アイリバー (朝: 아이리버、英: IRIVER) は、韓国のドリームアス・カンパニー(朝: 드림어스컴퍼니、英: Dreamus Company)が展開するデジタルオーディオプレーヤー、電子辞書、カーナビなどを中心とするデジタル機器のブランドである。
1999年にヤン・ドクジュンらが、マルチコーデック対応のポータブルCDプレーヤーを開発するべく、サムスン電子から独立してレインコム (Reigncom) 社を立ち上げる。アイリバーはレインコム社のブランド名だったが、2009年4月にレインコムはアイリバーへ社名変更している[1]。2014年8月にSKテレコムに買収され、同社の子会社となった。2019年3月には株式会社ドリームアスカンパニーに社名変更[2]し、アイリバーは同社のブランド名として存続している。
1999年から2000年にかけて、記録媒体にCDを採用したデジタルオーディオプレーヤーとして発売。当時のMP3プレーヤーの大きな問題だった容量を実用的なレベルまで解決した。その後フラッシュメモリ・HDD型プレーヤーを発売している。
2000年代後半から2010年代初頭にかけてはApple社のiPodの台頭や、スマートフォンなどデジタルオーディオプレーヤーと同機能をもつ製品の台頭により業績が悪化。従来製品からの脱却と差別化を図るべく、2012年にプレミアム音響機器ブランド「Astell&Kern」を立ち上げた。これを契機に、ハイエンドポータブルプレーヤーを代表するメーカー・ブランドと認識されるようになった[3]。
日本では一時NHJが代理店を務めた後、レインコム100%出資のアイリバー・ジャパン株式会社が設立され、長らく販売・サポートを行っていた。2006年10月にMCJ傘下の株式会社iriver japanに組織変更されたが、後の2009年7月にはマウスコンピューター社に吸収合併された。 2013年2月に同グループ会社のエムヴィケーに業務移管され、同年4月にユニティと合併し、アユートに社名変更された。
太字は2018年4月時点の最新機種。
- 公式サイトも参照。
CDを利用したポータブルプレイヤー。CD-RやCD-RWの書き込み可能なCDにデータを書き込むことで利用する。iriver第1期の主力製品として展開し、現在のiriverの基礎を築いた。日本では現在販売されていない。
OEM製品として一部製品は現在はデジタルオーディオプレイヤーから撤退したRIOにRioVolt として供給された。RIOとの契約解除により自社ブランド立ち上げが行われた。
iMP-550にはiMPシリーズでは唯一Philips製チップが搭載されており、Philipsと共同開発したXtream3Dに対応している。
- iMPシリーズ
- iMP-150
- iMP-350
- iMP-400
- iMP-550
フラッシュメモリタイプのプレーヤー。本体に内蔵したメモリにデータを蓄積する。
- iFP シリーズ
iMPシリーズ後のiriver第2期の主力製品となった。 一部のシリーズを除いて三角形断面(プリズム形状)・単三型(LR6)乾電池仕様(二次電池対応)であり、韓国の公式サイトでその重さを「ゲマッサル」1列分と表現したことから、日本では一部から「カニかま」の俗称で呼ばれるようになった。
Philips製チップ搭載。転送は専用ツールを使うManagerバージョンと、OSで書き込みが可能なUMSバージョンをファームウェアの切り替えで選ぶことができた。Xtreme3D、FMラジオや録音機能が充実しており、販売終了後も根強い人気があった。なお、iFP-700シリーズのマイナーチェンジモデルがF700シリーズとして再発売されていた。
- iFP-100 (Prism)
- iFP-300 (Craft)
- iFP500 (MasterPiece)
- iFP-700/800 (Craft 2)
初期ロットにホワイトノイズが入るという不具合が発生したため2004年7月15日より対策品と交換を開始した[4]。
- iFP-900 (MasterPiece 2)
- iFP-1000 (Prism Eye)
- iriverプリズム(iFP-100シリーズの名称を変更したもの)
- F700(iFP-704T) (外部マイク対応、4GB)
- Nシリーズ - ネックレスタイプ
- N10 (256MB/512MB/1GB) - Philips製チップ搭載し、iFPシリーズ以外のフラッシュメモリタイプの機種で唯一Xtreme3Dに対応。
- N11 (256MB/512MB/1GB)
- N12 (1GB/2GB)
- N15 JEWEL (2GB/4GB)
- Tシリーズ - iFPシリーズの事実上の後継機種
- T10 (Music Clip) (単三電池対応、512MB/1GB/2GB)
- T20 (Metro Look) (512MB/1GB)
- T30 (Craft 3) (単四電池対応、256MB/512MB/1GB/2GB)
- T50 (単三電池対応、1GB)
- T60 (単四電池対応、2GB/4GB)
- T7 (VOLCANO / Stix) (USBプラグ内蔵、1GB/2GB/4GB)
- T6 NEON (2GB)
- T5 (ストップウォッチ機能搭載、4GB)
- T8 Candy Bar (2GB/4GB)
- T9 (4GB)
- Hシリーズ
- Eシリーズ - Hシリーズの事実上の後継機種
- E100 (4GB/8GB + 増設microSDカード)
- E50 METAL (4GB)
- E150 (4GB/8GB)
- E30 MATTE (2GB/4GB/8GB)
- E300 (4GB/8GB)
- E40 (4GB/8GB)
- Clix (U) シリーズ - 一部ナップスターサービス対応
- U10 (256MB/512MB/1GB) - 充電・データ転送および入出力拡張にTTA-24規格の端子を採用。
- U10 ペ・ヨンジュンSE (512MB)
- clix (2GB)
- U:MO (モバHO!対応、1GB)
- Clix2 (2GB/4GB/8GB)
- LPlayer (2GB/4GB/8GB)
- SPINN (eストア限定、4GB/8GB)
- Sシリーズ - 超小型タイプ
- S7 (1GB)
- S10 (1GB/2GB)
- S100 Panorama (8GB/16GB)
- Mplayer (1GB) - ミッキーマウス型、ウォルト・ディズニー公認ライセンス商品
- Mplayer Season2 (1GB)
- Mplayer+ (2GB)
- Mplayer SWAROVSKI (1GB)
- MPlayer eyes (2GB)
- Xシリーズ - フォトアルバム機能搭載、動画対応
- X20 (2GB/4GB/8GB内蔵 + 増設microSDカード) - Joytoto社とのコラボでJoytoto製である。
- Bシリーズ - モバHO!対応
Astell&Kernシリーズ - Hi-Fi/ハイレゾ音源対応オーディオプレイヤー
HDDを記録装置として利用したポータブルプレーヤー。第2期iriverのHDDモデルは多機能さを前面に押し出した物が多い。H100やH300はバグなども多かったが、光デジタル端子、USBホスト機能、マイク端子など機能的な面から未だに一部のハードユーザーから支持されている。しかし、PMPシリーズはバグが多いのになかなか改善されず、まだポータブルビデオはまだ日本では普及には時期尚早だったこともあり、販売展開に失敗。また、全体的に本体サイズが大きめなどデザインの難点もあり、日本では成功しなかった。
その反省から、小型HDDを利用した本体のサイズの小さいH10や、さらに小型化を進めたEシリーズを発売した。
- Hシリーズ
- H100(iHP-100) (10GB/20GB/40GB) - 光デジタル端子搭載
- H300 (20GB/40GB) - USBホスト機能搭載
- H10 (5GB/6GB/20GB)
- Eシリーズ - Hシリーズの事実上の後継
- PMP (P)シリーズ
- PMP-100 (10GB/20GB/40GB) - USBホスト機能搭載
- P20 (80GB)
- PMP (P)シリーズ
- P7 (eストア限定、16GB)
- P8 (16GB)
現在、iriver製品で再生可能の主なコーデックは、
製品によって異なるので対応はメーカーに確認すること。
同社の公式サイトにはコミュニティと呼ばれるBBSがあったが、その中の「UserForum」、「iriverへ提案」を2007年5月25日に閉鎖。2007年に入ってからmixi内に出来たコミュニティに移行した。閉鎖したコミュニティについてはmixiの公式コミュニティで質問が可能。なお「iriverへ提案」については公式ホームページ内の「提案フォーム」からでも可能になっている。
- 1999年 ヤン・ドクジュンがレインコム株式会社を韓国ソウル特別市で立ち上げる。当初は光学ドライブなどを作るメーカーだった。ジュン・ヤンはサムスン電子からのスピンアウトだった。「CD-Rに書き込んだMP3を再生できるプレーヤーがあれば」というふとした発想から製品開発を進める。
- 2000年、iMP-100が完成。韓国国内でiRiverブランドとして発売される。同時期、Sonic Blue(現在はRio)からOEM受注し、このモデルはRioVolt SP90/100として日本でもリリースされる。
- 2001年、"iRiver2"と称されたiMP-250が完成。同時にOEM発注を受け、RioVolt SP250として日本でも発売。FMチューナーや多機能性、本国での顧客の要望に応える精力的なファームウエア更新が繰り返されていたため、現在のアイリバー製品の土台を作った商品となった。また、日本販売のRioVolt SP250にiMP-250用の日本語ファームウエアを導入するパワーユーザーも存在した。なお、設定内容やユーザーインターフェースなどはiFP/Fシリーズ末期まであまり変わっていない。
- 2002年、SlimX iMP-350が完成。iMP-250の機能を残したままさらに本体を薄くし、本体液晶を省いてリモコンのみとした。しかしこのモデルはRio側からの発注が得られず、社内では今後自社ブランドに統一して出荷する事を決定。この決定には社内ですら賛否両論ではあったが、結果的にRioが後に倒産するなど、業界が大きく動く中で、成功したと言える。しかし当時アイリバーは販売などに関するノウハウはゼロに近く、人材・代理店探しからの道となった。iMP-350 SlimXは当時のMP3プレーヤー売り上げ上位に食い込むほどの人気となり、アイリバーという会社を世界中に知らせる出世製品となる。日本でも販売開始は半年以上遅れたが発売された。韓国などから直輸入するパワーユーザーも多かったが、FM機能が現地仕様となるため日本で使えないなどの問題も生じた。
- 2010年6月14日、韓国LG Display社との合弁会社「L&I Electronic Technology(Dongguan)Limited」を設立。同年9月より東莞市の自社工場で電子書籍リーダーの製造を開始する。
- 2015年、社名ロゴを小文字のiriverから大文字のIRIVERに変更。
- 現在韓国市場においては電子辞書やカーナビなど製品の多角化を図り、一定のシェアと人気を誇っている。
2004年2月から2006年10月まで、直営店であるアイリバー・プラザを展開した。最盛期は神田小川町、新宿、渋谷、心斎橋の4店舗があった。
デジタルオーディオプレーヤー(MP3プレーヤー)のiriverブランドの製品を販売、およびサポートを行うiriver直営店舗であり、製品の購入、試聴、修理、サポート(操作方法などの説明)が受けられた。しかし、2006年10月31日 に最後の直営店であるアイリバー・プラザ渋谷の営業が終了し、直営店舗は事実上すべて無くなった。
アイリバー・プラザ神田小川町は平成17年6月に修理センターのみの業務となり、その修理センターも平成18年1月20日に営業を終了した。
アイリバー・プラザ新宿、アイリバー・プラザ心斎橋は平成18年1月15日で営業を終了した。
韓国レインコム社の直営からMCJの傘下に切り替わった現在では、マウスコンピューターの直営店舗でアイリバー製品を展示するようになった。ただし、持ち込み修理は一度本社送りとなる扱いに変更されており、即日修理は不可である。
- ^ Reigncom Changes Name to Iriver, Appoints New President and CEO Archived 2009年4月15日, at the Wayback Machine., radiomagonline.com 2009年4月13日(英語)
Apr 13, 2009 - Reigncom Ltd has officially changed its name to Iriver Ltd, and appointed Kuno Kim as the new president and CEO.
- ^ https://n.news.naver.com/article/001/0010726293
- ^ 【レビュー】ブランド別ハイレゾプレーヤー 全モデル一気聴き!〜 Astell&Kern編 | Hi-Res Recopal -ハイレゾレコパル-[リンク切れ](2016年7月30日付 小学館)
- ^ アイリバー、iFP-700/800でホワイトノイズが発生する問題
- ^ AK10、AK100、AK100 MKIIを除く。
- ^ AK Jrを除く。
- ^ 連結子会社の合併に関するお知らせ MCJ 2009年5月14日
- ^ 「iriverブランド」及び「Lyumoブランド」業務移管のお知らせ 株式会社aiuto | PCパーツ・周辺機器 総合代理店 アユート 2013年2月1日
- ^ 合併並びに社名変更のご案内 株式会社aiuto | PCパーツ・周辺機器 総合代理店 アユート 2013年4月1日
ウィキメディア・コモンズには、
アイリバーに関連するカテゴリがあります。