創業地区に建つドームシティーガスビル
大阪舎密工業
大阪ガス株式会社(おおさかガス、登記上の商号:大阪瓦斯株式会社、英: OSAKA GAS CO.,LTD.[2])は、主に近畿地方(関西エリア)を販売エリアとするガス会社。略称は大ガス(ダイガス)[注 1]。導管部門の子会社に大阪ガスネットワークがある。海外展開も視野に入れて2018年、子会社や関連会社を含む155社の公式な名称をDaigas Group(ダイガスグループ)とした[3]。東京ガス、東邦ガス、西部ガスと並ぶ大手4大都市ガス事業者の一つである[注 2]。日経平均株価の構成銘柄の一つ[4]。
都市ガスの販売量では全国2位(約73億m3、シェア20%、2019年3月時点)。ガス導管総延長は約63,100km(2021年3月時点)[5]に及ぶ。本社は大阪府大阪市中央区に所在する。
旧野村財閥の中核であるため大和銀行(現・りそな銀行)と親密である。
主な事業内容は
- ガスの製造、供給および販売
- LNGの供給および販売
- 電力の発電、供給および販売
- ガス機器の販売
- ガス工事の受注
となっている。
大阪ガスは企業競争力のベースを技術に求めており、研究開発は最も重要な企業差別化戦略の一つと考え、様々な新技術の研究開発、実用化に積極的に取り組んでいる。その中には「低輻射方式」(機器表面の熱を下げることで輻射熱を低減する方式。"涼しいガス厨房シリーズ" 涼厨機器を二重構造にし、機器内側の空気の流れにより機器表面の熱を奪うことで輻射熱を低減)などがある。ガス製造所は泉北製造所第1工場・第2工場(大阪府堺市・高石市、LNGタンク22基)、姫路製造所(姫路市、LNGタンク8基)である。
ガス供給のほか、電力の卸・小売事業も行っている。また、同業者の岡山ガス、四国ガス、大津市企業局、静岡ガス、日本瓦斯などへ天然ガスの卸売り[注 3][6][7]を行うほか、関西電力、沖縄電力へも発電向けの都市ガス供給を行っている[8]。発電事業はグループ会社を含め、合計、国内約181万kW、海外約120万kWの発電施設を持ち、卸・小売を行っている。2009年(平成21年)からは、泉北地区に卸売電力事業者[要曖昧さ回避]の発電所としては国内最大級の110万kWの泉北天然ガス発電所を設置し、関西電力、中部電力などに卸売している[9]。他、同社は、2016年春からの電力小売自由化を視野に、丸紅などと共同で茨城県内で石炭火力発電所の新設を計画していたが、原子力発電所の再稼働などで採算が厳しくなるなどの理由で、2015年までに計画を断念した[10]。
りそなHDと親密関係にある。第二次世界大戦前は野村財閥の中核企業の一つだった。現在も本社ビル(大阪瓦斯ビルヂング、通称ガスビル。安井武雄の設計になる戦前期モダニズム建築の傑作として知られ、国登録有形文化財である。)の1階には、主力銀行でもあるりそな銀行の御堂筋支店がある。また同社は、旧大和銀行系列の企業集団に当たる大輪会にも加盟しているが[11]、三和グループの社長会・三水会とその後身社長会である水曜会にも加盟している[12]。ただしみどり会には未加盟である。大阪財界を支える有力企業であり、大阪商工会議所の会頭を度々輩出している[13]。
東南アジア(タイ王国、シンガポール、インドネシア)など日本国外にも進出しており、2030年度には利益の3割を海外事業で稼ぐことを目標としている[14]。アメリカ合衆国では火力発電所の運営(ミシガン州およびコネティカット州、ペンシルベニア州)、LNG基地やシェールガス開発(テキサス州)に出資または参画している[15][16]。
2022年3月より、NTT西日本・JCOM・ソニーネットワークコミュニケーションズとの提携で「さすガねっと」[注 4]を開始してISP事業に参入した。これにより、ガス・電気のみならず通信事業でも関西電力グループと競合することになった。
- 1897年(明治30年)4月 - 大阪市西区九条大字岩崎(現・千代崎三丁目)において設立(創業地には記念碑が建立されており、また大阪ドーム(京セラドーム大阪)そばにドームシティーガスビルが建設されている)。
- 1898年(明治31年) - 大阪舎密工業株式会社操業開始[17](舎密は化学の意味)。
- 1905年(明治38年)10月 - 大阪市内でガス供給開始。
- 1911年(明治44年) - 和歌山瓦斯操業。和歌山市内にガス供給開始。
- 1925年(大正14年) - 大阪舎密工業を合併[17]。
- 1945年(昭和20年)10月 - 神戸、京都、和歌山など14ガス会社を合併。
- 1958年(昭和33年) - アルファベットの「o」と「g」(Osaka Gas)を組み合わせた、現在のロゴマークが制定(全国公募による作品。1985年(昭和60年)には、同社の正式な社章となった)。
- 1970年(昭和45年)2月 - 千里中央地区センター地域冷暖房営業開始(日本で最初の地域冷暖房事業)。
- 1971年(昭和46年)10月 - 泉北製造所第一工場が稼動開始。
- 1972年(昭和47年)12月 - 泉北製造所第一工場にブルネイLNG導入開始。
- 1977年(昭和52年)8月 - 泉北製造所第二工場が稼動開始。
- 1984年(昭和59年)3月 - 姫路製造所が稼動開始。
- 1990年(平成2年) - 天然ガスへの転換完了。以降、同社が供給する都市ガスには一酸化炭素は含まれず、ガス自体に毒性はない。
- 1995年(平成7年)1月17日 - 阪神・淡路大震災発生。二次災害防止のため、特に神戸市を中心とした約85万世帯のガス供給を一時停止。そのうち約15万世帯が倒壊などで供給できなくなる。
- 2004年(平成16年)9月 - 中部電力と共同で三重県四日市市の火力発電所と滋賀県と結ぶ滋賀-三重パイプラインを敷設すると発表、2010年(平成22年)完成を目指す。
- 2005年(平成17年) - 創業100周年。企業ステートメント「Design Your Energy:夢ある明日を」を制定。
- 2006年(平成18年)
- 9月 - パロマ湯沸器死亡事故を重く受け止め、安全装置未設置の風呂釜湯沸器の買い替えを促すため、3年間で100億円を投じ、安全装置付きの風呂釜湯沸器を通常より半値以下で販売すると発表。
- 12月 - 同社の関連会社のリキッドガス(現・大阪ガスリキッド)の家庭用液化石油ガス事業の再編を発表。販売部門は大阪ガスLPG株式会社、充填及び配送部門は大阪ガスLPGサービス株式会社、工事部門は株式会社リキッドガス京都に再編し、2007年(平成19年)4月から営業開始。
- 2007年(平成19年)
- 2008年(平成20年)
- 2014年(平成26年)
- 2016年(平成28年)
- 4月 - 一般家庭向け電力小売全面自由化に伴い、家庭用および小口業務用電力供給事業に参入。
- 2017年(平成29年)
- 2018年(平成30年)
- 3月 - 新グループブランド「Daigasグループ」導入
- 2019年(4月までは平成31年。5月より令和元年)
- 3月 - 木質バイオマス火力発電向けの燃料チップ供給会社設立を発表[27]。
- 9月 - エネルギー分野における中心的役割を担う基盤会社3社を設立し、2020年4月から事業を開始することを発表[28]。
- 2020年
- 5月 - 首都圏を中心にリノベーション事業を行っているグローバルベイス株式会社(社長:茂木敬一郎、以下「グローバルベイス社」)の株式を2020年5月1日に取得。
- 2021年(令和3年)
- 4月 - 大手都市ガスの導管部門法的分離規制により、100%子会社である大阪ガスネットワーク株式会社を設立し、2022年4月より大阪ガス株式会社における一般ガス導管事業を同社が承継することを発表[29]。
- 2022年(令和4年)
- 4月 - 大阪ガスネットワークの営業開始
- 4月 - ガスビル西側の社有地での複合ビル開発、並びに本社ビルである大阪瓦斯ビルヂング(ガスビル)のリノベーションの検討を開始すると発表。登録有形文化財であるガスビルの保存については、保存検討委員会を設けて検討を進めるとしている[30]。
- 2023年(令和5年)
※ その他多数、ガス機器参照
大阪ガスが関西電力送配電のサービスを提供する地域(近畿2府4県)を対象とした特典付きサービスによる電気とガスのセットプランがある。これらは対象外地域への引っ越しや、他の電力(提供)会社への乗り換えなどで解約をしない、または大阪ガスにおけるサービス提供の終了がない限り、更新時に1年間の年会費無料優待クーポンがもれなく送付される。
以下は大阪ガスが各地の電力会社の送配電部門と提携して全国展開している(いた)サービス(東京電力パワーグリッドの対象域である関東地方を中心とした地域は大阪ガス・中部電力ミライズの合弁企業である「CDエナジーダイレクト」を通して提供)
大阪ガスサービスショップ(以下OGSS)は、大阪ガスのサービスエリア内のガス器具類販売店で大阪ガスサービスショップ協会に加入している者である。当社はOGSSにガス栓工事、内管工事、工事設計施工、転宅時のガス栓の開閉申込受付の業務を委託している。またOGSSは、前記委託事業に加えて、大阪ガスのガス機器の販売・設置(および関連商品の販売・設置)等を個別の事業として行っている[32][33]。
- gas is best やっぱりガス! (1962年(昭和37年) - 1984年(昭和59年) )
- day by day きっといい明日 (1985年(昭和60年) - 2005年(平成17年) )
- みなさまの大阪ガス (2005年(平成17年)まで提供クレジットで使用)
- Design Your Energy 夢ある明日を 大阪ガス (2005年(平成17年) - 2015年(平成27年))
- 暮らしに、あかりを、ぬくもりを。大阪ガス(2016年(平成28年) - 2020年(令和2年))
- ぐっとそばで、ぐぐっとミライ。(2020年(令和2年) - 現在)
現在のグループ企業は、公式サイトのDaigasグループ会社一覧を参照。
※特記無きものは全て株式会社である。
- オージー・ロイヤル
- キンレイとロイヤル(現・ロイヤルホールディングス)の合弁だったが、2004年(平成16年)3月までにキンレイ保有の全株式をロイヤルに売却してグループ離脱。現・ロイヤル関西。
- ハーマン
- 大阪ガスが買収したターダ(旧・多田金属工業)と陽栄製作所(ダンホット)の2社が1986年(昭和61年)4月に合併して誕生した旧ハーマン(現・ハーマンプロ)からガス器具関連部門が分離独立する形で設立。その後、元親会社の当社と提携関係にあったノーリツに買収されてグループ離脱。
- ハーマンプロ
- 旧・ハーマン。ハーマン同様、ノーリツに買収されてグループ離脱。
- キンレイ
- 冷凍食品の製造など。キャス・キャピタル傘下に入り、2006年(平成18年)以降はグループ離脱。
- ホームプロ
- リフォーム仲介。リクルート傘下に入り、2006年(平成18年)以降はグループ離脱。
- オーユーデー
- 温浴施設経営。ツルカメO&E傘下に入り、2012年(平成24年)以降はグループ離脱。
- エルネット
- フリーペーパー『ぱど』の関西版発行など。2014年(平成26年)に会社分割を行い、『ぱど』の関西版発行などの事業を新設会社の株式会社エルネット(2代)に承継させ、2代はウイルコホールディングス傘下に入り、グループ離脱。エルネット(初代)は、大阪ガス行動観察研究所株式会社に商号変更し、マーケティングソリューション事業などを継続したが、2015年(平成27年)7月に株式会社オージス総研へ吸収合併。
- プラネットワーク
- ゲストハウスウエディング事業。千趣会傘下に入り、2015年(平成27年)4月以降はグループ離脱。
- 大阪ガスコミュニティライフ
- マンション・ビル管理事業。伊藤忠アーバンコミュニティ傘下に入り、IUCコミュニティライフ株式会社に商号変更。2015年(平成27年)12月以降はグループ離脱。
- キッコリー
- ホームセンター事業。2002年コメリに売却してグループ離脱。
- 長野プロパンガス
- 長野県内でLPG・灯油の販売、ガス・石油機器類の販売など。本社:上田市。1954年7月設立。2002年4月より当社グループ傘下に入り、グループ離脱直前時点で日商LPガスが発行済株式総数の4割を保有していた。
- 2017年8月、当時の長野プロパンガス社長が同住所に設立したNPGホールディングスが大阪ガス保有株式のすべてを取得しグループ離脱[34]。2018年7月に株式会社エキナスに商号変更[35]。
- オージースポーツ
- フィットネスクラブ・COSPAの運営事業。2022年7月1日にセンコーグループホールディングス株式会社が大阪ガス保有株式のすべてを取得しグループ離脱。
現在のCM出演者
- 上戸彩(『さすガっス!』、『たのむよ人間』シリーズ)
- ロザン(『サービスショップ:くらしプラス』シリーズ 起用当初は菅広文のみ単独で出演、途中から宇治原史規も出演)
- WEST.(『さすガっス!』、『電気代エット』)
上記の3人はCM内では『さすガっス隊』と呼ばれている。
過去の出演者
2012年1月より、俳優の大沢たかおを起用した『ガ、スマート』シリーズが放映されていた。(東邦ガス・広島ガスでも社名を差し替えて放映されていた。)
提供テレビ番組
過去の提供テレビ番組
以前は、上記番組などで一社提供番組にはオープニングキャッチが放送されていたが、現在[いつ?]オープニングキャッチを流している番組は『魔法のレストラン』と『大阪ほんわかテレビ』の2本だけとなった(なおOPキャッチは流れるが番組としては同社を筆頭とした複数スポンサーの提供によって放送されている)。
- ^ 新聞の株式欄での略称も「大ガス」となっている。また、OSAKA GASから「OG(オージー)」という略称もあり、社名に「オージー」が入る関連会社もある。
- ^ 日本ガス協会の会長職は、大阪ガスと東京ガスから持ち回りで選出される。
- ^ 大阪ガス姫路製造所から岡山ガス築港工場へ、両事業所間を結ぶパイプラインや大型LNGタンクローリーを使用して天然ガスを卸している。
- ^ 「さすガねっと」自体は提携先の光ケーブルもしくはケーブルテレビ回線を利用したサービスであり、関西電力が自社で保有する光ケーブルを用いた「eo光」とはサービスの性質が異なる。ただし、eo光を提供するオプテージの前身にあたる大阪メディアポートには大阪ガスも出資していた。
- ^ ガスヒーポンのCMに登場するタヌキの名前は「えねまる」という。近年では、ロザンがえねまるの着ぐるみを着て出演するCMも見られる。
- ^ 関西ジャニーズJr.のLil かんさいとコラボしたキャンペーンや、テレビ大阪で2020年10月から1年間、彼らを起用した生放送番組「ミライヤー」に大阪ガスグループが協賛していたことによる企画商品
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