ジャンル | バーチャルホラーランド※ |
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対応機種 | ドリームキャスト(DC) |
開発元 | 株式会社クレイジーゲーム |
発売元 | SEGA |
人数 | 1人用(※ミニゲーム時1~4人用) |
メディア | [DC]GD-ROM |
発売日 |
[DC]2001年3月29日 [DC]2001年4月25日 [DC]2002年1月20日 [Xbox]発売中止 |
売上本数 | 国内で約2万本[要出典] |
その他 | ※雑誌紹介では「バーチャルホラーアトラクション」、広告用映像では「バーチャルハウスオブホラー」となっている。 |
『ILLBLEED』(イルブリード)は、株式会社クレイジーゲーム[1]が製作したドリームキャスト用ゲームソフト。日本での発売日は2001年3月29日。ディレクターは西垣伸哉(2004年に逝去)。キャラクターデザインは漫画家のせがわまさき。音楽の作曲および効果音の制作は菊池幸範。通称「イルブリ」「ブリ」など。
最も売れた“バーチャルお化け屋敷ゲーム”とされている。3D空間で展開するホラーゲームということから「バイオハザード系」「バイオに似ている」などと形容されることがあるが、ストーリー・システム・操作性・ビジュアル面において大きく差別化されており「とにかく怖いB級ホラー作品」というテーマに徹した[2]作風となっているため、ゲーム性において類似しているといえる点は少ない。具体的には、バイオハザードが「敵との戦闘」を主軸としているのに対し、本作では「ゲーム内のトラップを回避しダメージを極力抑えつつ先に進むこと」が主軸となっているという点があげられる。
「ハイスクールのホラー映画研究会に所属する若者4人が“クリアすれば賞金1億ドル”というふれこみのお化け屋敷「イルブリード」へと赴き、想像を絶する目に遭う」という設定のゲームで、様々なホラー映画のパロディ要素が多量に含まれている他、販売元であるセガにまつわるブラックなネタ要素も存在する。
映画史上、もっとも上映禁止を多発させた問題映画プロデューサー、マイケル・レイノルズが、入場者を恐怖のドン底に叩き込む為だけに造ったホラーアトラクション「イルブリード」。そこは「生還できれば賞金1億ドルが手に入るが、失敗すれば死あるのみ」という、情け容赦ない恐怖の施設だった
ホラー映画研究会の部長を兼任する生徒会長エリコ・クリスティは、イルブリードへ挑戦しようと仲間たちから誘われる。あまりもの賞金の莫大さをいぶかしみ一旦は誘いを断ったものの、いつまでも帰ってこない仲間の安否が気になったエリコは単身、イルブリードへと向かい、仲間を救い出し無事イルブリードを制覇する。
手にした大金でバカンスを楽しんでいた仲間たちであったが、浮かない顔で膝を抱えていたエリコは、突如何かを思い出したかのように、イルブリードへ単身引き返してしまう。悪夢のようなアトラクションを再び制覇した後、施設の最奥に進んだ彼女の前に、宇宙人のお面のような奇妙なマスクをかぶった人物が現れる。彼こそがイルブリードの創造者、マイケル・レイノルズ。エリコは彼を「パパ」と呼び、彼はエリコを「娘」と呼んだ。
幼い頃、エリコは移動型お化け屋敷を運営する父親にホラー映画ばかりを見せられた挙句、出し物の実験台にされた末にトラウマから恐怖という感情を喪失するという痛ましい過去を負っていた。その元凶こそがマイケル・レイノルズ。つまり、エリコと彼は実の親子だったのである。
5歳の頃のエリコが、自分が作った恐怖の仕掛けに驚きもしなかったことにプライドを傷つけられたレイノルズは、エリコを再び驚かせることをもくろんでイルブリードを作り出し、エリコが来るのを待っていたという。そしてエリコは恐怖心を取り戻すべく、それを実現させられる唯一の人物である父に再開するために、再びイルブリードに戻ってきた。利害が一致した2人は最後の戦いに臨む。
最後の試練としてマイケルが用意した最恐のアトラクションを、エリコはたやすくクリアしてしまう。動揺を隠せない父の眼前で、父のやり口の稚拙さをあざ笑いながら、見せつけるようにエリコは自分の顔の皮をはぐ。その下には父と同じ宇宙人のような顔があった。驚きのあまりに心臓発作で苦しみ悶え始めたレイノルズを見て、更にその顔をはぎ取ると、エリコの元の顔が現れる。実は二重にマスクを被っていたのである。
レイノルズは苦しみながら灰色の粘液になって溶け去ってしまうが、その直後、灰色の粘液の池から巨大なレイノルズの顔が現れる。驚きに腰を抜かしつつ顔を倒すと、レイノルズの顔がぱっくり割れ、さらに中から巨大な脳みそが出現。レーザーや触手の攻撃でさらにエリコを追い詰めていく。再び腰を抜かして驚きつつなんとか脳みそを倒したエリコは、愚かにも自分で自分の身を滅ぼした父への複雑な思いを抱きつつ、「今のはちょっとだけ怖かった」と呟いた。
父との対立を乗り越えたエリコは、トラウマを克服して恐怖心を取り戻したものの、トラウマの反動であるかのように極端に怖がりな性格になってしまう。そんな彼女のナイトとして、エリコと親密な関係になったケビンのモノローグで物語は幕を閉じる。
命を危機に晒すトラップが大量に仕掛けられた全7つのお化け屋敷を探索し、命を落とすことなくゴールにたどり着くことがプレイヤーの目的となる。
キャラクターには、「心拍数」「体力」「アドレナリン」「出血量」のステータスが設定されている。ダメージを受けたり特定のアクションを行うことで増減し、それらが規定値に達すると「ショック死」「心停止」「衰弱死」「失血死」を引き起こす。出血が一定量を超えると心拍数が下がっていくなど、各ステータスは相互に連動している。
標準値 | 上限 | 増加条件 | 減少条件 | 死亡条件 | |
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心拍数(回/分) | 50 | 255 | ショックイベント発生、ステップ使用(戦闘時) | 立ち止まる、大量に出血 | 上限もしくは0に達する |
体力 | 上限 | キャラクターにより異なる | - | 外傷を負う、大量に出血 | 0に達する |
アドレナリン | 上限 | キャラクターにより異なる | トラップ解除、戦闘に勝利(例外あり) | ホラーモニター起動、警戒 | なし |
出血量(cc/分) | 0 | 100 | 外傷を負う、一定量以上の状態で動き回る | 立ち止まる | 上限に達する |
※アイテム使用による増減、ERでの治療、ステージクリアによるリセットは省略。
ステータスの増減にはキャラクターごとに設定された以下のパラメータが関連している。ERでこれらのパラメータを強化することによってステータスの変動を抑えることができる(腰抜け状態から立ち直るまでの時間など、キャラクターの本質的な特性を変えることはできない)。
ステータスとの関係 | 初期値 | 上限 | |
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強心度 | 心拍数の上がりにくさ | キャラクターにより異なる | 100 |
体力 | 体力の多さ | キャラクターにより異なる | 500 |
アドレナリン量 | アドレナリンの多さ | キャラクターにより異なる | 900 |
止血力 | 出血量の上がりにくさ | 1 | 10 |
「アトラクションシアター」と呼ばれる映画館の形をしたお化け屋敷は全6ステージ。それぞれ“史上最も上映禁止を多発させたホラー映画プロデューサー”という映画監督マイケル・レイノルズ[3]のホラー映画がモチーフになっており、まずその作品を観てからアトラクションに挑戦するという設定。プレイヤーはストーリーに沿った行動をとりながらゴールを目指す。
ステージには「ショックイベント」と呼ばれるトラップが仕掛けられており、これにひっかかることでキャラクターは様々なダメージを受ける。プレイヤーは画面上部に表示されている「4感センサー」の反応を頼りに、これらのトラップを回避しなくてはならない。4感センサーは「視覚」「聴覚」「嗅覚」「第6感」で構成されており、トラップの属性によって異なった反応を示す。
反応するトラップ | |
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視覚 | 出現場所が目に見えているもの |
聴覚 | 音で驚かせるもの、発動に音が伴うもの |
嗅覚 | 汚物などの臭いを伴うもの |
第6感 | アイテムもしくはエネミー |
センサーが反応したら「ホラーモニター」という特殊なゴーグルを装着し、「警戒ポイント」と呼ばれる“怪しげな場所”をマーキングする(これを「警戒」と呼ぶ)。このときアドレナリンが消費されるので、警戒できるポイントは制限される。警戒した場所が正しければトラップは発動せず、一定量のアドレナリンが回復する(これを「トラップの解除」と呼ぶ)。トラップのないポイントを警戒した場合はアドレナリンが無駄になる。また、トラップの配置場所はプレイ毎にランダムで変化するため、暗記は通用しない。
第6感に反応したポイントがエネミーであった場合は戦闘となる。警戒せずに突入するとキャラクターは腰を抜かし、心拍数が高い状態では気絶してしまう。戦闘はプレイヤーかエネミーのどちらかが倒されるまで続くが、ヘリポートで助けを求めれば脱出することができる[2][4](できない戦闘もある)。ボスキャラクターのみ画面上部に体力ゲージが表示されるが、ゲージに無限大のマーク(∞)がついている場合はダメージを与えることができず、特定のイベントを発生させる必要がある。
それぞれのステージには高額なクリア賞金が用意されているが、クリア時の状況次第で変動するようになっており、満額手に入れるためにはスタート開始時点に掲示された5つの条件全てを満たさなくてはならない[5]。一度エンディングを迎えた後は強化手術のステータスのみ、2周目以降に引き継いで周回プレイが可能。
アトラクションには主人公の仲間が迷い込んでおり、一定の条件を満たすことで救出することができる。救出した仲間は次のステージから使用可能となる。使用キャラクターが死亡した場合、脱落した地点付近から別のキャラクターでプレイを再開できるが、その時点で生存している仲間がいない場合はゲームオーバーとなる。全面クリアした時点で仲間が1人でも脱落している場合、強制的にバッドエンドとなる。
キャラクターがとるアクションは通常、アナログ方向キーによる移動とAボタンによる調査、Xボタンによるジャンプのみ。Rトリガーを引けばカメラアングルを一人称視点にすることができ、マップ上の細かいオブジェクトを眺めることができる(ホラーモニターを所持している場合はホラーモニターを起動・終了する)。
武器アイテムを取ることにより戦闘中に武器を使用できるようになる。Yボタンで近距離用武器、Rトリガーで遠距離用武器が発動(武器を所持していないときはYボタンで素手での殴りのみ可能)。Aボタンを押すと掛け声とともにバックステップ(レバー入力中はサイドステップ)を繰り出し全身が無敵となるが、心拍数が上昇するためショック死の可能性が高まる。戦闘エリアにヘリポートがある場合のみBボタンの連打で脱出を図ることができる。
マルチエンドとなっており、仲間を全員救出できたか否かでエンディングの内容がグッドエンドとバッドエンドの2種類に分岐する。2周目以降のプレイで一定の条件を満たすと「真のエンディング」を迎えることができる(条件のヒントは通常エンディングの中で暗示されている)。真のエンディングの後にはあるキーワード[6]が表示されるが、これはソフト発売時のキャンペーンに利用されたものである。[7]
各ステージはそれぞれ、マイケル・レイノルズ監督の(架空の)ホラー映画をテーマとしている。
ステージ1
シアター | ミネソタヘルシネマ(MINNESOTA HELL CINEMA) |
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映画名 | 『死を呼ぶホームラン』(原題:THE HOMERUN OF DEATH) |
ストーリー | 「いくぞジミー、こんどは内角高めだ!」 ミネソタの大自然を背景に生まれた、父と息子の野球魂!
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ステージ2
シアター | シネパニック(CINEPANIC) |
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映画名 | 『女王ミミズの復讐』(原題:THE REVENGE OF QUEEN WORM) |
ストーリー | おまえとの思い出は忘れないよ、レイチェル…
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補足 | ホラーモニターが敵に奪われる演出上、戦闘以外のショックイベントはほぼ存在せず、クリア時に解除トラップ数を問われることもない。 |
ステージ3
シアター | ブギーズファンムービー(BOOGIE'S FUN MOVIE) |
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映画名 | 『材木人間』(原題:WOODPUPPETS) |
ストーリー | よく皮をむき、脳髄をきれいに取り除く。最後に全身を木の皮でコーティング。出来上がったら、なま温かいうちに斧でバラバラに粉砕する。
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補足 | ステージの途中でプレイヤーが材木人間と化す場面が存在する。ジャンプが不可能になるが戦闘では特殊なアクションが可能になる。 |
ステージ4
シアター | ショックショックシアター(SHOCK SHOCK THEATER) |
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映画名 | 『殺人デパートの恐怖』(原題:KILLER DEPARTMENT STORE) |
ストーリー | いらっしゃいませ。お帰りは地獄でございます
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補足 | 満額与えられたクリア賞金が、トラップにかかることで減額されていくという変則ルール。
賞金として明示されないボーナスがキャッシュマンの隠し金庫という形で用意されている。 |
ステージ5
シアター | ホールオブリセントメント(HALL OF RESENTMENT) |
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映画名 | 『キラーマン』(原題:KILLERMAN) |
ストーリー | キラーマン…それは正体不明の、ただ殺す男
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補足 | 導入部の映画館からバックステージに迷い込んでしまうという特殊な設定。
事件の犯人を推理し、正解すると特別ボーナスが賞金に加算される。 仲間を救出せずにクリアするとペナルティとして獲得賞金は0となる。 |
ステージ6
シアター | チャイルドパレス(CHILD PALACE) |
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映画名 | 『トイハンター インダくん地獄へ行く』(原題:TOY HUNTER INDA GOES TO HELL) |
ストーリー | 超人気シリーズ最新作! こんどは地獄のファンタジーだ!
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補足 | 序盤にプレイヤーキャラが「インダくん」に姿を変えられる。
通常のトラップに紛れた「STORY」トラップにわざとひっかかりながら進むという特殊ルール。 |
登場するモンスターは大半が機械仕掛けだが、従業員が着ぐるみを着て演じているものも存在する。「クリア失敗すれば死亡の命がけのゲームだけに主人公たちも容赦ないため、従業員にとってもまさ命がけ」である。
非常に多くのアイテムが存在するため、基本的なものだけを表記する。高確率で“おバカ”な要素を含んでいる。
発売に先がけて2度の体験キャンペーンが行われた。内容は開発中のステージ1を制限時間内にクリアすれば賞金10万円が与えられるというもので、実際に獲得者が出ている。会場では限定パンフレットが配布されたほか、第2回の会場で製品を予約した者にはオリジナルQUOカードが贈呈された。
ドリームキャストダイレクト上でエリコのフィギュアつき初回限定版が販売された。
ほぼ同じ内容の北米版がAIA Gamesから販売されている。テキストが英語になっている他、日本的な部分が北米向けにアレンジされている。