Audio Codec 97(オーディオコーデック 97)は1996年にインテルが提唱したサウンドインターフェースの標準規格である。96年に最初のRev. 1.0が発表され以降改定を重ねており、Rev. 2.3が最新版となっている。2004年に発表されたHigh Definition Audioが後継規格となっている。なお一般にはAC'97と略称されることが多い。本項でも以下ではAC'97と呼称する。
従来はワンチップ構成されることも多かったサウンドデバイスを論理コントローラとアナログコーデックに分離し、高音質化と柔軟性を確保している。また論理コントローラ部をソフトウェア処理させることでサウンドシステムの価格低下も実現する。論理コントローラとアナログコーデックはそれぞれに役割が定められており、5線の双方向シリアルインターフェイスであるAC-LINKで接続される。ハードウェアの電気的仕様に加え、扱うべきサンプリング周波数・入出力チャンネル数なども規格として定められており、互換性の確保が図られている。
なお、機能のサポートはAC'97規格のリビジョンおよび製品の実装に依存する。
AC'97の普及と同時期にオンボードサウンドと呼ばれるマザーボードに実装するサウンド機能の普及も進んだため、「AC'97」がオンボードサウンド機能の代名詞のように扱われることも多い。しかし前述のように本来、AC'97 = Audio Codec '97はインターフェースに関する規格であり、スタンドアローンのサウンドカードでもPCI世代以降はAC'97準拠のものが多く、それらは「サウンドチップ」と呼ばれる論理コントローラと汎用のAC'97アナログコーデックを組み合わせた構成となっている。
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1999年に登場したIntel810チップセットで採用されたICH以降、一般的なPC用チップセットのサウスブリッジにはAC'97準拠の論理コントローラが統合されていた。そのため、当時のPCのサウンド機能は、サウスブリッジの論理コントローラとマザーボード上のアナログコーデックチップで実現している場合が多かった。安価かつ実装面積が少ないというメリットがある反面、AC'97で定められているサンプリングレートではDVD-Audioなどの高音質フォーマットに十分対応できないという問題があった。
2004年、AC'97の問題点に対応するための後継規格としてインテルはHigh Definition Audio(HD Audio)規格を発表した。2006年頃までには新規に出荷されるシステムの大半はHD Audio準拠サウンド機能に置き換えられたが、旧式チップを使用した廉価システムなどではAC'97も依然使用されていた。