New Ballard スコア(New Ballard Score)は、広く使用される出生時在胎週数の評価手法。1979年にシンシナティ大学医学部の小児科・産婦人科名誉教授である Jeanne L Ballard 博士が考案し、1991年に改訂された[1]。
この評価法では、さまざまな基準に点数をつけ、その点数の合計で新生児の出生時在胎週数を推定する。これらの基準は、神経学的所見と身体的成熟度に分けられる。このスコアリングにより、在胎20週から44週までを推定できる。
胎児が成熟する過程で受ける子宮内の変化に着目する。神経学的所見が主に筋緊張に依存するのに対し、身体的成熟度は解剖学的な変化に依存する。早産児は生理的に筋緊張低下を呈し、成熟とともに筋緊張がしっかりしてくる。
以下のような解剖学的特徴から、身体的成熟度を評価する。 医師国家試験では、「111B29 正期産児より早産児にみられる所見はどれか(答:うぶ毛が多い)」などとして出題される[3]。
−1 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
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皮膚 | 粘着性 もろい 透明 |
ゼラチン状 赤い 半透明 |
なめらか ピンク 静脈みえる |
表面剥奪 発疹 静脈わずかにみえる |
ひびわれ 部分的蒼白 静脈ほとんどみえない |
羊皮紙様 深いひびわれ 静脈みえない |
皮革様 ひびわれ しわ |
胎毛 | なし | まばら | 豊富 | うすい | 無毛部あり | 大部分が無毛 | |
足底表面 | 踵からつま先 40–50mm:−1 <40mm:−2 |
踵からつま先 >50mm しわなし |
かすかな赤い線 | 前部を横断するしわのみ | 前 2/3 にしわ | 足底全体のしわ | |
乳房 | 認知できない | わずかに認知できる | 平坦な乳輪 乳腺芽はなし |
点刻状の乳輪 1–2mmの乳腺芽 |
隆起した乳輪 3–4mmの乳腺芽 |
完全な乳輪 5–10mmの乳腺芽 |
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眼 / 耳 | 眼瞼の癒着 緩く:−1 固く:−2 |
眼瞼開いている 耳介平ら 折れたまま |
少し巻きこまれた耳介 柔らかい緩やかに戻る |
よく巻き込まれた耳介 柔らかいが即座に戻る |
形づくられて硬い 瞬時に戻る |
厚い軟骨 耳が硬い |
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生殖器 男児 |
陰嚢が平坦 陰嚢外表なめらか |
陰嚢が空虚 陰嚢外表かすかなしわ |
精巣が鼠径管上部 陰嚢外表わずかなしわ |
精巣が下降中 陰嚢外表少ないしわ |
精巣が低位置 陰嚢外表かなりのしわ |
精巣が下垂 陰嚢外表深いしわ |
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生殖器 女児 |
陰核が突出 陰唇が平坦 |
陰核が突出 小陰唇が小さい |
陰核が突出 小陰唇が比較的大きい |
大陰唇と小陰唇が同程度に突出 | 大陰唇大きい 小陰唇小さい |
大陰唇が陰核と小陰唇を覆う |
元々の Ballard スコアでは、各項目に 0〜5点を付けていたが、超早産児へと拡張した New Ballard スコアでは −2〜5点を付ける。出生時在胎週数は から求めることができる(次表)。
週 | 20 | 22 | 24 | 26 | 28 | 30 | 32 | 34 | 36 | 38 | 40 | 42 | 44 |
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スコア | −10 | −5 | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 |