一般国道 | |
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国道152号 | |
地図 | |
総延長 | 264.8 km |
実延長 | 256.3 km |
現道 | 240.4 km |
制定年 | 1953年(昭和28年)指定 (1970年(昭和45年)変更、1993年(平成5年)延伸) |
起点 | 長野県上田市 大屋交差点(北緯36度22分19.17秒 東経138度17分35.43秒 / 北緯36.3719917度 東経138.2931750度) |
主な 経由都市 |
長野県茅野市、伊那市、飯田市 |
終点 | 静岡県浜松市中央区 北島交差点(北緯34度43分40.57秒 東経137度47分10.27秒 / 北緯34.7279361度 東経137.7861861度) |
接続する 主な道路 (記法) |
国道18号 国道20号 国道1号 |
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国道152号(こくどう152ごう)は、長野県上田市から茅野市を経由して、静岡県浜松市中央区に至る一般国道である。
長野県上田市から、同県内の八ヶ岳や南アルプスの山間部を縦断して、静岡県の天竜川や支流の水窪川に沿って浜松市街に下る国道路線。かつての杖突街道および、「塩の道」として物資交流があった秋葉街道を踏襲している[1]。路線上には信州の代表的な峠である青崩峠と地蔵峠の2箇所に車両交通不能区間があるほか[1]、山岳地帯では幅員の狭い区間が多く、ホイールベース5 m超の大型車では本道を用いた長野県と静岡県の往来は不可能である。このため、静岡・長野県境の山岳地帯では、本道に併走するかたちで三遠南信自動車道の整備が進められている。
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
赤石山脈の山岳部を越える道は、かつて塩が採れない信州に太平洋から塩を運ぶための「塩の道」もしくは、旧秋葉街道ともよばれ[5]、戦国時代の武将武田信玄が上洛を目指し進軍した街道でもある[6]。
秋葉街道の青崩峠には、大坂夏の陣の後に豊臣方の落人が信濃国に入国しないよう徳川家康の命で遠山土佐守が梁木島番所を設置し、1870年(明治3年)に廃止されるまで遠山氏が番所の役人を務めた[7]。
道路法(昭和27年法律第180号)に基づく二級国道として初回指定された路線のひとつである。国道指定当初は、長野県飯田市から愛知県北設楽郡三輪村[注釈 9]まで二級国道151号と重複し、同村からは現在の静岡県道・愛知県道9号天竜東栄線を経て静岡県磐田郡二俣町[注釈 10]の鹿島橋交差点に至り、同交差点からはバイパス化を除けば現在と同等の経路によって終点の浜松市に至る路線として指定された。1969年(昭和44年)公布の政令により、翌1970年(昭和45年)4月1日に経路が変更されて、飯田市から長野県下伊那郡上村[注釈 5]を経由し、同村からは青崩峠を経由して終点の浜松市に至る路線となった[8]。1975年(昭和50年)に施行された国道256号の経路変更に伴って飯田市から下伊那郡上村にかけてが同国道と重複区間となり[9]、1993年(平成5年)に起点から一部区間(飯田市 - 長野県下伊那郡上村)を国道256号の単独区間とし、国道256号の一部(茅野市 - 長野県下伊那郡上村)および長野県道11号上田茅野線[10][11]を編入することで現在の経路となった[12]。また、終点である浜松市中央区の北島交差点から連尺町交差点にかけての区間は、かつて国道1号で、中間にある子安交差点から連尺町までは旧東海道の区間でもある。
一般国道の一部区間が途切れている分断国道は全国に複数あるが、国道152号は車両通行不可能な分断区間が2箇所に渡って存在する一般国道の中でも非常に珍しい路線である[17]。 浜松市中央区のメインストリートとなっている「大手通り」(下池川町交差点 - 連尺交差点)は6車線を有する[18]。その一方で、青崩峠付近など赤石山脈沿いの山岳路では自動車1台分の道幅しかなく、地域によって道路整備度の落差が大きい[18]。特に、分杭峠、地蔵峠、青崩峠付近の道路では車両でのすれ違いは困難である[19]。地蔵峠と青崩峠には車道は通じておらず、峠を越えるためには登山道を徒歩で登っていくか、車両で通行する場合は林道で迂回する必要がある[19]。車両通行不可能な未開通区間があるため、いわゆる「酷道」のひとつに数えられていて、青崩峠は兵越林道(ひょうごえりんどう、ひょうごしりんどう)、地蔵峠は蛇洞林道(じゃほらりんどう)で迂回することができる[17]。
青崩峠は、その名が示すとおり青っぽい色の岩盤が非常に崩れやすく地質が脆いところで、何度か地質調査が行われたが、あまりの崩落の激しさから技術上の理由でトンネル工事を断念せざるを得ず、国道に指定されてから半世紀以上を経ても不通区間解消には至っていない[20]。
浜松市天竜区の青崩峠付近にある草木トンネルは、もともと三遠南信自動車道(国道474号)の一部として供用された区間である。青崩峠付近は地質が脆いため、兵越峠へ迂回するルートとして先行して建設されたトンネルであるが、その先の周辺地盤がもろく高規格幹線道路としては不適格であることが判明したため、三遠南信自動車道のルートとしては放棄、一般道へ格下げする改修を経て、国道152号に編入された区間である[21]。
分断区間以外でも、自然災害によって通行止が度々発生していて、2020年には令和2年7月豪雨によって通行止が発生し、迂回路となっていた静岡県道285号大輪天竜線も10月14日に土砂崩れが発生したため、沿線は寸断状態となっている[22]。
長野県長和町 - 茅野市芹ヶ沢は「大門街道」、茅野市芹ヶ沢交差点 - 同市御座石神社交差点は「メルヘン街道」、茅野市御座石神社交差点 - 同市あけぼの隧道は「ビーナスライン」、杖突峠越えは「杖突街道」という別名がある。また、長野県伊那市 - 静岡県浜松市間は、古くから太平洋でとれた塩を信州へ運ぶための交易路「塩の道」としてよく知られる「秋葉街道」の別名がある。浜松市中央区連尺町 - 同区北島町は「東海道」で、国道1号の旧道の一部だった区間が国道152号へ変更されたものである。
長野県内は八ヶ岳を横断し、南アルプス西側の谷に沿う山岳道路で、北から順に大門峠、杖突峠、中沢峠、分杭峠、地蔵峠、青崩峠と6つの峠を越えてゆく[25]。 本国道が通る谷は中央構造線と呼ばれる地質活動で出来たもので、大鹿村北川に見られる断層崖(北川露頭)は日本ジオパークに指定された。不通区間となっている地蔵峠と青崩峠も中央構造線の破砕帯上に位置する難所であることから、地盤がもろく崩れやすい地質であるためにトンネル掘削が困難とされており、この周辺一帯は緑の深い山林で民家もほとんど見られず、秘境ともいわれている[26]。浜松市街地周辺で平野となり、同市の都市部中心街のメインストリートとなっている。