M167 VADS(M167 Vulcan Air Defense System)は、アメリカ軍で開発された対空機関砲システムである。航空機関砲として有名なM61 バルカンシリーズをもとにして開発された。通称「バッズ」。
航空自衛隊では基地防空火器として配備していた。
VADSシリーズは、M61 バルカンの対空砲バージョンであるM168 20mm機関砲を中核として、レーダー、コンピュータなどによる射撃管制装置を組み合わせた半自動システムである。自走式のM163と、牽引式のM167がある。M163の車体はM113装甲兵員輸送車をベースとしている。弾薬は通常、20mm曳光自爆榴弾及び曳光弾を使用する。
M168は、アメリカ合衆国のGE社が開発したM61の派生型である。M61は有名な航空機関砲であり、6,000または4,000発/分という発射速度を誇るが、M168では3,000または1,000発/分に低下させてある。また、M61の場合は6本ある砲身が正面から見ると真円になるように配置され、一点に対しての射撃における命中率を向上させているのに対して、VADSの場合やや楕円になるように配置されている。これにより、発射された砲弾が散らばり弾幕を展開することで侵入阻止・爆撃阻止を行う。
VADSは測距レーダーと弾道計算機を組み合わせて適切な偏差射撃(移動する標的までの距離を計算して未来位置に射撃し、命中させる射撃方法)が可能となっている。現在はカメラを付加し、より正確な射撃が可能になった改良型となっている。スーダンやイエメンでは、VADSをBTR-152に車載した簡易自走式対空砲が存在する。