命名権(めいめいけん)は、人間や事物、施設、キャラクターなどに対して命名することができる権利である。1990年代後半以降、スポーツ、文化施設等の名称に企業名を付けることがビジネスとして確立した。ネーミング・ライツ(英語:Naming Rights)とも呼ばれる。科学の世界においても、新発見の元素や天体に対して発見者が、生物の学名は記載者が、それぞれ命名権を持つ慣習がある。
狭義としては単体で命名権を購入して行使したものを「命名権」と呼び、不動産などと共に購入した命名権は含まない。
世界の多くの地域では、親または親から委託を受けた者が新生児を命名している。
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中世以降、日本ではその人の成長や変化に従い改名・襲名する慣習があり、命名権について本人固有のものとする一般観念があった[1]。その後、明治維新を経て、居住移転の自由や職業選択の自由に伴う社会の流動化と戸籍制度の確立と共に、個人の特定のための氏名の固定化が進み、同時に子に対する命名権が親固有の専権のような理解となっていった[2]。
命名に関する現行制度として、戸籍法第50条第1項の「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。」等の規定はあるが、民法(家族法)には関連する明文規定がなく、命名権が誰にあるか、その法的根拠はどこにあるかは明確ではない[3]。
命名権が誰にあるかの学説・判例については、次のように体系化される[4]。
ただし、上記のいずれの立場を取るとしても、社会通念に照らして明らかに不適切な名や、名の持つ本来の機能を著しく損なう名を命名することは命名権の濫用として、戸籍事務管掌者(市町村長)は出生届の受理を許否することが許されるとされる[8]。
また、棄児については、戸籍法第57条第2項において、市町村長がその棄児に対し氏名を付けなければならないとされている[9]。
元素については、名称が未確定な新元素はIUPACの命名法による元素の系統名で呼ばれる。IUPAC及びIUPAPによって発見が認定されると、発見者に命名権が発生し、IUPACによる承認を経て最終的に名称が確定する。
天体については、小惑星についてのみ発見者に命名提案権が与えられており、IAUの小天体命名委員会による審査を経て命名される(小惑星#命名規則参照)。準惑星については命名規則は定められていないが、エリスの場合には発見者グループが提案した名称が採用されている。
従来から、スポーツ大会などにスポンサーの名称を冠する形での命名権ビジネスは存在していたが、1990年代後半頃から、アメリカにおいてスポーツ施設等の名称に企業名を付けるビジネスが広がった。まず、メジャーリーグでクラシカルな新球場が多く建設されたとき、その名称に企業名が命名され始め、高い費用対効果が認められたことから、他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていった。
日本においては、2000年代前半から赤字の公共施設の管理運営費を埋め合わせる手段のひとつとして導入され、その範囲はスポーツ施設や文化施設、路面電車の停留所、公園のトイレ、橋梁、桟橋など多方面に及んでいる[10]。ちなみに地方自治法において命名権売却は「公有財産の処分」にあたらないため、各自治体の議会での議決は必要ない[11]。
施設等の管理者にとっては、命名権を販売することにより収入が得られるメリットがあり、命名権を購入する企業にとっては、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、宣伝効果が見込まれる。
なお、命名権に限らず、一般的にイベント主管団体の規定(オリンピックやFIFAワールドカップ等の大会)により商標が使用できない場合がある。この場合、命名権に商標を導入している施設については施設名に商標の入っていない正式名称を使用することが義務付けられる。正式名称そのものに商標が含まれている事例等では、別称を付けて対応することとなる。
同様に、大会やリーグの冠スポンサーと命名権を取得した業者が競合する場合、主催者側では命名権名称を使用せず正式名称や所在地名で案内することがある。
NHKは放送法第83条により広告放送が禁止されていることを踏まえ、取材・政策の基本姿勢を示した『NHK放送ガイドライン』において企業名の取り扱いについて「本質的に必要なのか、その他の表現に置き換えることは出来ないのか」等の観点から判断しており、(施設)命名権に基づく名称については『施設の名称である以上、放送に使用することはやむをえないが、名前の一部に企業名などが含まれているため、ニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に名称を用いる」とした上で、「企業名などを除いた施設名が定着している場合には、企業名などを除いた名称を使うこともある」としている[12]。独自に名称の差し替えを行っている例としては大相撲中継のケースがあり、本場所の会場で命名権が導入されている大阪府立体育会館(春場所、2013年から)と愛知県体育館(名古屋場所、2018年から)の名称を、主催者(日本相撲協会)が使用(併記)している命名権名称ではなく、従来からの「大阪府立体育会館」「愛知県体育館」の正式名称で表記している[注釈 1]。ただし、大相撲以外の他の競技やイベントをNHKがこの2会場から中継する場合(B.LEAGUEにおける大阪エヴェッサおよび名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームゲームや、音楽ライブなど)は、他の命名権導入会場からの同種の競技・イベントの中継と扱いを合わせて「抑制的に名称を用いる」基準で命名権名称を使用する場合もある。
同一の施設でありながら、契約満了または契約変更によって比較的短いスパンで別の名称に変わることを問題視する意見がある[13]。例えばYahoo!BBスタジアム→スカイマークスタジアム→ほっともっとフィールド神戸について、アメリカでの命名権(20年契約などの長期契約が基本)と比較して「球場名に愛着を抱くファン心理への配慮」が足りないことを示唆する批判がある[14]。Yahoo!BBスタジアムの場合は、スポンサーであったヤフーが福岡ダイエーホークス買収後、本拠地福岡ドームに「福岡 Yahoo! JAPANドーム」→「福岡ヤフオク!ドーム」→「福岡PayPayドーム」と類似した名称を付けている。また、西武ドームは球場名が何度も変わっているが、最寄の西武鉄道の駅は一貫して「西武球場前駅」のままである。
税金で建設された公共施設を、一私企業の名称に変更することは公共イメージが損なわれるという意見もある。事実、ナイキジャパンは宮下公園の命名権を取得し「宮下NIKEパーク」と改称する予定だったが、反対運動が相次いだことで命名権行使を撤回した(ただし、命名権使用料の支払いは継続)。また、京都市美術館については、2019年に新館建設などリニューアルを実施するのに合わせ、京都市は2016年9月1日から31日にかけ、費用の獲得と愛称を決める目的で命名権を募集したが、市民団体や有識者などからは、「公共の文化財に一企業の名称が被るのは相応しくない」などの異論が出ている[15][16]。最終的に京都市美術館は、伏見区に本社を置く京セラに命名権を売却すると発表、再オープン後は「京都市京セラ美術館」の名称となる[17]。
新しい名称がなかなか定着せず、旧称を併記した結果、契約違反に問われることがある(中台運動公園におけるサウンドハウスとの命名権契約解除事例)。
命名した企業に不祥事が発覚した場合、命名権を導入した側に批判が寄せられるケースもあり(オリンパスホール八王子に対する八王子市への批判など[18])、実際に命名権契約が解除され名称が変わることもある(西武ドームにおけるグッドウィルとの契約解除など)。
また、命名権の契約金の高さから企業の買い手がつかない場合というケースもある。一例として、札幌ドームでは2011年に「5年間5億円、札幌ドームの名称を基本的に使うこと」を条件に募集したが、初回募集の1社とは折り合いがつかず、再募集の時には応募企業がなく、その後契約年数を延ばし実質的値下げにも踏み込んで下交渉を行ったものの見通しが立たないことから2011年内の再々公募を見送った経緯がある[19]。
施設管理者が一方的に命名権の導入を試みた結果、その施設を本拠地として使用しているプロスポーツチーム等の反発を招くことがある。前述の札幌ドームのケースでは北海道日本ハムファイターズが「(札幌市が自分たちへの)連絡なしに命名権を公募することに疑問を感じる」と猛反発しており[19]、結果本拠地を札幌ドームからきたひろしま総合運動公園へ移転させるきっかけともなった(詳細は北海道日本ハムファイターズ#新球場建設構想を参照)。一方で、キンチョウスタジアム・ZOZOマリンスタジアムなどのように、施設命名権の契約にプロスポーツチームが関与した場合、契約料をプロスポーツチームと折半する(施設の命名権による収入が全額施設のものとなると限らない)ケースもある[19]。
都道府県や市町村などの地方自治体が所有している公共施設が命名権を導入する場合、施設の呼称そのものを対象とするケース(横浜市・新潟県など)と、施設の愛称のみを命名権の対象とし、正式名称も従来通り使用するケース(岡山県・香川県など)とがある。特に前者の場合、マスメディアなどで対外的に施設名称を表示する際には、命名権による呼称のみを優先的に使用しなければならない旨について自治体側が規定を設ける場合がある。ただしいずれの場合も、命名権によって制定された呼称を条例上の施設名称にまで及んで改称したケースはほとんどなく、条例上の施設名称は本来のものを継続して使用している。また、石川県の場合、命名権を導入している公共施設は県ならびに各自治体においては一切ない(2020年時点)。
国際サッカー連盟 (FIFA) や国際陸上競技連盟 (IAAF) など国際競技団体の一部は、自らが主催・主管する大会において「施設名が公式スポンサーと競合してはならない」と規定している。このケースにおいては、命名権を導入した施設の多くでは一時的に「スポンサーと競合しない」施設名を使用する(「正式名称を用いる」と解されることが多いが、2006 FIFAワールドカップのように、その大会でしか使用しない特別な名称を付与した事例もある)。必要に応じて、場内に掲出されている企業名のロゴを覆い隠す措置を執ることもある。これらはFIFAの「クリーンスタジアム規定」やワールドラグビーの「クリーンスタジアム規定」に基づくものであるが、あくまでも「公式スポンサーの保護」が目的であるため(アンブッシュマーケティング参照)、命名権を一律に除外するわけではなく、また命名権名称でなくとも一時名称変更措置が執られることもある。
珍しいケースではあるが、命名権を購入した企業側が「旧名称のままとするのが望ましい」として呼称変更をあえて行わないことがある。鎌倉市の海水浴場3か所の例では、2013年に『鳩サブレー』で知られる菓子店の豊島屋が権利を購入したものの、一般公募の結果呼称変更を行わず旧名称のまま運営を続けている(ただし形式上は「命名権を行使して、旧名称と同じ呼称を名付けた」形である)[20]。
2019年から大之木建設が命名権を取得した呉市二河野球場(命名権名称:鶴岡一人記念球場)のように、企業名ではなく所在地に所縁の人物の名称を命名する例もある[21]。
日本のプロスポーツにおいて、公式戦開催時のみ場内の特定施設(観客席など)に命名権を採用するケースがある。
神戸市御崎公園球技場(神戸ウイングスタジアム→ホームズスタジアム神戸→ノエビアスタジアム神戸)では、Jリーグのヴィッセル神戸の主催ゲーム限定で2005年3月より観客席の名称に命名権を採用しており、メインスタンドを「楽天スタンド」、バックスタンドを「Kawasakiスタンド」と称している。施設全体に企業名を冠する場合とは異なり、スタジアムではなく、興行主のヴィッセル神戸(運営会社クリムゾンFC)に2社から広告料が支払われる。
阪神甲子園球場では、2008年からプロ野球開催日のみ、新設されたフィールドシートに「SMBCシート」(1・3塁側 2012年まで「みずほ銀行シート」)「東芝シート」(バックネット裏)の命名権が、また、2009年からプロ野球開催日のみ、3塁側に新設された掘りこたつタイプのボックスシートに「三ツ矢サイダーボックス」(アサヒ飲料)の命名権が取り付けられた(2012年からは1塁側にも新設・命名)。さらに2013年から1塁側アルプス席の最前列にセブンイレブンジャパンと締結した「セブンイレブンエキサイトシート」(ライトポール側付近)、「セブンイレブンファミリーシート」(アイビーシート側付近)が設置される。球場そのものの命名権は現在予定されていない。
広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)では、プロ野球開催日のみ、正面及び内野砂かぶり席と2階テラスシート、ライトポール際観客席(びっくりテラス)、ライトスコアボード際観客席(寝ソベリア、2011年シーズン - )に命名権を採用しており、正面砂かぶり席を「東芝シート正面砂かぶり」(2009年シーズン、東芝))→「ビックカメラシート正面砂かぶり」(2010年シーズン - 、ビックカメラ)、内野砂かぶり席を「KIRINシート砂かぶり席」(キリンホールディングス)、2階テラスシートを「コカ・コーラテラスシート」(日本コカ・コーラ/コカ・コーラウェスト)、ライトポール際観客席を「エバラ黄金の味 びっくりテラス」(エバラ食品工業)、ライトスコアボード際観客席を「セブン-イレブンシート寝ソベリア」(セブン-イレブン・ジャパン)と称している。この場合は、同球場の指定管理者の広島東洋カープとともに同球場の共同運営を行う三井物産に3社から広告料が支払われる。
宮城球場(2023年より「楽天モバイルパーク宮城」)では、2009年設置の「グループシート5」に2010年まではローソン、2012年からはセブンアンドアイホールディングス/セブンイレブンジャパン、また「ボックスシート5」にも2012年よりみちのくコカ・コーラボトリングが命名権を取得し、前者は「ローソングループシート5→セブンイレブングループシート5」、後者は「コカコーラボックスシート5」とされている。また、2016年に左中間後方に開設された公園施設は江崎グリコが命名権を取得し、「スマイルグリコパーク」の名称で運営されている。
札幌ドームでは、それまでプロ野球開催日のみ設置していた3階席「スカイビューボックスシート」を、2012年よりローソンと契約を結び「ローソンスカイボックスシート」、三塁側外野席で陽岱鋼の背番号1をかたどった後方一部エリアを2013年シーズンより「ローソン 岱鋼シート」・中田翔の背番号6をかたどった一部エリアを2014年シーズンより「ローソン 中田翔フルスイングシート」、また一塁側内野A指定席一部の女性向け座席「シンデレラシート」をセブン-イレブン・ジャパンと契約を結び2013年シーズンより「セブン-イレブン シンデレラシート」、2015年よりシンデレラシートエリア下の一部座席を2015年シーズンより「セブン-イレブン ビジョンシート」と命名している。
横浜スタジアムは2013年の内野ファウルゾーンにエキサイティングシートというフィールドシート席が設置されるが、このうちの1塁側の箇所をセブンイレブンジャパンと締結し「セブンイレブンエキサイティングシート」と命名されている。
京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(西京極スタジアム→2019年施設自体の命名権により「たけびしスタジアム京都」)では、Jリーグの京都サンガF.C.の主催ゲーム限定で2011年3月より入場ゲート(第4ゲート)に命名権を採用しており、「auゲート」(KDDI)と称している。
鈴鹿サーキットでは、最終コーナー直前のシケイン(ターン16・17)に命名権を採用、2014年3月1日に日立オートモティブシステムズとパートナー契約を締結し「日立オートモーティブシステムズシケイン」と命名されている[22]。また、2018年4月12日からは武蔵精密工業と200Rに設置された2輪用シケインのパートナー契約を締結、「MuSASHiシケイン」と命名されることになった[23]。
明治神宮野球場では、2019年設置の立見席「ヒップバーシート」に命名権を採用しPeach Aviationと契約を結び「Peachヒップバーシート」と命名されている[24]。
北海きたえーるでは、B.LEAGUEのレバンガ北海道主催ゲーム限定で2022-23シーズンよりセブン-イレブン・ジャパンと契約を結び、コートエンド・ホームベンチ側に「セブン-イレブンゆったりシート」を設置した[25]。
施設以外に、組織、作品、イベント、機器等に命名権が導入されるケースがある。
単発の大会やトーナメント戦の冠スポンサーではなく、リーグ戦の命名権者(タイトルパートナー)となった事例。
日本野球機構(NPB)管轄のプロ野球では、チーム名に含まれる企業名は基本的にオーナー企業の名称だが、二軍に限定すれば複数の事例がある。独立リーグでは、2014年以降、命名権に基づくリーグ名・チーム名が誕生している。
また、実現しなかったものとして、2004年に計画された大阪近鉄バファローズの命名権導入が挙げられる。親会社の近畿日本鉄道(近鉄)の経営改善強化策の一環によるものだが、他球団からの反対により断念。このことが結果的に2004年のプロ野球再編問題の引き金となった。
このほか1970年代までに以下のようなスポンサー名への球団名変更の事例がある。ただしこれらは「球団自体へのスポンサード(経営に関与しない資金提供のみ)に付随する球団名の変更」であり、球団名のみを売却したわけではない。
なお、広島東洋カープの「東洋」は球団の筆頭株主であるマツダの旧社名(東洋工業)に由来するが、実質的にはマツダの創業家である松田家による同族経営がなされている。
これは、発足以来の市民組織による球団経営への限界から、1957年に東洋工業・広島電鉄・中国新聞社・広島銀行[注釈 2]・広島ガス・山陽木材など地場企業10社によるグループオーナー形式に移行していたのが、各社による経営の主導権争いが起きて結果的に空中分解し、1968年に当時は松田家の同族経営だった東洋工業と同社の協力企業による組織である東友会協同組合による経営に一本化した際に[37] 実質的に親会社となったものの、市民球団としての設立経緯を尊重した松田恒次オーナー(当時)の意向により東洋工業の球団運営に対する直接的な関与が抑えられたことに加え、1970年代中頃に第1次オイルショックなどで経営危機に陥った後、通商産業省(現:経済産業省)と住友銀行(現:三井住友銀行)などの介入により経営再建が行われた過程で同族経営が終焉したことで(詳細はマツダ再建の項目を参照)、東洋工業に対する松田家の影響力が薄れ、同時に省庁・銀行側の意向で広島球団に対する東洋工業・東友会協同組合の企業・団体としての経営関与がより弱められると同時に松田家による事実上の独立経営となった経緯によるものであり、「親会社の名称によるチーム名」と「命名権(スポンサード)によるチーム名」の両方に類するとも、あるいはどちらでもないとも言える。
B.LEAGUEではチーム名に企業名を入れることを原則として禁止しているため、今後参入するチームは新たに命名権を取り入れることはできない。 ただし、前身リーグより企業名を入れているクラブについては、クラブ公式文書で使用する正式なチーム名に限り継続して使用することが可能である。B.LEAGUEの前身のひとつであるJBL→NBLでは、以下の通り命名権を取り入れたクラブが存在した(他チームに含まれる企業名は運営企業の名称)。
なお、Jリーグ所属クラブについては(Jリーグ規約に明記はないものの)企業名等を直接想起させる名称を用いない取り扱いがなされており、命名権名称を用いたチームはない。この取り扱いについて、Jリーグ発足時にチェアマンを務めた川淵三郎は2024年9月30日に公開されたJリーグ公式YouTubeチャンネルの動画内で「これ(企業名外し)がなくちゃ、もう絶対成功しない。間違いなく成功しなかった」と述べている[40][41]。一方、2024年7月27日付の日本経済新聞は「日本初『外資オーナー』 割安で魅力 広告価値に課題も」と題した記事[42]の中で、「有力クラブの親会社の関係者」のコメントとして「クラブ名から企業名を排除する事はクラブの広告価値を大きく下げる事に繋がり、Jリーグのクラブより企業名が排除されていない他スポーツの社会人チームの方が広告価値が高い」という趣旨の内容を掲載している。
また、JFLでは実業団クラブが所属していることもあり命名権の付与は可能と思われるが、Jリーグ入りを目指すプロサッカークラブが大半を占めているということもあり、今まで命名権を採用したクラブはアトレチコ鈴鹿クラブがポイントサイトを運営するエムフロとの間でネーミングスポンサー契約を結び、「鈴鹿ポイントゲッターズ」の呼称を用いていた程度である。
日本のプロボクシングジムにおいては命名権を売却するケースは非常に多い。代表的な例として、以下のような事例がある。
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公共性のある施設に企業名・商標名を冠していても、必ずしも他者からの単体での命名権取得によるものとは限らない。主に施設を所有又は運営している(いた)企業が、自身の命名権により自社の企業名・商標・ブランド名を冠する場合が多い。また三越前駅など、企業名の入った鉄道駅の一部は、設置を要望した(あるいは設置資金を拠出した)企業の名称が用いられることがある(事例多数に付き割愛。請願駅の項目も参照のこと)。
下記は命名権取得ではない施設の例。なお、下記の施設に別途命名権による名称がつけられる場合がある。