ADVAN(アドバン[1])は、1978年より横浜ゴムから発売されているタイヤおよびアルミホイールの各ブランド名である。
本項では便宜上、ADVANブランド以外の横浜ゴムのモータースポーツ活動についても扱う。
横浜ゴムは1966年に、初めてのレース専用タイヤとして「Y415/Y416」を開発[2]。
1978年に「ADVAN」ブランドが誕生。名前の由来は「前進する」という意味のADVANCEがもとになっている。シリーズ第1弾はタイヤ「ADVAN HF」、およびアルミホイール「ADVAN ディッシュ」だった。当時欧州では「日本の乗用車用ラジアルタイヤはウェット性能が低い」という評価が一般的で、「HF」は「世界最高レベルのウェット性能」を目標に開発された[3]。
近年まではモータースポーツでの使用や、サーキット走行を前提に開発されたタイヤ/ホイールだけに特化していたが、2005年に横浜ゴムが「ADVAN」を世界戦略ブランドとして使用する方針に転換[3]。そのため現在は、欧州のプレミアムカー用タイヤや航空機用タイヤなど、横浜ゴムを代表するグローバル・フラッグシップ・ブランドへと成長している。
アメリカ映画「スピード・レーサー」(日本のアニメ「マッハGoGoGo」の実写版)に登場するマッハ号にも装着されている。
航空機用タイヤでは、2006年4月より「ADVAN AC Y-255」が全日本空輸(現ANAホールディングス)のボーイング777用として供給されていた。航空機用タイヤは1本で25tの荷重を支え、300km/hを優に越えるF1並の離陸速度や250Km/h以上での着陸速度、そして航行中の上空マイナス55度の超低温(その上、航空機のタイヤ収納スペースは与圧されていない)にも耐え、かつ供用中の破損は絶対に許されないという非常に過酷な設計条件が課せられている。
そのように技術的なハードルが高いため、世界でも航空機用タイヤを開発・供給しているメーカーはわずか4社のみ(横浜ゴム・ブリヂストン・ミシュラン・グッドイヤー)である。
この「ADVAN AC Y-255」 は、そのような技術的課題をクリアした航空機用ラジアルタイヤであり、同社の持てる最高の技術が投入されるADVANの技術力をアピールするものとして全日空の協力の下、大々的にPRされた(後にライバル会社のブリヂストンはANAのライバル会社である日本航空(JAL)のボーイング777を起用し、同様に航空機用タイヤの広告を行なっている)。だがその後、2009年3月に航空機タイヤの製造・販売からの撤退を決定した。