電気グルーヴ | |
---|---|
2011年撮影 | |
基本情報 | |
別名 |
|
出身地 | 日本 東京都[1] |
ジャンル | |
活動期間 | |
レーベル | |
事務所 |
|
公式サイト | 電気グルーヴ OFFICIAL WEBSITE |
メンバー | |
旧メンバー |
電気グルーヴ(でんきグルーヴ)は、日本のバンド。1989年に結成され、テクノ、エレクトロを中心とした独特の音楽性と破天荒なパフォーマンスが特徴[6]。世相を風刺した作品が多く、1990年代のサブカルの担い手[7] でもあった。日本国外向けにDENKI GROOVEの表記を使用することもある[注釈 1]。主な略称は、「電気[8]」、「電G軍団[9]」「電グル」など[注釈 2]。
1989年4月に解散した人生(ZIN-SÄY!)のボーカリスト石野卓球、ピエール瀧、若王子耳夫を中心に同年結成[1]。1990年、アルバム『662 BPM BY DG』でインディーズデビュー。その後、1991年にシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 300000000000) / TMN VS 電気GROOVE」でメジャーデビュー後、アルバム『FLASH PAPA』で本格的にデビューした。シングル「N.O.」や「Shangri-La」などのヒット曲で知られる。初期の2年間は比較的メンバーの入れ替わりが多かったが、続く8年間は結成以来の石野と瀧に砂原良徳を加えた3人で活動し、安定した人気を築いた。砂原の脱退後は二人での活動が続いている。
ディスコやテクノポップ、ダンスミュージックから、テクノ、エレクトロニカ、アンビエントまで幅広い電子音楽の意匠を音楽的特徴としている。結成当初はボーカルスタイルにラップの方法論を取り入れていたため、ヒップホップグループに分類されることも多かったが、1993年のアルバム『FLASH PAPA MENTHOL』のリリース以降、より純粋に電子音楽を主体としたスタイルへと移行する。また日本国内での活動と並行して1995年にベルリンのMFSレーベルからシングル「虹」をリリースし、以降はMAYDAYへの参加など外国でのリリースやライヴ活動も精力的に行う。シュトックハウゼンの『光』で見られるような「被り物」をメンバーが行う[10] ことも活動初期からあり、電子音楽の先人へのリスペクトがみられるのも特徴の一つである。
一方、前身となったインディーズバンド「人生」に代表される、かつてのナゴムレコード周辺の「ナゴム系」バンドに見られるユーモア、ジョーク、パロディ、ギャグによって真意を隠すスタイルも受け継いでおり、主にコミックソング系の楽曲に見られる特異な歌詞とパフォーマンス、発言の数々は音楽性と並んでサブカルチャー的な支持を集めている。一方で石野が細川ふみえや篠原ともえをプロデュースした際の可愛らしい歌詞や、最高売り上げ記録を持つシングルにして唯一のラブソング「Shangri-La」などの普段とは方向性が異なる表現も存在する。
メンバーはソロ活動も並行して行っており、石野は前述の篠原ともえのプロデュースや、世界最大規模のレイヴ・ラブパレードでのDJプレイ、ゲーム作品のBGMなども制作。砂原良徳は在籍中にリリースしたソロデビュー作『CROSSOVER』が非常に高く評価された。瀧は映画『ステレオフューチャー』や『ローレライ』で重要な役柄を演じたり、漫画雑誌『週刊少年チャンピオン』で連載していた『樹海少年ZOO1』の漫画原作を担当する(作画は漫☆画太郎)などタレント業・映像面で活動した[11]。
※この他にもリハーサルまで参加した吉沢、人生(ZIN-SÄY!)の結成メンバーで東京初ライヴのみ参加したK太など一時的に在籍したメンバーも複数存在する。なおサポートメンバーであるDJ TASAKA、KAGAMI、渡部高士、agraphに関しては#電気グルーヴと関わりの深い人物の項目で後述する。
# | 発売日 | タイトル | 最高位 | 収録アルバム | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Split | 1991年2月1日 | RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 300000000000) |
3位 | アルバム未収録 | メジャーデビューシングル。「TMN VS 電気GROOVE」名義。 TMNのシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 2.0)」のカップリング曲として収録。 |
瀧勝 | 1991年8月23日 | 人生 | - | DRILL KING ANTHOLOGY | 瀧のソロとして「瀧勝」名義でのリリース。 |
1st | 1991年10月10日 | MUD EBIS / COSMIC SURFIN' | 86位 | UFO | |
2nd | 1992年10月21日 | SNAKEFINGER | 73位 | KARATEKA | |
子門'z | 1993年8月1日 | トランジスタラジオ | 41位 | DRILL KING ANTHOLOGY | 「子門'z」(オールナイトニッポンでの企画ものユニット)名義。RCサクセションのカヴァー。 |
非売品 | 1993年 | モテたくて... | - | 「The 天久聖一 with ギ・おならすいこみ隊」(TVブロスでの企画物ユニット)名義。日射病撲滅キャンペーンソング。 | |
3rd | 1994年2月2日 | N.O. | 21位 | VITAMIN | |
4th | 1994年11月2日 | ポポ | 12位 | DRAGON | |
5th | 1994年12月10日 | カメライフ | 37位 | ||
6th | 1995年4月21日 | 虹 | 27位 | ||
7th | 1996年5月22日 | 誰だ! | 72位 | ORANGE | |
8th | 1997年3月21日 | Shangri-La | 10位 | A | |
9th | 1997年12月1日 | ポケット カウボーイ | 76位 | ||
非売品 | 1998年10月 | ガリガリ君 | - | 赤城乳業の氷菓「ガリガリ君」のキャンペーンプレゼント用として製作された非売品特別シングルCD。 | |
10th | 1999年7月1日 | FLASHBACK DISCO | 35位 | VOXXX | |
11th | 1999年12月1日 | Nothing's Gonna Change | 28位 | ||
Collaboration | 2005年4月27日 | Twilight | 30位 | 電気グルーヴとかスチャダラパー | 「電気グルーヴ×スチャダラパー」名義 |
2005年6月22日 | 聖☆おじさん | 95位 | |||
12th | 2007年12月5日 | 少年ヤング | 30位 | J-POP | |
13th | 2008年2月14日 | モノノケダンス | 17位 | ||
14th | 2009年2月4日 | The Words | 20位 | YELLOW | |
15th | 2009年11月18日 | Upside Down | 21位 | 人間と動物 | |
16th | 2012年4月18日 | SHAMEFUL | 26位 | ||
17th | 2013年1月16日 | Missing Beatz | 32位 | ||
18th | 2015年2月25日 | Fallin' Down | 24位 | TROPICAL LOVE | |
19th | 2018年1月10日 | MAN HUMAN | 29位 | アルバム未収録 | |
Split | 2018年1月10日 | MAN HUMAN / 今夜だけ | - | 「V.A.」名義。電気グルーヴ名義でのシングル「MAN HUMAN」と同時発売(12cmCD:KSCL-6302)。 |
# | 発売日 | タイトル | 最高位 |
---|---|---|---|
Indies | 1990年6月28日 | 662 BPM BY DG | - |
1st | 1991年4月10日 | FLASH PAPA | 33位 |
2nd | 1991年11月21日 | UFO | 36位 |
3rd | 1992年10月21日 | KARATEKA | 13位 |
4th | 1993年12月1日 | VITAMIN | 5位 |
5th | 1994年12月1日 | DRAGON | 13位 |
6th | 1996年3月1日 | ORANGE | 10位 |
7th | 1997年5月14日 | A | 3位 |
8th | 2000年2月2日 | VOXXX | 5位 |
9th | 2008年4月2日 | J-POP | 9位 |
10th | 2008年10月15日 | YELLOW | 9位 |
11th | 2009年8月19日 | 20 | 6位 |
12th | 2013年2月27日 | 人間と動物 | 12位 |
Mini | 2014年10月29日 | 25 | 15位 |
13th | 2017年3月1日 | TROPICAL LOVE | 7位 |
14th | 2019年1月23日 | 30 | 4位 |
発売日 | タイトル | 最高位 | 備考 |
---|---|---|---|
2004年3月24日 | SINGLES and STRIKES | 17位 | 初のベスト・アルバム。 |
2011年4月6日 | 電気グルーヴのゴールデンヒッツ 〜Due To Contract |
27位 | 代表曲・未発表ミックスなど全15曲を収録。全曲砂原良徳リマスタリング。 |
2017年7月26日 | DENKI GROOVE DECADE 2008〜2017 | 37位 | 2008年から2017年までに発表した楽曲から14曲をセレクトしたベスト・アルバム。 |
発売日 | タイトル | 最高位 | 備考 |
---|---|---|---|
2000年7月19日 | イルボン2000 | 14位 | 初のライブ・アルバム。 |
2018年7月11日 | クラーケン鷹 2018 | - | 同年3月17日のZepp Tokyo公演のライブ・アルバム。配信のみ。 |
2018年10月24日 | クラーケン鷹 | - | 同年3月17日のZepp Tokyo公演のライブ・アルバム。PA音源のため観客の声は入っていない。 |
# | 発売日 | タイトル | 最高位 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Remake | 1993年5月21日 | FLASH PAPA MENTHOL | 11位 | 『FLASH PAPA』のリメイク・アルバム |
Omnibus | 1994年8月1日 | DRILL KING ANTHOLOGY | 8位 | 電気グルーヴが主宰するレーベル「ドリルキング・レコード」の 所属の架空のアーティストたちの楽曲をコンパイルしたというコンセプト・アルバム。 |
Box set | 1995年8月2日 | PARKING | - | メンバーのソロアルバムをパッケージしたボックスセット。 電気グルーヴのレアトラックを収録したシングルCD付き。運転手付き。限定版。 |
Remix | 1998年3月1日 | recycled A | 23位 | 『A』のリミックス・アルバム |
Tribute | 2001年7月25日 | The Last Supper | 10位 | セルフ・トリビュート・アルバム |
Collaboration | 2005年6月29日 | 電気グルーヴとかスチャダラパー | 12位 | 「電気グルーヴ×スチャダラパー」名義。 |
selection | 2015年12月23日 | DENKI GROOVE THE MOVIE? -THE MUSIC SELECTION- | 33位 | 映画『DENKI GROOVE THE MOVIE?』の監督を務めた大根仁によるセレクション・アルバム。 |
Instrumental | 2017年7月26日 | TROPICAL LOVE LIGHTS | 60位 | アルバム『TROPICAL LOVE』のインストゥルメンタルバージョン(一部リミックス)を収録したアルバム。 |
# | 発売日 | タイトル | 収録アルバム |
---|---|---|---|
1st | 2020年8月24日 | Set you Free | アルバム未収録 |
2nd | 2022年8月29日 | HOMEBASE | |
3rd | 2024年5月1日 | 電気グルーヴ32周年の歌 | |
4th | 2024年5月1日 | 電気グルーヴ34周年の歌 | |
5th | 2024年5月2日 | 電気グルーヴ35周年の歌 |
電気選曲ものや彼らの書き下ろし新録曲を収録した企画盤などから主な作品を紹介。
監督 | 曲名 |
---|---|
天久聖一 | 「弾けないギターを弾くんだぜ」 「Cafe de 鬼 (顔と科学)」 「Mr.EMPTY」 「中年パンク」 「モノノケダンス」 「電気グルーヴ20周年のうた」 |
天久聖一 / 竹林亮(EPOCH) | 「人間大統領(Video Edit)」 |
板屋宏幸 | 「カフェ・ド・鬼(もっとおもしろい顔MIX)」 |
板屋宏幸 / ピエール瀧 | 「Shangri-La」 |
宇川直宏 | 「Twilight (#1 アブストラクトな林檎たち)」 「Twilight(#2 ふぞろいのネジ屋敷)」 「タランチュラ」 |
塩坂芳樹 | 「N.O.」 |
田中秀幸 | 「ポポ(Radio Edit)」 「FLASHBACK DISCO」 「Nothing's Gonna Change」 「少年ヤング」 「Fake It!」 「Upside Down」 「SHAMEFUL」 「Missing Beatz」 「Baby's on Fire」 「Fallin' Down」 「トロピカル・ラヴ(Video Edit)」 |
DEVICEGIRLS | 「少年ヤング(Album Mix / SSTV VIP Version)」 |
ピエール瀧 | 「ビコーズ」 「CATV」 「誰だ!(瀧 EDIT)」 「VOLCANIC DRUMBEATS」 「ドリルキング社歌2001」 「ピエール瀧の体操30歳」 「ピエール瀧の体操36歳」 「ピエール瀧の体操42歳」 |
プリンストンガ(田中秀幸+ピエール瀧) | 「POPCORN(Single MIX)」 「新幹線(TAB EATER MIX)」 |
不明 | 「ウィー・アー」 「MUD EBIS」 |
電気グルーヴのオフィシャルファンクラブ。入会特典[47] として会員証と年数回発行される会報(現在2006年3月発行のvol.74まで)が配られるが、会員証は特製CDシングルがその役割を果たしているのが特徴である。そのCDでしか聴くことができない特別音源(※2000年発行版の「Suppe Suppe Inbe Inbe」のみベスト盤『SINGLES and STRIKES』に採録)とファンクラブの連絡先のナレーションが収録されている。この会員証は入会時にしか発行されず、定期的に内容は更新されている。その全てを入手することは困難である。
電気グルーヴ内では11月17日を「鬼日(きび)」と制定している。1990年11月17日、イギリスのマンチェスターで製作されたファーストアルバム「FLASH PAPA」レコーディング中、収録曲「カフェ・ド・鬼」の瀧の担当パートである「鬼、鬼〜♪」のテイクに何故か何度やってもOKが出ず、数十回にわたり延々と「鬼」と言わなければいけなかったエピソードに由来する。以来、瀧が「今まで生きてきた人生の中で最も『鬼』という言葉を口にした日」として、この日を「鬼日」とした。この時のプロデューサーはヒプノトーンのトニー・マーティンが務めた。毎年この日に公式ウェブサイトが記念仕様に更新され、2016年にはこの日に因んで公式Youtubeチャンネルより「Cafe de 鬼(顔と科学)」のミュージック・ビデオが公開された。
電気グルーヴや関連作品などを繋ぐ一種のキーワード。元々は石野と瀧が高校時代に製作したテープに由来する。石野と瀧の共通の友人Hを石野の自宅に招き、彼と面識のないツッパリで強面の先輩(実際には石野の後輩)を同席させ、Hに罰ゲームやヨガなどの無理難題を強要させた。その際、ちょうど脚を頭の後ろに上げるポーズをとらせた時、あまりにも無理な姿勢だった為、突如Hの口から悲鳴とも呻きともつかない声が漏れた。それが「ピグ」である。※あくまでもこれは身内でのドッキリ企画のようなもので、後日Hにも事の説明と了解があったらしい。
この一部始終はラジカセで録音されており、当時の電気グルーヴの前身バンド「人生」のライヴでも流された。1992年には「オールナイトニッポン」で瀧も参加した後日談的第二弾のテープと共に放送。
1996年5月には田中フミヤのレーベル「UNTITLED」のコンピレーションアルバム『UNTITLED ABSTRUCT SET 2』に「PIGU 1985」というタイトルで、これまで未発表だった部分も含めた内容がCD化された。以後、電気グルーヴ周辺の関連作品では、この「PIGU 1985」からのボイスサンプリングが頻繁に行われることとなった。
具体例としては電気グルーヴの「なんとも言えないわびしい 気持ちになったことはあるかい?」、「スコーピオン」、「エジソン電」などの楽曲、田中フミヤによるHOODRUMの「High And Low」、篠原ともえ「クルクル ミラクル」(サンプリングだけでなく、篠原による「ピグ」も収録)、コーネリアス「Moon Walk(砂原良徳Remix)」などがある。
アルバム『VOXXX』では実際に収録はされなかったが、「瀧が来ない」というタイトルで「ピグ」のテープからのサンプリングで構成された楽曲が製作されていたことが当時のインタビューで語られている。その他、電気グルーヴプロデュースによるPlayStation用ソフト『グルーヴ地獄V』でも音源が使用されている。
「電気語」とは、電気グルーヴの楽曲の歌詞や、電気グルーヴのオールナイトニッポン内で石野と瀧によって交わされた会話の特徴的な単語やノリ、番組の各コーナーで生まれた独特のテイストを含んだ会話や文章を指す。「電気しゃべり」とも。特に石野の果たした役割は大きく、当時多くの番組リスナーたちが影響を受けた。ANN1部当時、個人で「電気語辞典」を作成して番組宛に送りつけた女性リスナーがいたが、彼女こそは後に『ニュースステーション』でお天気お姉さんを務めることになる乾貴美子であった。