大追跡 (テレビドラマ)

大追跡
ジャンル 刑事ドラマ
企画 加藤教夫(日本テレビ)、梅浦洋一東宝
脚本 播磨幸治、柏原寛司、永原秀一ほか
監督 長谷部安春、村川透ほか
出演者 加山雄三
沖雅也
長谷直美
柴田恭兵
藤竜也ほか
ナレーター 森山周一郎
オープニング 大野雄二「大追跡のテーマ」
エンディング 同上
製作
プロデューサー 山口剛日本テレビ)、石井幸一東宝
制作 日本テレビ東宝
放送
音声形式モノラル
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1978年4月4日 - 1978年9月26日
放送時間火曜 21:00 - 21:54
放送分54分
回数26
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大追跡』(だいついせき)は、1978年4月4日から9月26日まで、日本テレビ系列で毎週火曜21:00 - 21:54(JST)に全26話が放送された、東宝制作の刑事ドラマ

概要

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あらすじ

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凶悪犯罪がはびこる港町・横浜。検挙率低下に悩む県警本部[1]刑事部長は、県下で発生するあらゆる事案への介入権を有し、所轄レベルの捜査では進展しない事件に全くの別行動で対処する特殊セクション「遊撃捜査班」を設置した。

メンバーは警察組織から逸脱した5人の刑事のみで、検挙率アップという実績を達成しなければ即時廃止される。彼らは所轄刑事たちから死肉を掠め盗るハイエナのように忌避されながらも、犯罪者との孤立無援の戦いにひたすら挑み続ける。

特徴

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大都会 PARTII』(石原プロモーション制作)の後番組として制作された本作品は、原案者である岡田晋吉の元に、東宝出身の加山雄三自らオファーを持ち掛けたことがきっかけで、まず加山ありきの企画として立ち上げられた。一方で、プロデューサーの山口剛藤竜也主演の作品を構想していたものの、当時は藤主演のテレビドラマ作品が存在せず、営業サイドからも藤単独主演の作品について難色を示されていた。藤が岡田からこの企画を提示された時に、山口は「本当の主演はあなたで、加山さんは『太陽にほえろ!』の石原裕次郎さん的なポジションで控えるということです」といった内容で説明し、藤の出演の了承を取り付けたという経緯がある[2]。(山口は日活映画『野良猫ロック』シリーズが頭にあったと語っている[2])結果として、藤は本作品で2年のブランクからの俳優復帰となった。

岡田らによる企画原案『追跡者』の段階では、アクションとともに人間ドラマ色を強くアピールした作品として立案されており、シリーズ当初も海外ドラマ風のオーソドックスなアクションドラマとしてのカラーが強いものであったが[2]、回を追う毎に出演者によるアドリブや、コメディ色を加味した独特の作風へと変化していった。

前出の『追跡者』の企画書の段階では、主人公は大河内英一[3]、水原慎介、矢吹史朗の3人の刑事で、結城佳代子は刑事ではなく「連絡係」、滝本稔に至っては企画段階では存在しなかった[4]。この滝本役に関しては、当時ミュージカル劇団「東京キッドブラザース」に所属していた柴田恭兵が、監督の村川透の強い推薦により抜擢され、柴田の連ドラ初レギュラー作品となった[4]。視聴率はニールセン調査で初回19.5%、第21話では22.3%を記録するなど好調に推移し、続篇の企画も立てられた。この続編企画は、紆余曲折を経て『俺たちは天使だ!』(1979年)へと結実するが、後にメインキャストである沖雅也が死去したことにより、オリジナルキャストによる続篇は実現不可能なものとなった[5]

横浜が舞台の刑事ドラマ[6]の特徴として、ロケ地が関内山手中華街など横浜市中区エリアに偏る傾向がある。本作品もこれら中区エリアが主なロケ地であるが、横浜最大の繁華街である横浜駅周辺もロケ地として数多く登場する。さらにメインキャラクターの所属を、所轄署ではなく県警本部に設定したことにより、逗子市逗子マリーナ南足柄市川崎市多摩区(百合丘王禅寺など現在の麻生区に当たるエリア)など、横浜のみならず神奈川県内の幅広い場所でロケが行われた。ロケ現場を訪れていた一般の見物人を、沖や藤らが自家用車で次のロケ先まで乗せていくことも多かったという[5]

登場人物

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遊撃捜査班
遊撃捜査班班長。階級は警部。捜査第一課時代、銀行篭城事件で強行突入を指示した結果、2名の犠牲者を出したため、引責左遷の形で遊撃捜査班班長に任命される。
一見冷酷非情で、捜査のために水原たちを敢えて危地に立たせることも多いが、それは部下を信頼してのことであり、苦衷をにじませた表情を垣間見せることもある。弾道学のスペシャリストという設定も用意されており、劇中ではライフル狙撃の名手として自ら前線に立つ場面も多い。
  • 水原 慎介(みずはら しんすけ)藤竜也
遊撃捜査班の部長刑事。
性格はややルーズで通俗的な分、枠に囚われた了見を嫌う型破りな男。非情とも思える新田の命令には真っ向から反発し、他のメンバーが「新田さん」と呼ぶのに対し、彼だけは「新田」と呼び捨てにすることが多い。しかし、県警上層部から無理難題を押し付けられる新田の苦労には、理解を示している様子。
赤いジャンパーにジーンズ姿がトレードマークで、斜に構えたポーズを取ることが多いが、トレーニングを欠かさない肉体派でもある。酒と女が大好きで、酒がらみの失策がしばしばある一方、女性は優しく丁重に扱うので、事件解決の糸口になったことも何度かあった。
  • 矢吹 史朗(やぶき しろう)沖雅也
遊撃捜査班の刑事。
真面目一辺倒で、融通が全く利かない堅物刑事であるがゆえに遊撃捜査班に転属させられた。しかし水原や滝本に感化され、次第に砕けた様子を見せるようになっていった。空手の達人である一方、カナヅチという弱点があるが、それを逆手にとって容疑者を脅したことがあった。
遊撃捜査班の刑事。
現代風の若者。緊張感のある表情を見せることは少ないが、犯罪を憎む刑事魂は真っ当に持ち合わせている。お調子者で人がよく、遊撃捜査班のムードメーカー的存在。
遊撃捜査班の刑事。
男性顔負けのドライビングテクニックと、気性の荒さの持ち主。他人から女性扱いされ、見下されることが大嫌いだが、それでも時折見せる女らしい表情で、水原にはかわいがられている。
その他
  • 高岡 巌(たかおか いわお)渡辺文雄(セミレギュラー)
県警本部刑事部長・警視正。県内の犯罪検挙率アップという大義名分の下に遊撃捜査班を編成した人物。様々な難事件を強引に遊撃班へ押し付けつつ、組織内の風当たりが強い彼らを政治面でサポートする。
遊撃班メンバーの溜まり場となっている喫茶店「みなとコーヒー」のマスター。四六時中チェスに耽り、チェスに関する様々な蘊蓄を垂れるが、実際はそれほど詳しくはない。腕相撲が異様に強かったり、妙な知識に詳しいなど、謎が多い人物。

スタッフ

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放送日程

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放送回 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト出演者
1 4月04日 ハイエナが集まった 播磨幸治 長谷部安春 宍戸錠川合伸旺黒部進穂積隆信八名信夫灰地順阿藤海
2 4月11日 狙撃者スナイパーの目が光る 柏原寛司 藤岡重慶岡本麗井上博一松山照夫山本廉井上茂
3 4月18日 悪女が躍る 永原秀一 村川透 吉行和子山口美也子清水綋治中島葵
4 4月25日 首領ドンを撃て 播磨幸治 中島ゆたか南原宏治岡崎二朗林泰文大前均山本清
5 5月02日 潜入刑事 永原秀一 長谷部安春 曽根晴美片桐竜次田口久美天本英世汐路章
6 5月09日 ワルは眠らせろ 佐治乾 青木義朗八城夏子片岡五郎関山耕司武藤章生

外山高士榎木兵衛

7 5月16日 札束と赤いバラ 和久田正明 村川透 伊佐山ひろ子丹古母鬼馬二辻萬長

田中明夫粟津號中井啓輔

8 5月23日 必死の追走 柏原寛司 緑魔子深江章喜磯村健治山西道広上野山功一、宍戸錠
9 5月30日 現金輸送車強奪 澤田幸弘 浜田晃三谷昇福本清三伊藤高
10 6月06日 永原秀一 林ゆたか織本順吉中西良太、穂積隆信
11 6月13日 女豹が跳んだ 柏原寛司 野田幸男 青木英美宮口二朗野瀬哲男
12 6月20日 殺し屋に墓はない 和久田正明 片桐竜次、川崎あかね佐原健二中田博久
13 6月27日 横浜チンピラ・ブギ 金子成人 村川透 峰のぼる国谷扶美子飯山弘章草薙幸二郎宮井えりな
14 7月04日 大逆転 峯尾基三 待田京介テレサ野田、岡本麗、関川慎二
15 7月11日 黒い影 柏原寛司 松森健 睦五朗大下哲矢絵沢萌子、八名信夫、二見忠男
16 7月18日 暴行魔Wダブル 和久田正明 西村潔 大野木克志麻生淳子門馬勝美
17 7月25日 殺し屋 金子成人 風吹ジュン岸田森蟹江敬三山本麟一
18 8月01日 レディー・キラー 柏原寛司 松森健 石橋蓮司志賀勝田中浩、黒部進、頭師孝雄

草薙幸二郎、野川愛森愛小笠原弘

19 8月08日 ご不要な亭主、始末します 永原秀一
柏原寛司
櫻井一孝 丹古母鬼馬二、川崎あかね、稲野和子、伊佐山ひろ子、
田口久美、中島葵、宮井えりな、山口美也子、横森久

中庸介北川陽一郎

20 8月15日 日の丸愚連隊 蘇武道夫 曽根晴美、近藤宏山本昌平小林昭二、阿藤海
21 8月22日 危険なハイウェイ 峯尾基三 西村潔 ホーン・ユキ、南原宏治、松本敏男
22 8月29日 淳子のミステリー・ゾーン 佐治乾 大信田礼子大塚国夫、浜田晃、内田昌宏金井美稚子
23 9月05日 殺人刑事ウォンテッド 和久田正明 小澤啓一 菅貫太郎小池雄介、岡本麗、岡本ひろみ

梅津栄、粟津號

24 9月12日 爆殺魔 峯尾基三 清水紘治、蟹江敬三、清水理絵仙波和之
北川欽三五條博花原照子久遠利三柿沼大介
25 9月19日 横浜コネクション 山田正弘
柏原寛司
小池要之助 山本麟一、片桐夕子、片桐竜次、金子研三下之坊正道
石光豊大竹智子藤原すみよ小山ひとみ菅沼赫
26 9月26日 サヨナラは銃弾で… 柏原寛司 村川透 安部徹、大前均、宇南山宏吉浜正皓、草薙幸二郎、

潮健児三角八郎根岸一正、阿藤海、

松田優作(特別出演)、中島ゆたか(特別出演)[7]

音楽

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「大追跡のテーマ
Theme from “THE GREAT CHASE”
ユー・アンド・エクスプロージョン・バンドシングル
A面 大追跡のテーマ
B面 黄昏は男の香り
リリース
ジャンル ポップス
劇伴
インストゥルメンタル
時間
レーベル ディスコメイトレコード
(DSK-122)
プロデュース 大野雄二
飯田則子
鈴木清司
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いずれも作曲は大野雄二。

オープニング・エンディング:「大追跡のテーマ」
演奏:大野雄二とYou & The Explosion Band
2005年に発売された大野雄二のアルバム『Made In Y.O.』には、大野自身のアレンジによる「大追跡のテーマ」のセルフ・リメイクバージョンが収録されている(VAP VPCG-84811)。
挿入歌:「Shadows of a Man」「I'll Be Gone」
作詞:奈良橋陽子、歌:Tom Snyder
エンディングシーンで度々使われたヴォーカル曲「Shadows of a Man」は、番組中や後述のサウンドトラック盤LPではノンクレジットだったが、CD化の際に番組内では未使用の「I'll Be Gone」と共に、トミー・スナイダーゴダイゴのドラマー、CDではTom Snyder名義)の歌唱であることが明らかにされた。
その他

第13話「横浜チンピラ・ブギ」では、「協力」としてヴァイオリニストの辻久子がクレジットされている。同話数では作中にもヴァイオリンを基調とした音楽が多く挿入されている他、作中に登場した3500万円のストラディバリのヴァイオリンが、最後は辻の元に戻るというストーリーも盛り込まれている。

サウンドトラック盤は、放送当時ディスコメイトレコードより1枚リリースされている他、1992年にはバップの「ミュージックファイル」シリーズから音楽集CDが発売された。前出のテーマ曲シングル、それにサントラ盤の収録曲に加え、モノラル録音による汎用BGMを収録。1997年には未収録曲をフォローしたVol.2も発売された。

「大追跡のテーマ」は、後に同じ日本テレビ系列のスポーツ情報番組『独占!!スポーツ情報』のオープニングテーマとしても使われ(1990年代中頃)、さらに1980年代終盤にはザ・グレート・カブキの入場テーマにも使われた。また、サントラ盤に収録のBGM「One O'clock Fever(非常線25時)」も、1980年代前半に『ズームイン!!朝!』の一コーナー「あどべんちゃあレディ」のテーマ曲に使われていた。

スタッフ

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脚注

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  1. ^ 作中では「県警本部」とは呼称されるものの、「神奈川県警」という呼称までは登場しない。また、県警本部の玄関には「奈川県警察庁」と表記されており、パトカーの表記も「警察庁」とされている。
  2. ^ a b c 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』DU BOOKS、2015年4月10日、170-173頁。ISBN 978-4907583347 
  3. ^ 第1話の準備稿まではこの名前とされていたが、その後加山の依頼により彼の知人の名前から取る形で、新田英一へと変更されている。
  4. ^ a b 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』DU BOOKS、2015年4月10日、174-176頁。ISBN 978-4907583347 
  5. ^ a b 『沖雅也と「大追跡」: 70年代が生んだアクションの寵児』ワイズ出版、2008年11月1日。ISBN 978-4898302316 [要文献特定詳細情報]
  6. ^ 本作品の制作当時、横浜みなとみらい21はまだ開発されていなかった。
  7. ^ 松田・中島の両名とも、同話数の演出を手がけた村川透が当時並行して撮影していた映画『殺人遊戯』の出演者である。
日本テレビ系列 火曜21:00 - 21:54
前番組 番組名 次番組
大都会 PARTII
(1977年4月5日 - 1978年3月28日)
大追跡
(1978年4月4日 - 9月26日)
大都会 PARTIII
(1978年10月3日 - 1979年9月11日)