やまじ かずひろ 山路 和弘 | |||||
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山路和弘(2017年) | |||||
本名 | 山路 和弘[1][2] | ||||
生年月日 | 1954年6月4日(70歳) | ||||
出身地 | 日本・三重県[3][4]伊賀市[5] | ||||
身長 | 172 cm[6] | ||||
血液型 | A型[6][7] | ||||
職業 | 俳優、声優、ナレーター | ||||
ジャンル |
テレビドラマ、映画、舞台、 アニメ、吹き替え、 ナレーション | ||||
活動期間 | 1979年 - | ||||
配偶者 | 朴璐美(2020年 - ) | ||||
事務所 | フリー | ||||
公式サイト | 山路和弘 Official Website | ||||
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山路 和弘(やまじ かずひろ、1954年〈昭和29年〉6月4日[6][7][3][4] - )は、日本の俳優、声優、ナレーター。三重県[3][4]伊賀市[5]出身、フリー[8]。妻は女優、声優の朴璐美[9]。
三重県立上野高等学校卒業[10]後、1977年に青年座研究所に第一期生として入所[3][4]。1979年に劇団青年座に入団[3][4][11]。舞台、ミュージカルのほか、映画、テレビドラマなど俳優として幅広く活躍する一方、声優としても非常に数多くの洋画作品で吹き替えを担当[12]。
2011年4月、『宝塚BOYS』の池田和也、『アンナ・カレーニナ』のニコライ・カレーニンの役の演技に対して、第36回(2010年度)菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。
2018年1月、『江戸怪奇譚(たん)〜ムカサリ〜』、『喝采』の演技に対して、第59回(2017年度)毎日芸術賞(演劇・演芸・邦舞部門)を受賞[13]。
2020年1月22日、女優・声優の朴璐美と結婚したことを自身のブログで公表した[14]。
2021年3月、第15回声優アワードにて外国映画・ドラマ賞を受賞[15]。
2022年12月、青年座映画放送を退所後、フリーとなる[16]。
芝居の道に入ったきっかけは元々芝居が好きだったわけではなく、文化祭で演劇を見ても、「恥ずかしくないのかな?」と思っていたという[7]。若い頃は、自分のやりたいことが分からず、色々考え、「自分の体を使ってやれるものがいいな」と思いながらも、欝々と何年か過ごしていた[7]。ある日、偶然どこかの劇団の研究生の芝居を見ており、その男性の芝居などが特別好きだった、というわけではなかった[7]。ただしその時、「芝居ってものがあるんだ!」、「自分じゃない人生をやる、自分の実体じゃないところにふっと行ける、要するに“疑似山路”がどこかにいる世界がある。」と気が付いた[7]。きっかけとしては自己逃避なのか、現実を否定したかったのか、山路自身でも分からなったが、とにかくやってみたところ、こんなことになってしまった[7]。芝居になじみやすく、当時は、人と喋ることが苦手で、自分の考えを言うのが恥ずかしかった[7]。芝居の道に入り、初めて芝居仲間に心情を吐露できるようになった[7]。芝居をしていたところ、役について「この人物って何を考えているんだろう?」などと考え、そうしていくうちに、自分の考えを言えるようになったのかもしれないという[7]。2021年時点ではお喋りだが、未だにあがり症なところはあるという[7]。
キャリアは、1977年から青年座研究所の1期生として劇団青年座に入所し[6]、舞台役者として活動を始める。
映画監督である高橋伴明との出会いから、1980年代はピンク映画を中心に活動[17]。1981年公開である『襲られた女』(高橋伴明監督作品)、1982年公開の『視姦白日夢』(水谷俊之監督作品)などで主役を演じ、また女優の大竹一重は、インタビューで「濡れ場の上手い最もセクシーな俳優」として、山路の名を挙げている[18]。
1982年には、『猟色OL犯す』で映画デビューし[3]、高橋伴明初の一般映画監督作品『TATTOO<刺青>あり』にて一般映画デビューを果たす。
1980年代後半以降は、舞台活動に専念するようになる。
また原田眞人、水谷俊之、高橋伴明監督作品の常連俳優の一人であり、原田との出会いは本多劇場で山路が舞台に出演していた時、たまたま観客席にいた原田が山路の演技を気に入り、舞台終了後、原田の方からいきなり声をかけられたことがキッカケだという。1999年公開の『金融腐蝕列島〔呪縛〕』に出演予定だったが、その時山路は舞台を2本重ねてしまっており、スケジュールが合わず辞退せざるを得なかった。 そして2001年公開の『狗神』以降、原田監督の映画に出演するようになる[19]。
2011年には、ミュージカルである『宝塚BOYS』、『アンナ・カレーニナ』に出演し、その歌唱力を評され、第36回(2010年度)菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。
2014年には、大河ドラマ『軍師官兵衛』にて毛利家に仕える外交僧である安国寺恵瓊役を熱演[20]。
2018年には、藤沢文翁原作 一人芝居『江戸怪奇譚(たん)〜ムカサリ〜』、『喝采』での舞台演技を評され、第59回(2017年度)毎日芸術賞を受賞した。
2019年には、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』にて、田畑政治が入社する朝日新聞社の当時の社長である村山龍平役を演じ、2020年には『麒麟がくる』にて細川晴元の家臣であり、松永久秀の主君である三好長慶役を演じており、2年連続で大河ドラマに出演している[21]。
舞台から役者として活動し始めた山路だが、声優として活動するのは、34歳〜35歳くらいからだったと述べている[22]。30年以上前に、あるテレビ局のプロデューサーが山路の芝居を見に来ており、山路の演技力を気に入り声をかけられたのがキッカケだという[22]。
初めて演じた吹き替えの役柄は悪役で、「演じていて凄く楽しかった」と述べている[22]。元々舞台でも悪役が多かったが、「舞台でも悪役を演じるのは好きだが、その感覚は声優も一緒だと感じたところが面白かった」と語っている[22]。
それ以降、ジェイソン・ステイサムをはじめ、ヒュー・ジャックマンやラッセル・クロウ[4]、ウィレム・デフォー、クリストフ・ヴァルツ、ショーン・ペン、ソン・ガンホ、キム・ユンソク、ヴァンサン・カッセル、ケヴィン・ベーコン、ゲイリー・オールドマン、ベニチオ・デル・トロ、アル・パチーノ[注 1]など多数の俳優の吹き替えを持ち役とする声優としても知られる[22]。
吹き替えの重要性について、山路は「最近はアクション映画が多くなっている。芝居が重なり合って、(画面の)手前で芝居をしているのに、奥でも何かが行われている。字幕では絶対に追い切れない今だからこそ、余計に我々がしているこの吹き替えの仕事が必要なのかなと思います」と述べている[24]。
山路の演技は声優業界の間でも高い人気と評価を得ており、関智一、津田健次郎などから尊敬する人物として挙げられている[25][26]。
先輩である家弓家正から「アテレコというのは錯覚だからね。まるでそんなことを喋ってるかのように見せる錯覚を起こす仕事なんだ」と言われた言葉を意識しており外国映画のアテレコは視聴者が「この外人さん、日本語うまいわねぇ」と言ってくれる感覚まで持っていくのが理想だと述べている[27]。
こと外国映画のアテレコに置いては「役者の本物の肉体が画としてはっきり見えているので言葉の意味や声だけですべてを表現するべきではない」と言うのが持論で予習も作品を繰り返し観て、元の役者の演技に注視して画を感覚的に体に入れるしかなく台本を読み込み内容を掴んで役の人なりや背景を入れることから初めるのは良い方法とは思えず、むしろ吹替の場合はサブテキストは邪魔で自分の場合は演劇の現場にも役の背景を作っていかないかもしれないと語ったこともある[28]。
また、吹替デビューした際に音響監督の山田悦司から「山路君、そんなに作らなくていいよ。向こうがあれだけ芝居を作ってるんだから君は普通に人間として喋ってくれればよい」と言われたこともあり事前にリハーサルで台本から自分の完璧な像を作って行くのはあまり意味のないことだと思うようになったとも語ったことがある[29]。
さり気なく息を吐くのと深くため息を付くのでは聞き手が全然違う感情を抱くように『息には表情がある』とのことから注意深く観察するのは吹替える俳優の呼吸と口元であり役者の呼吸に合わせていくと自然と同化していくと語った[28]。
悪役を演じる際の楽しさについて山路は、「悪役として出てきただけで観客の嫌がる匂いというか、空気を感じたときが自分たち役者としてはそれがたまらない蜜の味になり、悪役には観客がどこまで嫌がってくれるだろうかと追求する楽しさがある」と語った[22]。
山路は、アクション俳優であるジェイソン・ステイサムの吹き替えをステイサムのデビュー作である『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』以降20年近くほぼ全ての作品を担当し、専属(フィックス)となっており[22][30]、「ジェイソン・ステイサムの吹き替えでおなじみの山路和弘」と世間から認知されるほどに定着している[31]。「まるで本人が日本語でしゃべっているかのよう」と形容されることもある[32]。
山路自身もステイサムを「大好きな俳優さんなので、毎回のように吹替を任せていただけることをうれしく思っています」と敬愛しており、ステイサムの魅力について、「こどもみたいな笑顔が好き」と述べている[33]。また山路とステイサムの地声は非常に似ており[34]、山路はステイサムの吹き替えをするにいたっては、「特に何も考えなくてもステイサムの吹き替えはやりやすい」とも語り、他にもステイサムについて山路は、「あの役者はいいねぇ。無駄な芝居をしない。獣のような動きと身体」とブログにてコメントしているほど非常に気に入っている[35]。「ステイサムが一番自分に近い声ですし、作ることなく、感情の動きにあわせて自然に演じることができる俳優なんです」とインタビューで語っている[36]。そのため、「ジェイソン・ステイサムは、僕と声質が似ているのか、唸り声を上げるシーンでは、その声を聞いた時に『あれ?今のは僕の声?それともステイサムの声?』と自分でもわからなくなる時がある」とも述べ、やりやすいことに加えて、役者としても好感を持っていることから「長らく演じさせてもらえて本当に良かったです」と特別な愛着を感じているという[37]。なお、自身のファッションスタイルについてもステイサムの影響を受けていることを明かしている[38]。
山路は一番好きなステイサムの映画として、『アドレナリン』を挙げており[38]、同作について「大好きです」と述べると同時に「あれは最高。あんなにやってくれたら言うことないですよ。ただ、現場はすっげぇきつかった」とも明かした[38]。また、「ハードなアクション映画ですけど、コミカルなシーンも多い。彼自身、そういうのが好きなんじゃないかな。主人公が最初から最後までずっと走り回って暴れているみたいな。他の作品でもハードボイルドな役を演じていますが、原点はこういうアクション映画だろうと思っています」とこの作品を通してステイサムを分析している。続編『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』では、エンドロールでのステイサム本人によるNGシーンも吹き替え版では山路が声を当てた[31]。
また、自身とステイサムの声が似ていると言われる件については「自分の声が嫌いだから“似ている”と言われると“う〜む”となりますけど、彼の声は嫌いじゃない。不思議ですね」と複雑な心境を明かしている[31]。
末長く吹き替えをしていきたい役者であると同時に、一時期ステイサムが「007をやりたい」とコメントしていた件についても触れており、「彼は007のイメージに合っていると思うし、ぼくも吹き替えをしてみたいです」とステイサム本人と共にジェームズ・ボンドの吹き替えにも意欲的な姿勢を見せた[31]。
2023年以降はアニメにおいてステイサムを意識したパロディキャラクターにも山路が起用されることがあったほか[39]、他のキャラクターを演じる現場でも「ステイサムでやってください」と言われるようになり[33]、『オペレーション・フォーチュン』日本公開時には同作に絡めたコメントを出しつつも、ステイサムをテーマにしたインターネット・ミームにも触れるなど更にステイサムとの関わりが深くなっている[40]。
また、今後『エクスペンダブルズ』シリーズなどで後述するヒュー・ジャックマンやラッセル・クロウ、ウィレム・デフォーといった自身が長年声を演じてきた俳優陣がステイサムと共演する可能性について問われた際には、自身の持ち役を代わりに演じる声優には多少の嫉妬を抱きつつも、ステイサムの吹き替えを優先する意向であることを明かしている[32]。
ヒュー・ジャックマンの吹き替えを『ソードフィッシュ』(ソフト版)から長きに渡り担当している。
山路はジャックマンの演技について「ソン・ガンホもそうですが、役者さんとしてどんどん深みが増している。いい役者になったなということをしみじみと感じますね」と語っており、年齢を重ねたヒューの顔についても「(ヒュー・ジャックマンって)シワがあるじゃないですか。あれがクリント・イーストウッドの若い時に似ていて。この人の顔をどんどん良くしているようで、僕は好きなんですよね」とも語っている[41]。
山路本人もお気に入りとして挙げている作品『LOGAN/ローガン』では、ジャックマン本人が本編にアフレコをしている動画をSNSに発信した際には衝撃を受けたといい、「なんと言うか、“すみません!”という感じでしたね(笑)。“本人があんなに一生懸命やっているのだから、声を当てているオレも今以上に頑張らなきゃいけないな”と思いましたよ。彼のプロ根性には頭が下がりました」と胸の内を明かしている[42]。
ジャックマンと山路の声質は異なるものの、山路自身はほとんど違和感は感じていないといい、演じること自体はあまり難しくないとしつつも「ただ、呼吸の仕方とか、センテンスを区切るタイミングについては、自由自在なところがある」と述べ、あまり気にしても仕方がないと割り切っているとのこと[42]。
また、『The Son/息子』の日本公開時には長年ヒューの吹き替えを務めた声優として山路によるコメントも寄せられた[43][注 2]。
上述の通り、ステイサムやジャックマンといった山路の担当俳優が一つの映画作品で共演するケースが今後あった場合について問われた際には、山路の意向としてはステイサム最優先としつつも、その際山路に代わってジャックマンを演じることになる俳優には「悔しいまなざしを向けると思う」と語るなど、ジャックマンに対しても愛着を見せている[32]。
『ラフ・マジック』以降、20年以上に渡りラッセル・クロウの吹き替えも担当しており、「クロウの吹き替えでおなじみの山路和弘」と評されるほどに定着している[44]。なお、2024年には実際にクロウ本人とも交流があることも明かしている[45]。
山路はクロウの魅力について「この人の魅力はとにかく“眼差し”です。多くを語らなくても、すべてを語っているような気がして、しかも作品によって眼差しが変わる。そこがすごいところだなと思っています」と分析しており、「最近は目つきに憂いが増してきている。いい歳の取り方をしているなと思いますし、目にすべての経験が宿っているような、そんな表情に見えてきます」とクロウの演技を称賛している[45]。
吹き替えをしてきた中でも印象的な作品にクロウがアカデミー賞主演男優賞を獲得した代表作『グラディエーター』を即座に挙げており[45]、同作で主人公・マクシムスを演じたクロウの吹き替えをした際には、「役に入り込んでしまった」と話しており、特に印象深いシーンに家族を殺されてしまったときの衝撃に狂乱するシーンを、苦労したシーンに闘技場で自分の名前を名乗るシーンを挙げ、「長い名前だったので苦労した思い出があります」と照れ笑いを浮かべながら語り、クロウがアカデミー賞を獲った際は山路も喜びを感じたという[45]。クロウのような重量感のある俳優は、普段の自分とはかなりかけ離れていると感じていることから、普段以上に役に入り込んだ部分もあったという。またクロウの演じ分けについても感心しており、俳優が全力で演技をしている姿を見ると、自身もやり甲斐を感じると述べた[46]。
『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』公開時はクロウについて「そのまま地でやる人」であると述べ、「そこがクロウの名優たる所以だと思う」とコメントしている。また本作ではクロウを演じるのは久しぶりだったことから、「ちょっとアクション系の、どっちかっていうとおっちゃん系の役のときに(オファーが)来る」と自身にオファーが来る役には傾向があるとも述べた[47]。
声優が素顔や裏話を披露するスターチャンネルの番組「VOICE IN FOCUS」にクロウの吹き替えを持ち役とする役者として出演し、クロウへの思い入れや『シンデレラマン』で吹き替えを務めた際の出来事について語ったこともある[48]。
また、『ポーカー・フェイス/裏切りのカード』の日本公開が決定した際には、クロウの吹替声優として山路が試写会に登壇することとなった[49]。同作の試写会では「どちらかと言えばステイサム映画のようなタイトルですが、彼(クロウ)らしい世界観で深いところに持っていかれる映画でした」と述べると同時に「恥ずかしい話、最後は嗚咽するほど泣いてしまいました」と明かし、「本当に心に残る作品で、図らずも号泣してしまいました」と同作を絶賛した[45]。
クリストフ・ヴァルツは『イングロリアス・バスターズ』のハンス・ランダ役で初めて担当し、『007 シリーズ』の第24作目である『007 スペクター』のエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド役を担当してからは大半の作品で声を当てている[50]。
山路はヴァルツをイングロリアス・バスターズで初めて見たとき「口から生まれてきたようなこんなヤツが出て来たのか」と第一印象を感動したと述べている[27]。
山路のヴァルツは業界内でも評価が高く[51]、『ターザン:REBORN』の音響監督を担当した羽田野千賀子は山路のヴァルツを「山路さんはアテている感じがしない。画面に映っている人物がそのまま喋ってるように聞こえる。理想の吹替だ。」と絶賛している[27]。山路自身も吹き替えをさせて貰えて嬉しい役者にヴァルツの名前を挙げている[52]。
ヴァルツの特徴として「プレナレーションがないんですよ、普通なら入りの挙動があるものだけどパッと芝居に入ってしまうので声を合わせづらいがやり出すと気持ちよくなってくる」、「突然ヘンな表情を入れることで観客に?と思わせる。引っかからせる芝居が上手い」[27]、「猫のように目の奥がコロコロ変わる」と述べている[53]。
基本的に軽快な人で重い映画の中にポツポツと軽さを出すと分析して、ヴァルツ節の真骨頂として『おとなのけんか』を挙げている[28]。 また、「ヴァルツ自身の演技も大変上手い」とリスペクトしていることから、ヴァルツを演じることは難しいものの、吹き替えを通じて彼らに教わっている感覚があると語っている[54]。
『ルル・オン・ザ・ブリッジ』で初めて担当し、『スパイダーマン シリーズ』のノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)役を担当して以降、多くの作品を吹き替えているウィレム・デフォー[55][56][57]を山路は気に入っており、『プラトーン』(テレビ東京版、初回放送2003年9月25日『木曜洋画劇場』)ではディレクターの向山宏志による当初のキャスティング案は、バーンズ(トム・ベレンジャー)=森田順平、エリアス(デフォー)=山路であったが、キャラクターの善悪の強調を狙ったプロデューサーが逆の配役にしたという。バーンズ役となった山路はデフォーに入れ込んでいたためにこの出来事を心残りに思っており、それを知った久保も「非常に申し訳ない」と後悔の念を述べている[58][59][60]。また、この件以降は「その役者自身を研究しても仕方がない」と割り切るようになったと語り、「その画面を観て、そのときそのときで変わっている役者の演技を見る」というスタンスに変わっていったという[23]。
山路によるデフォーの吹き替えは同業者間でも評価が高く、『ライトハウス』で吹き替えた際に共演した櫻井孝宏は「山路さんの表現が素晴らしすぎて何度も溜め息を漏らしてしまいました」と語っており、次第にデフォーが日本語を話しているようにしか思えなくなり、櫻井自身も幻覚を見ているような気分を味わったという[61][62]。
過去のスパイダーマン映画に登場したヴィランたちが当時の俳優によって再登場することが話題となった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも続投。「もっとも、この人は歳よりは老けて見えるタイプだった。先日とある映画で老獪な爺さんを演じるのを見て、拍手を送っていたのだが、正直その老い方にも驚いた。ところが今作…見事に若返っている!この得体の知れない怪優とは、まだまだ長い付き合いになりそうだ」とデフォーの演技に感嘆している様子を見せた[63][64]。
ショーン・ペンは『Uターン』で初担当。ペンの吹き替えでも同業者間で高い評価を得ており、『LIFE!』がザ・シネマで新録吹替が制作された際には、殆どの声優陣が一新された中で、旧録版における山路のペンはシンクロ度が高かったことから唯一の続投となった[65]。
『シュリ』のイ・ジャンギルの吹き替えを担当して以降、20年近く吹き替えているソン・ガンホに関して、『大統領の理髪師』で吹き替えた際に「加速度的に素晴らしい役者になっていた。“腐った魚の眼”ができる役者になっていた」と絶賛している[66]。
持ち役の一人であるヴァンサン・カッセルについては、『ジェイソン・ボーン』で吹き替えた際に「彼の声を吹き替えるようになって、もう随分経つが…変わらない。匂い立つような、あの声あの顔。私より一回り歳下の色っぽいこの男は、今一番いい時なのかも知れない。派手ではないが、生々しいアクションもいい」と評している[67]。
野沢那智の没後、アル・パチーノの吹き替えを引き継いでいる。『ゴッドファーザー』シリーズは1・2作目のみの担当であり、『ゴッドファーザー PART III』は担当していない。このことについては「もう何年かしたら、野沢さんに手を合わせながら、(3作目を)ぜひやらせていただきたいですね。でも、やっぱり野沢さんはまるで私とは違う、永遠に超えられない大先輩。そんな感じであの方を見ています」と語っている[68]。
自身が吹き替えを担当する中でも苦手な俳優にケヴィン・ベーコンを挙げており、ベーコンの吹き替えの仕事が入ると、一瞬だけ憂鬱な気分に陥ると語っている[42]。
2012年の映画『レ・ミゼラブル』は自身が長年吹き替えを務めているヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウが出演していることから、「どっちの役が来るんだろう」と当時楽しみにしていたというが、全編が歌唱シーンであったために吹替版が作られず、オファーも一切無く残念に思ったことを明かしている[32]。
趣味は料理。特技としてダンスや歌、トランペット演奏があり[69]、俳優仲間たちと趣味でトランペット同好会を開いている[70]。
自身が好きな俳優として、三國連太郎の名前を挙げている[19]。
自身が初めて立ち上げた芝居は怪談であり、“毎夏怪談上演”を理想とするほどの怪談好きでもある[71][72]。
山路は、自身の声質を「機械っぽい声」と称しており、『破壊魔定光』のポンコツ役を演じた時にインタビューでコメントしている[73]。また、感情の起伏の少ない役柄はトーンが同じことからストレスが溜まることもあったと語るが、一方でポンコツがおかしくなるシーンは演じていて楽しかったと語っている[73]。
同年代の声優である井上和彦、大塚芳忠とも親交が深い[69][74]。
また、自身のブログで、『ドキドキ!プリキュア』で演じているキャラクターのベールが「似てるかもしれない」と言及している[75]。
若い頃、劇団青年座の先輩だった西田敏行に「俺、どうしたらいいんですかね?」と相談していた[7]。その時に「お前は人との間に壁を作るからな」ときっかけは2021年時点でも、どこかに壁はあるといい、長く生きて、少しずつその壁の高さを下げたり透明にしたりできるようになったんだと語る[7]。妻の朴璐美にも、「あんたは芝居のことしか考えていないわね」と言われるという[7]。そんなつもりはないが、ただし、楽器をしたり、色々な趣味をしたりしても、結局芝居へ戻ってきてしまい、こんなに長く続いたことはないという[7]。
家ではペットのロシアンブルーを2匹飼っており、精神的に溜まってきた時に猫吸いをしているという。妻である朴とはお互い家でリハーサルをしており、同じ部屋で顔を見合わせているが、二人で違うことをしているという[76]。
太字はメインキャラクター。