HTTPパイプライン (HTTP pipelining) は、一つのTCPコネクション上で、複数のHTTPリクエストを応答を待つことなく送信する技術である[1]。
リクエストをパイプライン化することにより、ウェブページの読み込みが大幅に高速化される[2]。これは、遠隔地にあるサーバとの通信や衛星インターネットアクセスなどレイテンシが大きい場合に顕著である。HTTP/1.1の仕様上の制限から、クライアントからのリクエストの順序とサーバからのレスポンスの順序は同期している必要がある[1]ため、 HOLブロッキング(英語版)が発生しうる。リクエスト順序とレスポンス順序の非同期は、HTTP/2 (SPDY) において規定されている[3]。
POSTのような冪等ではないメソッドをパイプライン化してはならない[4]。GETおよびHEADのみが連続するリクエストは常にパイプライン化が可能である。PUTやDELETEなど他のメソッドを含めて連続する場合のパイプライン化の可否は、リクエストの順序が他に影響を及ぼすか否かによる[1]。
HTTPパイプラインでは、クライアントおよびサーバ双方での対応が必要である。
HTTPパイプラインは、HTTP/1.1においてのみサポートされており、HTTP/1.0ではサポートされていない。
サーバ側でのパイプライン化対応は、リクエスト間においてネットワークバッファを破棄しないよう注意していれば比較的容易である。そのため、大多数のサーバでは特に問題なくパイプライン化に対応している。
近年のウェブブラウザでは、Prestoを搭載していた時代のOperaのみがパイプライン化を完全に実装し既定で有効としていた。他のブラウザは、パイプライン化を実装しているものの問題があることから既定では無効化していた、あるいは実装していない[3]。
プロキシの多くはパイプライン化に対応していない[11]。
Squidのいくつかのバージョンではパイプライン化に対応しているが、「帯域管理とログ記録」を理由として既定で無効化されている[12]。
Polipo(英語版)はパイプライン化に対応している[13]。
- ^ a b c “Hypertext Transfer Protocol (HTTP/1.1): Message Syntax and Routing”. ietf.org. 2014年7月24日閲覧。
- ^ “Network Performance Effects of HTTP/1.1, CSS1, and PNG”. World Wide Web Consortium (24 June 1997). 2015年2月20日閲覧。
- ^ a b Willis, Nathan (18 November 2009). “Reducing HTTP latency with SPDY”. LWN.net. 2015年2月20日閲覧。
- ^ “Connections”. w3.org. 2015年2月20日閲覧。
- ^ “Wayback link of 'Windows Internet Explorer 8 Expert Zone Chat (August 14, 2008)'”. マイクロソフト (August 14, 2008). May 10, 2012閲覧。
- ^ Pipelining Network MozillaZine
- ^ Cheah Chu Yeow. Firefox secrets. p. 180. ISBN 0-9752402-4-2
- ^ “https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=264354”. Mozilla. September 16, 2011閲覧。
- ^ “Source code – nsHttpConnection.cpp”. Firefox source code. Mozilla (May 7, 2010). 2015年2月20日閲覧。
- ^ HTTP Pipelining - The Chromium Projects
- ^ Mark Nottingham (June 20, 2007). “The State of Proxy Caching”. 2015年2月20日閲覧。
- ^ “squid : pipeline_prefetch configuration directive”. Squid (November 9, 2009). 2015年2月20日閲覧。
- ^ “Polipo — a caching web proxy”. Juliusz Chroboczek (September 18, 2009). 2015年2月20日閲覧。