黒ひげ危機一発(くろひげききいっぱつ、英: Pop-up Pirate[1])はタカラトミー(旧:トミー)による玩具。1975年から販売されているロングセラー商品。
海賊が頭だけを出している樽に対して短剣を刺し、樽から飛び出す海賊の反応を楽しむゲームである。鎌倉で行われた企画合宿にて「ファミリー向けアクションゲーム」「何度でも遊べるランダム性」を課題とした際に海を眺めていたある社員が「アクション」から「かっこいい」、「海」から「海賊」の着想を得て「海賊=かっこいい」のイメージを交えて開発された[1]。シンプルかつ飽きのこないゲーム性やユーモラスなキャラクター性からヒット商品となり、2020年までに81種類の製品が発売され世界47か国で約1500万個を売り上げている[1]。
発売当初は敵に捕まり樽の中で縛られている仲間の海賊を救出するため、短剣を刺しながら樽の中でロープを切って助け出すという設定であり、「飛び出させた人が勝ち」となるゲームであった[2]。しかし、実は製品化前の企画・構想の段階では「飛び出させた人の負け」とする予定であった。だが、「剣を最後まで差し込まずにズルをする人がいるかもしれない」との理由で上記にもある「飛び出させた人が勝ち」となるルールに変更された[3]。1976年、フジテレビのクイズ番組『クイズ・ドレミファドン!』の放送初回からプレゼントゲームに採用され、一般に多く知られるようになったが、番組初期の頃は「飛び出させたらボーナス得点没収」というルールであったため[注釈 1]、「飛び出させた人の負け」というイメージが世間に広まった[4]。その後、正式ルールも1979年に「遊ぶ人が任意で勝ち負けを決める」となった時期を経て、1995年に「飛び出させたほうが負け」となることとなった[4][1]。
なお、「ききいっぱつ」は四字熟語としては「危機一髪」の表記が正しいが、「黒ひげ危機一発」は「発」の字を用いている。
黒ひげ危機一発には、バリエーションが多数存在する。短剣を刺して、樽に入ったキャラクターが飛び出すと負け(もしくは、勝ち)という基本的なルールは変わらないものの、新しい要素が加わったり、黒ひげの代わりに人気キャラクターになったコラボレーション商品などのバージョンがある。このほか派生商品として持ち運びが可能な小さいサイズのキーチェーン版、ストラップ版がある。また、短剣の形状を鋭く細い物から丸みを帯びたものに変えるなど安全基準に応じた見直しも行われている[5]。
コレクションフィギュア要素を加えたシリーズ。サイズは通常の3分の1となっている。
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2009年7月発売のバリエーションのひとつ[5]。従来の剣を刺して遊ぶのではなく、ルーレットを回し止まった色の3色のどれかの剣型ボタンを押すことで、音が鳴るか又は多数の黒ひげくんカードが飛び出す。フェイントの場合はカードのみだが、当たりの場合はチーンの音と共に黒ひげくんカードに続けて黒ひげくん人形も飛び出し救出成功になる。
2010年10月発売の派生商品[5]。すごろくを基本にしたゲームで、ドックロンが揺らす邪魔で落ちないようにしながらゴールまで進んでいく。
『テレビマガジン』(講談社)2021年10・11月合併号より連載。原作・監修:タカラトミー、作画:吉山みかん