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「のび太の結婚前夜」(のびたのけっこんぜんや)は、漫画『ドラえもん』の短編エピソードのひとつ(1981年発表)。本作を原作としてテレビアニメが2つ、アニメ映画が2つ作られている。
1981年7月に『小学六年生』8月号にて発表された。この際のエピソード名は「結婚式の前の夜…」。全10頁。
1982年8月にてんとう虫コミックス第25巻に収録された際に、エピソード名が「のび太の結婚前夜」に変更され、加筆・修正が行われた結果、全12頁の作品となった。
のび太は、しずかと出木杉が空地で手を握り合っているのを目撃し、嫉妬のあまり取り乱し、鼻水を垂らして大声で抗議する。しかし、それは「白雪姫」の劇の稽古だった。
のび太は「このままだと、しずちゃんを出木杉にとられるのではあるまいか」とクヨクヨと悩む。 「そんなに心配なら、タイムマシンで結婚式を見てきたら?」というドラえもんの提案で、2人は結婚式の日へ向かう。結婚式場に着くと、大人ののび太がタキシード姿で駆け込んでくるが、受付の女性から結婚式は明日だと告げられ赤面して帰っていく。ドラえもんもタイムマシンの操作を誤り前日に着いていたのだ。子供ののび太とドラえもんは、せっかくだからと結婚式前日の様子を見ていくことにする。
未来ののび太は自宅マンションに帰宅後、まだ明るいうちから結婚式前夜祭と称する宴会に出かけ、大人のジャイアン、スネ夫、出木杉らと共に大いにビールを飲んで夜中まで機嫌よく過ごす。
その頃、自宅で両親とのお別れパーティーを終えたしずかは、おやすみの挨拶をしに父親の部屋に行くが、沈んだ表情のままで挨拶以外の会話は何もできない。そこでドラえもんが「正直電波」を使うと、しずかは「パパ! あたし、およめにいくのやめる!!」と言い出す。そんなしずかに、父はしずかが生まれて来てからの楽しい日々の思い出を話し、「みちたりた日びの思い出こそ、きみからの最高のおくり物だったんだよ」「のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ」と語る。その様子を見ていた子供ののび太は現代に戻り、しずかに「きっときっと、きみを幸せにしてみせるからね!!」と大泣きしながら宣言するのだった。
のび太、出木杉、しずか、ドラえもん、未来ののび太、プリンスメロンホテルの受付の女性、未来ののび太の両親、未来の出木杉、未来のスネ夫、未来のジャイアン、未来のしずかとその両親が登場する(登場順)。
漫画を原作としたテレビアニメが2つ作られている。放送日とエピソード名は以下の通り。
のび太の結婚前夜 | |
---|---|
監督 | 渡辺歩 |
脚本 | 藤本信行 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 |
大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | 中西保志・沢田知可子「幸せのドア」 |
撮影 | 熊谷正弘 |
編集 | 岡安肇 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 |
シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1999年3月6日 |
上映時間 | 26分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | 帰ってきたドラえもん |
次作 | おばあちゃんの思い出 |
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1999年3月6日に、劇場用アニメ映画『のび太の結婚前夜』として公開された[1]。同時上映の長編作品は『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』。第17回ゴールデングロス賞優秀銀賞(同時上映作品とセットで受賞)。26分。
監督の渡辺歩によると[2]当初は「雪山のロマンス」(てんとう虫コミックス第20巻収録)など、他の作品ともミックスさせる案があったが、30分(完成作品は26分)という時間の中で結婚が決まるまでのプロセスを描くよりも、前日にテーマを絞ってしまおうということになったという。
原作漫画では、ドラえもんの道具「正直電波」が登場し、その効果がきっかけで結婚前夜のしずかとパパが心を通わすことができる(本来しずかは不安なまま結婚前夜を過ごすはずだったが、子供ののび太の見苦しい嫉妬心が結果的に大人のしずかを救うことになったというSF的な面白さを含んだ構造になっている)が、本アニメ作品では削除された。 監督の渡辺は「漫画ではページ数の都合で、先生はひみつ道具を使う道を選ばれたのだと思う」と解釈しており、「嫁ぐ前日に胸がいっぱいでパパにあいさつがなかなかできない、そういう娘の気持ちが“正直電波”を使うことで嘘になる気がした」と語っている[2]。
以下の場面は本アニメ作品のスタッフによる本作のみの脚色で、原作漫画にはない。『ドラえもん』という作品全体の公式設定でもない。
予告編では、のび太の声で「いつの間にか僕は夜中に1人でトイレに行けるようになった、1人で電車に乗って会社に通うようになった。でも本当に僕は変わったのかな? ねぇドラえもん、僕は明日結婚するよ…」という台詞が流された。
本作内には未来のドラえもんは登場しない。予告編の台詞や、本編中に河川敷の土手に転んだのび太が星を見上げながらドラえもんの名前を呟く場面は、この時点ののび太はドラえもんと一緒に暮らしていないという状況がうかがえる作りになっている。エンディングで描かれた結婚式にも、ドラえもんは参加していない。
アニメーション研究家・評論家の五味洋子は著書『アニメーションの宝箱』で本作を指し、「藤子・F氏の人となりが偲ばれる佳作」と評しており、渡辺は最大の褒め言葉と語っている[3]。
2014年に、劇場用3Dアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』(8月8日公開)内のエピソードのひとつとして映画化された[4][5]。