XF2R ダークシャーク
XF2R ダークシャーク(Ryan XF2R Dark Shark)は、アメリカ海軍向けに製作された実験機であり、ターボプロップエンジンとターボジェットエンジンの2種類のエンジンを搭載した複合動力機である。
本機はライアン・エアロノーティカル社が1944年から1945年にかけて開発した複合動力戦闘機であるFR ファイアボールを基に、ファイアボールのライト R-1820"サイクロン" 空冷星型9気筒レシプロエンジン(出力:1,425/1,500馬力[1])をゼネラル・エレクトリック T31 ターボプロップエンジン(2,300 軸馬力(13,000 rpm.回転時)に換装し、ハミルトン・スタンダード社製4翅型プロペラブレードとしたもので、ターボプロップエンジンへの変更により性能はファイアーボールに比べてかなりの改善を見せたが、その時点でアメリカ海軍は複合動力戦闘機という概念を諦め、全ジェット動力のターボジェット戦闘機へ移行していたため、本機にはほとんど興味を示さなかった。
しかし、当時同様のコンセプトのコンベア XP-81戦闘機を評価していたアメリカ空軍は本機に多少の興味を示し、ライアン社にXF2R-1で使用していたゼネラル・エレクトリック J31 ターボジェットエンジン(推力:1,650 lbf(7.33 kN)をウェスティングハウス J34 ターボジェットエンジン(推力:3,000 lbf(13.35 kN) へ換装するように依頼した。
エンジンを換装した機体にはXF2R-2の形式番号が与えられ、-2は-1の試作機の主翼前縁にあった空気吸入口を前部胴体側面に設けたNACAダクトに変更し、-1の試作機を改装して製作された[2]。この改造によってダークシャークの性能は期待通りに向上し、有用な機体であることは認識されたが、本機の開発中にアメリカ空軍は「全ジェット動力機の方が総合的に見て性能で優れている」として戦闘機の全ジェット化を進めることを決定していたため、XF2Rの開発が試作段階以降へ進むことはなかった。
出典:The Complete Book of Fighters[3]
※XF2R-1のもの