kexecは現在起動中のカーネル上で新しいカーネルのライブブートを可能にする、Linuxカーネルのメカニズムである。"kexec" という名前はkernel executionの略称と、UNIX/Linuxカーネル呼び出しのexecに由来する。kexecは実質的に、システムファームウェア(BIOSやUEFI)が実行するブートローダのステップとハードウェアの初期化フェイズをスキップし、メインメモリに直接新しいカーネルをロードしてすぐにその実行を開始する。これにより完全なブートと関連する長時間処理を避けられるためダウンタイムを最小化することができ、システムの高可用性を満たせるようになる[1][2][3]。
kexecのようなメカニズムを実装することはできるが、その場合に以下の2つの大きな問題が発生する:
kexecでブート可能なカーネルを、署名されたカーネルのみとする機能のサポートは、2014年10月5日にリリースされたLinuxカーネルメインラインのバージョン3.17にマージされた[4]。これにより、ルートユーザーがkexecで任意のコードのロードや実行を行うことが不可能となった。これは、UEFIセキュアブートと、署名されたLinuxカーネルモジュールのみが起動中カーネルへ挿入可能であることを保障するカーネル内セキュリティメカニズムを補完する[5][6][7]。