トリメニア科 (トリメニアか、学名 : Trimeniaceae ) は被子植物 のアウストロバイレヤ目 に属する科 の1つである。常緑性 の木本 であるトリメニア属 (Trimenia ) の約8種のみを含む。ニューギニア からフィジー 、オーストラリア 東部などに分布する。
常緑性 の高木 から低木 であり、つる性 となるものもある[ 2] [ 3] [ 4] 。道管 は階段穿孔 をもち、繊維状仮道管 が存在する[ 2] [ 3] 。師管 の色素体 はS-type (デンプン粒を含む)[ 2] [ 3] 。節は1葉隙 2葉跡 性[ 2] [ 3] 。葉 は対生 し、葉柄 をもち、単葉 で全縁または鋸歯をもち、腺点が存在する[ 2] [ 3] [ 4] [ 5] (図1)。葉脈 は羽状[ 2] (図1)。気孔 は平行型[ 2] [ 3] 。精油 細胞、粘液細胞をもつ[ 2] [ 3] 。フラボノール やフラボン をもつ[ 5] 。
花 は小さく、放射相称、集散花序 を形成して腋生または頂生する[ 2] [ 3] [ 4] (図1)。両性花 または雄花 [ 2] [ 3] [ 4] 。花被片 は2–50枚、離生、らせん状につき、萼片 と花弁 の分化は連続的であり、花後にすぐに落ちる[ 2] [ 3] [ 5] [ 4] 。雄しべ は6–25個、離生、らせん状につき、花糸 は細い[ 2] [ 5] [ 4] 。葯 は外向から側向、葯隔が突出する[ 2] [ 3] [ 5] 。小胞子形成は連続型[ 3] 。花粉 は無口粒〜多溝粒[ 2] [ 3] [ 5] 。雌しべ はふつう1個、まれに2個、花柱 を欠き、子房上位 、頂生胎座 に1個の倒生胚珠 をもつ[ 2] [ 4] 。珠孔は両珠皮性、胚嚢 は伸長する[ 5] 。果実 は液果 、種子 を1個含む[ 3] [ 4] 。種皮は維管束 を含み、全ての細胞壁が厚くなる[ 5] 。胚乳 が多く、デンプン と脂質 を含む[ 3] 。染色体 数は 2n = 18[ 3] [ 5] 。
花粉媒介には風および昆虫が寄与すると考えられている (風虫両媒)[ 5] 。
オーストラリア 東部、スラウェシ島 、マルク諸島 、ニューギニア島 、ニューブリテン島 、ニューアイルランド島 、ブーゲンビル島 、ニューカレドニア 、フィジー 、サモア 、マルキーズ諸島 に分布する[ 3] [ 6] 。熱帯 から亜熱帯 の多雨林 に生育する[ 4] 。
トリメニア属は、古くはモニミア科 (クスノキ科 ) に分類されていたが、花被片 が早落性であることや雌しべ がふつう1個であることから独立科 (トリメニア科) として分けられるようになった[ 4] 。原始的な被子植物の一群と考えられ、新エングラー体系 などではモクレン目 に[ 7] [ 8] 、クロンキスト体系 などではクスノキ目 に分類されていた[ 9] [ 10] 。また独立のトリメニア目 (Trimeniales ) に分類されることもあった[ 3] 。
やがて20世紀末以降の分子系統学 的研究により、トリメニア科は被子植物の初期分岐群の1つであることが明らかとなり、またアウストロバイレヤ科 やマツブサ科 (シキミ科 を含む) に近縁であることが示された。そのため、2020年現在では、トリメニア科、アウストロバイレヤ科、マツブサ科はアウストロバイレヤ目 としてまとめられている[ 5] [ 11] 。
トリメニア科の特徴をもつ種子 の化石が、北海道 の白亜紀 アルビアン期 の地層から報告されている[ 5] [ 12] 。
トリメニア科には Trimenia と Piptocalyx が認識されていたが、2020年現在では両者は Trimenia としてまとめられている[ 13] 。また Trimenia には、8種ほどが知られている[ 6] (下表)。
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