仙丈ヶ岳 | |
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北岳山頂から望む仙丈ヶ岳 | |
標高 | 3,032.88[1] m |
所在地 |
日本 山梨県南アルプス市 長野県伊那市 |
位置 | 北緯35度43分12秒 東経138度11分1秒 / 北緯35.72000度 東経138.18361度座標: 北緯35度43分12秒 東経138度11分1秒 / 北緯35.72000度 東経138.18361度 |
山系 | 赤石山脈 |
種類 | 氷食尖峰、褶曲隆起 |
プロジェクト 山 |
仙丈ヶ岳または仙丈岳(せんじょうがたけ・せんじょうだけ)は、長野県伊那市と山梨県南アルプス市にまたがる南アルプス国立公園内の赤石山脈の北部にある標高3,033 mの山である。
北東に小仙丈岳、南西に大仙丈岳の小ピークを従え、さらに大仙丈岳の南側には、南アルプス中部の塩見岳に至る長大な仙塩尾根が連なっている。また、尾根の間には、東側に小仙丈沢カール、北側に藪沢カール、南東側に大仙丈沢カールと三つのカール(圏谷)を擁し、山容は比較的穏やかであるが、西面は急峻で岳沢が沢登りや冬季の氷瀑登攀の対象となっている。高山植物の非常に豊富な山として知られている。男性的な山容の甲斐駒ヶ岳に比べて女性的ななだらかな山容から「南アルプスの女王」とも称されることがある[2][3]。日本百名山[4]、新日本百名山[5]、花の百名山[6]、新・花の百名山[7]、山梨百名山[8]、信州百名山に選定されている。山体は赤石層群の硬砂岩・粘板岩・チャートで構成されている[3]。
信州側で古くは甲斐駒ヶ岳の前衛峰として「前岳」と呼ばれていた[9]。『甲斐国志』や『新撰甲斐国地誌略』などでは、「千丈ヶ岳」と記載されている[10]。「丈」とは長さの単位であり、「仙丈ヶ岳」という山名は、この山が高いことを比喩的に表したものだと考えられる。1丈の長さは約3.0303mであり、仙丈ヶ岳の標高を丈を単位として表すと約1000.79丈となる。頂上部のカールの広さの千畳から転じたものであるとする説もある[11]。
北沢峠までの交通の便がよく、東京方面からは1泊2日でも登頂可能である。多くの登山道が整備されており、日本の3,000 m峰の中では登頂しやすい山である。毎年7月初旬にメインの登山口の北沢峠で「南アルプス北部開山祭」と「長衛祭」が行われている[17]。
周辺には以下の山小屋があり、登山シーズン中に有人の営業を行っている[18]。南アルプス国立公園内であり、南アルプス市北沢駒仙小屋と仙水小屋のキャンプ指定地を除き、全山幕営禁止となっている。
画像 | 名称 | 所在地 | 標高 (m) |
仙丈ヶ岳からの 方角と距離 (km) |
収容 人数 |
キャンプ 指定地 |
備考 |
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仙丈小屋 | 山頂直下の藪沢カール | 2,900 | 北北東 0.3 | 55
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なし | 風力発電、太陽光発電設備あり | |
馬の背ヒュッテ | 丹渓新道と薮沢ルートの分岐 | 2,640 | 北北東 1.1 | 100
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なし | ||
藪沢小屋 | 大滝ノ頭と藪沢の間 | 2,540 | 北東 1.4 | 30
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なし | ||
大平小屋 | 北沢峠西直下 | 1,960 | 北東 3.4 | 80
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なし | ||
長衛小屋 | 北沢峠の東の北沢右岸 | 1,980 | 北東 3.6 | 56
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テント100張 | 旧称:北沢駒仙小屋 | |
北沢峠こもれび山荘 | 北沢峠 | 2,036 | 北東 3.7 | 110
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なし | 旧称:長衛荘 | |
松峰小屋 | 地蔵尾根松峰 | 1,980 | 西北西 4.0 | 10
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無人の避難小屋 | ||
仙水小屋 | 北沢峠と仙水峠の中間 | 2,130 | 北東 4.6 | 30
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テント11張 | ||
両俣小屋 | 野呂川左俣出合 | 2,020 | 南南東 5.3 | 30
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テント40張 |
登山道の上部は森林限界のハイマツ帯である。ライチョウ(雷鳥)の生息地で、トウヤクリンドウ、チングルマ、シャクナゲ、シナノキンバイ、ミヤマオダマキなど多くの高山植物が見られる[19][20]。田中澄江は『花の百名山』で代表する高山植物としてシナノナデシコを紹介した[6]。カヤツリグサ科のセンジョウスゲは、環境省山梨県、長野県のレッドリストの絶滅危惧IA類 (Critically Endangered, CR) に指定されている[21][22]。
ライチョウとハイマツ | シナノナデシコ | チングルマ | シナノキンバイ |
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2014年現在、仙丈ケ岳でもニホンジカの出没が確認され[23]、主に馬の背尾根において[24]ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイなどの高山植物が食害の被害を受けている。
赤石山脈(南アルプス)の北部の主稜線上にある。西側には地蔵尾根が延び、北側には馬ノ背と呼ばれる尾根がある[25]。南の塩見岳方面へと延びる仙塩尾根は「馬鹿尾根」とも呼ばれている[3]。西北西には地蔵尾根が延びる。北沢峠を挟んで北東の甲斐駒ヶ岳と対峙している。南アルプスの3000m峰の最北端の山である。
山容 | 名称 | 標高 (m) |
三角点等級 基準点名[1] |
仙丈ヶ岳からの 方角と距離(km) |
備考 |
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甲斐駒ヶ岳 | 2,967 | (一等)「甲駒ケ嶽」 (2,965.58m) |
北東 6.4 | 日本百名山 | |
小仙丈ヶ岳 | 2,855 | 東北東 1.3 | 仙丈ヶ岳 日本百名山 | ||
仙丈ヶ岳 | 3,032.88 | 二等 「前岳」 |
0 | ||
大仙丈ヶ岳 | 2,975 | 南南西 0.7 | |||
北岳 | 3,193 | (三等)「白根岳」 (3,192.18m) |
南東 7.1 | 日本百名山 | |
間ノ岳 | 3,189.13 | 三等 「相ノ岳」 |
南南東 9.2 | 日本百名山 | |
塩見岳 | 3,046.86 | 二等 「塩見山」 |
南 16.2 | 日本百名山 仙塩尾根 |
南東斜面に大仙丈カール、東斜面に小仙丈カール、北斜面には藪沢カールが見られる。女性的ななだらかな山容である。
仙塩尾根より | 北岳より | 小仙丈ヶ岳より | 馬ノ背より | 北沢駒仙小屋より(奥) | 高遠の五郎山から仙丈ヶ岳 |
山頂からは、北アルプス、中央アルプス、御嶽山、富士山や南アルプスの山々を望むことができる。とりわけ富士山、北岳、間ノ岳、穂高岳、槍ヶ岳と日本の高峰1 - 5位が望める稀有な頂である。
中央アルプス。右奥には御嶽山 | 富士山とご来光 | 北岳と間ノ岳 | 鋸岳と甲斐駒ヶ岳(左奥に八ヶ岳) | 鳳凰三山 |