JR東日本251系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 東日本旅客鉄道 |
製造所 |
川崎重工業 近畿車輛 |
製造年 | 1次車:1990年4月・2次車:1992年2月 |
製造数 | 4編成40両 |
運用開始 | 1990年4月28日 |
運用終了 | 2020年3月13日 |
廃車 | 2020年9月2日 |
投入先 |
スーパービュー踊り子 東海道本線 |
主要諸元 | |
編成 | 10両編成 (6M4T) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) (狭軌) |
電気方式 |
直流1,500 V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 120 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 2.5 km/h/s[1] |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s[1] |
減速度(非常) | 4.2 km/h/s[1] |
編成定員 | 530(リニューアル後) |
編成重量 | 358.1 t |
全長 |
20,500 mm(先頭車) 20,000 mm(中間車) |
全幅 | 2,950 mm |
全高 |
4,070 mm 4,150 mm(パンタグラフ折りたたみ) |
床面高さ |
1,180 mm(出入口部) 1,580 mm(ハイデッカー部) |
車体 | 耐候性鋼板(屋根・床板のみステンレス鋼[1]) |
台車 |
ロールゴム式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付) DT56・TE241 |
主電動機 | 直流直巻電動機 MT61形 |
主電動機出力 | 120 kW |
駆動方式 | 中空軸平行カルダンたわみ板継手方式 |
歯車比 | 1:4.82 |
編成出力 | 2,880 kW (6M4T) |
制御方式 | 界磁添加励磁制御 |
制御装置 | CS57C形電動カム軸式主制御器・HS54C形励磁装置 |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・抑速ブレーキ |
保安装置 | ATS-SN、ATS-P |
備考 | 出典[2] |
251系電車(251けいでんしゃ)は、かつて東日本旅客鉄道(JR東日本)が保有・運行していた直流特急形電車。1990年(平成2年)4月28日に「スーパービュー踊り子」で営業運転を開始した[1]。
伊豆方面への特急列車は1981年(昭和56年)に登場した185系が担っていたが、同形式は普通列車にも運用されることを想定していたため内装面で若干見劣りしていたことから、伊豆半島へのリゾートアクセス専用車両として開発され[2]、10両編成4本(計40両)が導入された。
メインテーマは「列車に乗ったらそこは伊豆」[2]。同じ伊豆半島を走る伊豆急行2100系電車(リゾート21)に触発される形で設計・製造したとされることもある[3]。トータルデザインコンセプトを「ハイクオリティ・ドリーム」とし、エクステリア(外観)は「ダイナミズム[注釈 1]・ときめき」、インテリア(内装)は「ラグジュアリス[注釈 2]・極めて快適な」をテーマとした[1]。
デザインは剣持デザイン研究所が担当した[4]。1991年(平成3年)鉄道友の会ローレル賞受賞[5]。
本項では、落成時の仕様について述べる。
10両編成のうち3両が2階建車両、7両が平屋のハイデッカーで構成される[1]。
車体は耐候性鋼板製で、屋根および床の一部にステンレス鋼を採用している[2]。10両編成での重量は358.1 tと185系(10両)の402 tよりも軽量化を実現した[2]。塗装は伊豆の海を連想させるアジュールブルー■、フューチュアグレー■のツートンで、車体中央部に白い細帯が入る。側窓ガラスは大形の曲面複層ガラスの固定窓を使用している[1]。前照灯はフロントガラス下の3灯に加えて、上部にプロジェクターヘッドライトを装備している[1]。
各車の乗降口には外開き式のプラグドアを採用し、2両に1箇所の割合で通常の乗降を行うという方式を採用した[2]。これは2両で「ひとつの空間」という意味合いからである[2]。2・3・5・7・10号車の、窓が設置されているドアのみがメインエントランス(通常の乗降口)(開口幅1,006 mm、有効開口800 mm)で、普通車はモハ250形とクハ251形、グリーン車はサロ251形がこれに該当する。1・4・6・8・9号車の、モハ251形、サハ251形、クロ250形に設置のサブエントランス(補助出入口・窓のないドア)は終点まで開かない。ただし、「ホームライナー」として運行する場合は「おはようライナー新宿」での小田原駅、「ホームライナー小田原」での新宿駅・渋谷駅を除く全駅で全部のドアを使用していた。
グリーン車は2 + 1アブレストで、1人掛席はクロ250形が山側、サロ251形が海側に配置されている。これは、サロ251形には4人用個室を3室設けており、個室を海側に設定すると1階の通路高さの確保が難しくなるためであり、2階席の座席のハイデッキ構造の部分に1階通路を設定することで通路高さを確保した。この際に、幅に余裕のある2人掛の席の下を通路に設定したため、海側を1人掛にせざるを得なかったものである[6]。座席間隔は1,300 mm(展望席は1,000 mm、レッグレストなし)で、レッグレストとインアームテーブルを備える[2]。
個人から団体に対応する設備を備えており、すべて床面を400 mm嵩上げしたハイデッカー構造、座席は2+2の配置で回転式クロスシート(リクライニング機構なし)となっている[2]。荷棚はハットラック式(収納式)である[2]。
家族連れ向けの9・10号車は4人がけのセミコンパートメントを配置したグループユニットとなっている[2]。10号車の展望席はフランス製の固定式座席を750 mm間隔、4人×4列の配置としている[2]。
グリーン席・普通車とも、座席にはオーディオユニットが内蔵されていたが、のちに撤去された。
便所は、クハ251(10号車)を除いた各車両に設置している。大便所1か所(洋式便器と洗面所1か所という構成である。奇数号車のみ、さらに小便所1か所が加わる。
主回路は先に常磐線特急「スーパーひたち」用として登場した651系に続いて界磁添加励磁制御を採用し、定速制御機能も付加している。台車も651系に準じたボルスタレス式のDT56形・TR241形でヨーダンパ付である[7]。ただし、最高速度は651系の130 km/hに対し本系列は120 km/hであり、歯車比は185系と同一の4.82である。主電動機は界磁添加励磁制御車に共通のMT61形であるが、冷却ファン構造を変更し、高速域での騒音を低減した「内扇形」を搭載する。制動方式は回生併用電気指令式空気ブレーキで、伊東線・伊豆急行線に存在する連続急勾配に対応して抑速ブレーキも装備する。
集電装置(パンタグラフ)は車体断面が大きく、また専有面積を小さくして客室スペースを拡大させることから、JR東日本の在来線電車では初めて下枠交差式のPS27形を採用した[7]。
空調装置は、インバータ式集約分散形で、ハイデッカー車は床下設置のAU301形(容量 37.21 kW(32,000kcal/h))を1台搭載する[7]。2階建て車は中間車が床置形のAU401形を2台、先頭車はAU401形と床中形のAU402形を各1台搭載する[7]。1台あたりの容量は、20.93 kW(18,000kcal/h)で、1車両では41.86 kW・36,000kcal/hである[7]。これらの空調装置はすべて三菱電機製である[8]。運転室には専用の冷房装置4.65 kW(4,000kcal/h)を備えている[7]。
1992年製の2次車では、1次車の使用状況を踏まえて仕様が変更された[9]。
パンタグラフ・主制御器・主抵抗器を装備するハイデッカー構造の中間電動車で普通車。定員64名。6号車と8号車に連結され、6号車はモハ250形100番台・8号車はモハ250形0番台とユニットを構成する。トイレ・洗面所を設置。
パンタグラフ・主制御器・主抵抗器を装備するハイデッカー構造の中間電動車で普通車。定員64名。モハ250形0番台とユニットを構成する。東京方の連結器は検査時の編成分割に対応した密着連結器を装備する。4号車である。トイレ・洗面所を設置。
電動発電機 (MG) ・空気圧縮機 (CP) を装備するハイデッカー構造の中間電動車で普通車。定員56名。3号車と7号車に連結され、3号車はモハ251形100番台・7号車はモハ251形0番台とユニットを構成し、3号車・7号車だがうち7号車は2007年3月17日までは喫煙車であった。トイレ・洗面所・ミニロビー(7号車は喫煙コーナーを兼ねていた)を設置。通常、3号車(普通車)と2号車(グリーン車)の間の乗客の通り抜けは不可能となっている。
モハ251形0番台とユニットを構成するハイデッカー構造の中間電動車で普通車。定員48名。本番台は0番台と異なり、MG・CPは装備しない。伊豆急下田方の連結器は、モハ251形100番台に対応した密着連結器を装備する。5号車である。サービスカウンター兼売店、テレホンカード式公衆電話を設置。
東京方先頭車(制御車)でダブルデッカー構造の普通車。定員52名(登場時)。運転室後部に展望席(登場時16席)を備え、2階が登場時36席の普通席で、1階が子供用の遊戯ルームになっている[2]。乗務員室、荷物置場を設置。かつてはテレホンカード式公衆電話も設置されていたが、後に撤去されている。
伊豆急下田方先頭車でダブルデッカー構造のグリーン車。運転室後部に展望席を備え、2階が定員14名のグリーン席、1階がグリーン車利用客専用のラウンジ(サロン室)と売店である[2]。1階と2階を往来できる階段は展望席後ろの海側にらせん階段が設けられているほか、非常用乗降扉の横にも1階と2階に繋がっている直線階段が設けられている。トイレ・洗面所、荷物置場を設置。かつてはクハ251形同様テレホンカード式公衆電話も設置されていたが、のちに撤去されている。
ハイデッカー構造の中間付随車で普通車。定員64名。トイレは車椅子対応となっているが、車椅子対応座席は客室に設置されておらず、デッキに設置の多目的室を利用する事としている。
中間付随車でダブルデッカー構造のグリーン車。2階が定員25名のグリーン席、1階が定員4名のグリーン個室が3室である[2]。個室の座席は電動リクライニングシートである[2]。なお、1階は1号車寄りのみ階段が設けられているため、1階から3号車への通り抜けはできない。2007年3月18日までは喫煙車であった。トイレ・サービスカウンター・荷物置場を設置。
形式 | ← 東京・新宿・池袋・宇都宮 小田原・熱海・伊東・伊豆急下田 →
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備考 | ||||||||||||
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10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |||||
クハ251 (Tc) |
サハ251 (T) |
モハ251 (M) |
モハ250 (M') |
モハ251 (M) |
モハ250 (M') |
モハ251 (M) |
モハ250 (M') |
サロ251 (Ts) |
クロ250 (T'sc) |
竣工 | リニューアル工事 | 廃車 | ||
搭載機器 | Cont,BT | MG,CP | Cont,BT | Cont,BT | MG,CP | |||||||||
車両重量 | 34.3 t | 29.1 t | 38.2 t | 39.3 t | 38.2 t | 34.2 t | 38.2 t | 39.3 t | 32.8 t | 34.5 t | ||||
車内デザイン | グループユニット | カスタムユニット | グリーンユニット | |||||||||||
車内設備 | 運転室 車掌室 TEL |
多目的室 車椅子WC |
サロン 荷物 |
サービス サロン TEL |
サロン 荷物 |
サービス 荷物 |
運転室 TEL | |||||||
編成番号 | RE-1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 101 | 101 | 2 | 1 | 1 | 1990年4月8日 | 2002年12月17日 | 2020年7月2日 |
RE-2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 102 | 102 | 4 | 2 | 2 | 1990年4月18日 | 2003年11月14日 | 2020年5月20日 | |
RE-3 | 3 | 3 | 5 | 5 | 6 | 103 | 103 | 6 | 3 | 3 | 1992年2月7日 | 2003年7月16日 | 2020年4月22日 | |
RE-4 | 4 | 4 | 7 | 7 | 8 | 104 | 104 | 8 | 4 | 4 | 1992年2月24日 | 2004年3月29日 | 2020年9月2日 |
2002年(平成14年)より内外装のリニューアルが開始された[10]。
外観では塗装パターンは同じながら上半分が■飛雲ホワイト、下半分が■エメラルドグリーン、車体中心部の帯が■ライトブルーに変更された。
普通車の座席はそれまでのボックス式からリクライニング・座面スライド付回転式クロスシートに変更し、モケットも奇数号車はオーシャンブルー、偶数号車はハイビスカスピンクと色調を区別した。クハ251形の展望席も他車と同じシートに交換のうえシートピッチを1,000 mmに拡大、4人×3列の配置に変更した。また一般席もシート交換で定員が減少し、登場時の52名から16名減の36名に変更された。
グリーン車はシートモケットとカーテンの変更にとどめられたが、グリーン車を含む全席に装備されていたオーディオシステム(FMラジオ)と仕切ドア上部のモニターとグリーン個室のビデオモニターを撤去した。
その後、2007年(平成19年)より1号車・2号車グリーン席のリニューアルが開始された[11]。運転席直後の展望席について、従来は3列構成でシートピッチは1列目640 mm、2・3列目は1,000 mmでリクライニング機能なしであったが、リニューアル後は2列構成でシートピッチは1列目1,105 mm、2列目は1,300 mmでリクライニングシートが装備された[11]。これにより展望席の定員が9名から6名となった[11]。2階客室はリクライニングシート(インナーテーブル拡大、レッグレスト付)・絨毯・カーテンの取り替え、1階個室は座席クッションと絨毯・カーテンの取り替えなどが行われた[11]。同年2月24日にグリーン席リニューアル編成が運用を開始、4月中旬に改修を完了した[12][11]。
リニューアル工事後は、2004年(平成16年)3月から「おはようライナー新宿」・「ホームライナー小田原」にも充当されるようになった。それに伴い方向幕にも「おはようライナー」「ホームライナー」が追加された。
全車が大宮総合車両センター(2013年3月までは田町車両センター)に在籍しており、定期列車では以下の運用に用いられた。
2020年(令和2年)3月14日のダイヤ改正より、伊豆方面への新型特急列車「サフィール踊り子」用としてE261系[13] 、「踊り子」・「湘南」用としてE257系2000番台・2500番台[14]を導入することが発表され、これに伴う「スーパービュー踊り子」の廃止、および「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」の車両変更も報じられ、251系はダイヤ改正前日の3月13日をもって全ての営業運転を終了した[15]。
伊豆急行とJR東日本横浜支社では、251系の引退に際して2020年3月7 - 8日および13日に「スーパービュー踊り子」引退記念撮影会を企画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により中止となった[16]。
2020年(令和2年)4月22日付でRE-3編成、同年5月20日付でRE-2編成、同年7月2日付でRE-1編成、同年9月2日付でRE-4編成がそれぞれ廃車され形式消滅となった[17]。廃車後は全車両が解体されている。
以下の運用に加え、団体列車としては上越線・信越本線・白新線経由で羽越本線村上駅まで[18]、また外房線安房鴨川駅まで入線した実績がある。この他、中央本線・武蔵野線・京葉線等にも入線したことがある。