キイロテントウ
キイロテントウ(原名亜種) Kiiro koebelei koebelei
分類
学名
Kiiro koebelei (Timberlake , 1943)[ 1] [ 2]
シノニム [ 1] [ 4]
Illeis koebelei Timberlake, 1943[ 3]
和名
キイロテントウ[ 4] [ 5]
英名
yellow spotless ladybird[ 6]
亜種
原名亜種 K. k. koebelei (Timberlake, 1943)
奄美亜種 K. k. amamiana (Miyatake , 1959)
キイロテントウ (Kiiro koebelei )は、コウチュウ目 テントウムシ科 に分類される菌食性の昆虫 である。
日本 を模式産地とし、本州 以南から南西諸島 、朝鮮半島 、中国 、台湾 、フィリピン にかけて分布する[ 4] [ 6] 。
腹側
体長3.5–5.1ミリメートルで、鞘翅は鮮やかな黄色であり、斑紋がない[ 7] 。前胸背板は白く、左右一対の小さな黒点がある[ 7] 。奄美大島 や沖縄本島 の個体群では黒点が大きな黒紋となる[ 5] [ 7] 。
幼虫の背面は淡黄色で黒い厚皮板がありシロホシテントウ 類に似るが、中胸と後胸の厚皮板が横長となり一対ずつ並ぶ点で区別できる[ 8] 。
以前はカビクイテントウ族Psylloboriniに分類されていたが[ 4] 、近年はテントウムシ族Coccinellini[ 9] あるいはHalyziini族とされる[ 2] 。原記載ではキイロテントウ属Illeis とされていたが、2014年にキイロテントウ属が細分化され、本種は新設されたKiiro 属に移されている[ 1] 。
奄美大島産のものは亜種Kiiro koebelei amamiana (Miyatake, 1959) とされ[ 1] [ 10] 、同亜種は沖縄本島にも分布する[ 4] 。
交尾
4月から11月にかけて出現する[ 11] 。葉に寄生するウドンコ菌 を食べる益虫 である[ 11] 。春季にノイバラ やトキワサンザシ 、ハナミズキ 、秋季にヤマグワ やキカラスウリ などの葉にいることが多く、餌となる菌類の発生に応じて宿主 を変えると考えられている[ 11] 。利用する菌類として、Sphaerotheca 属・Microtheca 属・Phyllactinia 属・Podosphaera 属・Oidium 属が知られている[ 11] 。摂取可能な菌類がない場合は、花粉などを代替餌として利用すると考えられている[ 12] 。
夏季を除く5月から11月にかけて繁殖するが、菌類の発生があれば夏季にも行うと考えられている[ 11] 。メスは葉の裏などに長さ1.02ミリメートルの卵塊を産み、卵は平均3.9日で孵化する[ 12] 。孵化から1–4齢幼虫・蛹の期間を経て、およそ20日で成虫になる[ 11] 。非越冬個体における成虫の生存期間は平均37.7日[ 12] 。冬季には出現しなくなり、成虫は翌年の4–5月まで越冬する[ 11] 。
^ a b c d Takanobu Kitano (2014). “Taxonomic notes on the genus Egleis Mulsant, 1850 and a description of a new subgenus in the genus Illeis Mulsant, 1850 (Coleoptera: Coccinellidae).” Studies and Reports Taxonomical Series 10 (2): 489-494.
^ a b Takanobu Kitano (2019). “Taxonomical notes and descriptions of Japanese Halyziini (Coleoptera: Coccinellidae).” Studies and Reports Taxonomical Series 15 (2): 371-382.
^ Timberlake, P.H. (1943). “The Coccinellidae or ladybeetles of the Koebele collection–Part I.” Hawaiian Planters' Record 47 : 1–67.
^ a b c d e Hiroyuki Sasaji「テントウムシ科」『日本産甲虫目録 』第26号、甲虫談話会、1985年。
^ a b 阪本優介『テントウムシハンドブック』(第3刷)文一総合出版、2018年(2021年初版第3刷発行)、42頁。
^ a b Chan, Sow-Yan & Lau, Wing Lup (2022). “Biodiversity Record: A yellow spotless ladybird, Illeis koebelei .” Nature in Singapore , 15 : e2022146.
^ a b c 黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之 編著『原色日本甲虫図鑑 (III)』保育社、1985年、268-269頁。
^ 佐々治寛之「日本産テントウムシ類の見分け方-幼虫編-」『植物防疫』第27巻 11号、日本植物防疫協会、1973年、473–478頁。
^ Ainsley E. Seago, Jose Adriano Giorgi, Jiahui Li, Adam Ślipiński, “Phylogeny, classification and evolution of ladybird beetles (Coleoptera: Coccinellidae) based on simultaneous analysis of molecular and morphological data ,” Molecular Phylogenetics and Evolution , Volume 60, Issue 1, Elsevier, 2011, Pages 137-151.
^ Miyatake, M. (1959). “A contribution to the Coccinellid-fauna of the Ryukyu Islands (Coleoptera).” Memoirs of the Ehime University. Sect. 6, Agriculture , 4 (2): 125–161.
^ a b c d e f g 竹内将俊・佐々木友紀・佐藤千綾・岩熊志保・磯崎文・田村正人「キイロテントウの寄主利用の季節性 」『日本応用動物昆虫学会誌』第44巻 2号、日本応用動物昆虫学会、2000年、89-94頁。
^ a b c Young Su Lee, Myoung Jun Jang, Jin Gu Lee, Jun-Ran Kim, Joon Ho Lee (2015). “Host plants and Biological Characteristics of Illeis koebelei Timberlake (Coleoptera: Coccinellidae: Halyziini) in Gyeonggi-do .” Korean Journal of Applied Entomology , 54 (4): 295–301.
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