クラウディウス文字(クラウディウスもじ)は、古代ローマ帝国のクラウディウス帝(在位西暦41年 - 54年)が考案したとされるラテン文字。在位の間わずかに用いられたが没後に廃れた。Unicode(ユニコード)にも収録されている。
以下の3字があったとされる。
- 左右が転倒したC(antisigma,読み:アンチシグマ)。ギリシア語のΨ(プシー)[ps]にならってBS, PSの音を表す(Ↄ U+2183、 ↄ U+2184)。
- 上下左右が転倒したF(digamma inversum,読み:ディガンマ・インウェルスム)。ギリシア語のディガンマにならって子音のU[w]を表す(Ⅎ U+2132、ⅎ U+214E)。
- 左半分だけのH。ギリシア語のΥ([y])に対応する(Ⱶ U+2C75、 ⱶ U+2C76)。「iと書かれるがuのように発音される音」とされ、vir「男」のiのような音を表したのかもしれない[1]。
これらの文字については、2世紀のVelius Longus (英語版)の『正書法について』(De Orthographia)の中で触れられているが[2]、この箇所は文章が乱れていて、正確にどのような文字であったのかよくわからない。また、現実の碑文に見られるのは上記のうち「Ⅎ」のみである[1]。