ハシドイ | |||||||||||||||||||||
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ハシドイ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Syringa reticulata (Blume) H.Hara (1941)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ハシドイ |
ハシドイ(丁香花[3]、学名: Syringa reticulata)は、東アジア原産のモクセイ科ハシドイ属の落葉性高木。
和名「ハシドイ」の語源については、はっきりした説がみあたらず、植物学者の牧野富太郎も『日本植物図鑑』のなかで「和名の意、予これを解し得ず」と述べるにとどまる[4]。森林植物学の植物学者である倉田悟は、ハシドイという名前について、火にくべると跳ねることから「走る木」がその語源ではないか、と考察している[5]。
地方名で、長野県の戸隠村ではヤチザクラ、岩手県ではヤチカバやヤズカバともよばれている[6]。これらは、ハシドイが湿地に生えることに由来しており、サワカバの名も見られる[6]。古名は、江戸時代に書かれた水谷豊文著『物品識名拾遺』(1825年:文政8年)に「エゴ」、『大和木経』(文政年間)に「ヤマクリ」の名がみられる[6]。園芸関係では、キンツクバネ(金衝羽根)という名が使われる[6]。
アイヌ語では「プスニ」(pusni)といい、これは「跳ねる・木」をいう意味があり、薪にしたときにパチパチ爆ぜて跳ぶからだという[4]。木材や林業用の名として、「ドスナラ」という名前が使われてきたといい、ドスは樹皮があまりきれいではないことから、あるいは「色の黒ずんだもの」という意味をもつ蔑称であるといわれる[4]。
英名では Japanese tree lilac(ジャパニーズ・ツリー・ライラック)とよばれている[5]。
ライラック(ムラサキハシドイ)と同属であるが、低木のライラックなどと異なり、高さは5 - 7メートル (m) 、大きなものでは10 mになる[3][7]。樹皮は灰褐色でサクラのような皮目が目立ち、若木はほぼ平滑、老木になると不規則に裂ける[3]。一年枝は紫褐色を帯びており、無毛で大きな皮目がある[3]。葉の質は少し厚みがある[7]。
花期は6 - 7月[3]。総じてライラックよりも開花期は遅い[7]。花は白く、直径5mm前後、花冠の基部は筒状で先は4裂し、花筒部は萼に包まれる。花色ははじめ白いが、花の盛りの時期を過ぎると黄色みが強くなり、花が終わるころには茶色っぽくなる[7]。ライラックと同様に芳香があり、ライラックよりも香り高い[7]。初夏に開花し円錐花序をなす。
果実は蒴果で2個の翼のある種子を含む。
冬芽は球形や卵形で先が小さく尖り、芽鱗6 - 10枚に包まれる[3]。枝先に仮頂芽を2個つけ、枝に側芽が対生する[3]。葉痕は突き出した半円形や三日月形で、小さな維管束痕が多数並ぶ[3]。
日本(北海道から九州)のほか[3]、朝鮮、中国北部、ロシア沿海地方、サハリンなどに分布する[5]。山地に自生する[3]。日本では北海道と東北地方、中部地方の山地の沢沿いに多く、寒さに強い樹種である[7]。
欧米では観賞用に栽培される。日本でも主に北海道で栽培され、釧路市の木とされている。釧路市内には割合多く、札幌市では北海道庁前の並木になっている[7]。ただし、ライラックに比べると庭園や公園に植えられることは極めて少なく、幹肌が美しくないことがその理由になっているとみられている[7]。
材は極めて堅く、水に強くて腐りにくいことで知られており、土台や杭の材に用いられる[6]。
次の3つの亜種に分けられる。