クライスラー・VZ-6(英語: Chrysler VZ-6)は、アメリカのクライスラーが設計および製造したVTOLダクテッドファンテスト車両。アメリカ陸軍向けのフライングジープである[1][2]。
1956年、アメリカ陸軍は、危険、困難な地形の上空を飛行する能力を兼ね備えた軽航空機の提案を求め、1957年初頭にプロトタイプ開発の契約がクライスラー、カーチス・ライト、パイアセッキ・エアクラフトの3社に与えられた。
1958年、VZ-6が発注され2機が製造された。長方形で前後に2個所それぞれ3枚羽根のプロペラがはめ込まれた車両、500馬力のライカミングエンジンが中央に配置され、ダクテッドファンプロペラで駆動していた[2]。ホバークラフトと同様に、車両下端の周りにゴム製のスカートが取り付けられていた[2]。
1959年、VZ-6は係留飛行試験を開始したが、重量オーバーと出力不足、さらに横安定性の深刻な問題が判明。係留なしの飛行を試みたところ、1度目の試験で1機が完全にひっくり返ってしまった。パイロットは大きな怪我なく脱出したが、機体は損傷がひどく修理を放棄された[2]。1960年、2機のVZ-6は廃棄[2]。