Aetobatus flagellum は、マダラトビエイ属 に属するエイ の一種。鼻褶は切れ込んでおり、歯は上下揃っており、下顎にはV字型の歯がある[ 3] 。インド西太平洋の熱帯から温帯海域に分布する。甲殻類、頭足類、棘皮動物、小型の硬骨魚を食べる底魚 。珍しい種であり、IUCN によって絶滅危惧種 とされている[ 1] 。
かつて本種にはナルトビエイ という和名 が与えられていたが、2013年の研究により日本 から中国 、ベトナム に分布する個体群がAetobatus narutobiei として分離され、こちらの種がナルトビエイと呼ばれることとなった[ 4] 。
ペルシャ湾 からインド 、スリランカ 、バングラデシュ を経てミャンマー までのインド洋 沿岸と、ボルネオ島 からジャワ海 を中心としたマレーシア 、インドネシア 沿岸に分布する。フィリピン に分布する可能性もある[ 1] 。沿岸の浅場に生息し、汽水 域に入ることも多い[ 5] 。
背面は一様に緑褐色で、斑点などの模様はない。腹面は白色で、縁に沿って緑褐色の斑点がある。眼は青黒色[ 3] 。マダラトビエイ属では小型であり、体盤幅は雄で23 - 54 cm、雌で24 - 58 cm。最大でも90 cm程度[ 3] 。尾は非常に長く、体盤幅の1.22 - 2.81倍[ 6] 。ナルトビエイによく似るが、本種はより小型であり鰭条の数も少ない[ 4] 。
吻先には頭鰭 があり、頭部から離れている。眼 は頭部背側にあり、噴水孔 は眼の後方にある。胸鰭は頭部から離れており、後方にある。体盤は比較的大きい菱形で、胸鰭は鋭角三角形で、後端は丸い。背鰭は胸鰭の間にあり、尾鰭は無い。
水深0-40メートルの底付近を遊泳し[ 1] 、甲殻類 、頭足類 、棘皮動物 、貝類 などの底生無脊椎動物 、小魚を捕食していると考えられる[ 5] 。吻 を使って底に穴を掘り、獲物を探す。歯によって獲物の殻などを砕き、中身を捕食する。他のトビエイ類同様に無胎盤性の胎生 であり、卵黄 を使い切った胚は母体が分泌する子宮乳によって成長する[ 5] 。出生時は体盤幅23センチメートル程度[ 4] 。雄は体盤幅50センチメートル、雌は75センチメートル程度で性成熟 する[ 1] 。繁殖力は低く、産仔数は1 - 4で、4 - 6年で性成熟 する。
本種の漁獲量データは無いが、分布域の全域でエイの漁獲量が減少傾向にあるため、本種も個体数を減らしていると考えられる[ 1] 。トロール網 などで混獲 された場合廃棄されるか、地元の魚市場で販売される[ 3] 。河口域に生息するため、化学物質 や金属 の流出など、人間活動の影響を受けやすい。河口では浚渫 や埋め立て などの工事も行われる為、生息地の破壊も起こっている。
^ a b c d e f Sherman, C.S., Bin Ali, A., Bineesh, K.K., Derrick, D., Dharmadi, Fahmi, Fernando, D., Haque, A.B., Maung, A., Seyha, L., Tanay, D., Utzurrum, J.A.T., VanderWright, W.J., Vo, V.Q. & Yuneni, R.R. (2021). “Aetobatus flagellum ” . IUCN Red List of Threatened Species 2021 : e.T169243577A124440562. doi :10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T169243577A124440562.en . https://www.iucnredlist.org/species/169243577/124440562 2023年3月31日 閲覧。 .
^ "Aetobatus flagellum (Bloch & Schneider, 1801)" . World Register of Marine Species . 2023年3月31日閲覧 。
^ a b c d White, William T.; Moore, Alec B.M. (2013). “Redescription of Aetobatus flagellum (Bloch & Schneider, 1801), an endangered eagle ray (Myliobatoidea: Myliobatidae) from the Indo-West Pacific”. Zootaxa 3752 (1): 199–213. doi :10.11646/zootaxa.3752.1.12 . PMID 25229115 .
^ a b c White, William T., Keisuke Furumitsu, and Atsuko Yamaguchi (2013). “A New Species of Eagle Ray Aetobatus narutobiei from the Northwest Pacific: An Example of the Critical Role Taxonomy Plays in Fisheries and Ecological Sciences” (英語). PLOS ONE 8 (12): e83785. doi :10.1371/journal.pone.0083785 . ISSN 1932-6203 . PMC 3877081 . PMID 24391827 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3877081/ .
^ a b c “Aetobatus flagellum, Longheaded eagle ray : fisheries ”. www.fishbase.se . 2023年3月31日 閲覧。
^ Oh, Jina; Kim, Sung; Kim, Choong-Gon; Soh, Ho Young; Jeong, Dawa; Lee, Youn-Ho (2006-03-01). “The First Record of Long Headed Eagle Ray,Aetobatus flagellum (Pisces: Myliobatidae) from Korea” (英語). Ocean Science Journal 41 (1): 53–57. doi :10.1007/BF03022405 . ISSN 1738-5261 .
Aetobatus flagellum Raja flagellum