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『メタルギア2 ソリッドスネーク』(メタルギアツー ソリッドスネーク、METAL GEAR 2: SOLID SNAKE)は、1990年7月20日にコナミから発売されたゲームソフト。メタルギアシリーズの2作目である為、よく「MG2」と略されるが「メタルギア2」ではなく「ソリッドスネーク」が正式タイトルである[4]。コナミのカスタム音源チップSCCを搭載している[5]。
コナミによるMSXオリジナル作品の最終リリースとなった[注 1][5]。
前作では“前しか見ていない”敵兵士であったが今作では敵兵の視界が広がり、トラップ(罠)として足音が鳴る床などの仕掛けや、システム面でもトラックの下などに隠れられる匍匐操作、敵兵に発見された状態である“危険”から“回避”のモード移行など、後の続編であるPlayStation版『メタルギアソリッド』に繋がるアイデアが数多く採用されているなど、総合的な完成度ではコナミのMSXゲームの最後を飾るにふさわしく最高傑作との呼び声も高い[5]。
メタルギアシリーズは本作で一度終止符を打ち、後の1998年に続編『メタルギアソリッド』が発売されたが、説明書にはMSX2版『メタルギア』についても触れており、格闘戦になるサイボーグ忍者との戦いで「思い出さないか?」と、本作をプレイしたユーザーにしか思い出しようがないセリフが出てくるほか[注 2]、様々な細かいところにMSX2版の要素が仕込まれており、これまでの2作と密接なストーリー関係を持ったメタルギアソリッドシリーズとして生まれ変わり、現在に至るまで連綿と作品がリリースされ続けている[5]。
2004年10月1日に携帯アプリとして復刻版がコナミネットDXで配信されている[2]。2005年12月22日発売のPlayStation 2用ソフト『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』[注 3]と、2011年11月23日にPS3とXbox 360、2012年6月28日にPlayStation Vitaで発売された『メタルギアソリッド HDエディション』には、前作『メタルギア』と共に復刻版が収録されている。日本国外ではMSX2版が発売されなかったため、復刻版によって初めてプレイが可能になった[注 4]。2010年3月30日からはWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。
実在の俳優をモデルにしたMSX版とは違い、復刻版ではキャラクターの顔グラフィックおよび、一部キャラクターの名称が変更されている。同様にMSX版では「ミノフスキー粒子」という台詞があったが、復刻版では「妨害電波」に変更されている。
- ザンジバーランド騒乱
- 1990年代後半、核の脅威の時代は終焉を告げた。米中ソ等の大国間を始め、各地の地域紛争も和解・緩和に向かい、世界は安定の時代を迎えようとしていた。そんな折、中東のソ連、中国、中近東に隣接するザンジバーランドに新たな軍事政権が樹立。ザンジバーランドは世界各地の廃棄用核兵器貯蔵庫を襲撃し、世界唯一の核武装を遂げた後、隣国への無差別侵攻を開始、世界に再び核の脅威が訪れようとしていた。
- 一方、30年は持つとされていた世界の石油だが、代替エネルギーが得られぬまま石油資源の枯渇が到来し、世界は深刻なエネルギー危機に直面していた。そんな中、チェコの生物学者キオ・マルフ博士により、高純度の石油を精製する微生物「OILIX」が発明され、世界はOILIXを巡り再び緊張と混沌の状態へ移行した。博士はアメリカの学会に出席する為に渡米するが、途中ザンジバーランドによって拉致される。ザンジバーランドは核とOILIXによる軍事優位の確保を試みたのである。わずか数ミクロンの微生物が世界を動かそうとしている。
- アウターヘブン蜂起から4年後の1999年12月24日。キオ・マルフ博士を救出し、世界を核の脅威から守るため、再びソリッド・スネークはザンジバーランドに単身潜入を開始する。
本作においても主人公の任務は「極秘潜入」である。敵兵に見つからないようにマップを探索し、マップ内にいくつか設けられたチェックポイントに到達することでシナリオを進めていく。ただし、チェックポイントの一部には、任務を妨害するボスキャラクターが配置されており、この場合はボスキャラクターを撃破することでシナリオが進行する。
主人公ソリッド・スネークには体力を示すLIFEゲージがある。LIFEゲージは敵の攻撃や敵兵を含む一部の障害物との接触、子供を殺害、ガス室内や水中への長期滞在によって減少。回復アイテムである「レーション」を装備していない状態でLIFEゲージをすべて失うか、落とし穴などの即死トラップにはまるとゲームオーバーになる。
- コナミの「新10倍」に対応
- MSX2版は、「コナミの新10倍カートリッジ」通称「新10倍」と呼ばれるコナミ製のMSX用ユーティリティソフトに対応しており、2スロット搭載機種にて本作と「新10倍」の両方を差し込んで起動することで、「新10倍」内部のバックアップ用SRAMにゲームデータを保存可能。
- これ以外では、2DD規格のフロッピーディスクやカセットテープへのデータセーブが可能なほか、手間はかかるものの「パスワード入力によるゲームの再開」も可能となっていた。のちに登場する復刻版では(携帯やメモリーカードなどの)内蔵メモリへのセーブが標準的になっているので、これらの煩雑さは解消されている[注 5]。
前作『メタルギア』を改良すべく再構築されたシステムは当時としても完成度が非常に高く、その根幹部は後の「メタルギアソリッド」シリーズへ継承されている。代表的なものを下記に列挙する。
- 新たに匍匐前進が可能になり、構造物や車両下部の隙間に隠れることが可能(画面上下方向に限る)。
- 敵兵の視界が45度に広がり、首振りや聴覚による索敵・追跡も実行可能に。
- 壁などをパンチして物音を立てる、金網の上を通ると足音が鳴る、など「聴覚」に関係するギミックが初登場。
- プレイヤーのいる画面を中心に3×3画面分、マップと敵兵の位置を確認できる「動体反応レーダー」が登場[3]。
- 敵の警戒レベルが「潜入・危険・回避」の3つのモードに細分化され、敵兵の行動パターンに「物音モード」が導入された。
- 前作にあった「階級」システムは削除。
- 主人公のLIFEゲージ、および携行可能なアイテム数の上限は「ボスキャラクターを倒す」ごとに増えていく。
- タップコードと呼ばれる北ベトナムの捕虜収容所(ハノイ・ヒルトン)で使われていた通信方法が登場。物音を利用した暗号であり、プレイヤーによる解読が求められる[注 6]。
- レーションのように周囲の温度の影響を受けたり、ブローチのように意図的に利用して変化させて使うアイテムが初登場。
- 敵兵に発見された場合のモード変化。
- 敵に発見されると動体反応レーダー上に「危険」の文字が上書きされて危険モードに移行する。危険モードではレーダーが使用不能になり、プレイヤーを殺害すべく敵兵が殺到し、倒されても一定数まで自動的に補充される。
- 一定数の敵兵を排除するか「一人も敵兵がいない画面」に移動すると、レーダー上の文字が「回避」に変化して回避モードに移行。依然としてレーダーは使用できず、さらに2人の追っ手が追跡してくる。この2人を両方とも排除するか、画面右上の制限時間がゼロになるまで敵兵から隠れ続けるか、最後に見つかった画面から2画面以上移動すると通常の潜入モードに戻ることができる。
- 本作から無線通信画面ではスネークに加えて、通信相手のフェイスグラフィックが表示されるようになった。このグラフィックは写実的なものだったが、携帯版、PS2版およびWii バーチャルコンソール版では、新川洋司によって全キャラクターの顔が描き直された。このうち、『メタルギアソリッド』に登場したキャラクターはそちらでの容姿が元になっており、MSX2版とは全く違うイメージとなったキャラクターもいる。
- ^ 移植作品としては『クォース』が最終リリースとなる。
- ^ 当時コナミ宛てのファンレターは、アーケード、ファミコン、MSXに分類されて閲覧できるようになっており、MSXゲーム部門はその出荷数が他機種に比べて少なかったにもかかわらずファンレターの数がとても多かったそうで、MSXチームはそれを心の支えに頑張ったんだ、と後に小島はMSXマガジン永久保存版3のインタビューで語っており、当時のユーザーに対する感謝の意味もあった。
- ^ 2007年発売のメタルギア20周年記念版にも収録。
- ^ 日本国外では、『Snake's Revenge』というファミコン版メタルギアの続編が発売されていた。
- ^ そのためMSX2版に存在したスペースキーで空白をいくつか入力しリターンキーを押し、文字列が表示されたらそれを削除してから正規のパスワードを入力すると装備品類を大量に所持した状態になる裏技を使用することはできない。
- ^ 暗号表は説明書に載っており、一種のマニュアルプロテクトとも言える。作中での同様のマニュアルプロテクトに、ストーリー中盤での無線周波数変更の通達に「パッケージの裏面に書かれた周波数を参照する」というものもある。