「イッツ・オールライト・マ」 | |||||||||||||
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ボブ・ディランの楽曲 | |||||||||||||
収録アルバム | 『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』 | ||||||||||||
リリース | 1965年3月22日 | ||||||||||||
録音 | ニューヨーク、コロムビア・レコーディング・スタジオ(1965年1月15日) | ||||||||||||
ジャンル | フォーク | ||||||||||||
時間 | 7分29秒 | ||||||||||||
レーベル | コロムビア・レコード | ||||||||||||
作詞者 | ボブ・ディラン | ||||||||||||
作曲者 | ボブ・ディラン | ||||||||||||
プロデュース | トム・ウィルソン | ||||||||||||
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「イッツ・オールライト・マ」(It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding))は、ボブ・ディランが1965年に発表した楽曲。
1964年夏に本作品は書かれた[1]。同年9月1日にフィラデルフィアのタウン・ホールで行ったコンサートで初めて披露された[2]。
「ミスター・タンブリン・マン」とともに時間をかけて練り直す予定でいたが、アルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』の収録に間に合わせるため、1965年1月15日、ディランはニューヨークのコロムビア・レコーディング・スタジオに入った[3]。演奏は彼のアコースティックギターのみ。テイク1はミスをしたため1分ほどで録音を中止するが(このテイクは『The Bootleg Series Vol. 12: The Cutting Edge 1965–1966』に収録されている)、そのあと一回のテイクでディランはレコーディングを完成させた。『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』は同年3月22日に発売。
ディランの作品の中でも傑作の一つとされ、聴く者は歌い出しから、黙示録的なイメージの奔流にのみ込まれる[4]。
Darkness at the break of noon
— Bob Dylan, It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)[5]
Shadows even the silver spoon
The handmade blade, the child's balloon
Eclipses both the sun and moon
To understand you know too soon
There is no sense in trying
批評家のアンディ・ギルは、モスクワ裁判やスターリンの粛清を題材にしたアーサー・ケストラーの小説『真昼の暗黒』のタイトル(英題は「Darkness at Noon」)との関連性を指摘している[6]。また、「Although the masters make the rules / For the wise man and the fools」の一節は『旧約聖書』の「コヘレトの言葉」第2章の言葉と呼応している[7]。
「大丈夫だよ、おふくろさん。僕はため息をついているだけさ」と歌われるが、タイトルの「僕は血を流しているだけだ(I'm Only Bleeding)」という言葉は歌詞には登場しない。
数多くのライブ・バージョンが存在する。『偉大なる復活』、『武道館』、『30〜トリビュート・コンサート』、『アット・フィルハーモニック・ホール』、『Bob Dylan – The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings』などのアルバムで聴くことができる。また、ドキュメンタリー映画『ドント・ルック・バック』に演奏の場面がある。『偉大なる復活』に収録された1974年のライブ音源では、当時アメリカがウォーターゲート事件で揺れていた最中ということもあり、曲中の「アメリカ合衆国の大統領でさえ、時には裸で立たねばならない」の部分で大歓声が沸き起こる様子が確認される。