葬尸湖 | |
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基本情報 | |
出身地 |
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ジャンル | |
活動期間 | 1998年 – |
レーベル |
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メンバー |
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葬尸湖(そうしこ、ピンイン: Zàngshīhú、英: Zuriaake)は、1998年に中国の済南市で結成されたブラックメタル・バンドである[2]。
葬尸湖は、1998年に山東省済南市で結成され[3]、メンバーはBloodseaとBloodfireのふたりだった[4]。2004年以降、3人目のメンバーとしてDeadsphereが加わり、バンドの形態が完成した。バンドに沿革についてはほとんど知られていない[5]。『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙の記事によれば、葬尸湖は中国で最も長く活動を続けているメタル・バンドのひとつであるという[6]。
葬尸湖は、中国最初のブラックメタル専門レーベルであるブラック・ハピネス・プロダクションと契約した後、Bloodfireの別プロジェクトであるYn Gizarm(英吉沙)との合作CD『Autumn of Sad Ode – Siming of Loulan』をリリースした[4]。2006年、葬尸湖はペスト・プロダクションと契約し、翌年、デビュー・アルバム『Afterimage of Autumn』をリリースした[4]。2015年、葬尸湖は2曲入りの『Gu Yan』EPをリリースしたが、これは同年のうちに収録曲を増やしてフル・アルバムとして再リリースされた。2008年から2012年にかけて、Bloodfireが4年間にわたってドイツに留学したため、2015年に『Gu Yan』が発表されるまでバンドに活動は一時休止状態となっていた。
2017年、葬尸湖はフィンランドのスティールフェスト・オープン・エアに招待されて演奏し、初めてヨーロッパでコンサート・ツアーをおこなうこととなった。同時に葬尸湖は、北欧でコンサートをおこなった最初の中国のバンドとなった[4]。2019年8月2日から8月19日にかけて、バンドはヨーロッパ各地を回り、ヴァッケン・オープン・エアなど、いくつかの音楽祭でも演奏した[7]。2018年、葬尸湖はオランダのロードバーン・フェスティバル[8]や、チェコのブルータル・アサルトでも演奏した[9]。
2020年3月、フランスのメタル・レーベルであるシーズン・オブ・ミストが葬尸湖と契約し、彼らの3枚目のアルバムのリリースの計画とともに、最初の2枚のアルバムをこのレーベルから再リリースすることが公表された[10]。
葬尸湖は、伝統的なブラックメタルに、中国の音楽の影響を加味した演奏をする。インタビューの中でBloodseaは、グループがブラックメタルを選んだのは、メタル・ジャンルの中でも他の音楽スタイルでは、バンドのメンバーたちの言いたいことを表現できないからだと述べている。ブラックメタルと、それが人間、自然、多神教、先祖崇拝などに向ける見方は、独特な哲学的気質があり、それがバンドの音楽にフィットするのである。ブラックメタルのジャンルで典型的に使用されている楽器の他に、バンドは、木魚、ハンドベル、塤など、伝統的な中国の楽器も用いている。静かでメロディ豊かな部分では、ギターが伝統的なサウンドを創り出す[11]。バンドの曲の中には、20分を超える長さに達するものもある[12]。Bloodfireは、自分たちが影響を受けたバンドとして、バソリー、メイヘム、キャンドルマス、アビゴール、バーズムを挙げている[3]。
歌詞については、伝統的、民俗的な中国の詩から着想が得られており、葬尸湖の曲は中国の伝説や中国神話に取材している[8]。さらにバンドによれば、紀元前771年から紀元前221年にかけての時期、特に戦国時代が、着想を得る元となっており、その時代の書物に現れる感情面の烈しさや絶望がブラックメタル・ジャンルにフィットするのだという[13]。中国にはキリスト教に由来する伝統がないため、反キリストや悪魔崇拝といったテーマは彼らには関係ない。その代わりに、彼らは中国の哲学や歴史に焦点を置いている[5][13]。
コンサートにおいて、このバンドはフォグマシンを多用する。ドラマー以外のバンド・メンバーは、漢服に似た黒い服に、伝統的に中国の農民が用いる円錐状の斗笠を被って、顔を隠し、昔の釣り人のイメージを演出しようとしている[11][13][14]。農民風の斗笠は、柳宗元の詩『江雪』を踏まえている[8][15]。マイクスタンドには、伝統的なランタンや木の枝が飾られる[13]。コンサートにおいて、メンバーがコープス・ペイントをすることはない[13]。1曲演奏を終えるごとに、バンド・メンバーたちは聴衆にお辞儀をし、また伝統的な手の仕草をして敬意を示す.[13]。
メンバーについての情報はほとんどないが[6]、Bloodfireの正体は山東大学の材料科学工学部の劉嶢教授だという説がある[16] 。Bloodfireは、ソロでのメタル・プロジェクトとしてYn Gizarmをおこなっている[4]。葬尸湖のメンバーは、中国の雰囲気をもったブラックメタル / ダンジョン・シンセのプロジェクト Demogorgon に、Holyarrow や Destruction of Redemption のメンバーたちとともに参加している[17]。
英語のオンライン・マガジンや新聞によると、Zuriaakeというバンド名は、中国風英語のかばん語であり、文字通りの意味は、「死体が埋められた湖」の意味であるという[6][13]。この名は、中国の詩人で、政府への憎悪から入水自殺した屈原を隠喩している[5]。2016年に中国語でおこなわれたインタビューの中でバンド・メンバーたちは、バンド名について、嵐の神である「Zu」と、埋葬を意味する「(b)uria(l)」、湖を意味する「(l)ake」を繋いだものと説明している。