Bridelia micrantha

Bridelia micrantha
Bridelia micrantha(南アフリカ共和国、クワズール・ナタール州
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 core eudicots
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : rosid I / Fabidae
: キントラノオ目 Malpighiales
: コミカンソウ科 Phyllanthaceae
: マルヤマカンコノキ属 Bridelia
: B. micrantha
学名
Bridelia micrantha (Hochst.) Baill.[2]
シノニム
英名
coast goldleaf, coastal goldenleaf, sweetberry

Bridelia micrantha(ブリデリア・ミクランタ) とは、コミカンソウ科(旧トウダイグサ科マルヤマカンコノキ属英語版(別名: カンコモドキ属)の樹木である。アフリカに分布し(参照: #分布)、様々な用途に用いられる(参照: #利用)。また、特定の繭を作るガとの関係も複数の地域において見られる(参照: #人間以外の生物との関係)。

Mbuya et al. (1994) をはじめとする東アフリカ関連の文献においては常緑性とされているが、南部アフリカの樹木図鑑である Thomas & Grant (2004:186) や van Wyk & van Wyk (2007) では落葉性(ないしは半落葉性 (Thomas & Grant))とされている。

マルヤマカンコノキ属であることを表す属名 Brideliaスイス蘚苔学者・詩人ザームエル・ブリデル英語版(Samuel Bridel; 1761-1828)への献名であり、種小名 micrantha は花が小さいことにちなむものである[3]

『世界有用植物事典』(堀田満ほか編、平凡社、1989年)にも取り上げられているが、和名はつけられておらず、学名のカナ転写もなされていない。

分布

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セネガルガンビアギニアシエラレオネリベリアコートジボワールマリブルキナファソガーナトーゴベナンナイジェリアカメルーン中央アフリカ共和国スーダンエチオピアケニアウガンダタンザニアルワンダブルンジコンゴ民主共和国コンゴ共和国ガボン赤道ギニア(アフリカ大陸、アンノボン島ビオコ島)、アンゴラザンビアジンバブエマラウイモザンビークスワジランド南アフリカ共和国北ケープ州クワズール・ナタール州西ケープ州北西州ハウテン州東ケープ州ムプマランガ州リンポポ州)、レユニオンに分布する[1]

ケニアでは標高1-1950メートルの川辺か林縁に生えるが、低木林や木の混じる草原にも見られる[4]

特徴

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高さ2-18メートルの低木あるいは高木で[4]密で幅の広い樹冠を有し[5]、樹皮は灰色あるいは黒みがかった色で、はげ落ちやすく粗い[4]。幹および枝にはしばしば木質の棘がまばらに見られる[4]

葉は一見すると複葉であるが実際には単葉で枝沿いに互生[6]、楕円形から倒卵形で[5]上面は光沢のある深緑色、裏面はこれよりも淡色で[7]、基部が形あるいは円形、先端が鈍形あるいは短く先鋭形で、葉縁は浅く円鋸歯状かほぼ全縁、6-18.5×2.5-6センチメートル、多かれ少なかれ細軟毛がある[4]葉脈は平行で、葉縁に沿って広がる[6]

花は黄緑色で密に腋生、房となる[4]雌雄異株[6]雄花も雌花も非常に短い小花柄を持つ[5]

果実は紫黒色、先端の尖った長円形で8-10×5-6ミリメートル[4]、1室である[5]

種子が豊富で生長も速く、また種子だけでなく根の吸器からも再生する[1]。ただし種子は油分を多く含むために生育可能な期間が短く、保存は効かない[8]

人間との関係

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利用

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ブリデリア・ミクランタは多岐にわたる用途に用いられる[1]

東アフリカ諸国のうち、ウガンダエチオピアケニアザンビアタンザニアにおける利用法には以下のようなものがある[9][10][11][6][8](〇でその利用法が見られることを表す)。なお、左記5ヶ国全てにおいて果実が食用とされるが、食べられるのは熟したものであり、甘い[6]

ウガンダの旗 ウガンダ エチオピアの旗 エチオピア  ケニア ザンビアの旗 ザンビア タンザニアの旗 タンザニア
木炭 -
木材
道具の取っ手
〇(穀倉の) 〇(穀倉の)
穀倉用建材 - - 〇(枝) - -
果実を食用に
薬用 〇(樹皮、根) 〇(樹皮、根) 〇(樹皮、根; 葉の汁) 〇(葉、根、樹皮) 〇(樹皮、根)
飼料 〇(葉) 〇(葉) 〇(葉をヤギに) 〇(果実および葉) 〇(葉)
蜜源 - - - -
マルチング -
木陰作り
河岸の安定化 - - - -
染色 - - 〇(赤色の) 〇(果実、木片、樹皮を使用) -

薬用

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ケニア中央州キクユ人は樹皮を煎じたものを腸内寄生虫(ニエリ・カウンティにおいて)[12]エイズ[13]に対して用いるとの報告がある。マサイ人は樹皮を煎じたものを子供の赤痢に用いる[4]

コンゴ民主共和国の狩猟採集民であるムブティエフェ英語版(Efé)は樹皮の煎じ汁を喉の痛みや咳に対して、また胃の不調の際の浣腸剤や下剤として用いると報告されている[14]

木材

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また、木材としては家具床材ボート作りに活用される[1]

ケニアではキクユ人がポール作りに用いていた[15]

人間以外の生物との関係

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ブリデリア・ミクランタは複数の地域においてを作るとの関連性が見られる。コンゴ民主共和国イトゥリの森 (enの狩猟採集民ムブティエフェの間では食用となる Anaphe属のガ(恐らく A. infracta)の幼虫が葉を食べることが知られており、ブリデリア・ミクランタとガの幼虫とはだいたい同じ名前(munjaku、munzaku、あるいは enjeku)で呼ばれる[14]マラウイにおいても Anaphe panda というガの幼虫がやはり本種に繭を作り、ブリデリア・ミクランタと Anaphe panda が共通の呼称(ニャンジャ語では masopa、トゥンブカ語では maleweza あるいは malewezi)で呼ばれる[16]ケニアキクユ語でブリデリア・ミクランタは mũkoigo(モコイゴ)とよばれるが、キクユ語-英語辞書である Benson (1964) には thoigũ(ゾイゴ)という「モコイゴの樹上に見られる絹でできた大きな繭」を意味する語が掲載されており、この繭は潰瘍: ulcers)に被せる包帯として用いられ、また特定の鳥からも営巣に利用されたという。

諸言語における名称

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  • 英語: coast goldleaf, coastal goldenleaf, sweetberry[17]

ウガンダ:

ガーナ:

ガーナおよびコートジボワール:

  • アニ語(Anyin, Anyi, Agni): bacié, egpa, bianzua, epako troubo[19]
  • ンゼマ語(Nzema; 別名: Appolo, Appollonien): ataba, ekuané[19]

ケニア:

コートジボワール:

コンゴ民主共和国:

ザンビア:

タンザニア:

ナイジェリア:

マラウイ:

南アフリカ共和国など:

脚注

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注釈

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  1. ^ ムブティとはコンゴ民主共和国のイトゥリの森に暮らす狩猟採集民を表す語であるが、狭義のムブティとエフェ(Efé)という集団に分けられ、前者がバントゥー系言語を話すのに対し、後者はスーダン系言語(Sudanic)を話す[20]。Lewis et al. (2015) は、「ムブティ」を中央スーダン諸語英語版(Central Sudanic)のレセ語英語版(Lese)の別名としている。

出典

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  1. ^ a b c d e Rivers et al. (2017).
  2. ^ a b c World Checklist of Selected Plant Families: Royal Botanic Gardens, Kew. 2018年11月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g Thomas & Grant (2004:186).
  4. ^ a b c d e f g h i j Beentje (1994).
  5. ^ a b c d e Kokwaro & Johns (1998).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Mbuya et al. (1994).
  7. ^ a b van Wyk & van Wyk (2007).
  8. ^ a b c d Simute (1998).
  9. ^ Bekele-Tesemma (2007).
  10. ^ a b c Katende et al. (2000).
  11. ^ Maundu & Tengnäs (2005).
  12. ^ Kamau et al. (2016).
  13. ^ Njoroge & Bussmann (2009).
  14. ^ a b c d Terashima & Ichikawa (2003:49).
  15. ^ a b Leakey (1977).
  16. ^ a b c Morris (2004:78–80,268)
  17. ^ Quattrocchi (2012).
  18. ^ a b c Iwu (1993).
  19. ^ a b c d e f g Kerharo & Bouquet (1950).
  20. ^ Terashima & Ichikawa (2003:6).
  21. ^ a b c Quattrocchi (2000).
  22. ^ a b c Doke & Vilakazi (1953:314–5).

参考文献

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英語:

フランス語:

関連項目

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