画線法(かくせんほう)は、線を引くことによって線の本数で数を表現する方法である[1]。
通常見られる方法は、5を一つの塊として表記する方法である。たとえば、日本語などでは「正」の漢字を用いて5までの数を表現し、下方向あるいは右方向に「𝍲」「𝍳」「𝍴」「𝍵」「𝍶」と増加させることで表現する。5は人間の片手の指の総数と等しいため、指を使用して数える場合と同様な用途で用いられることもある。
日本での使用頻度は他の国と比較して高いが、日本語の文化圏では「画線法」という単語があるにもかかわらず、ほとんど認知されておらず、「正の文字で数える」などといった別の表現で言い表すことが多い。
通常、算用数字や漢数字を記入して物を数える場合、1増えるごとに前の数を消してから記入する必要があるが、画線法では前に記入した状態を消さずに線を1本加えることで数を増やしていくことが可能であるため、順次数を増加させて記載していくことが必要な場合に多く用いられる。一方、数が多くなると全体の長さが長くなり、現在の数字を把握できなくなるため、多い数の場合に用いることはほとんどない。表記された画線数を数える場合には、「5の倍数 + 端数」で数えることが多い。
画線法では端の位置を揃えることによって棒グラフのように見やすい表記が可能であるため、比較的個数の少ない物の総数を比較するときに多く用いられる。
パソコンで使用する場合は、文字コードに含まれていなかったため、長らく使用することができなかったが、2015年11月にケン・ランディによってUnicodeに登録申請され[3][4]、2018年のUnicode 11で採用されたため、現在は一般の電子機器でも文字の表記として使用可能になっている。
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
𝍲 | U+1D372 |
- |
𝍲 𝍲 |
IDEOGRAPHIC TALLY MARK ONE |
𝍳 | U+1D373 |
- |
𝍳 𝍳 |
IDEOGRAPHIC TALLY MARK TWO |
𝍴 | U+1D374 |
- |
𝍴 𝍴 |
IDEOGRAPHIC TALLY MARK THREE |
𝍵 | U+1D375 |
- |
𝍵 𝍵 |
IDEOGRAPHIC TALLY MARK FOUR |
𝍶 | U+1D376 |
- |
𝍶 𝍶 |
IDEOGRAPHIC TALLY MARK FIVE |
𝍷 | U+1D377 |
- |
𝍷 𝍷 |
TALLY MARK ONE |
𝍸 | U+1D378 |
- |
𝍸 𝍸 |
TALLY MARK FIVE |