ドクガ属

ドクガ属
タイプ種 Euproctis chrysorrhoea 欧州産
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: ドクガ科 Lymantriidae
: ドクガ属 Euproctis
学名
Euproctis (Hübner, 1819)
和名
ドクガ属
英名
Euproctis
本文参照

ドクガ属(ドクガぞく、学名Euproctis)は、昆虫綱チョウ目ドクガ科に分類される

ドクガ科のうち一生を通じ毒針毛を持ち続ける日本産の種は全てドクガ属に属する。かねてよりドクガ属を細分化すべき指摘がなされており[1]、ドクガ属に属している日本産の種は既に全て他のより新しい属に再分類されている[2][3]。しかし、上記の毒針毛所有の観点もあり、今もこの属名は現役として使用され続けている[4][5][6]

特徴

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幼虫の体の背面および側面には微細な二次刺毛(2齢幼虫以降に新しく生じる体毛の種類[7])を生じ、毒針毛をそなえる[8]

人間との関わり

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この属のなかには、幼虫が樹木の害虫であるばかりではなく、毒針毛をもっているため、皮膚に炎症や痒みを与えるものが多い[9]

欧州産ドクガ属のタイプ種 Euproctis chrysorrhoea(オグロムモンシロドクガ)[10] の幼虫の毒針毛による肌の炎症

日本産の主な種

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下記に主な種と再分類された属名を記載する。[2]

注釈

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  1. ^ [蛾類図鑑] p.31 「Euproctis属」に「日本のこの属は,斑紋から見ても,♂交尾器の形態上も異質的な種のよせ集めで,将来いくつかの属に細分すべきである」と在る。
  2. ^ a b [標準図鑑Ⅱ] p.146-147
  3. ^ [標準図鑑Ⅱ] p.146 「キドクガ」[分類]に 『従来 Euproctis 属とされていたいわゆる黄色いドクガは, Holloway(1999)によりいくつかの属に分割され, Euproctis 属はヨーロッパに産する属のタイプ種のPhalaena chrysorrhoea Linnaeus, 1758(編注:Brown-tail の学名のシノニム)だけに使用されることになった.』 と在る。
  4. ^ ドクガ(種)の毒針毛の機序に詳しい公的研究所のWebサイト。「ドクガ属をより細かく分ける考え方もある」とし、属名は「ドクガ属」を採用している。北海道のドクガ ドク ガって?”. 北海道立衛生研究所 (2004年). 2016年6月10日閲覧。
  5. ^ 「ドクガの生態」に 「ドクガ科ドクガ属に属する昆虫」と在る。毒蛾(ドクガ)について”. 函館市役所 生活衛生課 (2014年). 2016年6月10日閲覧。
  6. ^ [虫と皮膚炎] p.108 「鱗翅類(チョウ・ガ)総説 ドクガ類」 に「毒針毛をもつものはドクガ属の10種類ほど」と在る。
  7. ^ [幼虫図鑑] p.191 「概説 Ⅱ分類に用いられる諸形質とその形態学的考察 2.刺毛」
  8. ^ [幼虫図鑑] p.179 「Euproctis属の特徴」
  9. ^ [蛾類図鑑] p.31 「Euproctis属」
  10. ^ a b モンシロドクガは欧州にも広く分布し、英名を Yellow-tail と言い、関連種にドクガ属の Brown-tail がいる。Brown-tail は[翻訳版 写真図鑑] p.268 では オグロムモンシロドクガ(編注:尾黒無紋白毒蛾) と和名で呼ばれている。

参考文献

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  • 一色周知監修,六浦晃(他)著『原色日本蛾類幼虫図鑑(上)』保育社、1965年。 
  • 江崎悌三,一色周知,六浦晃(他)著『原色日本蛾類図鑑(下) 改訂新版』保育社、1971年。 
  • デービッド・カーター著 著、加藤義臣監修 編『蝶と蛾の写真図鑑』日本ヴォーグ社、1996年12月10日。ISBN 4-529-02776-7 
  • 岸田泰則編 編『日本産蛾類標準図鑑Ⅱ』学研教育出版、2011年4月19日。ISBN 978-4-05-403846-2 
  • 夏秋優著『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』学研メディカル秀潤社、2013年。ISBN 978-4-7809-0868-8 

外部リンク

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  • 四国産蛾類図鑑 ドクガ科”. 『南四国の蛾』. 2016年6月11日閲覧。 - 上記に列挙した種のうち9種の成虫写真を1頁中に掲載した蛾類図鑑サイト。同様に8種の成虫+幼虫等の写真を掲載した頁「蛾の生態図鑑 ドクガ科」はこちら[1]。ともにリンク先頁の最下段に掲載。