3DMark(スリーディーマーク)は、フィンランドのFuturemark、その後のUL Benchmarksが開発する、Microsoft Windows上で動作するベンチマークソフトウェアである。DirectXを用いた3Dの性能を測るベンチマークソフトではデファクトスタンダードに位置づけられており[1]、ゲーマーを中心とした利用者から支持を得ている。
本アプリケーションは設定変更機能が制限されている「フリー版」と、規定の料金を支払い様々な機能を利用して性能を測る「プロフェッショナル版」などのラインアップがある。
計測には常に最新技術の機能が用いられているため、各バージョンがリリースされた時期の主要なビデオカードを用いて計測すると負荷は非常に高い。言い換えると、最新バージョンでも快適に動く環境の場合では、同時期に主要となっているグラフィック機能を快適に利用することができるため、その指針ともなる。
2013年11月8日には3DMarkの15周年を記念する形で、過去のバージョンが無料公開された[2]。2019年1月現在、サポートの切れた『3DMark Vantage』や『3DMark 06』以前のバージョン(の、それぞれの最終版)が、フルバージョンのレジストキー付きで無料公開されている[3]。これらの旧バージョンは新しいPCでは意味あるベンチマーク結果を返さないため、あくまでレガシーPC向けとされている。
もともとは、フィンランドのメガデモ(ストーリー性のあるグラフィックを使ったデモプログラム)を手がけたFuture Crewのメンバーによって設立されたソフト会社、Remedy Entertainmentによるベンチマークソフト、『Final Reality』が3DMarkの起源になっている[1][4]。
これは同社で開発していた3DゲームソフトMAX PAYNE用に作られた3DエンジンであるMAX-FXを使ったもので、DirectX5を利用していた。当時はまだ「専用の3Dグラフィックカードを用いた方が3Dゲームに適している」と言われていたが、この時期に登場した、NVIDIAのRIVA 128などのDirectXをサポートする汎用グラフィックチップによって、DirectXが3Dゲームにも適していることを証明する一助ともなった。
3DMarkではPCの環境を判断する『SystemInfo』というツールが使われている。一部ビデオカード(ドライバ)やCPUなどの想定外の環境では起動しない可能性もあるが、この場合は「-nosysteminfo」というパラメータを起動時に付けることでSystemInfoの段階をスキップでき、起動阻害を回避できる場合がある。SystemInfoは独自にアップデートすることもできるため最新版を使うことが推奨されるが、Windows XP SP2以前のレガシー環境では4.28以前のバージョンまでしか対応していないので、それを使うことになっている[5]。
Final Realityの成功により、RemedyではMAX-FXおよびMAX PAYNEの宣伝のためベンチマーク制作グループをFuturemark社として独立させた。そして1999年に同社が最初に発表したのが3DMark99である。これはMAX-FXをDirectX6に対応させ、デモだけでなくベンチマーク用として計測できる機能を追加したものになっている。
その後、DirectX 6.1に対応した3DMark99 MAXをリリースしている。これは、新たに搭載されたSSEならびに3DNow!対応部分を加えることで、インテル Pentium IIIプロセッサやAMD K6-2プロセッサの優位性を示すことが可能となっている。
ゲームを模したテストは次の通り。
社名をMadOnion.comと改めて発表した最初のソフトである。DirectX7に対応し、ハードウェアT&Lによる描画が可能になったMAX-FXエンジンを使っている。ベンチマーク項目でもハードウェアT&LとソフトウェアT&Lを選択できるようになっている。またMMXが必須条件となり、MMX非搭載CPUでは動作しなくなってしまった。バージョン1.1のアップデートではWindows 2000にも正式対応するようになった。アップデートによるベンチマーク結果の変動は3パーセント程度だったという[6]。
デモのストーリーも長くなり、ある程度一貫性の取れたものへと変わっている。特に映画『マトリックス』に影響されたシーンが含まれているのが特徴的である。
この当時、NVIDIA社からGeForce 256が登場し、搭載されるハードウェアT&L機能のためのデモとして利用された。
ゲームを模したテストは次の通り。
DirectX8に対応したベンチマークソフトである。新たにバーテックスシェーダ、ピクセルシェーダ用のベンチマークが加わっている。
前作同様、『マトリックス』のパロディ[4]のアクションシーンがデモに加わっており、主人公の顔が元F1チャンピオンのミカ・ハッキネンそっくりであった。
この製品をもってMAX-FXエンジンは完成の域に達し、これを元にMAX PAYNEがRemedyよりリリースされた。それと同時にMadOnion.comの役目は終わったが、社名をFuturemarkに戻した後、独自の3Dエンジンを用いたベンチマークソフトの開発を行うこととなった。
ゲームを模したテストは次の通り。
DirectX9.0に対応した独自エンジンによるベンチマークソフトである。
リリースされた当時はハイエンドのビデオカードでも比較的重く、ゲーム用ではない3Dエンジンを使ったため、各界から「ゲーム用としての性能を試す正当なベンチマークではない」との批判を受けた。シリーズの成功により影響力が大きくなり「特定のメーカーのグラフィックチップに特化したものではないか」といった種々の問題が生まれた。しかしながら、それを超えるベンチマークが存在しなかったため、引き続きスタンダードとして用いられることが多かった。
デモ内容はシェーダモデル1.4および2.0に対応したもので、4つのショートストーリーごとに異なるテストを行っている。それぞれのストーリーもさらに長く見ごたえのあるものになり、店頭デモとしても活躍するようになった。さらに、音楽もプロのミュージシャンを採用することで臨場感を広げている。
ゲームを模したテストは次の通り[7]。
リリースは2005年。シェーダモデル2.0準拠のベンチプログラムである。フリーダウンロード版の構成は次の通り。
デモ内容はさらに濃厚なストーリ性を持ち非常に見ごたえのあるものになっている。さらにエンドロールでは、フィンランドのバンドPoets of the fall(en)の『lift(en)』を採用していることも注目された。
リリースは2006年。シェーダーモデル3.0準拠、マルチコアCPU対応などで構成されている。
3DMark05に含まれる3つのテストがシェーダモデル3.0による描画に変更された上で収録されており、より複雑なモデルを描画使用することで処理が重くなっている(Firefly Forestの蛍が2匹になっている、など)。
デモは3DMark05のテストをブラッシュアップしたものと、新たに追加された下記のテストである。
2008年リリース。DirectX10及びシェーダーモデル4.0に対応しており、これを搭載するWindows Vista以降のOS対応となっている。64ビット版にも対応している。それ以前のバージョンには対応しておらず、Windows XPでは動作しない。
なお、最初のリリースであるBuild 1.0.0が日本時間2008年4月に公開されたが、いくつかの問題があったため、それらを修正したBuild 1.0.1が同年5月22日と6月2日に公開された。その後2010年2月11日に1.02が公開され、2011年3月15日には「Build」から「Version」へと表記変更が成された上でVersion 1.1.0が公開されている。
当初「Trial Edition」(体験版)として配布された無料版は1度しか実行出来ないという制約が設けられていたが、後発の3DMark11の公開後に発表されたVersion1.1.0からは、実行回数無制限の「Basic Edition」へと切り替えられている。
リリース時期に前後にして登場しているマルチコアCPUやマルチGPU、さらに物理演算エンジンであるPhysXプロセッサの登場によって性能の差が大きく広がったため、パソコンの性能に合わせた4種類のプリセットパターンを用意している。この内1.0.2以前のbuildにおいて、体験版で起動できたのはPerformanceが1度のみである。
デモとしては、下記の4種類が行われる。
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2010年リリース。DirectX11専用で、対応OSはWindows Vista及びWindows 7のみだが、無料版の実行回数制限はなくなった[9]。
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2013年リリース。Windows版はVista以降に対応(7,8.x,10推奨)[10]。