トラディション・レコード Tradition Records | |
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設立 | 1955年 |
設立者 | ダイアン・ハミルトン |
解散 | 1966年 |
現況 | エベレスト・レコードが買収 |
ジャンル | フォーク・ミュージック |
国 | アメリカ合衆国 |
本社所在地 | ニューヨーク |
トラディション・レコード (Tradition Records) は、かつて1955年から1966年まで存在していた、アメリカ合衆国のフォーク・ミュージック専門のレコードレーベル。
このレーベルを1956年に設立し、資金的に支えていたのはグッゲンハイム家の遺産を継承したダイアン・ハミルトンであった。社長として経営に当たっていたパトリック・"パディ"・クランシーは、その後ほどなくして、弟たちリアムとトム、トミー・メイケムとともに、クランシー・ブラザーズ&トミー・メイケムという新しいアイリッシュ・フォーク・グループを結成した。リアム・クランシーは、トラディション・レコードのカエデの葉をあしらったロゴタイプをデザインした。コロンビア大学の教授であったケネス・ゴールドステイン (Kenneth Goldstein) も、もともとはニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで始まった会社の立ち上げの動きの初期に関わりがあった[1]。
クランシー・ブラザーズをはじめ、オデッタやジーン・リッチーなどの人気がアメリカン・フォーク・ミュージック・リバイバルの動きの中で高まると、レーベルは大きな利益を生み出すようになった。1961年にクランシー・ブラザーズがコロムビア・レコードと契約を結ぶと、パディ・クランシーは会社の日常業務からは離れることになった。1966年、レーベルの所有者となっていたクランシー・ブラザーズ&トミー・メイケムは、トラディション・レコードのカタログを、エベレスト・レコードに売却した。エベレストは、トラディションの音源を、何の注釈もないまま、でたらめに並べ替えて再発売した。後に、ライコディスクが権利を買い入れて、一部の音源をトラディションのロゴを用いて再発売した。しかし、そのうちのいくつかは、もともとトラディションの音源ではなく、実はエベレストのカタログから抜き出されたものであった。ディジー・ガレスピーや、エロル・ガーナー、コールマン・ホーキンス、ジミー・ウィザースプーンは、トラディションでは録音を行なっていないが、彼らのアルバムの後年の再発盤は、あたかも彼らがトラディションで録音を行なっていたかのように示唆している。
トラディションのカタログの大部分は、CDやデジタル・ダウンロードで再発売されている。ジョン・ジェイコブ・ナイルズは、長い間、ほとんど忘れられた存在となっていたが、ボブ・ディランのドキュメンタリー『ノー・ディレクション・ホーム (No Direction Home)』が放送されたのを機にナイルズのアルバムを求める声が殺到した。トラディションに残されていたナイルズの2枚のアルバムは、その後、再発売された。