ゆとりーとライン | |
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高架の専用路を走行するゆとりーとライン (ナゴヤドーム前矢田駅付近 2021年12月24日) | |
基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 愛知県 |
種類 | ガイドウェイバスおよび路線バス |
開業 | 2001年3月23日 |
運営者 |
高架区間:名古屋ガイドウェイバス 平面区間:名古屋市交通局 |
公式サイト | https://www.guideway.co.jp/ |
詳細情報 | |
路線数 | 5 |
駅数 | 9(高架区間) |
停留所数 | 31(平面区間) |
ゆとりーとライン(英: Yutorito Line[1])は、名古屋ガイドウェイバスのガイドウェイバス(ガイドウェイバス志段味線)と名古屋市交通局の路線バス(名古屋市営バス)の直通運行によって一体として提供される旅客輸送サービスである。営業区域は愛知県名古屋市、春日井市および尾張旭市である。
ガイドウェイバスとは、ガイドレールを備えた専用軌道に対し、これを案内輪でトレースしてステアリング操作が不要な半自動運転を実現しつつ、一般道路においても普通のバスとして走行可能な新交通システムである[2]。都市部では一般道路で発生する交通渋滞の影響を受けない専用軌道を走行し、郊外では一般道路を走行する。高架のバス専用軌道には2本のガイドレールが敷かれており、バスの前後に取付けられた案内装置をガイドレールに接触させて、その誘導でバスを走行させる[3]。
「ゆとりーとライン」は、交通渋滞の影響を受けずに快適に移動ができる特徴を反映して「ゆとり」と「ストリート」を掛け合わせたもので、当初は名古屋ガイドウェイバスがガイドウェイバス志段味線の愛称として公募したものである[4]が、その後名古屋ガイドウェイバスと名古屋市、名古屋鉄道、ジェイアール東海バスとの間で交わされた公式文書[5]においては「名古屋市東区東大曽根町から同市守山区志段味支所を経て、春日井市高蔵寺及び瀬戸市みずの坂にいたるまでの路線」を指す名称として用いられている。
ゆとりーとラインの運転業務は、一般道路を走行する平面区間の運行事業者が、専用軌道を走行する高架区間(ガイドウェイバス志段味線)の運行受託者を兼ねることで全区間を通して行っており、2009年10月1日以降は全便について名古屋市交通局(名古屋市営バス)大森営業所が行っている。
高架区間は法規制上トロリーバスと同様の扱いになるため、乗務員は大型第二種免許に加え、鉄道の動力車操縦者免許(無軌条電車運転免許)を所持している。
名古屋市交通局のバスロケーションシステム用GPS受信機および無線局がすべての車両に搭載されており[35]、名古屋市交通局のウェブサイトで高架区間を含む全区間について検索することができる[36]。高架区間では同じ情報を用いて列車集中制御装置(CTC)に相当する運行監視が行われている[37]。
大曽根 - 小幡緑地は高架区間(ガイドウェイバス志段味線)を走行する。
毎年2月には龍泉寺の節分祭に合わせて、大曽根 - 竜泉寺口間の臨時バスを運行している[38]。
日中時間帯は大曽根 - 高蔵寺系統が毎時2本、大曽根 - 志段味交通広場系統が毎時3本、大曽根 - 志段味スポーツランド - 志段味交通広場系統が毎時1本の運行である。運行間隔は大曽根 - 上島(西)が10分間隔、上島(西) - 志段味交通広場が10 - 20分間隔、中志段味 - 高蔵寺が30分間隔、上島(西) - 志段味サイエンスパーク - 志段味交通広場が60分間隔となる。
出入庫系統の印場 - 高蔵寺の系統は2009年10月1日より運行を開始し、高架区間に直通せず平面区間のみの運行である。
2023年1月4日より、藤塚バス停の名称を志段味交通広場へ名称変更のうえ、中志段味止まりとなっている全便を延長して志段味交通広場行きとした[39]。
2024年3月31日より、志段味スポーツランド停留所を廃止し、玉野川学園停留所 - 志段味サイエンスパーク停留所の経路を短絡化した[34]。
走行区分 | 駅番号 | 駅名・停留所名 | 大曽根 - 小幡緑地 | 大曽根 - 竜泉寺口 | 大曽根 - 志段味交通広場 | 大曽根 - 志段味サイエンスパーク - 志段味交通広場 | 大曽根 - 高蔵寺 | 印場 - 高蔵寺 | 接続路線 | 所在地 | |
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高架区間(ガイドウェイバス志段味線) | Y01 | 大曽根駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 東海旅客鉄道: 中央本線 (CF04) 名古屋鉄道:ST 瀬戸線 (ST06) 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M12) |
名古屋市 | 東区 | |
Y02 | ナゴヤドーム前矢田駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M13) | ||||
Y03 | 砂田橋駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M14) | ||||
Y04 | 守山駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 名古屋鉄道:ST 瀬戸線(守山自衛隊前駅:ST08) | 守山区 | |||
Y05 | 金屋駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
Y06 | 川宮駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
Y07 | 川村駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
Y08 | 白沢渓谷駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
Y09 | 小幡緑地駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
平面走行区間 | 竜泉寺口停留所 | ● | ● | ● | ● | ||||||
竜泉寺停留所 | ● | ● | ● | ||||||||
吉根口停留所 | ● | ● | ● | ||||||||
下島停留所 | ● | ● | ● | ||||||||
吉根停留所 | ● | ● | ● | ||||||||
上島(西)停留所 | ● | ● | ● | ||||||||
印場停留所 | ∥ | ∥ | ∥ | ● | 尾張旭市 | ||||||
旭桜ケ丘停留所 | ∥ | ∥ | ∥ | ● | |||||||
東尾張病院南停留所 | ∥ | ∥ | ∥ | ● | |||||||
平池南停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | 名古屋市 守山区 | ||||||
太鼓ヶ根停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
東尾張病院停留所 | ∥ | ● | ∥ | ● | |||||||
太鼓ヶ根停留所 | ∥ | ∥ | ∥ | ● | |||||||
平池南停留所 | ∥ | ∥ | ∥ | ● | |||||||
長廻間停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
吉根住宅停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
玉野川学園停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
志段味サイエンスパーク停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
穴ヶ洞停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
島の口停留所 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | |||||||
上島(東)停留所 | ● | ∥ | ● | ● | |||||||
志段味西小学校停留所 | ● | ∥ | ● | ● | |||||||
荒田停留所 | ● | ∥ | ● | ● | |||||||
天王橋停留所 | ● | ● | ● | ● | |||||||
志段味支所北停留所 | ● | ● | ● | ● | |||||||
中志段味停留所 | ● | ● | ● | ● | |||||||
志段味交通広場停留所 | ● | ● | ● | ● | |||||||
寺林停留所 | ● | ● | |||||||||
上志段味停留所 | ● | ● | |||||||||
新東谷橋南停留所 | ● | ● | |||||||||
東谷橋停留所 | ● | ● | |||||||||
高蔵寺停留所 | ● | ● | 東海旅客鉄道: 中央本線 (CF09) 愛知環状鉄道:愛知環状鉄道線 (23) |
春日井市 |
ゆとりーとラインの開業前、この地域には以下のバス路線が存在した[40]。
ゆとりーとラインは守山 - 白沢渓谷間で千種12系統のルート(ただし新守山駅には入らない)、小幡緑地以東では志段味線および瀬戸西線のルートを通るように整備され、開業時には以下の系統が設定された[40]。
都市計画段階(1993年 -1994年頃)では瀬戸方面は瀬戸追分までの運行とされていた[41]が、実際には瀬戸みずの坂までの運行となったため、瀬戸西線は中志段味 - 乗馬倶楽部前 - 瀬戸追分に短縮の上で存続することとなった[40]。その他の既存系統はゆとりーとライン開業時に廃止されている(ただし他系統の経路変更によりカバーされている部分がある)[40]。なお、この都市計画には将来構想路線として神領駅、尾張旭駅、東谷山フルーツパークへの路線が記載されていた[41]が、2024年現在実現していない[注 2]。
ゆとりーとラインは既存のバス路線を取り込む形で開業したため、2009年9月30日までは名古屋市営バス大森営業所のほか、名鉄バス(2004年9月30日までは名古屋鉄道)春日井営業所およびジェイアール東海バス瀬戸支店も運行を行っていた。2006年9月にJR東海バスが高蔵寺系統から撤退した後は、大曽根 - 小幡緑地は名古屋ガイドウェイバスからの受託運行、小幡緑地 - 中志段味は共同運行、中志段味 - 高蔵寺は名鉄バスの単独運行、志段味支所前(現在の志段味支所北) - 瀬戸みずの坂はジェイアール東海バスの単独運行となっていた。
名鉄バスとジェイアール東海バスは2009年9月30日限りでゆとりーとラインから撤退することになり[注 1]、高蔵寺系統は名古屋市営バスに移管、瀬戸みずの坂系統(大曽根 - 小幡緑地 - 志段味支所前 - 南原 - 森林公園 - 水野団地 - 瀬戸みずの坂)は廃止された[42]。これにより平面区間は名古屋市営バスの単独運行となり、運賃や利用可能な乗車券類といった営業制度は名古屋市営バスの一般路線とおおむね統一された[42]。なお、統一されなかった事項としては、名鉄バス昼間割引バスカードが使用できたこと(2012年2月29日解消)、ユリカ以外のトランパス対応カードが使用できなかったこと(2012年2月29日解消)、高架区間や名古屋市営地下鉄との乗継割引が設定されなかったことがある。また、後に名古屋ガイドウェイバス発行の連絡定期券が名古屋市営バス全線で利用できるようになった際、券面指定外の区間について効力に差が生じている。
ゆとりーとラインの乗車方法は、一般路線バスに準ずる。
なお、大曽根駅では朝のラッシュ時間帯、多客時、延着時には、車内での運賃徴収は行わず、駅2階の改札口にて"駅徴収"を実施している。 大曽根駅の改札口には、バス車内に設置されているのと同型の運賃箱が4台設置されており、これらは駅徴収時に使用される。
高架区間内および高架区間と平面区間に跨る区間の運賃については「名古屋ガイドウェイバス#運賃」を、平面区間の運賃については「名古屋市営バス#乗降方式・料金」を参照。
高架区間内および高架区間と平面区間に跨る区間で利用可能な乗車券については「名古屋ガイドウェイバス#利用可能な乗車券類」を、平面区間で利用可能な乗車券類については「名古屋市営バス#乗降方式・料金」を参照。