ADM-Aeolus | |
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所属 | ESA |
主製造業者 | EADS アストリアム |
公式ページ | Aeolus |
国際標識番号 | 2018-066A |
カタログ番号 | 43600 |
状態 | 運用終了 |
目的 | リモートセンシングによる測風 |
観測対象 | 地球対流圏および成層圏 |
設計寿命 | 3年 |
打上げ場所 | ギアナ宇宙センター |
打上げ機 | ヴェガ |
打上げ日時 | 2018年8月22日 21:20 UTC[1] |
運用終了日 | 2023年4月30日 |
消滅日時 | 2023年7月28日 |
物理的特長 | |
本体寸法 | 4.6m x 1.9m x 2.0m |
質量 | 1,200kg(ドライ) |
発生電力 | 2,200W |
主な推進器 | ヒドラジンスラスタ(5N)×4 |
姿勢制御方式 | 3軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 太陽同期軌道 |
高度 (h) | 320km |
軌道傾斜角 (i) | 97度 |
軌道周期 (P) | 92.5分 |
回帰日数 | 7日 |
降交点通過 地方時 | 6時 |
観測機器 | |
ALADIN | 大気レーザードップラー測定装置 |
ADM-Aeolus(エーディーエム・アイオロス)は、欧州宇宙機関 (ESA) の地球観測衛星。 測風を目的としてライダーを搭載した史上初の人工衛星であり、2018年から2023年にかけて高度30kmまでの地球全球の風を宇宙から紫外線レーザーで観測した。名称のADMは大気力学ミッション (Atmospheric Dynamics Mission) を意味し、Aeolusはギリシア神話の風神アイオロスから名付けられている。
ADM-AeolusはESAの地球観測計画「Living Planet Programme」の一環をなす人工衛星として1999年に選定された。衛星軌道上からライダーを用いて行う観測で、地球全球について地表から高度30kmまでの三次元的な風向・風速データを取得する。地上から行われる既存の風測定手段は、観測所の数が限られ地域的分布にも偏りがあるが、その制約のない宇宙からの測風技術を本衛星によって確立することにより、長期的な気候変動モデル構築から短期的な気象予報にいたるまで数値予報の精度向上に寄与することが期待された。設計寿命は3年、衛星の製造に要した費用は約5億6000万ドルで、当初の主契約社はEADS アストリアムであったが2013年の企業合併に伴いエアバス・ディフェンス・アンド・スペースに引き継がれた。
搭載する新しいコンセプトの観測装置ALADINの実現には様々な技術的困難を伴い、開発スケジュールの延期を繰り返した結果Aeolusの打ち上げは当初予定の2007年から大きく遅れて2018年となった。世界風の日である6月15日にフランスを出港した衛星はギアナ宇宙センターに搬入後、8月22日にヴェガロケットによって打ち上げが行われ[2]。地球の明暗境界線上を周回する高度320kmの太陽同期軌道(回帰日数7日)に投入された。ミッションコントロールはダルムシュタットの欧州宇宙運用センター(ESOC)がキルナ地上局の送受信設備を通じて行い[1]、観測データの受信はスヴァールバル地上局が担当した。
Aeolusは当初予定の3年を18ヵ月越えて観測を続け、その期間に送出したレーザーパルスは70億に上った。しかし軌道を維持する燃料が尽きてきたため2023年4月30日をもって観測を終了。その後衛星を安全に処分するため残りの燃料を使って軌道が引き下げられ、2023年7月28日に南極上空で大気圏に再突入した[3]。英国のコンサルティング会社ロンドン・エコノミクスの調査によると、Aeolusによる観測データは気象予報の改善と気候変動モデルの理解に大きく貢献し35億ユーロに及ぶ利益を欧州にもたらした[4]。欧州宇宙機関は欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)と協力して後継ミッションのAeolus-2を計画している[5]。