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漫画:100日後に死ぬワニ | |
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作者 | きくちゆうき |
出版社 | 小学館 |
掲載サイト | Twitter、Instagram、ねとらぼ |
レーベル | ゲッサン少年サンデーコミックス |
発表期間 | 2019年12月12日 - 2020年3月20日 |
話数 | 全100話 |
その他 | #Twitterトレンド大賞 4位(2020年) |
映画:100日間生きたワニ | |
原作 | きくちゆうき |
監督 | 上田慎一郎、ふくだみゆき 湖川友謙(アニメーションディレクト) |
脚本 | 上田慎一郎、ふくだみゆき |
音楽 | 亀田誠治 |
制作 | TIA |
製作 | 「100日間生きたワニ」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
封切日 | 2021年7月9日 |
上映時間 | 63分 |
100にちごにしぬワニ | |
絵本
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テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『100日後に死ぬワニ』(ひゃくにちごにしぬワニ)は、きくちゆうきの日本の4コマ漫画、および同作を原作とする絵本化作品。略称は『100ワニ』。コマの枠外で「死まであと○日」と明示された作中のワニの100日間を、4コマ(最終話は大コマも含めて13コマ)を1日としたカウントダウン形式で描く。2019年12月12日から作者自身のTwitterアカウントで公開が開始され、以後、2020年3月20日まで毎日午後7時(最終話は午後7時20分)に更新された[1][2]。1投稿で30万を超える「いいね」を獲得し[3]、連載終了日の2020年3月20日には同作がTwitterのトレンドで世界1位となった[4]。
#Twitterトレンド大賞2020では4位にランクインされ[5]、最終話の投稿が「Twitterトレンド大賞 最多リツイート賞&最多いいね賞」を受賞した[6]。
連載はきくちのTwitter[1]とInstagram[7][8]のほか、途中からはねとらぼでも並行して行われた[9]。
当初はきくち個人で作品を展開していたが、連載してまもなく商業展開のオファーがきくち一人では対応できないほど増えた[注釈 1]ことから、2020年1月より、株式会社ベイシカ[注釈 2]がきくちと共同で作品の運営や商業展開、プロデュースを行っている[10][11][12](詳細は後述)。
主人公は服を着用し日本語を話すオスのワニである。第1話から100日後に死を迎えるワニが先輩のワニや親友のネズミなどの仲間達と過ごす何気ない日常生活が描かれる。99日目までは4コマ目の下に死までの日数がカウントされ、1日1話更新されるたびに残り日数が減っていく[8][2]。連載中の時期と連動しており、正月などの文化も作中に反映される[8]。
作者のきくちは、本作を制作した理由について以下のように語っている。
「いつか死ぬ」生きているということはいつか死ぬということ。自分の「終わり」や周りの人の「終わり」それを意識すると、行動や生き方がより良い方向にいくのではないか。ワニを通してそれらを考えるきっかけにでもなればいいなと思っています。 — ORICON NEWS(2020年1月16日)[8]より引用
本作品の結末について、きくちが自身のサイトに記載している友人の事故死との関係性があるのではないかと台湾のメディア・4Gamersなどから指摘されていた[13]。これについてきくちは、最終話の翌日である2020年3月21日の生配信で、実際に同作を描く切っ掛けの一つだったことを明かし、「何があるか分からない中で、限りある時間を大切にしてほしいとのメッセージを伝えたい」との思いだったと語っている[14][15]。きくちによると、本作品のキャラクターに特定個人のモデルは存在せず、きくちが今までに会ってきた人や経験をもとにミックスして創作したものだという[16]。
公開された漫画はTwitter上で広まり、内容や今後の展開について考察する読者も見られた[8]。2020年1月21日にはフジテレビ(FNN)の番組で本作が取り上げられ、YouTube上に公式チャンネルから番組のクリップ映像が投稿された[17]。またきくちはオリコンからも取材を受け、作品の意図について語っている[8]。最終話当日の公開前には日本テレビのワイドショー番組『スッキリ』にきくち本人が生出演をし[18]、テレビ朝日(ANN)でもニュースとして本作品を伝えている[19]。
連載開始前は1万人程度だったきくちのTwitterアカウントのフォロワー数は、最終話が投稿される3月20日午後7時の時点では約195万人にまで到達し[20]、一時は200万人を超えた[11][21]。最終話を投稿したTwitter記事のエンゲージメント総数は2億回を超えた[22]。
芸能界でも指原莉乃、有吉弘行、加藤一二三、ロンドンブーツ1号2号の田村淳、いきものがかりの水野良樹などが同作品の読者であることを公言している[23][24][25][26]。読者の1人でYouTuberのはじめしゃちょーがきくちに直接電話し、『100日後に死ぬワニの作者にどうやって死ぬのか聞いてみた』という動画を3月10日にYouTubeに投稿した[27][28][29]。本作の完結に際して、淳、水野、はじめしゃちょーのほか、映画監督の上田慎一郎が特設サイトにコメントを寄せている[30][31]。
連載開始から100日目となる2020年3月20日には、ニコニコ生放送にて『「100日後に死ぬワニ」の最後をみんなで見守る放送』という配信が行われた[32][33]。
同年4月8日、小学館よりゲッサン少年サンデーコミックスのレーベルで書籍化[34]。前日譚となる「0日目」や100日後の後日譚などの描きおろしも併せて収録されることになっており[26][34][35]、発売日当日には小学館から「5日目」と「17日目」の後の様子を描いた書き下ろしカットと声優の花江夏樹がナレーションを担当したCMが公開された[36]。なお、書籍の帯には『描き下ろし漫画28P収録』と銘打たれているが、実際はイラストも含めたページ数で、漫画方式の描き下ろしは数ページに留まることが明らかとなった[37]。これに対し、優良誤認表示の可能性が弁護士より指摘されている[38]。5月22日には、書籍版の累計発行部数が35万部を突破したとゲッサン編集部の公式Twitterで発表された[39]。 日本出版販売のウェブメディア「ほんのひきだし」が発表した2020年度の「コミックス第1巻 年間売上ランキング」では、本作の書籍版が『怪獣8号』に次いで2位を記録した[40][41][42]。
同年3月13日、絵本作家あいはらひろゆきが代表取締役を務める「株式会社サニーサイド」が1日目から30日目までのうち13話を抽出し絵本化することを発表した[43]。
翌年6月20日、『LINE LIVE』において映画『100日間生きたワニ』のオンラインヒット祈願イベントが配信され、そこで上田慎一郎監督は、「100日後に死ぬワニ」を知ったタイミングを連載を開始してから2日目くらいと話し、本作を読み始めたきっかけは会社のグループLINEに共有されたことであり、連載30日目くらいのタイミングで企画書を出したと告白した。
同年12月22日に発表された「#Twitterトレンド大賞2020」では2020年に最も話題となった上位20個のワードの中で4位となり、100日目が投稿された3月20日が最もツイートが多かった。更に部門賞においても100日目のツイートが「最多リツイート部門賞」「最多いいね部門賞」の2つを受賞した[44]。
初版発行日 | ISBN | 収録話数 |
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2020年4月8日 | ISBN 978-4-09-850125-0 | 1 - 100、0、後日談、書き下ろし28P |
巻数 | 初版発行日 | ISBN | 収録話数 |
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1から30にちめまでの13にちかん | 2020年6月19日 | ISBN 978-4-9101-8800-3 | 13話選出 |
31から70にちめまでの13にちかん | 2021年5月20日 | ISBN 978-4-9101-8810-2 | 13話選出 |
71から100にちめまでの10にちかん | 2021年6月19日 | ISBN 978-4-9101-8812-6 | 10話選出 |
2020年3月20日に本作の最終話がきくちのTwitterに投稿されて間もなく、「株式会社ベイシカ」名義で運営される作品公式Twitterアカウントと特設サイトが開設され、約1時間半後までに複数の商業展開が相次いで発表された[71][72]。
最終話がワニの死を扱った内容であることや、最後まで「個人によるSNSへの投稿」という名目で連載されていたことから、SNS上では、突然の早急な商業展開に違和感を示す声や、「余韻に浸れない」「急に金の匂いがしてきた」「映画化は飛ばし過ぎでは」などの苦言が続いたほか、企業が「仕込み」を行っていた可能性や、大手広告代理店の関与を指摘する声もみられた[73][11]。
さらに、同時にYouTubeで公開されたいきものがかりとのコラボムービーに、広告代理店の電通のスタッフ2名がクレジットされていた[注釈 3][74] ことから、作品自体に電通が関わっていたとの噂が流布した[75]。
これを受けて、ブラック企業対策プロジェクトの共同代表代表を務めている藤田孝典と2015年12月に発生した同社過労自殺事件の遺族が、同事件について振り返る際に本作を絡めて同社を厳しく批判した[76][77]。ネット上では作品に対して「ワニはステマ」などのような批判的な主張も見られ、一時的にTwitterのトレンドにおいて『電通案件』が国内1位となり、炎上する事態となった[15][31][75][78]。
電通の関与が噂されたもうひとつの発端として、きくちが2019年12月4日に打ち合わせで訪れた[79]箱根ケ崎駅の付近に「電通研究所」という企業があることが挙げられる。しかし、その企業は電気部品を扱う会社で、「広告代理店の電通」とは無関係である。さらに、きくちによると、これは現地にあるホームセンター「ジョイフル本田」の店舗でのライブペイントの打ち合わせで、本作品とも無関係だったとしている[80]。
2020年1月16日に、「100日後に死ぬワニ」の商標登録出願が株式会社ベイシカ[注釈 2]との共同名義で行われており、連載終了前の2月4日に出願内容が公開されている[11][81][82]。
最終話の投稿直後に開設された公式サイトや公式Twitterアカウントは、ベイシカが運営していることがサイト上で公表されている。ベイシカの作品への関係が正式に公表されるのは、これが初めてとなる。
ベイシカが関わるようになった経緯として、本作の連載の初期にきくち宛てに商業展開や取材などのオファーが急増[注釈 1]し、一人では対応できなくなっていたことがある。2019年12月25日から問い合わせの対応にベイシカ社長の中尾恭太が協力している[80]。2020年1月からはベイシカが正式に同作品の運営やプロデュースに関わるようになる[11]。
連載の完結までベイシカや商業展開については伏せられており、これは「100日間はなるべく商業的なノイズは入れないようにしたい」というきくちの意向による[80]。
炎上と噂の流布を受けて、きくち、ベイシカ、およびコラボムービーの関係者は、一貫して電通の作品自体への関与を否定する声明を出している。
きくちによると、連載当初は企業などの第三者は関与せず、商業展開のオファーを受けるまでは一人で作品を描き投稿していたとしている[注釈 4]。また、中尾は噂の原因となったコラボムービーについて、連載中にいきものがかり側から提案があったもので、ムービーを作る中で、いきものがかりのチームのスタッフとして電通のスタッフがクレジットされたものとしている[12]。
いきものがかりの水野は最終話の翌日(3月21日)、Twitterで配信した番組の中で、「今回のコラボを始め、映画化や書籍化に電通は関わっておらず、もっとも巨大プロジェクトで動いていたわけではないです」と発言。きくちも「個人的に漫画を始めたことであり、ベイシカが作品のメディア展開を始めたのは(連載から約1か月が経過した)1月以降であるにも関わらず、『電通案件』で裏が大きいとか言われるのはやっぱり悲しいですね」と発言し、電通の関与を否定している[14][75][11][78]。
3月24日には電通とベイシカがJ-CASTニュースの取材に対してコメントし、電通の広報部は、いきものがかりのコラボムービーに限り仕事として一部のプロジェクトに関与したと強調し、ベイシカの中尾は「デマはたくさんありすぎて、もはや全てを把握し切れていません」として電通の関与を否定している[83]。
この騒動に対して、ノンフィクションライターの窪田順生は3か月前に発生したディズニー映画『アナと雪の女王2』のマーケティングミスの事例を挙げ、騒動の教訓を生かせなかったのかと苦言を呈している[84]。
最終話の公開直後に商業展開が一気に行われたことに対して、作者のきくちは2020年12月18日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』に出演した際に、メディア展開に向けたオファーが何日後にあったかを詳細に明らかにした。ここでは連載中のメディア展開は「少なくともとんでもない(ストーリー)展開にはならないだろうと読めてきちゃう」ことを嫌って連載終了後の展開を依頼した結果だったことを説明したが、それでも説明を疑う声が聞こえ、信じてもらえないことへの諦めに近い境地を自身のブログで明らかにしている[85][86]。
100日間生きたワニ | |
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監督 |
上田慎一郎 ふくだみゆき |
脚本 |
上田慎一郎 ふくだみゆき |
原作 |
きくちゆうき 『100日後に死ぬワニ』 |
製作 |
臼井真之介 山中一孝 |
製作総指揮 |
山内章弘 上田太地 |
出演者 |
神木隆之介 中村倫也 木村昴 新木優子 ファーストサマーウイカ 清水くるみ Kaito 池谷のぶえ 杉田智和 山田裕貴 |
音楽 | 亀田誠治 |
主題歌 | いきものがかり「TSUZUKU」 |
撮影 | 簡佳瑩 |
制作会社 | TIA |
製作会社 | 「100日間生きたワニ」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公開 |
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上映時間 | 63分 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
『100日間生きたワニ』(ひゃくにちかんいきたワニ)は、『100日後に死ぬワニ』を原作とし、2021年7月9日に公開された日本のアニメーション映画作品[87]。当初は2021年5月28日に公開予定だったが[88][89]、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けて延期された[90]。
前半は原作で描かれたワニが生きた100日間の日常パート、後半はワニの死から100日後のワニの友人たちの様子を描いた映画オリジナルのパートで構成され、このパートから映画オリジナルキャラクターのカエルが登場する[91]。
映画の公式Twitterアカウントでは、映画公開にあわせた「100ワニ100日企画」として、ワニたちの幼少期の前日譚を描いた描き下ろし漫画「100ワニ出会い編」が連載された[92][93]。
監督の上田によると、映画化は上田が自ら企画書を書いて東宝に提出することで実現したものである。漫画の連載を2日目くらいから見ており、30日目くらいになったときに企画書を仕上げた。当初は、登場人物を人間に置き換えた実写映画を構想していたという[99]。その企画を見た東宝から「(アニメーション制作の経験がある)妻のふくだみゆきと一緒にアニメを作るのはどうか」という提案があり、原作のキャラクターがそのまま登場するアニメーションとして制作する方向性が固まった[100]。作品のタイトル変更も上田の提案だが、大人の事情や「死」を避けたのではなく、「新しい物語になったので、それに合う新しいタイトルに変えました」と語っている[101]。原作者のきくちは監修として脚本に参加している[102]。
前述の経緯によって炎上した原作を映画化した作品が公開されることから、本作に関するウェブサイトに悪戯や荒らし行為が行われた。
映画レビューサイトのYahoo!映画やFilmarksでは、公開前から「金と時間の無駄」「超駄作」といった中傷的な内容や、作品と全く無関係なストーリーを記した内容などを記して低評価をつける荒らしレビューが多数投稿された[103]。
新宿バルト9では予約サイトの後払い可能な予約システムを悪用し、本作の座席予約を未払いの状態で多数行い、予約状況画面に表示される座席予約表に文字や記号を書く悪戯が行われた[104]。同館は具体的な作品名に触れないものの、鑑賞意思のない予約は通知なくキャンセルし、規約に反する行為で著しい損害が生じる場合は警察への届け出を行うとする警告を公式サイトに掲載した[105]。
お笑いタレントの東野幸治は自身が司会を務める番組「ワイドナショー」(フジテレビ)にて、前述のタイトル変更について「こういうタイトルの変え方はどうなのかなと思います」と述べ、出演者である松本人志や元サッカー選手の前園真聖からも「絶対に変えなくていい。インパクトがめちゃくちゃ弱まる」「なんか内容が入ってこない」とそれぞれ同調した[106][107]。
お笑いタレントの伊集院光は本作を視聴し、「俺が褒めても、『電通の回し者だ!』と世間は言いかねない嫌な世の中」(要約)と前置きをした上で、星5つ中3つと述べた。また、原作に工夫を加えた部分に対し「上田監督が自分らしさを出そうと思ったところは俺にとっては全スベリだったかな?」「何の工夫もしないで(中略)普通に細々とした原作通りのことをやってても、別に成立すると思うの」と評した[108]。
一方、映画ライターのよしひろまさみちは、本作についてマーケティングが本当に下手だったと指摘しながらも、「原作にはない部分をオリジナルで作っていて、意外と面白かった」と評価している[109]。
前述の荒らしレビューの横行などからレビューサイトの評点が信頼できない状況になっているため、Webメディア「シネマズプラス」では、評価が肯定的であるか批判的であるかは問わず、誠実に映画の感想や解説を書いている個人のレビュー記事を紹介した記事が投稿されている[110]。
100日目以後、現実のイベントとしてワニの葬式を行うという企画もあったが、実現しなかった。ベイシカの社長である中尾によれば、「やり方によっては、ファンの人もそういう場所を求めているかもしれない」という企画意図ではあったものの、商業展開の炎上を受けて「お葬式は本当にやらなくてよかったです」と語った[80]。
本作の公開後には、本作品のように100話を100日かけて投稿する「100日」フォーマットに倣った自作品をSNS上に投稿することが流行した。「100日目」までやりきる作者は少なかったが、最後まで完走する作品もあった[22][111][112]。