラクターとして、『ドン・ドラキュラ』への出演や、『ブラック・ジャック』では『ミユキとベン』で百鬼丸扮する「ベン」の子分や『ある教師と生徒』の久男として出演したが、いずれも男として出演した。
- なお、どろろをアニメ版で演じた松島みのりは、出演が決まっていた『佐武と市捕物控』のスタッフから、「どろろ役が難航しているから、やってみないか」と勧められてオーディションを受け役が決まったが、「暗い百鬼丸に対して、どろろは明るくなるよう気を付けて演じた」、「もともと男の子役が多かったうえに、これ以上やってはいけないという枠が表現するうえで無かったどろろは、特に演じやすく心地良かった」と語っている[2]。さらに、どろろが原作で胸を隠すのを見て、あれっ?と思ったが、途中の回でスタッフから「実は女の子だよ」と言われ、「また悪い冗談をいって」と笑っていたら本当だと打ち明けられたとも語っている[2]。
- 醍醐 景光(だいご かげみつ)
- 室町時代の武士。ある夜、地獄堂へ出向き、運慶の子、「運賀」という仏師が彫り上げた48体の魔神像に天下取りを祈願。しかし、その魔神像は、彫り上げた後に仏師が狂い死にしたと言う曰く付きの物であった。景光は願いを聞き入れてくれた暁には、その代償として翌日、産まれて来る我が子の身体の各部位を差し出すことを約束する。魔神達は願いを聞き入れ、その結果、生を受けた子供は、身体の48箇所が欠損した状態で誕生した。景光は妻に生まれてきた子供を捨てるように命じ、景光の見守る中、妻は生まれた子供を川に流す。景光には魔神との契約の証として額に「×」印の傷跡がある。その後生まれた多宝丸を嫡男として育てる。生来の絵に描いたような冷血漢で、己が利の為ならどんな手段も選ばず、か弱い者すら無惨に殺す。加賀国の守護大名・富樫政親の家臣で富樫領と朝倉領の国境いにある一の砦を守っている。
- 原作では、魔神との契約を覗き見ていた地獄堂を管理する上人を斬り殺す。百鬼丸に対しては、実父であることを伏せた上で家来として取り立てると持ちかけたり、多宝丸と決闘していると知った際には二人が兄弟であることを思わず部下に漏らしつつ血相を変えて止めようとするなど親らしい一面を見せたものの、多宝丸の死をきっかけに確執は決定的なものとなり、息子の敵として百鬼丸を狙うようになる。最終話では、屋敷で百鬼丸がぬえを倒す騒動のさなか、残忍な仕打ちで苦しめ続けられてきた村人によって砦を占領された末に放逐され、妻と出て行く。『週刊少年サンデー』連載当時は、イタチらを捕らえ財宝を得ようとした真久和忠兵衛に命令を下した張本人で、その頃には筆頭家老に出世していた。『冒険王』の連載では、富樫政近の一の砦を守る侍大将となっている。
- アニメでは、48番目の魔物。最終話で、どろろに辛く当たることを妻の縫の方に咎められ、錯乱して妻や部下たちを斬りつけたあげく、己の体を生贄に更なる力を与えるよう魔神像に乞うも、既にその身は人の心を魔神の糧として奪われて悪しき魔物そのものになり果てており、人間の身のまま顔や全身が醜くただれた姿と化す。駆けつけてきた百鬼丸が刀を向ける姿を見て逆上し襲い掛かるも彼の刀で刺され絶命。寺と魔神像も焼け崩れた。
- 琵琶法師(びわほうし)
- 百鬼丸とどろろの前に度々現れる謎の法師。座頭で目が見えず杖を手に歩いているが身のこなしはしっかりしており、世知に長け厳しい現世を生き抜いている。背負っている琵琶の先は仕込み刀になっており、我流ながらも剣の腕はたつ。己に迷う百鬼丸に常に問い、生きることの尊さを諭し道を指し示す。
- 原作では主要人物でありながら登場回数は少ない。
- 演者は手塚漫画スター・システムの琵琶丸。これがデビュー作となった。
- 寿海(じゅかい) / 寿光(じゅこう)
- 腕利きの医師で百鬼丸の育ての親。薬草を取りに行ったとき、タライに乗せられ川を流される赤ん坊を拾う。体中が欠損した不思議な力を持つ赤ん坊を不憫に思い、引き取って養育し、欠損部分を木材と陶磁器で作製した人工の精巧な義手や義足で補い、一人前の人間の姿に仕立て直し、心を込めて育ててきた。赤ん坊の生来の不思議な力に引かれて異形のものが家に集まるようになってきてしまったため、幸せに暮らせる場所を探すために旅立つよう諭し、肩の筋肉で自在に指を動かせる特別製の義手と若い頃に大将から拝領した無名の名刀を授けて送り出した。
- 原作では、困り果てた医者が、おまえを受け入れてくれる場所を探せと、百鬼丸という名を与えて家から送り出す。送り出すにあたり、腹でものを言う腹話術の本も持たせている。名前について原作では当初設定されていなかったが、冒険王で執筆再開された漫画版の最終話において、百鬼丸が「寿海」と呼んでいる。
- TVアニメ版では寿光という名前で、設定画には年齢48歳9ヵ月と記載されている。アニメでは、百鬼丸がお堂で魔物から聞かされた話を聞き、旅に出て後は自分のために戦えと送り出す。百鬼丸という名は旅立つ前から既に与えていた模様。
- 上人(しょうにん)
- 景光を寺にある地獄堂に案内して、収蔵されている木彫像である48体の魔神像を説明した上人。原作では、景光が魔神と契約するのを目撃してしまい斬殺された。アニメの設定では、雲龍寺の上人で年齢は70歳。
- 多宝丸(たほうまる)
- 百鬼丸の弟で醍醐景光の次子。百鬼丸が捨てられた後に生まれた。右目を盲いている。腕は立つが、それ以上に奸計や残忍さは父譲りのものがある。父から聞いた百鬼丸の腕を試すため部下に襲わせ、それを返り討ちにした百鬼丸を砦の中にある景光の屋敷へ連れ帰る。ばんもんの巻で百鬼丸と対決して斬られ、息絶えた。
- 火袋(ひぶくろ)
- どろろの父。たくましく大きな体を持つ野盗の首領で、貧しい村人たちの為に宝を貯えていた義賊である。
- 元は農民だったが、侍に住んでいた村を滅ぼされたため侍を憎んでおり、侍と金持ちだけを狙う。後に代官と組んだイタチ一派に裏切られ、イタチの部下から射掛けられた矢を両足に受けて盗賊家業を続けられなくなる。後にどろろとお自夜と共に放浪している最中、飢饉の最中どろろに饅頭を与えようとした貴族に反感を抱き部下と乱闘を引き起こした末、一人の侍が突き出した長槍をまともに受けて亡くなった。
- アニメ版では、刀の柄に滑り止めの布を巻いている。
- 演者は手塚漫画のスター・システムでの丸首ブーン。
- お自夜(おじや)
- どろろの母。彼女も元は農民であり、夫と同じく侍を激しく憎んでいる。普段は温厚な良き母で良き妻だが、相手が侍ならどんなに命乞いされても躊躇なく殺す。どろろを、放浪生活の中で育てた。
- 夫・火袋が死んだ後、寺の炊き出しの煮えた粥を素手で椀の代わりに受け食べさせるなどして幼いどろろを育てていたが、放浪し続けた末にどろろを抱いたまま雪山に迷い込み凍死してしまう。
- 原作では、死亡する3日前の大雪の日、文珠堂の軒下で、火袋の残した宝の在り処を知られないように、刀と己の血を使った刺青としてどろろの背に地図を描き記した。
- 縫の方(ぬいのかた)
- 醍醐景光の妻で百鬼丸・多宝丸の母。お縫と表記されることもある。景光の命令で泣く泣く赤ん坊の百鬼丸をタライに入れ川に流して捨てた。しかし年月を経ても百鬼丸への愛情を失くしておらず、偶然再会した際に一目見て気付き、「坊や」と呼ぶ。百鬼丸からは「おばさん」と呼ばれたが、口にこそ出さぬものの百鬼丸も最後には母と認めていた。
- 原作の最終話では、百鬼丸に捨てたことを詫びるが受け入れられず、ぬえが暴れるさなか屋敷に雪崩れ込んだ村人から砦を占領され景光と出て行く。
- アニメでは、景光から責められ叩かれる百鬼丸を見かねて、百鬼丸の身体を魔物に与えたことや百鬼丸を虐めることを責めたことで、景光に斬り殺される。百鬼丸の腕の中で今までのことを詫び「私を母と呼んでおくれ」と言い残し息絶えた。原作では最後まで母と呼ばれることはなく、百鬼丸も苦しんできたのは自分だという態度を崩さなかったが、アニメ版では百鬼丸は遅まきながら我が母上と呼び、彼女なりに苦しんでいたことを認めて涙を流した。
- 未央(みお)
- 戦で焼け出された子供たちを荒れた御堂で世話していた少女。心優しい美少女で、百鬼丸が唯一心を開き想いを寄せていた女性だった。
- 子供たちの食料を得るために物乞いをしており、蔑まれて虐められてきたために自身をいやらしい存在だと卑下していた。
- 旅に出て間もない頃の百鬼丸と出会い、共に暮らす内に徐々に打ち解けあうが、お堂の明け渡しを迫る侍を拒んだため、兵士たちに子供たちもろとも殺されてしまう。彼女の死は百鬼丸の心に深い影を落とし、彼女との交流で温かい心が芽生え始めていた彼を死人同然の冷たい存在へと変えてしまった。
- 仁木 田之介(にき たのすけ)
- 妖刀「似蛭」に取り憑かれた浪人の男。
- 以前は心優しい武士だったが、かつて仕えた冷酷な城主に、機密情報保守のために罪のない大工たちの処刑を強いられたことで精神が崩壊。褒美として拝領した似蛭の乞うがままに人を殺め続ける辻斬りと化してしまった。
- 百鬼丸をして「出来る、相当なやろうだ」と言わしめるほどの剣の腕前の持ち主で、城の主も処刑の際の彼の太刀筋を見て「見事な腕前」と賞している。
- 戦でも似蛭で敵を何人も斬ったが、戦が終わっても妖刀が血を欲するため刀の奴隷となり三月に一度辻斬りをして刃に血を吸わせていた。半年前に村の近くに戻ってきていたが5年ぶりに親や妹と再会。しかし昔と変わり果ててしまった彼は家族と馴染むことはできず、最終的には再び「似蛭」を手にし何の罪もない人を斬り始めてしまう。
- 妖刀に支配されたどろろを追ってかけつけてきた百鬼丸との対決の末に致命傷を負わされ、最期の餌とばかりに似蛭を己へ突き立てて自刃する。
- アニメ版では最後の最後で良心を取り戻し、似蛭の束縛を絶つために自ら自刃した。
- お須志(おすし)
- 田之介の妹。兄思いの少女で百鬼丸に兄を殺さないでほしいと懇願するが、田之介が死んだ為に百鬼丸を逆恨みし村から追い出してしまう。
- 原作では、百鬼丸たちが去る際、どろろに「体に気をつけて」と声をかけて見送った。
- アニメでは、もう刀なんか欲しがらないという誓いをどろろがお須志に叫び、それを黙って見送った。
- 鯖目(さばめ)
- 三本杉で暮らす若侍の郷士。一見、紳士的な人格者だが、「死んだ魚のような目」と評されている。実は人間に化けた妖怪マイマイオンバにたぶらかされて夫婦となり、子孫を残すための道具として利用されていた。
- 原作では、妻の正体を暴かれ逆上して百鬼丸に斬りかかるが敗北。お茶に盛った毒で動けなくなった百鬼丸にも斬りかかったが、どろろに阻止される。最終的には正気を取り戻して頭を丸めて出家し、焼けた寺の再建と子供たちの弔いを誓う。
- アニメでは、1年前にめとった妻にゾッコンで、妻に言われるまま百鬼丸に斬りかかる。蔵の中でも妻に操られ斬りかかるが敗北。蛾の妖怪マイマイオンバになって飛び去る妻を求めて沼を訪れ、戻ってきてくれとへたり込み、それが結果的に百鬼丸をマイマイオンバの居場所へ案内してしまうことになった。
- 助六(すけろく)
- 大きな板塀の仕切り「ばんもん」によって2つの国に隔てられた内の1つの出身である少年。国境が引かれたとき富樫領となる町の南側へ遊びに来ていた日に戦が始まり、町の真ん中に兵隊たちが築いたばんもんを建て国境を引いてしまったことによって帰れなくなってしまう。以来、故郷の村に帰る日を夢見ながら浮浪児同然の生活を送っている。
- ばんもんのことを知らずに来たために村人にとらえられ袋叩きにされて捨てられたどろろを助けた。キツネの使う妖術にも気付いている。ばんもんが建てられた際、助六は兵隊に泣いて頼むも聞き入れてもらえず、国境に阻まれて北側の朝倉領に住む両親とは会えないでいた。
- どろろの協力を得て国境を超えるが、すでに家は燃かれて両親も殺されており、無断で国境を越えようとした咎で兵士に捕縛され、多宝丸の手により処刑されてしまう。
- 賽の目の三郎太(さいのめのさぶろうた)
- 原作に登場。妖怪が取り憑いた馬「ミドロ号」に操られていた無頼の槍遣い。「唯我独尊」と大きな文字があしらわれた着物を着ている。ミドロ号を倒された後、醍醐景光に仕官するために再度百鬼丸と対決したが、百鬼丸をかばい飛び出したお米を斬殺してしまう。怒った百鬼丸に殴り飛ばされて海に落ち、それ以降は登場しない。
- イタチの斎吾(イタチのさいご)
- 火袋の手下だった男。貪欲な気性の為に火袋からは信用されておらず、権力の側と手を組み出世しようと提言したのを拒まれたため火袋を裏切り、妻子を人質にとった上、火袋の足を痛めつけて再起不能においやった。
- 原作では、どろろの背中にある入れ墨の秘密を知っており、後に白骨岬にて部下を引き連れ宝目当てでどろろに接近する。
- 財宝をめぐる諍いの中で幾度となく危機に陥ったところをどろろたちに助けられ、財宝の島の崖から落ちかけたところをどろろに救われたことで改心する。そして財宝のありかを狙って差し向けられた領主の追手の侍たちを食い止めるため、矢で狙い撃ちにされ瀕死に陥りつつ大岩を抱えて侍の群れに飛び込むという壮絶な最期を遂げた。
- 火袋を裏切りはしたが殺しておらず、捕らえられても反抗を止めないどろろに対し「生一本な所がおやじにそっくりだな。かわいい奴だぜ。」と懐かし気に語るなど、元々火袋親子を嫌っていた訳ではない様子。
- 作中では珍しく短筒を使っている。イタチはこの短筒を冒険王連載当時には、元の大群が攻めてきたとき浜に打ち上げられた「雷火筒(らいかとう)」と説明していた。また、どろろが少女であることに気づいた人物の一人でもある。
- 演者は手塚作品スター・システムのハム・エッグ。
- しらぬい
- 原作のみ登場。白骨岬に棲んでいる若者。幼少の頃から飼っていて小さな鮫だったときから育ててきた二郎丸と三郎丸という2匹の鮫を操る。物心つく前に両親を戦で殺され、母が血を流し干からびてミイラになるまでを見て、人間の体なんて鮫のカッコよさに比べればお粗末なつまらないものという考えに至り、鮫に強い憧れを抱くようになる。
- 鮫が大きくなるにつれ馬などの生き物に留まらず人間を手当たりしだい殺しては喰わせていた。イタチたちを鮫の餌にしようと船頭として近づきイタチの手下を喰わせたが、二郎丸と三郎丸を百鬼丸やどろろに倒され、その仇討ちとして二郎丸の右目に刺さっていた刀を抜いて百鬼丸に挑戦するが逆に腕の刀で胸を突かれて敗北。今際の際、百鬼丸に「二郎丸と共に自分を海に沈めてほしい」と願いを託したのち、絶命。その願い通り、二郎丸に括り付けられ海に沈められた。
- どんぶり長者
- どんぶりばらに取り憑かれた長者。その為に常に腹が空いているようになってしまった。妖怪が腹の中にいる状態で、百鬼丸が化け物を封じ込める薬を塗った絆創膏をヘソに貼り、剥がしたとたん妖怪がたまらず飛び出して助かる。
- 原作では、年貢米をくすねてこっそり隠れて食い飢えをしのいでいたが、年貢を納めるよう求める景光には、村人が提出を拒んでいるから年貢が集まらないと嘘をついていた。
- アニメでは、子供たちにも草の根と木の皮とワラ屑で作った饅頭を出すほどケチで、美味い食料を独占するため、仮面を被り村の穀物倉に妖怪が出たいう嘘の噂を流し、倉に取り憑く化物に変装して倉から人を遠ざけていたが、どろろに正体を暴かれた。この行いのせいで村の子供たちは畑のスイカしか食べることができず水っ腹で腹をすかせていたが、その一方で、実は鼠や虫の死骸でできている化け物の毒気がかかった食べ物を食べようとした子供を必死に止めようとする良心も持っている。アニメでは長者が、原作ではお米が仮面を被り変装していた妖怪の姿は、アニメでは村の子供らに「どんぶりばら」と呼ばれているが、井上智が描いた冒険王のカラー特集ではナマハゲと紹介されている。
- お米(およね)
- 原作に登場。どんぶり長者の一人娘。美しい娘だが、少し知恵遅れ。秘密を持つどんぶり長者の命を受け、変装して妖怪の振りをして家の肥溜めの側に人を近付けないようにしていた。自分を馬鹿にしなかった百鬼丸に好意を持つが、景光の命を受けた三郎太から百鬼丸をかばい斬殺される。
- 木曽路(きそじ) / 時野 景行(ときの かげゆき)
- 原作では、景光と敵対する武士・木曽路、アニメでは、時野景行という名で登場。いくさ馬ミドロの優秀な働きで数々の手柄を上げ成り上がり、慢心している武士。
- 原作では、当初はミドロ号の働きを称えていたものの、「ミドロ号がいなければあそこまで出世できなかった」との小間使いの陰口を耳にして逆上し、ミドロ号から子供を売り払い、殴りつけるなどして虐待したため、落馬した際に怒ったミドロ号に戦場で踏み殺された。
- アニメでは、侍大将に手が届きそうなほど出世して、武功の半分は愛馬ミドロのおかげと思っているが、ミドロの動きが鈍くなっているのは子馬が付いて回るせいだとして配下の新助に子馬を引き離すよう命じ、脱走して暴虐を尽くすミドロ号を部下を引き連れ討とうとしたが、首筋を噛み潰され返り討ちにあい絶命。
- 死霊
- 自分では形が無いため様々なものに次から次へと取り憑き、執拗に百鬼丸たちへ襲い掛かる。斬ったりバラバラにすると一旦は引っ込む。川に浮かぶゴミの塊に取り憑き人間を溶かす怪物になったが百鬼丸が木造の橋桁を斬って崩壊させ下敷きになる。猿の死骸にも取り憑くが百鬼丸に斬り捨てられた。原作では他にも草履、野犬、野原の草などにも取り憑いて襲い掛かり、アニメでは大量の猫や大量のカラスにも取り憑いて襲い掛かった。百鬼丸は原作では死に神、アニメでは魔物どもの手先という呼び方もしていた。
- アニメではカラーパイロットフィルム版にも登場した。
- 死霊の女
- 女の姿をした死霊。患者を装い寿海の家を訪ねる。いずれ真実を知った百鬼丸が己らを滅ぼそうとする邪魔な恐ろしい敵になる前に、寿海もろとも殺そうとした。伸びる髪で寿海を絞め殺そうとしたが、幼い頃の百鬼丸に斧で切られ火を点けられて倒された。単行本では戸口から中を覗き込む大きな目が闇夜に浮かび上がる姿も見せたが、週刊少年サンデー連載当時は、寿海の家を見下ろす巨大な全身像も描かれた。
- 金小僧(かねこぞう)
- 村人が万代に奪われ、埋められ隠匿された金の精。手から下げた鈴の音を響かせながら、さまよう。早く地上に出るために、百鬼丸の枕元で「やろうかぁ」と告げ、万代に取られた村の金が埋められている自らの居場所を教えた。
- 万代(ばんだい) / 人面瘡
- ある村で百鬼丸とどろろが出会った美しい女性。貧しい村人たちに金や物を恵んだり、村道を拓いたりと表向きは慈悲深い性格だが、実は村で密かに殺戮と強奪を働き村人を生かさず殺さずの状態で奴隷にしていた。
- その正体は人面瘡で、人間の女の体に憑依して完全に吸収し、彼女の腰のあたりからサンショウウオに似た怪物の姿として生えている妖怪。緑色の血を流す。百鬼丸曰く「あんな醜い妖怪は見たことねえ」「ガマクジラ」、小説版ではどろろから「世界一美しい万代から世界一醜い魔物が生えている」「ガマナメクジ」などと言われていた。サンショウウオのような形態では、髪のような触手の吸盤で百鬼丸を捕まえ、念力で矢のように竹を降らせ、舌で舐めた人間を笑い死にさせることができる。人間の姿のときはサンショウウオのような妖怪になる醜い尾を隠すためいつも寝ており、邸内では村人たちが交替で住み込んだり通ったりして身の回りの世話や近侍をしたりしていたものの、誰一人として尾があることや、時おり村の襲撃のため不在にしていた事実には気づかなかったが、忍び込んだどろろに正体を見られる。どろろを人質に取りつつ「女夜叉(にょやしゃ)」という般若のような鬼女に変化して百鬼丸を始末するために戦いを挑み、振り回した髪で屋敷を崩すが、寺の大鐘楼に上ったところを鐘で突かれ倒され、焼水をかけられて人面瘡が死ぬと人間の顔に戻り、安らかな顔で天へと旅立っていった。
- 原作では、16番目の魔物。女夜叉の姿では、百鬼丸に落雷も落とした。女夜叉が「千歳のいにしえよりこの如月谷に年ふりたる」と口にしたため百鬼丸は、村ができるずっと前からこの谷に住みついていた妖怪が、どこかの女の体に取り憑いたと説明している。冒険王の連載では、サンショウウオのような形態は「ごろんぼう」と呼ばれていた。
- アニメでは、この村の娘に妖怪が取り憑いたと百鬼丸が説明している。カラーパイロットフィルム版では、屋敷に踏み込んだどろろと百鬼丸に正体を見られて戦いに発展したが、女夜叉には変身せず、人面瘡も登場しなかった。
- 倒すと、原作とカラーパイロットフィルム版では百鬼丸に右手が、アニメ版では左脚が戻った。
- ちなみに額に高眉を描き、御簾に囲まれている寝所の中で寝ているなど、上流公家の女性を装っているが、この時代には戦乱を逃れて都落ちした公家は少なくはない。
- 人面瘡
- 原作に登場。百鬼丸が以前出会った妖怪。万代の人面瘡とは別個体。ある娘の膝小僧にできた大きなできものが潰れて人の顔の顔のようになり喋ったり食ったりする。妖怪が取り憑いているため切っても切っても後から後から生えてくる。百鬼丸の焼水で殺された。後に出会った万代の人面瘡のことを百鬼丸は、この人面瘡と同じ仲間で、もっとあくどい奴なんだろうと予想した。
- 似蛭(にひる)
- 手にした人間の思考を乗っ取り殺人鬼に変える妖刀。主に田之介を操っていたが、一時はどろろを操り田之介の父親を斬りつけさせた。その際、一緒にいた妹のお須志も斬られる筈であったが、お須志が持っていた護符の効力により出来なかった。
- 田之介が死んだ後に百鬼丸に叩き折られ、ボロボロに風化して消滅した。
- 倒すと百鬼丸に左目が戻った。
- 九尾の狐
- ばんもんに宿って狐火を操り、両国間の戦を人心を弄びながら長引かせようとしている妖怪。中盤までは、狐火の渦の中心に顔だけ浮かび上がらせた姿で2度に渡り百鬼丸に襲い掛かる。その正体は、体が狐火に包まれており九本の尾を持つ、野ギツネの悪霊の総大将。
- 不気味な幻術を使い百鬼丸たちを惑わせ、川の中から浮かび上がった無数の頭蓋骨が炎に包まれ飛び回る。醍醐景光が魔神に身体を売り渡した父親で戦っている多宝丸も弟だと、百鬼丸を苦しめるため真実を教える。この妖怪の死体の重量が最後の「ばんもん」を崩壊させる原因となった。
- 原作では、激昂した百鬼丸に爆薬「雷玉」が仕込まれた鼻を口の中に投げ込まれ爆死して、その死体は戦場の境界線であるばんもんに晒された。
- アニメでは、百鬼丸の刀で首を斬り落とされ体も斬られて苦しみもだえ、ばんもんにしがみつき絶命した。
- 原作では、倒すと百鬼丸に鼻が戻った。
- 野ギツネ
- 朝倉領と冨樫領の境界付近に生息していた妖狐の悪霊達。死んだ兵隊の肉を喰らい急に増えた。
- 人間の思考を弱らせて好きなように操る妖術を持ち、戦が終わりそうになると町の人々にかけ、食料の死体を大量生産させるためにわざと戦争を長引かせていた。夜に群れで行動し、妖術を使う。体は狐火に包まれていることが多く兵隊の骨(死体)を餌としているため、口から燐が燃えている。水中でも追いかけてくる。夜が明けると消え去るが、大量に斬ったにも関わらず百鬼丸がゾーッとするほど1匹も死骸が残らなかった。
- 白面不動(はくめんふどう)
- 行者が水ごりを行う「みしらずの滝」の正面に鎮座している不動明王像の妖怪。己の顔を持たないため、滝ごりをする人間の顔を奪い己の顔としていた。すぐに次々と新しい顔を欲しがり、顔が手に入らないと酷く狂いだす。顔を取られてのっぺらぼうになった死骸は、谷底にあるほら穴の中に氷漬けにして並べている。手下の女を使ってどろろの顔を手に入れようと目論んだが、親子の情が移った彼女がどろろと逃げたため激昂。滝の水を操ることで、頭上から激しく水を降り注ぎ、鉄砂の混じった目つぶしの水を浴びせかける。崩れた顔で、手にした剣を振り下ろして襲い掛かった。百鬼丸により首を刎ね飛ばされて絶命。その正体は、精気が潜り込んだカビが岩にびっしり貼り付き不動明王の形を成していた妖怪だった。
- 原作では、19番目の魔物。水ごりをする人間は滝に打たれているうち気を失い、その人間の顔が不動に移ってしまう。どろろを逃がした手下の女を元の死霊に戻した。谷に大水を起こして、どろろの行く手を阻み、手に持った紐をマムシの群に変え襲わせたが、マムシの群は百鬼丸に斬り殺された。
- アニメでは、「顔がほしい、顔がほしい」とひたすら繰り返す。落雷で行者たちの水ごりの館を壊し、山犬の魔物の群れを操って手下の女を始末させたが、山犬の悪霊たちはどろろに噛み付く寸前に百鬼丸と琵琶法師に斬り倒された。
- 原作では、倒すと百鬼丸に右耳が戻った。
- 白面不動の手下
- 白面不動によってかりそめの命を与えられた女の死人。代償として、白面不動の言いつけで人間を谷に連れてきて滝ごりをさせていた。相手が心に思い描いている人間の顔に成りすます力を持つ。
- 百鬼丸に一方的に別れを告げられ泣いてたどろろの前に彼の母親の顔を装って近づき、滝のそばにある行者たちの水ごりの館にどろろを誘い出す。嫌がるどろろを水ごりさせて白面不動の生贄に捧げようとするが、自分を「おっかちゃん」と呼んで彼女を母と慕うどろろとの触れあいを通じてどろろに情を抱き、命令に背いて共に逃げ出す。
- 原作では、白面不動のために、のっぺらぼうと化した行者の死体を滝壺に落とす。命令に背いたことを怒る白面不動から滝の水を浴びせかけられ、命を奪われ元の顔に戻り崩れ去った。
- アニメでは、白面不動に仕える巫女の死人。ノタには早々に正体を嗅ぎつけられる。山犬の魔物の群れをけしかけて生きている行者を滝壺へ落とし、ノタに助けられた行者も始末させ、ほら穴の中にある凍った死骸を褒美として山犬の魔物たちに与える。どろろを見逃してほしいと白面不動に懇願するが断られ、自らの正体をどろろに明かし逃がしたことで白面不動に追われ、どろろとほら穴に逃げ込んだところを山犬の魔物たちに追われ川に突き落とされ死亡。
- ミドロ号
- 原作では木曽路、アニメでは景行が飼っていた、幾多の戦乱をくぐり抜けてきた牝の名馬。主人から大切な子馬を引き離され脱走。瀕死になったミドロ号は妖馬の精神体に、憎い人間に復讐するための力を貸すと怨みの心を付け入られて憑依され、燃え盛る炎のような毛並みを持った妖怪の馬になった。妖怪になっても母親としての愛情が残っている模様で、自分の子馬を見るやいなや動転して逃げ出したりもしている。
- 原作では、小間使いの陰口を聞き逆上した木曽路から酷い扱いを受け子馬とも引き離され、戦場で木曽路を踏み殺す。矢傷を受け死にかけていたところに妖馬の憑依を受け入れて妖怪になる。賽の目の三郎太を妖気で操り蹄鉄を作らせ、恨みのままに人々を踏み殺して暴れていたが、百鬼丸により全ての脚を切断され、焼水をかけられて本来のミドロ号諸共消滅した。百鬼丸は48体の魔物の1匹だろうと踏んでいた。
- アニメでは、戦で死んだ馬たちの呪いを晴らすことを目的にしている妖馬の精神体が宿る空飛ぶ4つの蹄鉄が、新助を殺害してミドロ号に憑依。踏み殺す、刃物で斬り殺す、松明をくわえ火を点け街を焼くなどして人々を無差別に殺害。ミドロ号を討とうとした景行を噛み殺し返り討ちにした。百鬼丸が両腕の刀で胸を刺し、飛び出た妖馬は首を刺し焼水を浴びせ消滅させたが、ミドロ号の死体はその場に残った。
- PS2版では、元は景光の愛馬という設定。
- ミドロ号の子馬
- 性別は不明だが親離れはしていない。母親に再会した際は喜んで近寄るが、既に妖怪と化したミドロ号からは拒絶されてしまう。
- 原作では、木曽路から「(子馬が)目障りだからどこか百姓家へ払い下げろ」と命じられた2人の家来を騙して、どろろが奪い取る。
- アニメでは、ミドロ号の子馬を新助に無理矢理売りつけられた庄屋・作左衛門から百鬼丸が買い取り、どろろがチビと名付ける。百鬼丸は己が殺した母馬の死体に寄り添う子馬の姿を見て初めて涙を流し、子馬を置いていかざるを得ない状況を悲しんだ。
- マイマイオンバ
- 蛾の妖怪で、産卵のため鯖目の妻となって人間の姿で暮らしていた。普段は人間の女性を装っており、マイマイオンバの一族と一緒になった男は徐々に命を吸い取られ、だんだん魂は死んでいき鯖目のように死んだ魚のような目になる。蛾の妖怪になると、毒の鱗粉をまき散らしながら飛ぶ。最後は歌舞伎の鬼の演者の様な出で立ちの姿となって復活し百鬼丸に挑むも、闇の中では火[注 13]に集まるという蛾の特性を突かれ絶命。
- 原作では、赤ん坊の連れ子があり、その子もネバ糸を出す芋虫の妖怪で、屋敷内で百鬼丸を襲わせたが百鬼丸から返り討ちにされそうになりマイマイオンバが助け出した。屋敷にいる召し使いの女性たちもマイマイオンバの一族で蛾の妖怪。目的は村の若い男と夫婦になり、もっともっと一族を増やすこと。マイマイオンバ自ら「遠い世界からやってきた」と語っており、後に裏山で見つかったUFOのような巣の形状から、宇宙から来た可能性を匂わせている。子供が何度も脱皮する秘密を付近の寺に住む慈照尼(じしょうに)が知った為に口封じのため寺に油を撒き火を点けて養われていた孤児ごと皆殺しにする。土蔵に忍び込み我が子の抜け殻の山を見つけたどろろを召し使いの女たちと共に殺そうとするも抵抗され、逆にどろろから土蔵に置いてあった油壷に火を点けられ、焼き殺されかける。その後、鯖目に毒薬を渡して百鬼丸を毒殺するよう仕向け、自らは一族と共に尼僧に扮してどろろを再度殺そうと目論むも、その際に居合わせた寺の孤児の霊達に阻まれた上、逆に村人達の攻撃にも逢って村の近くの底無し沼に追い詰められ、一族揃って沼の中に沈む。我が子も殺され、裏山にあった卵も百鬼丸に見つかり処分された。火に集まる特性でおびきだされ歌舞伎の鬼の演者の様な姿となって現れ百鬼丸に挑むも、どろろがかざした松明の灯りに引き付けられた所を斬り刻まれた上に松明で焼き払われて絶命。週刊少年サンデー連載当時は自らを「昔、伊吹山中に千年の齢を重ねたる毒虫の精にして世の人に仇なす者」と説明しており、マイマイオンバの子供も脱皮するごとに姿が変わる能力を持ち、それを使ってどろろに化け百鬼丸を襲うが返り討ちにあい、毛むくじゃらの芋虫のごとき本来の姿となった死体を鯖目に晒す羽目になった。
- アニメでは、道端で見かけた百鬼丸を危険と感じ、殺せと鯖目を焚きつけ、鯖目が失敗すると屋敷の中で蛾の妖怪になり襲い掛かる。どろろから屋敷の蔵の地下にあった大量の繭に火を点けられ沼の中に逃げ、歌舞伎の鬼の演者の様な姿になり百鬼丸に挑むが、松明に引き寄せられ、どろろから投げつけられた松明で体に火を点けられて百鬼丸から斬られ絶命した。
- 倒すと百鬼丸に右脚が戻った。
- 小僧妖怪
- 原作に登場。「子供はいらぬか。子供を買うてくだされ」と口にする頭を丸めた姿をした尼・慈照尼の幽霊に連れられた図体の大きな子供の妖怪。胎児にも似た姿をしており赤ん坊のように甘えてくる。突如消えた慈照尼の幽霊から、百鬼丸が押し付けられた。その正体はマイマイオンバに焼き殺された寺の孤児たちの霊の集合体で、優しくしてくれたどろろをピンチから救い、マイマイオンバにしがみついて動きを封じた。
- 二郎丸(じろうまる)
- 原作に登場。普段は海の底に魚の姿になって隠れているが人間が海に出ると襲って喰ってしまう物の怪が昔から取り憑いていると言われている「白骨岬」で、しらぬいが飼っている人喰い鮫の妖怪。体の中に魔物が巣くい妖怪特有の三白眼を持っている。
- まだ小さな鮫だった頃から三郎丸共々、しらぬいに幼い頃から飼われている。小さい頃は小鳥を与えられていたが、大きくなるにつれ肉をもっと喰いたがり、殺した犬や、こっそり殺した隣の家の馬では追いつかなくなり、ある日しらぬいの家の前で死んだ落ち武者を裸にしたものを与えられたことをきっかけに人間の味を覚え、次々に人間を喰っていた。
- 三郎丸と一緒にイタチの部下たちを喰い殺す。三郎丸の死に激怒したしらぬいと共に、敵を討つためにどろろ達を襲うも、百鬼丸に腹ビレと右目を潰されて逃走する。その後、宝の島に向かった野盗達を襲い殺するが、目に刺さった刀を引き抜こうと奮闘するどろろに陸上へ引きずり上げられてしまう。陸上へ上がっても、食べたものを腹の中で発酵させて出す妖気を含んだ強いアルコールガスを吹き付け百鬼丸を泥酔状態にして苦しめるが、どろろのアドバイスにより弱点を突かれ、横倒しにされて腹を切り裂かれ絶命。
- 倒すと百鬼丸に声帯が戻った。
- 三郎丸(さぶろうまる)
- 原作に登場。しらぬいが二郎丸と一緒に飼っていた人喰い鮫。二郎丸と一緒にイタチの部下たちが乗った船を転覆させて喰い殺す。姿形は二郎丸にそっくりで、性格も獰猛。囮になったどろろを追い掛け水上に出た隙を突かれ、イタチ一派によってありったけの刀を腹に突き刺されて絶命。妖怪なのか普通の生物なのかはっきりとするシーンは最後まで無いが、誰かから妖怪だと指摘されるような場面は無く、三郎丸の死亡直後に百鬼丸の身体が戻ったような様子も描かれていない。
- どんぶりばら
- アニメではこの名前。原作での正式名称は不明。その本体は、象ほどの巨体で牙が生えた妖怪ガメで沼の底に潜んでおり、別名「どんぶりがめ」という。
- 沼のものを腹いっぱい食べて動けないほど体が大きくなりすぎたがために、奇妙な姿をした僧侶のような形の精気を外に泳がせて村のどんぶり長者の臍から体内に侵入し、養分を吸収していた。精気は長者に無理やり飯を食わすことができる鐘を鳴らす。
- 精気は実体でないため刀も焼水も効かない。飛び去る精気を追って本体にたどり着いた百鬼丸を始末するために、甲羅から剛毛を生やし百鬼丸を絞め沈もうとするも、どろろと村人達により沼から引きずり出される。その後、百鬼丸により体内に焼水を流し込まれ、内臓を焼き尽くされて絶命した。
- アニメでは、28番目の魔物。アニメのオープニングにも登場する。アニメでは、精気は焼水を浴びせられたとき叫びながら飛び去っており、本体の大亀は引きずり出されたとき腹が大きくあまり動けないため妖力で雷雨を発生させて勝負してきた。
- 倒すと百鬼丸に右目が戻った。
- 四化入道(しけにゅうどう)
- 十年ほど前は村人だけでなく鼠からイタチにまで慕われる慈悲深い人格者として知られた山寺の住職だったが、寺を壊して三方が見渡せるこの場所に砦を造ろうとする景光[注 14]の計画に「三か村」が戦場になることを危惧して反対し、生き埋めにされて死亡。しかしそれでも山を守らんと、地下でモグラと蛙とカワウソと野鼠の精気と交じり合い妖怪となって蘇り、心まで妖怪に成り果ててしまった。
- モグラ、蛙、カワウソ、野鼠の大群を手足のように操り、寺を壊そうとする侍たちに飛び掛からせたり、どろろを連れ去ったりした。妖怪になっても、空き寺となり荒れ果てた元の寺に棲み付いていた。生臭い息を吐き怯んだところを狙ったり、モグラのように土中を進んで襲い掛かったが、最期は住処の穴の中に煙を送り込まれ、いぶり出されて地上に出てきたところを百鬼丸から眉間に刀を突き立てられて絶命。死後は4種類の動物の骨になった。
- アニメでは、原作よりも人間らしい姿で現れ、正体を見破られて原作と同じ姿に姿を変えた。妖怪を封じ込める力がある独鈷型という形の木で動きを封じれて絶命。
- 外見は鉄鼠に似ており、泳いだり地に潜ったりと4種類の動物の特徴を備えている。手塚の長男である手塚眞によると、この妖怪は自作の妖怪図鑑「ババー百鬼」に出てくる、モグラをモチーフに眞が6歳の頃に考えた「死毛」という一匹を、鳥山石燕の画図百鬼夜行に描かれている鉄鼠のイメージも参考にしつつ手塚治虫がアレンジして作ったものだという[10][18]。
- 漫画版ではあくまで人間が後天的に妖怪化した存在であり魔神ではないとも受け取れる[注 15]が、アニメでは明確に魔神の一体であり、倒すと百鬼丸に神経が戻った。
- 鵺
- 胴体は虎、頭部が猿、尻尾は頭のある蛇の巨大な妖怪。口から火を吹き、尻尾の大蛇が絡みつき襲い掛かる。
- 原作では、最終話に登場。最終話では百鬼丸が母にあと30匹分取られた部分が足りないと語っていて、倒されていないそれらの妖怪が束になりくっついた集合体の妖怪。屋敷の影から百鬼丸たちの様子を窺っていたが百鬼丸から額に刀を投げつけられ現れ、腕の刀で斬られ焼水をかけられ倒された。倒されたときに何体もの妖怪が分離して飛んで行ったが、百鬼丸は集まった中の少なくとも5、6匹は倒したと言っている。
- アニメでは、26話「最後の妖怪」に登場する47番目の魔物。アニメのオープニングにも登場する。上記の特徴のほか、たてがみがライオンのように生えた頭部、人間の筋肉質で割れた腹筋に似た腹部、前足は鳥類のような4本指という特徴を持つ。どろろと別れて単独で旅をする百鬼丸と戦う。百鬼丸の刀で腹を縦に裂かれて絶命。
- アニメでは、倒すと百鬼丸に右手が戻った。
- 三河島婆(みかわしまばばあ) / 大川村婆(おおかわむらばばあ)
- 背中に車輪を背負い杖を突いている老婆の亡霊。
- 原作では最終話で、強制労働から集団脱走を図った村人たちへの報復として、景光に焼き払われた大川村[注 16]で、病の床に伏せていたため逃げることもできずに亡くなった老婆の亡霊。
- 霊となったことで景光の素性がわかるようになったのか、景光が四十八の魔物に取りつかれた呪われた定めの人間である旨を恨み言として百鬼丸に語り、そのままいずこへと去って行った。
- アニメでは最後の妖怪を探す百鬼丸の前に現れ、景光が48匹目の妖怪だと告げて消える。
- 手塚治虫マンガ大全や手塚治虫トレジャーボックスにも掲載されている週刊少年サンデー1968年2・3号のイラスト「特別大画報どろろ百鬼」にも描かれている。
手塚治虫や手塚プロダクションのスタッフが描いたイラストには、原作やアニメには登場していない妖怪がいる。
手塚治虫マンガ大全や手塚治虫トレジャーボックスにも掲載されており、週刊少年サンデー1968年(昭和43年)2・3号掲載の手塚治虫が描いたイラスト「特別大画報どろろ妖怪屋敷」には、寿海と幼少の百鬼丸を取り囲む22体の妖怪「長壁(おさかべ)」「ふぐなめ」「獅子小僧」「おとろし[注 17]」「がごぜ」「塗仏」「ひんそう」「天井くだり[注 18][注 17]」「なめ婆(なめばば)」「そでびき」「青行燈」「ケラケラ女」「ヘラたたき」「骨女[注 17]」「おおかぶろ」「手の目」「のっぺらぼう」「見越し」「きつつき」「ひょうすべ[注 17]」「青ぼうず」「ぬらりひょん」が紹介されているが、この妖怪は鳥山石燕の画図百鬼夜行に描かれている妖怪である。
手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストには4体[注 19]、手塚治虫マンガ大全や手塚治虫トレジャーボックスにも掲載されており、週刊少年サンデー1968年(昭和43年)2・3号掲載の手塚治虫が描いたイラストで「これからもどろろに、ぞくぞく登場する妖怪は、これだ!!」と銘打たれている「特別大画報どろろ百鬼」には13体が描かれている。DVD-BOX封入解説書にも掲載されており、冒険王1969年(昭和44年)9月号の特集に当時は手塚プロダクション所属だった井上智が描いたカラーイラストで「これからどろろにぞくぞく登場する妖怪はこれだ!!」と銘打たれている「どろろと百鬼」には21体[注 20]が描かれている[注 21]。
以下に、「特別大画報どろろ百鬼」で紹介されている妖怪13体と、手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストの妖怪2体、手塚プロダクション所属だった井上智が描いた妖怪7体を記載する。
- ごりん童子
- 4つの輪が絡まった大きな輪を握って宙に浮かび背後に2つの炎が燃え盛る、頭頂部に髪が無い、ふんどしを締めた人型の妖怪。手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストでも百鬼丸の右下に描かれている。
- 水かけ女
- 右手には先端が曲がった杖を持ち、着物を着た女の姿をした妖怪で、左手に持った大きな柄杓で水をかける。
- 伊勢の大腕
- 尖った爪が生えた、突風のごとく現れる巨大な右腕の妖怪。
- まっしろ怪獣
- 全身が黒々とした毛に覆われ、丸々とし胴体の中心に人間のような鼻と赤々とした目がある、猿のような8本の腕が生えた妖怪。
- 山がくれ妖怪
- 大きな角材を両腕と片足で抱え込み、上半身の衣服がはだけている、山男のような大きな妖怪。
- バンモン
- 四角い大きな岩に、うっすらと目のような模様がある妖怪。
- 水牛怪獣
- 水牛の体に、頭頂部の無い髪と口髭をたくわえた鬼のような頭部をした妖怪。
- 半魚人妖怪
- 手のひらに魚の水かきがある人間のような腕が生えている魚の妖怪。
- 火ごたつ妖怪
- 上部に目があり、背面に葉っぱのような形状のものが2本生え、前方の空洞から炎を吐き出す、オーブントースターのような形をした炬燵の妖怪。
- きちきち女
- 和服の袖で顔を隠し、木陰で身を屈めている女2人の姿をした妖怪。
- からかさ小僧
- 花柄の着物を纏い片手で白い杖をつき、きのこの傘のような頭部から市女笠の周囲に垂れ下がっている「虫の垂れ衣」を垂らした妖怪。この手塚治虫版からかさ小僧は、他のからかさ小僧とは異なった容姿になっている[注 17]。
- ビックリ妖怪
- 目が笑みを浮かべた人間のような形状をしている、アリクイのような姿の妖怪。
- かんこ鳥妖怪
- 口から火を吐き、後頭部に髪が生え、首の下に長い毛を生やし、人間のような目と眉毛を持つ鳥の妖怪。
- 名称不明
- 蛇のような長い胴体に、毛が無く目の部分が深い闇のように暗い人間のような頭部がある妖怪。手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストで、百鬼丸の右上に描かれている。
- 名称不明
- 頭髪がある龍のような妖怪。手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストで、百鬼丸の左下に描かれている。
- ヘラヘラさん
- 黄色い肌で不気味な笑顔の、大きな顔だけの妖怪[注 22]。
- ヌラリ
- ウツボに似た、地を這う全身が真っ黒な妖怪[注 22]。
- シイラ怪魚
- 白い肌に吊り上がった目、鋭い歯が特徴の魚に、手の平に水かきがある人間のような腕がある妖怪[注 22]。
- 三目ムカデ
- 側頭部にのみ生えた真っ赤な髪、4本の太い牙、血走った両目の中央に血走った第3の目、ムカデのような胴体に三本指の両腕がある妖怪[注 22]。
- ナメハゲちょうちん
- 目と口の付いた高張り提灯が竿の上にあり、さらにその上に落ち武者のような髪型で顔に血の付いたさらし首がある妖怪[注 22]。
- 金火箸
- 首から上は河童のようなで、胴体は蛇のような妖怪[注 22]。
- カガ
- 頭部には毛が無く、耳は大量の赤い毛で覆われており、細いタレ目、赤みがかった肌の妖怪[注 22]。
1968年(昭和43年)に虫プロダクションがパイロットフィルムを制作し、テレビ放送番組作品としては虫プロダクションが1969年(昭和44年)に、MAPPAが2019年(令和元年)にアニメ化している。
1969年(昭和44年)10月3日に朝日ソノラマから児童向け小説がハードカバーで出版された。作者はアニメ版の脚本も手掛けた辻真先で、挿絵は北野英明が担当している。ジャンルは「戦乱妖怪ヤング」。1978年(昭和53年)9月には表紙の絵が異なる文庫本で発売された。長らく絶版になっていたが、2007年(平成19年)の映画公開に際し、同社からハードカバーの四六判として復刻された。原作の「無情岬の巻」までをノベライズしているが、肉体を取り戻す順序は大きく異なり、最終的に百鬼丸は両腕を奪還している。細かい差異を挙げていくと「ばんもんの巻」にて多宝丸が死なない、みおが「妖刀の巻」の登場人物になっている、妖刀の名称が「蛭川」になっている、しらぬいが登場しない、オリジナルの「やろか水」「山爺」という魔神が登場する、など。また地の文にて、どろろが男性であると断言されている。執筆は原作漫画やアニメの結末を知らされない状態で開始され、アニメの打ち切りに合わせて脱稿も前倒しされた[15]。どろろの性別が原作と異なるのもそのためである[15]。
2001年(平成13年)には、学研M文庫で伝記Mシリーズとして新たなノベライズ版が発売された。作者は、かつて虫プロダクション文芸部に在籍していた鳥海尽三、表紙の切り絵は渡辺文昭[19]。7月13日に1巻「百鬼丸誕生」、9月14日に2巻「妖刀乱舞」、11月16日に3巻「崩壊大魔城」が発売された。寿海が京都・鞍馬に住まう明国帰りの医術師、寿海が薬草を採集中に物の怪に襲われたとき、川を流れる赤子の百鬼丸を拾い、磐座大明神の加護で難を逃れる、寿海が恩師「瑶陀」が教えた念動力で百鬼丸に医術を施す、百鬼丸の幼名が鬼若、百鬼丸が修行で念導力を習得、百鬼丸に出生の秘密を告げるのは夢に現れた魔像、琵琶法師の名が「法一」、百鬼丸が琵琶法師から北辰秘鷹剣の技を習うなど、原作の設定を大まかに踏まえつつも原作などとは異なる内容になっている。
2006年(平成18年)12月7日には、実写映画化に先立ち朝日文庫からNAKA雅MURA作の映画版ノベライズが上下巻同時刊行された。映画では割愛された内容が盛り込まれており、映画とはシーンやキャラクターが全く違う部分もある。
『どろろ -地獄絵巻の章-』と題し、1989年(平成元年)1月10日にクエイザーソフトから発売されたアドベンチャーゲーム。PC-8801mkIISR以降の機種に対応。
未完に終わった漫画版の続編かつ完結編になっており、手塚治虫の絵柄に極力似せて作られている。『ふしぎなメルモ』のキャンディが登場し、それを食べたどろろが年頃の女性になるというファンサービスもある。
2004年(平成16年)9月9日にセガからCEROレイティング15歳以上対象のPlayStation 2用ソフトとして発売。ジャンルはアクションアドベンチャーゲーム。制作はセガ。企画・シナリオ・設定はレッド・エンタテインメント、キャラクターデザインは「無限の住人」などを手掛けた漫画家の沙村広明、魔神・妖怪のデザインはアニメーターの前田真宏、タイトル題字・美術設定はデザイナーの雨宮慶太が担当している。
内容は原作をなぞりつつも、原作やアニメでの48体の魔物は本作では48体の「魔神」となっている。原作やアニメに登場しないゲームオリジナル魔神も含めて48体の魔神全てと戦えるようになっているが、原作とは名前や設定が違っている魔神も少なくなく、鮫の魔物・二郎丸とアニメオリジナルの魔物は登場しない。48体の魔神には、姿形がほとんど同じで色違いなだけの魔神が何体もいる。多宝丸や景光らの人生も原作などとは異なる。どろろの設定も冒険王版の設定に近いものとなっているほか、どろろに潜み一体化している魔神が最後の魔神となっており、ゲームオリジナルの結末を迎える。年齢制限にかかる重い設定は極力排除し、現代的にリメイクしている。特に百鬼丸の身体のギミックは大幅に変更され、マシンガンや大砲が義手・義足に仕込まれ、原作にあった足の「焼水」や鼻の爆弾「雷玉」などは無くなっている。
48箇所の部位を取り戻すという原作の設定を上手くゲームデザインに取り込んでおり、目が戻って視界が白黒からカラーになる、触感が戻ってコントローラが震えるようになる、腕が戻って二刀流になる、足が戻ってダッシュが可能になるなど、魔神を倒すたびに百鬼丸に様々な変化が起こる[注 25]。取り戻した部位については、その間の百鬼丸の代替方法とともに解説が入る。
予約特典として冒険王版から抜粋した全56ページのB6版漫画小冊子が付属。メーカー直販のセガダイレクトでは、予約特典として金小僧のストラップ、魔神、どろろ、百鬼丸などのイラストが印刷されたどろろトランプが貰えた。
- 生まれて間もなく魔人たちに体の48ヶ所を奪われてしまった青年。作り物の体で命をつなぎとめながら体を取り戻す旅に出る。[20]
- 百鬼丸が使う仕込み刀に惚れ込む少年。[20]
2007年(平成19年)1月27日に公開された実写と特撮による日本映画。監督は塩田明彦、製作は「どろろ」製作委員会、配給は東宝。
「新浄瑠璃 百鬼丸~手塚治虫「どろろ」より~(しんじょうるり ひゃっきまる てづかおさむ どろろ より)」と題して、劇団扉座主催、横内謙介作・演出で2004年(平成16年)と2009年(平成21年)に上演され、2019年(令和元年)にも上演された[21]。
- 2004年版
- 2009年版
- 2019年版
2019年(平成31年)放送開始のテレビアニメと共に制作が発表された。主演の百鬼丸役はテレビアニメ版同様鈴木拡樹が務め[22]、脚本・演出を西田大輔が、脚本監修を小林靖子が手がける[23]。
- ^ 本書発行当時は社内の出版部門を朝日新聞出版へ分社する前の状態。
- ^ 後にセガから発売されたPS2版『どろろ』の初回特典として、百鬼丸がどろろを殺せずに思い悩むシーンを抜粋した小冊子が付属した。
- ^ 後の藤子・F・不二雄。当時『21エモン』を連載。
- ^ 当時『おらぁグズラだど』を連載。
- ^ 当時『アニマル1』を連載。
- ^ 当時『あかつき戦闘隊』を連載。
- ^ 当時『弾丸児』を連載。
- ^ 第19号。
- ^ 2018年(平成30年)10月号にて連載開始の告知と15ページに及ぶ予告編が掲載された。
- ^ 原作では当初「しょうすい」という振り仮名。
- ^ 上の子は語られるのみで登場せず、兄か姉かは不明。
- ^ 原作の単行本には、女の子であることを匂わせる場面がたびたびある。また、目に上まつげが描かれており女の子に見えるように描かれているコマもある。ただし1969年(昭和44年)の小説版を執筆した辻真先は、連載中にそのような伏線はなかったはずであるとし、どろろが女の子であるという設定はおそらく手塚が終盤に思いついたもので、単行本化の際に辻褄を合わせたのであろうと主張している[15]。
- ^ 正確には火が発する光。
- ^ アニメでは侍の大将。
- ^ 特に身体の一部を取り戻す様子もないままエピソードが終わってしまった。
- ^ サンデーコミックス版が掲載されている本や冒険王連載当時は三河島になっている。
- ^ a b c d e 冒険王に井上智が描いたカラー特集でも描かれている。
- ^ 手塚治虫文庫全集どろろ2巻の表紙などに使われている手塚治虫が描いたイラストでも百鬼丸の左上に描かれている。
- ^ 他との重複を除けば2体。
- ^ アニメに登場した妖怪や、手塚治虫が描いた未登場の妖怪との重複を除けば7体。
- ^ DVD-BOX封入解説書では「もし27話以降も放送が続いていたら。こんなユニークな化け物たちと戦う百鬼丸のもう一つの旅路を、私たちは目にすることができたかも知れない」と解説されている。
- ^ a b c d e f g 冒険王のカラー特集に井上智が描いている。
- ^ アニメの画像に文字を加えたフィルムコミック。
- ^ 手塚治虫漫画全集のどろろを、全てのコマにデジタル技術で新たに着色したもの。
- ^ 目立った変化がなくとも、パラメータの上昇に反映される。
- ^ 原作・アニメにおけるお須志。
- SD戦国伝 武者七人衆編 - 登場キャラクターの百鬼丸の名前は本作から拝借されている。
- ベルリンの壁 - 作中の「ばんもんの章」は、これによる悲劇が下敷きになっている。
- 板門店 - 作中の「ばんもんの章」は、「板門」の音読みから取られている。
- 筋肉少女帯 - デビューシングル「釈迦」の歌詞の中に「どろろの脳髄」という一文がある。
- 漫画
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- どろろと百鬼丸伝
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- ゲーム
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- 舞台
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