この文脈において、(「最大」とは言いながら)一般にGCDは唯一でないことに注意すべきである。しかし、任意の二元 a, b に対しそのGCDは、どの二つも互いに同伴、したがって単元を掛ける違いを除いて一意に決まるから、GCDの任意の一つを指す意味で gcd(a, b) と書くことに誤解の虞はないであろう。一方、二元のGCD集合を GCD(a, b) ≔ {c ∈ R | c は a と b との GCD} として定義するならば、gcd(a, b) ∈ GCD(a, b) であり、また GCD(0, 0) = {0} や GCD(1, a) = U(R)(R の単元群)などが成り立つ[2]。 LCMについても同様。
GCD整域 R の元 x, y の各組に対して、x と y の GCD d と、x と y の LCM m は、dm = xy であるように選ぶことができる。あるいは別の言い方をすれば、x と y が非零元で d が x と y の任意の GCD であれば、xy/d は x と y の LCM であり、GCD と LCM を入れ替えて同様のことが成り立つ。これにより以下が言える(英語版):
可換モノイド環R[X; S] がGCD整域となる必要十分条件は、R がGCD整域で S がねじれのない消約的(英語版) GCD半群となることである、ここに、GCD半群とは、半群 S であって S の任意の二元 a, b に対し(加法的に書けば)(a + S) ∩ (b + S) = c + S となる c がとれるという性質を持つものを言う。特に G がアーベル群ならば、R[X; G] がGCD整域となる必要十分条件は、R がGCD整域で G にねじれがない(英語版)ことである[6]。
^Ali & Smith 2003, p. 84—"It is easy to see that an integral domain is a Prüfer GCD-domain if and only if it is a Bezout domain, and that a Prüfer domain need not be a GCD-domain."