りゅう座ν星 ν Draconis | ||
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中央の明るい二重星がりゅう座ν星。
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星座 | りゅう座 | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 17h 32m 15.9s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | +55° 10′ 22″[1] | |
他のカタログでの名称 | ||
クマ | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
りゅう座ν1星 ν1 Draconis | ||
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見かけの等級 (mv) | 4.89[2] | |
位置 | ||
視線速度 (Rv) | -15.2 km/s[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 147.39 ミリ秒/年[3] 赤緯: 54.31 ミリ秒/年[3] | |
年周視差 (π) | 33.06 ± 0.15ミリ秒[3] (誤差0.5%) | |
距離 | 98.7 ± 0.4 光年[注 1] (30.2 ± 0.1 パーセク[注 1]) | |
物理的性質 | ||
質量 | 1.52 M☉[4] | |
自転速度 | 86 km/s[5] | |
スペクトル分類 | A6 V[4] | |
光度 | 4.8 L☉[6] | |
色指数 (B-V) | 0.251[2] | |
色指数 (V-I) | 0.28[2] | |
地球から見た位置 (りゅう座ν2星との関係) | ||
位置角 | 311.2°[7] | |
角距離 | 62.2"[7] | |
他のカタログでの名称 | ||
りゅう座24番星, BD+55 1944, FK5 655, HD 159541, HIP 85819, HR 6554, SAO[3] | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
りゅう座ν2星 ν2 Draconis | ||
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見かけの等級 (mv) | 4.86[2] | |
位置 | ||
視線速度 (Rv) | -16.0 km/s[8] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 142.65 ミリ秒/年[8] 赤緯: 62.43 ミリ秒/年[8] | |
年周視差 (π) | 32.80 ± 0.18ミリ秒[8] (誤差0.5%) | |
距離 | 99.4 ± 0.5 光年[注 1] (30.5 ± 0.2 パーセク[注 1]) | |
物理的性質 | ||
質量 | 1.71 M☉[4] | |
自転速度 | 68 km/s[5] | |
スペクトル分類 | A4m[4] | |
光度 | 4.9 L☉[6] | |
表面温度 | 7,259 K[9] | |
色指数 (B-V) | 0.279[2] | |
色指数 (V-I) | 0.30[2] | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 5.2 ×106 km[10] | |
離心率 (e) | 0.03[10] | |
公転周期 (P) | 38.034 日[10] | |
他のカタログでの名称 | ||
りゅう座25番星, BD+55 1945, FK5 657, HD 159560, HIP 85829, HR 6555, SAO 30450[8] | ||
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りゅう座ν星(ν Draconis、ν Dra)は、りゅう座にある二重星である。2つの恒星は、色と明るさがそっくりで、小型望遠鏡で簡単に観望できる二重星の代表的なものである[11]。2つの恒星はそれぞれが、りゅう座ν1星、りゅう座ν2星というバイエル名を持つ。ν2星は、分光連星である[12]。
りゅう座ν星は、りゅう座β星(ラスタバン)、りゅう座γ星(エルタニン)、りゅう座μ星(アルラキス)、りゅう座ξ星(グルミウム)と共に「母ラクダ」を意味するAl ʽAwāïdと呼ばれ、後にはQuinque Dromedariiと記された[13]。
また、りゅう座ν星にはクマ(Kuma)という固有名があるが、この名前は、アントニーン・ベチュヴァーシュが用いたことから広まったとされ、その由来は不明である[14]。
中国では、「天上の唐棹」を示す天棓(拼音: )という星官を、りゅう座ξ星、りゅう座β星、りゅう座γ星、ヘルクレス座ι星と共に形成する[15]。りゅう座ν星自身は、天棓二(拼音: )すなわち天棓の2番星と呼ばれる[16]。
ν1星とν2星の相対的な位置関係は、長期にわたってほとんど変化しておらず、2つの恒星は見かけだけの重星ではなく、固有運動を共有する連星である[11][17][1][4]。両者は、北西-南東方向に、約62秒離れており、これは、年周視差を基に推定する地球からりゅう座ν星系までの距離99光年からすると、実際の距離にしておよそ1,900AUとなる[7]。公転周期は、5万年以上にはなるとみられる[1]。
ν2星は、視線速度の測定から分光連星であることが、1961年に発見された[12]。視線速度の時間変化を詳しく調べることで、軌道要素は精度良く求められている。公転軌道はほぼ円で、公転周期が38日、連星間の平均距離(下限)は520万km(0.035AU)とされる[10]。
ν1星とν2星は、どちらもA型星で、質量は太陽よりも大きい。2星を比較すると、ν2の方がやや質量が大きく、見かけの明るさも上である[4][7]。また、ν2星は、金属のスペクトル線が異常に強いA型金属線星という特異星である[11][4]。