バトル・ロワイアル | ||
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著者 | 高見広春 | |
発行日 | 1999年4月21日 | |
発行元 | 太田出版、幻冬舎 | |
ジャンル | ホラー、デスゲーム | |
国 | 日本 | |
形態 | 単行本、文庫 | |
ページ数 | 666 | |
公式サイト |
www.ohtabooks.com (上)www.gentosha.co.jp (下)www.gentosha.co.jp | |
コード |
ISBN 4-87233-452-3 ISBN 4-344-40270-7 ISBN 4-344-40271-5(幻冬舎文庫版) | |
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『バトル・ロワイアル』(Battle Royale)は、高見広春のホラー小説、およびそれを原作とした漫画・映画作品。中学生達が殺し合いを強いられるという設定。第5回日本ホラー小説大賞候補作。
略称は「バトロワ」「BR」。「バトル・ロワイヤル」は誤記。
以下、原作の設定を中心に記述する。漫画版、映画版もこの設定に準拠するが、体制、小道具の名前等々、異なる点は幾つも存在する(原作と漫画版は大東亜共和国という架空の国、映画版は現在の日本の体制の延長線上)。
第5回日本ホラー小説大賞の最終候補に残ったものの、荒俣宏、高橋克彦、林真理子ら審査員からは、「非常に不愉快」「こういう事を考える作者が嫌い」「賞の為には絶対マイナス」など多くの不評を買い、受賞を逃す[1]。審査員の1人林真理子の回想によると、審査員らは純粋に作品の完成度を評価したに過ぎず、一方で出版社が落選させられたこと自体を売りにするであろうことも予想していた[2][3]。
その後、雑誌『Quick Japan』初代編集長の赤田祐一が誌面で「尋ね人」の広告を出し、高見とコンタクトを取ることに成功。1999年4月に太田出版から刊行され、先述の事情と共に話題を呼ぶ。2002年8月には最低限の修正(ミス部分など)を施した上で文庫化され、幻冬舎より刊行された。
また、深作欣二監督、藤原竜也主演で映画『バトル・ロワイアル』が2000年12月6日に公開された。公開前には国会でこの映画に関する質疑がなされ、また西鉄バスジャック事件を初めとする少年犯罪が注目された時期でもあり、社会的関心を集めたことで話題を呼び、大ヒット作となった。
題名の「ロワイアル」はフランス語読み。執筆段階では「バトル・ロイヤル」と言う英語の題名だったが、作者が友人に見せて感想を求めたところ、フランス語好きの友人による「フランス語で読むと『バトル・ロワイアル』だな」との返事から、語感が良いと感じ題名を変更した。正しく仏訳すると「Bataille Royale」(/ba.tɑj ʁwa.jal/, バタイユ・ロワイヤル)になる。
原作者の高見によれば、とある夜中にハイテンションになっていた時「3年B組金八先生」の坂本金八(武田鉄矢)がニコニコしながら生徒に向かって「皆さん、殺し合いだぞ!」と話す光景が浮かんできたことが本作を構想するきっかけになったという[4]。そのため、本作では金八を大幅にパロディ化したキャラ(坂持金発)が出てくるが、これについて高見は「小説賞で『金八』のパロディーじゃ嫌われるだろうなあとは思ったんです。けれども、インスピレーションを与えてくれたのがそれだったわけだから、いわば礼儀として残しました」と述懐している[1]。また先述通り少年犯罪が注目された時期に本作も発表されたが、高見によれば社会的な問題を織り込もうという意識はほぼ全く無く、「とにかく面白ければいい」という思いだけで制作したという[1]。事実、本作は少年犯罪がクローズアップされるきっかけとなった「神戸連続児童殺傷事件」の起こる前に構想されている[5]。
極東の全体主義国家「大東亜共和国」では、全国の中学3年生のクラスから毎年50クラスを無作為に選び出し、「プログラム」と称する殺人ゲームを実施していた。プログラムに選ばれた生徒たちはゲームのために確保されたエリアに集団で送り込まれ、生き残りが一人になるまで殺し合いを続けることを強要されるのだった。
西暦[注 1]1997年、主人公の七原秋也のクラスである香川県城岩町立城岩中学3年B組がプログラムの対象に選ばれた。クラスの42人は修学旅行のバスの中で眠らされ、ゲームの舞台となる島「沖木島」へ送り込まれた。生徒たちの中には、ゲームへの参加を止めるよう働きかけようとする者、状況に絶望して自殺する者、仲間を募って協同で防衛を試みる者なども現れたが、状況を受け入れて殺戮に走る生徒も少なくなく、生存者は刻一刻と減っていく。
七原は幼馴染が想いを寄せていた女子生徒の中川典子を守るべく行動する中、危ないところを最近クラスに転校して来た川田章吾に助けられ、意気投合してゲームからの脱出を模索することとなる。
正式名称「戦闘実験第六十八番プログラム」[6]。1947年より開催され、政府がランダムに選んだ中学3年生の1クラス全員に武器を与え、1人の最終生存者(「優勝者」と呼ばれる)になるまで見知り合ったクラスメイト同士で殺し合いをさせる[6]。対象は毎年50クラス(1949年以前は毎年47クラス)[6]。
プログラムの舞台となる会場は、対象クラスの中学校がある都道府県内で行われるのが原則であり、離島、高圧電流を張り巡らした山、取り壊し前の刑務所など隔離されたエリアで行われる[7]。
優勝者には、総統直筆の色紙と一生涯の生活保障が与えられるが、政府によって強制的に他県に転校させられ、プログラムについて語らないように厳命される[8]。プログラムが実施された場合、プログラム対象生徒の保護者にはその旨連絡が行くが、プログラム終了まで詳しい実施場所は発表されない[9]。すべてが終了した後で臨時テレビニュースが流れ、実施場所と死亡推定原因、死者数が発表され、優勝者の映像がお茶の間に放送される[10]。それ以外の詳細は一般国民には非公開であり、プログラムの詳細は一般国民に分からないようになっている[11]。
学校の教科書では小学校4年生向けから記述されており[6]、幼い児童・生徒にとって、「プログラム」は中学3年次を終えるまでの脅威となっている。
その目的について、表向きは「陸軍が行う戦闘シミュレーションで、所要時間などの各種統計を重ねることによる防衛上の理由から」とされている[6]。しかし実際は「見知った者同士による殺し合い」という状況を見せつけることで国民の間に相互不信をもたらし、反政府勢力の結集による革命を防ぐことが最大目的である[12]。そのついでに、政府高官たちの間で「誰が優勝するか」の賭けが行われている[13]。
施行時は大規模な反対運動が起こったが、現在では忌み嫌われているものの表立って反対する者はいない状況となっている。
映画版では、新世紀教育改革法(通称BR法)という新法のもと「子供に対する恐怖支配で大人の権威を復活させるため殺し合いを強いる」という設定になっており、対象のクラスは原作の毎年50クラスに対して毎年1クラスとされる。
スタート地点を出た段階から殺し合いがスタートすることになる[14]。政府からエリア内の施設では電話が止まっていることが知らされ[15]、また、説明はされないが電気やガスや水道等のライフラインは止まっており、携帯電話も中継局が押さえられているため外部と通じない[16]。基本的に反則行為はないが、2人以上の生存を目的にプログラム実施システムを無効にすることや、プログラム実施者である政府を攻撃することなどの反抗活動は禁止されている。
生徒らにはそれぞれ、食料(パン)[17]、飲料水(約1リットルの水が入ったボトル2本)[18]、地図[19]、方位磁針(安物のブリキ製)[20]、時計(原作では腕時計[21]、漫画版では懐中時計)、懐中電灯[17]、特定の武器が入ったデイパックが与えられる[19]。プログラム開始前に持参していた私物の所持も可能だが、前述の通り携帯電話の使用は不可。
生徒に支給される武器は完全にランダムである[19]。ショットガンやサブマシンガンなどの銃器(アタリ武器と呼ばれる)、アーミーナイフや鉈などの刃器が多いが、簡易レーダーや防弾チョッキの様な補助的ツールもあり、中にはフォークやブーメランなど殺傷能力がほぼ無いもの(ハズレ武器と呼ばれる。映画版ではハリセンや鍋蓋など、よりシュール)もある。これは戦いに不確定要素を盛り込み、全員に少しでも優勝の可能性を与えるためである[19]。また他の生徒から武器を奪っても良い。
このゲームを成立させる上で、最も重要なアイテムが首輪(正式名称:ガダルカナル22号[22])である。生徒たちは必ずこれを装着させられる[23]。
それぞれの首輪には発信機が付いており、これによって生き残っている生徒とその現在地を政府が把握している[23]。建物や掘った穴に隠れても首輪に電波は届き、防水措置もされている[24]。また爆弾も取り付けられていて、首輪を無理に外そうとしたり、禁止エリアに侵入を試みた時などは爆発するようになっている[24]。
さらに、生徒たちには知らされていないがこの首輪には盗聴器も内蔵されており[25]、脱出や反逆行為の企てなどプログラムの根幹を崩そうとする行為はいち早く発見され、最悪の場合は政府が遠隔操作でその生徒の首輪を爆破することもできる模様[26]。なお、首輪は各個体に三系統のシステムを搭載しているため、仮に一システムが故障する確率が1%だとしても、三系統あるため100万分の一の確率でしか故障しないといわれている。
電気回路をいじることができ、内部構造を知っている者であれば、ラジオなどに入っている部品を使って簡単に外すことが可能である[22]。ただし内部構造は国家機密[22]。
このゲームでは禁止エリアが設定されている[27]。このエリアに入ると、首輪が爆発する仕組みになっている[27]。
初めに、睡眠ガスで眠らせるなどして強制的に会場まで連れて来られた対象クラスの生徒全員を1ヵ所に集め、プログラムの開会式とルール説明が行われる[28]。その後、予めくじで決められた順に、兵士たちがいるスタート地点から2分おきに生徒1人1人を出発させる(先に出発した生徒の方が有利になりがちなので、公平性を保つための措置。作中行われたプログラムでは偶然出席番号1番の男子から出発となった)[29]。最後の生徒が出発した20分後をもって、そのスタート地点から半径200mが禁止エリアとなり[27]、その後は最初の定時放送の1時間後から2時間毎にエリアが3つずつ増えていく[30]。禁止エリアの座標はコンピューターによって不規則に決められるので、どこが禁止エリアになるのかは放送を聞くまで分からない[15]。なお、出発する時間になってもスタート地点を離れない生徒は政府による殺害対象となる[14]。これはスタート地点を警備している大人数の武装兵士が、武器を持った生徒たちから襲撃される事態に備えるため[31]。
禁止エリアの範囲は政府から支給された地図に記されているが、地面に目に見える線やロープが存在する訳ではない。
このゲームは1ヵ所に留まって動かないことが得策なので、それを防いで強制的に生徒たちを移動させ、他の生徒と遭遇するように仕向けるためにこの「禁止エリア」システムが敷かれた[15]。1度禁止エリアに設定されたエリアはゲーム終了まで解除されることがなく、時間が経過するにつれて行動範囲が狭められ、遭遇率が高くなるのである[15]。
プログラムの舞台が離島の場合、海に逃亡しようとする者を射殺する船が東西南北に1隻ずつ配置されている[23]。
ゲーム中には1日4回、午前と午後の0時と6時に放送が流れる[23]。放送では、ゲーム開始後または前回放送後からその時の放送までの間に死亡した生徒の名前が名簿順(映画版では死亡順)に読み上げられる。その後、放送から1時間後、3時間後、5時間後の禁止エリアの座標が告知される[24]。優勝者が決定した時も、放送によってその旨のアナウンスが行われる[32]。
映画版の場合、最初にラデツキー行進曲など有名なクラシック音楽が流れる。
このゲームにはタイムリミットがあり、24時間に渡って死亡者が出ない場合は時間切れとなる[27]。時間切れになると生存者全員の首輪が爆破され、優勝者無しとなる[27]。しかし、時間切れによって決着したケースは全体の0.5%程度しかない[33]。
映画版では、首輪に内蔵されているバッテリーの関係でタイムリミットは3日間となっている。
主要人物を含めたその他登場人物の詳しい詳細は、『バトル・ロワイアルの登場人物』を参照。
深作欣二監督、藤原竜也主演で映画版『バトル・ロワイアル』が2000年12月6日に公開。2001年4月7日には追加要素を含んだ『バトル・ロワイアル【特別篇】』が公開。
2003年7月5日には映画版の続編にあたるオリジナル作品『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』が公開。更に2010年11月20日には『特別篇』を再編集した3D映画として『バトル・ロワイアル3D』が公開された。