S-IB はアメリカ合衆国のアポロ計画で使用されたサターンIB 型ロケットの第一段ロケットである。本体は9基の燃料タンク、八枚の翼、推力支持装置、8基のH-1ロケットエンジンその他の多数の部品から構成されている。機体は中央の液体酸素を搭載するジュピター・ロケット用のタンクの周囲を、8基のレッドストーン用のタンク(うち4基には液体酸素が搭載され、4基にはケロシンが搭載される)が取り囲む形になっている。エンジンのうち中央の4基は固定され、ジンバル(首振り)機構を備えた周囲の4機が飛行を制御する。
H-1は、1機が90.6トン(890kN)の推力を発生するロケットエンジンで、デルタ・ロケットやジュピター・ロケットの第一段にも使われていた。元々はナバホ・ミサイルに使用されていたもので、S-IB に流用するため部品を簡素化し、性能を向上させた。推力は、後には92.9トン(912kN)にまで高められた。またこのH-1を基礎にして、サターンV 型ロケットで使用されているF-1ロケットエンジンが開発された。