あなたへ | |
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監督 | 降旗康男 |
脚本 | 青島武 |
製作 |
市川南 平城隆司ほか |
出演者 |
高倉健 田中裕子 佐藤浩市 草彅剛 余貴美子 綾瀬はるか 三浦貴大 大滝秀治 長塚京三 原田美枝子 浅野忠信 ビートたけし |
音楽 | 林祐介 |
撮影 | 林淳一郎 |
編集 | 菊地純一 |
制作会社 | 東宝映画 |
製作会社 | 「あなたへ」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2012年8月25日 |
上映時間 | 111分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 23.9億円[1] |
『あなたへ』は、2012年8月25日に公開された日本映画。降旗康男監督、高倉健主演。公開直後の10月2日午後3時17分に死去した大滝秀治と2014年11月10日午前3時49分に死去した高倉健の遺作となった。また、この映画の脚本を基に森沢明夫による小説が書かれた。
高倉にとって2006年の『単騎、千里を走る。』以来6年ぶりの主演映画、205本目の出演映画であり、高倉が監督の降旗と組んだ20作目にあたる。元々は高倉の主演作の企画が持ち上がった際、『夜叉』(1985年)、『あ・うん』(1989年)などをプロデュースした故・市古聖智[2]が遺したシノプシスを、市古の関わった数々の作品でカメラマンを務めた林淳一郎が降旗に紹介。降旗が興味を示した事に始まる。オリジナルのストーリーは非常に長いものだったため、脚本の青島武、降旗、東宝側のプロデューサー、そして林の4名で内容を整えていったものである。企画者として、市古と並び、撮影監督の林の名前が列挙されているのはこうした経緯による[3]。
富山の刑務所で指導技官を務める倉島英二に、亡くなった妻・洋子から届いた絵手紙。そこには今まで知らされることの無かった“故郷の海に散骨して欲しい”という洋子の想いが記されていた。洋子の遺言は依頼人により、平戸の郵便局に7日間保管されていた。亡くなった洋子の真意を知るために、故郷へ向けて自分で内装をしたワンボックスカーで、一人旅を始める英二。その旅は富山[4]から始まり飛騨高山、京都、大阪、竹田城、瀬戸内、下関、北九州市の門司、そして洋子の故郷である長崎県平戸の漁港・薄香へと続く。風光明媚な地で出会うさまざまな人々と、さまざまな人生。出会いと別れ。そしてそれは、英二が洋子の深い愛情に改めて気付かされる旅でもあった[5]。「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく 種田山頭火」。
第36回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門に正式出品。エキュメニカル賞特別賞を受賞[8]。高倉は1994年に「四十七人の刺客」でヴェネツィア国際映画祭を訪れて以来18年ぶりに海外の映画祭の現地で会見した。
全国339スクリーンで公開され、2012年8月25、26日の初日2日間で興収2億3,723万1,500円、動員21万9,164人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第2位となった[9]。
2012年11月27日、主演の高倉が本作により「第37回報知映画賞」主演男優賞を受賞。「第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」においても、高倉が主演男優賞、本作は石原裕次郎賞を受賞した。
2013年3月8日、第36回日本アカデミー賞にて優秀作品賞、優秀監督賞(降旗康男)、優秀脚本賞(青島武)、優秀助演男優賞(佐藤浩市)、最優秀助演男優賞(大滝秀治)、最優秀助演女優賞(余貴美子)、優秀美術賞(矢内京子)、優秀撮影賞(林淳一郎)、優秀照明賞(中村裕樹)、優秀音楽賞(林祐介)、優秀録音賞(本田孜)、優秀編集賞(菊池純一)を受賞。
東宝サイドから小説化の話を持ちかけられた幻冬舎が、『虹の岬の喫茶店』や映画化された小説『津軽百年食堂』などで注目される森沢明夫に依頼した。快諾した森沢は自らレンタカーを駆って富山ロケから撮影現場を巡り、登場人物のディテールを肉付けしていった。
本作は脚本をベースに1冊の本に仕上げようという試みがなされた。「この物語に出合い心が動きました。人が人を思いやること、生きることの切なさを思いました」と語る高倉の意も受けて作業が進み、出版にこぎつけた幻冬舎は「脚本も素晴らしいものですが、単なるノベライズではなく、オリジナル小説として読んでほしい」と話している。
著者である森沢自身も「映画の尺ではどうしても表現しきれない部分を、小説ではできるだけ丁寧にすくいとっていこうと思いました」と語り「読了後に、自分の一番大切な人のことを思い浮かべてみてくれたらうれしい」と話している。