テラフージア・トランジション(Terrafugia Transition)は、米国の空陸両用の軽飛行機(スカイカー)である。DARPAのトランスフォーマーTX[1]などスカイカーの製造を行ってきたテラフージア社が製造し、2006年に開発を開始した[2]。
Transitionのエンジンにはロータックス社の912S型ピストンエンジンが採用されている。地上走行時は後輪駆動の動力、飛行時には推進式プロペラの駆動動力として使用される。燃料には自動車用の無鉛ガソリンを使用し、最高速度185km/h、航続距離740km(いずれも飛行時)を実現する。地上での最高速度は105km/hである[3]。
機体は炭素繊維強化プラスチック製で、折りたたみ可能な主翼と双尾翼を持つ。主翼を折りたたんだ状態の寸法は、車高2.0m、車幅2.0m、車長5.9mであり、米国の標準的な車庫に収納できるように設計されている。自動操縦装置は装備していない。発売時の価格は20万から25万米ドルと予想されている[2]。また、2010年時点では予約金1万ドル(約80万円)にて同社のホームページで予約も行なっている。当初は2011年の初出荷を目指していた[2]。
試作機は米連邦航空局 (FAA) の監督のもとニューヨーク州のプラッツバーグ国際空港で機体記号N302TFを付けて2009年3月5日に初飛行を行った[4][5][6] 。
2010年7月1日、Terrafugia社はFAAの最大離陸重量規定の適用除外を受け、重量650kgながら軽量スポーツ用航空機の認定を受けられるようになったことを発表した(通常、軽量スポーツ用航空機の最大離陸重量は600kgに制限されている)。これにより、路上走行用の自動車に義務付けられているエアバッグやバンパーなどを装備できるようになった[7][8]。
2012年4月には、国際自動車展示会のニューヨーク国際オートショーに出展された。TerrafugiaのディートリッヒCEOによると、年内は試験を続行して2013年の発売を目指している[9]。
2017年11月に、Terrafugiaは中国の吉利汽車の親会社の浙江吉利控股集団に買収され[10]、3倍の人員と資金を得て開発体制を安定させたことから2019年の市販を発表し[11]、2018年10月に世界初の量産型スカイカーとして注文開始した[12][13][14]。
アメリカのウィスコンシン州で開催されたオシュコシュ航空ショーで、2010年7月26日にTransition量産機の仕様が公開された[15][16]。
項目 | 共通 | 地上走行時 | 飛行時 |
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乗員/乗客 | 1/1(合計2名) | ||
全長 | 5.9m | 6.0m | |
全幅 | 2.3m | 8.1m | |
全高 | 2.0m | 2.0m | |
空虚重量 | 440kg | ||
積載重量 | 210kg | ||
最大離陸重量 | 650kg[7] | ||
エンジン | ロータックス社912S×1基 | ||
出力 | 最大100馬力(75kW) @5800rpm(5分) 95馬力(71kW) @5500rpm(連続) |
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積載燃料 | 87リットル | ||
航続距離 | 1,296km | 787km | |
燃費 | 6.7リットル/100km | 19リットル/時 | |
最高速度 | 105km/h | 100ノット (185km/h) | |
巡航速度 | 93ノット (172km/h) | ||
ストール速度 | 45ノット (82km/h) |