レイン・ダコタ・"ダック"・プレスコット(Rayne Dakota "Dak" Prescott[1]1993年7月29日 - )は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ホートン市出身のアメリカンフットボール選手。現在はNFLのダラス・カウボーイズに所属している。ポジションはクォーターバック。2021年版のスポーツ選手長者番付によると、世界のスポーツ選手で4位の年収1億750万ドル[2]。
プレスコットはルイジアナ州ホートン市のホートンハイスクールで活動し、3年生時には258回のパス試投に対して159回の成功を収めて2890パッシングヤードを獲得し、39回のタッチダウンパスを決めた。加えて90回のランで951ラッシングヤードを獲得し、17回のタッチダウンを決めた。
2011年はレッドシャツ[3]として過ごした。
2012年はタイラー・ラッセルのバックアップとして12試合に先発した。
2013年もラッセルのバックアップからスタートしたが、ラッセルが脳しんとうで欠場している間に先発を務めて頭角を現し、卒業までに大学の38つもの記録を塗り替える活躍を見せた。さらに2014年にはハイズマントロフィーの候補者にまで選出された。
最終的には大学4年間でSEC(サウスイースタン・カンファレンス)のトータル獲得ヤードで歴代3位、タッチダウン数で歴代4位タイの記録を残した。
以下は獲得した栄典と記録の一部である。
- オレンジボウルにおける1試合でのパッシングヤード記録(453ヤード)
- オレンジボウルにおける1試合でのパスの回数(51回。1位タイ)
- オレンジボウルにおける1試合でのパスを成功させた回数(33回。1位タイ)
- ベルクボウルにおける1試合でのパッシングヤード記録(380ヤード)
- ベルクボウルにおける1試合でのトータルヤード記録(427ヤード)
- ベルクボウルにおける1試合でのタッチダウンパス記録(4回。1位タイ)
- 2013年 リバティボウルMVP
- 2013年、2014年 SEC Fall Academic Honor Roll
- 2014年 SECオフェンシブプレーヤーオブウィーク(3回。対ルイジアナ州立大学戦、対オーバーン大学戦、対ヴァンダービルト大学戦)
- 2014年、2015年 First-team All-SEC
- 2014年、2015年 コナリートロフィー
- 2015年 ベルクボウルMVP
- 2015年 SECオフェンシブプレーヤーオブウィーク(2回。対アーカンサス大学戦、対ケンタッキー大学戦)
- 2015年 シニアクラスアワード
- 2016年 シニアボウルMVP
大学での記録
NCAAでの通算記録
|
ミシシッピ州立大学
|
年 |
パス |
ラッシュ |
レシーブ
|
年 |
G |
Cmp |
Att |
Pct |
Yds |
Y/A |
TD |
Int |
Rtg |
Att |
Yds |
Avg |
TD |
Rec |
Yds |
Avg |
TD
|
2012
|
12 |
18 |
29 |
62.1 |
194 |
6.7 |
4 |
0 |
163.8 |
32 |
118 |
3.7 |
4 |
0 |
0 |
0.0 |
0
|
2013
|
11 |
156 |
267 |
58.4 |
1,940 |
7.3 |
10 |
7 |
126.6 |
134 |
829 |
6.2 |
13 |
2 |
53 |
26.5 |
2
|
2014
|
13 |
244 |
396 |
61.6 |
3,449 |
8.7 |
27 |
11 |
151.7 |
210 |
986 |
4.7 |
14 |
2 |
35 |
17.5 |
1
|
2015
|
13 |
316 |
477 |
66.2 |
3,793 |
8.0 |
29 |
5 |
151.0 |
160 |
588 |
3.7 |
10 |
0 |
0 |
0.0 |
0
|
通算成績 |
49 |
734 |
1,169 |
62.8 |
9,376 |
8.0 |
70 |
22 |
146.0 |
536 |
2,521 |
4.0 |
41 |
4 |
88 |
22.0 |
3
|
2016年のNFLドラフトでトニー・ロモの後継者を探していたダラス・カウボーイズにドラフト4巡目(全体135番目)で指名される。ドラフト指名前の2016年3月12日にミシシッピ州スタークビルでDUI(アルコールもしくは薬物の影響下で車を運転すること)の疑いで逮捕され、裁判では罪に問われなかったが指名順位を下げられる原因となった[4][5][6]。
当初は大学時代と同じく先発のバックアッパー扱いだったが、先輩クォーターバックであるケレン・ムーアの負傷(チームは代替選手としてクリーブランド・ブラウンズのジョシュ・マカウンを獲得しようとしたが失敗した)[7]
や抜擢されたプレシーズンマッチで結果を残し、ロモが背骨の圧迫骨折で開幕絶望になったことにより開幕戦での先発クォーターバックの座を勝ち取った(ルーキーが開幕戦のクォーターバックを務めるのはチーム史上4人目)。
開幕戦のニューヨーク・ジャイアンツ戦では敗北したものの、その後はチームの快進撃の立役者となり、NFC東地区での優勝(13勝3敗)に大きく貢献した。
ディビジョナルプレーオフではグリーンベイ・パッカーズと対戦し、プレスコットはパスレーティング103.2(38回のパス試投に対して24回の成功を収めて302パッシングヤードを獲得し、3タッチダウンパスに1つのインターセプト)を記録したが、チームは34対31で敗れてシーズンを終えた。
9月10日の開幕戦において、同じNFC東地区のニューヨーク・ジャイアンツと対戦し、パス24回中13回成功、143ヤードを投げ40対0で完封勝利した。これにより、対ジャイアンツ戦において11連勝となった[8]。第2週の9月17日の対ニューヨーク・ジェッツ戦において、パス38回中31回成功、255ヤード、タッチダウンパス2回を投げ、30対10で勝利した[9]。第3週の9月24日のアリゾナ・カージナルス戦において、パス40回中25回成功、249ヤードを投げ、タッチダウン1回、インターセプト1回で16対28で敗戦した[10]。第4週10月1日の対ニューイングランド・ペイトリオッツ戦において、パス34回中28回成功、261ヤードを投げ、第1クォーターでシーディー・ラムへのパスからタッチダウンに繋がり38対3で勝利した[11]。第5週10月8日の対サンフランシスコ・フォーティナイナーズ戦において、3回サック、パス24回中14回成功、153ヤードを投げ、タッチダウンパス1回、インターセプト3回、10対42で完敗した[12][13][14][15]。第6週10月16日の対ロサンゼルス・チャージャーズ戦において、パス30回中21回成功、272ヤードを投げ、タッチダウンパス1回、40ラッシングヤード、タッチダウン1回、20対17で勝利した[16]。これによりNFL史上31チーム以上を相手に1回以上タッチダウンパスを投げた30人目のクォーターバックとなった[17]。
第7週のバイウィークを経て、第8週10月29日の対ロサンゼルス・ラムズ戦において、パス31回中25回成功、304ヤード投げ、タッチダウンパス4回、インターセプト1回、43対20で勝利し、ホームゲーム11連勝となった[18]。第9週11月5日の対フィラデルフィア・イーグルス戦において[19]、374ヤード投げ、タッチダウンパス3回、23対28で敗戦した[20]。第10週11月2日の対ニューヨーク・ジャイアンツ戦において、パス35回中26回成功、404ヤード投げ、タッチダウンパス4回、インターセプト1回、10ヤード・ラッシングタッチダウン、49対17で勝利し、プレスコットにとって対ジャイアンツ戦12連勝となった。400パスヤード以上、タッチダウンパス4回を3試合で記録してチーム記録を更新し、週間FedExエアプレーヤー賞を受賞した[21][22]。第12週11月23日のNFLサンクスギビングデーの対ワシントン・コマンダーズ戦において、331ヤード、タッチダウン・パス4回投げ、5試合連続タッチダウン・パスを2回以上を投げ、45対10で勝利した[23][24]。またトニー・ロモの持つ10試合タッチダウン・パス4回以上の記録とタイとなった[23]。1,298ヤード、タッチダウン13回、インターセプト1回、パス成功率68.5%を記録し、11月のNFC月間オフェンシブ・プレイヤーに選出された[25][26]。
第13週11月30日の対シアトル・シーホークス戦において、299ヤード、タッチダウンパス3回投げ[27]、41対35で勝利した[28][29]。第15週12月17日の対バッファロー・ビルズ戦において、試合を通して不調であり、3回サックを受け、パス34回中21回成功、134ヤード投げ、インターセプト1回、10対31で敗戦した[30]。第16週12月24日の対マイアミ・ドルフィンズ戦において、パス32回中20回成功、253ヤード、タッチダウン2回、ファンブル1回、20対22で敗戦した[31]。第17週12月30日の対デトロイト・ライオンズ戦において、パス38回中26回成功、345ヤード、シーディー・ラムへの92ヤードタッチダウンを含むタッチダウン2回、インターセプト1回、20対19の僅差で勝利した。この92ヤードのタッチダウンパスは、1966年のドン・メレディスとボブ・ヘイズの間の95ヤードに次ぐチーム史上2番目の長さのパスとなった[32]。
第18週1月7日のレギュラーシーズン最終戦でコマンダーズと対戦し、パス36回中31回成功、279ヤード、タッチダウン4回、インターセプト1回、38対10で勝利してNFC東地区で優勝した[33]。2023年のレギュラーシーズンにおいて、パス成功率69.5%、4,516パスヤード、NFL最高のタッチダウンパス36回、インターセプト9回[34]、キャリア最高のパッサーレーティング105.9を記録した[33][35][36]。NFL MVP最終候補となり、投票によりラマー・ジャクソンに続く次点となった[37]。
ポストシーズン、1月14日のワイルドカード・ラウンドにて第7シードのグリーンベイ・パッカーズとホームで対戦し、前半戦で2回インターセプトされ、うち1回がタッチダウンに繋がり27対0となり、挽回することもできずに48対32で敗退した[38]。
凡例
|
|
リーグ最高記録
|
|
NFL最高記録(ルーキー・クォーターバック)
|
太字
|
キャリア最高記録
|
年度
|
チーム
|
試合
|
パス
|
ラン
|
被サック
|
ファンブル
|
出場 |
先発 |
記録 |
成功 回数 |
試投 回数 |
成功 確率 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 獲得 ヤード |
TD |
Int |
レイテ ィング |
試行 回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 獲得 ヤード |
TD |
回数 |
ロスト ヤード |
回数 |
ロスト ヤード
|
2016 |
DAL
|
16 |
16 |
13–3 |
311 |
459 |
67.8 |
3,667 |
8.0 |
83 |
23 |
4 |
104.9 |
57 |
282 |
4.9 |
18 |
6 |
25 |
143 |
9 |
4
|
2017 |
DAL
|
16 |
16 |
9–7 |
308 |
490 |
62.9 |
3,324 |
6.8 |
81 |
22 |
13 |
86.6 |
57 |
357 |
6.3 |
21 |
6 |
32 |
185 |
4 |
3
|
2018 |
DAL
|
16 |
16 |
10–6 |
356 |
526 |
67.7 |
3,885 |
7.4 |
90 |
22 |
8 |
96.9 |
75 |
305 |
4.1 |
28 |
6 |
56 |
347 |
12 |
6
|
2019 |
DAL
|
16 |
16 |
8–8 |
388 |
596 |
65.1 |
4,902 |
8.2 |
62 |
30 |
11 |
99.7 |
52 |
277 |
5.3 |
42 |
3 |
23 |
151 |
6 |
2
|
2020 |
DAL
|
5 |
5 |
2–3 |
151 |
222 |
68.0 |
1,856 |
8.4 |
58 |
9 |
4 |
99.6 |
18 |
93 |
5.2 |
12 |
3 |
10 |
66 |
3 |
3
|
2021 |
DAL
|
16 |
16 |
11–5 |
410 |
596 |
68.8 |
4,449 |
7.5 |
51 |
37 |
10 |
104.2 |
48 |
146 |
3.0 |
21 |
1 |
30 |
144 |
14 |
6
|
2022 |
DAL
|
12 |
12 |
8–4 |
261 |
394 |
66.2 |
2,860 |
7.3 |
68 |
23 |
15 |
91.1 |
45 |
182 |
4.0 |
25 |
1 |
20 |
126 |
4 |
1
|
2023 |
DAL
|
17 |
17 |
12–5 |
410 |
590 |
69.5 |
4,516 |
7.7 |
92 |
36 |
9 |
105.9 |
55 |
242 |
4.4 |
22 |
2 |
39 |
255 |
4 |
2
|
NFL:8年 |
114 |
114 |
73–41 |
2,595 |
3,873 |
67.0 |
29,459 |
7.6 |
92 |
202 |
74 |
99.0 |
407 |
1,884 |
4.6 |
42 |
28 |
235 |
1,417 |
56 |
27
|
年度
|
チーム
|
試合
|
パス
|
ラン
|
被サック
|
ファンブル
|
出場 |
先発 |
記録 |
成功 回数 |
試投 回数 |
成功 確率 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 獲得 ヤード |
TD |
Int |
レイテ ィング |
試行 回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 獲得 ヤード |
TD |
回数 |
ロスト |
回数 |
ロスト
|
2016 |
DAL
|
1 |
1 |
0–1 |
24 |
38 |
63.2 |
302 |
7.9 |
40 |
3 |
1 |
103.2 |
2 |
13 |
6.5 |
9 |
0 |
2 |
11 |
0 |
0
|
2018 |
DAL
|
2 |
2 |
1–1 |
42 |
65 |
64.6 |
492 |
7.6 |
44 |
2 |
1 |
91.3 |
8 |
32 |
4.0 |
16 |
2 |
2 |
18 |
0 |
0
|
2021 |
DAL
|
1 |
1 |
0–1 |
23 |
43 |
53.5 |
254 |
5.9 |
38 |
1 |
1 |
69.3 |
4 |
27 |
6.8 |
17 |
1 |
5 |
40 |
1 |
0
|
2022 |
DAL
|
2 |
2 |
1–1 |
48 |
70 |
68.6 |
511 |
7.3 |
46 |
5 |
2 |
101.5 |
11 |
46 |
4.2 |
11 |
1 |
2 |
8 |
0 |
0
|
2023 |
DAL
|
1 |
1 |
0–1 |
41 |
60 |
68.3 |
403 |
6.7 |
47 |
3 |
2 |
89.8 |
6 |
45 |
7.5 |
18 |
0 |
4 |
16 |
0 |
0
|
通算 |
7 |
7 |
2–5 |
178 |
276 |
64.5 |
1,962 |
7.1 |
47 |
14 |
7 |
91.8 |
31 |
163 |
5.3 |
18 |
4 |
15 |
93 |
1 |
0
|
キリスト教徒である[53]。父はナザニエル・プレスコット、母はペギーで、兄タッド、ジェイス、姉ナタリー・プレスコット・スミス、異母兄エリオット・プレスコットがいる。ジェイスはノースウェスタン州立大学でオフェンシブ・ラインマンを務めていた[54]。2013年11月、母ペギーが大腸癌で亡くなった[55][56][57]。母に敬意を表し、フェイス・ファイト・ファンデーションを立ち上げ、恵まれない人々を支援している[58]。2020年4月、ジェイスが自殺した[59][60]。父はアフリカ系アメリカ人、亡き母は白人である[61]。テキサス州フリスコに居住している[62]。
2023年11月26日、ガールフレンドのサラ・ジェーン・ラモスがインスタグラムを通じて女の子を妊娠していることを報じた[63]。
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- ^ 大学入学後故障やチーム事情により1年目は選手登録されず、2年目以降選手登録された選手のこと。NCAAの規定で大学の試合に出場できるのは4年間と決められており、選手の出場期間を無駄にしないための措置である。1年間大学を留年することになる
- ^ http://www.sfgate.com/49ers/article/49ers-to-face-QB-who-got-away-in-Dallas-Dak-9396607.php
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