アサダ (植物)

アサダ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ブナ目 Fagales
: カバノキ科 Betulaceae
: アサダ属 Ostrya
: アサダ O. japonica
学名
Ostrya japonica Sarg. (1893)[1]
和名
アサダ、
ハネカワ、ミノカブリ
英名
Hop Hornbeam
品種

アサダ(浅田[3]・鉄木[4]学名: Ostrya japonica)はカバノキ科アサダ属落葉高木。別名ハネカワ[1]、ミノカブリ[1][4]。形態的な特徴に、樹皮が縦に反り返るように剥がれ、また果穂が大型の鱗片を持ち、野生のホップカラハナソウ)の果穂にやや姿が似ている[5]

名称

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和名の「浅田」の由来は不明である[3]樹皮が縦に剥がれて反り返ることから、ミノカブリやハネカワなどの別名もある[3]。学名の属名 Ostrya は、ギリシア語で「(生物の)殻、甲羅」を意味する ὄστρακον (ostrakon) と同根の語である ὀστρύα (ostrua) に由来し[6][7][注 1]、種小名は産地を反映している。アイヌ名はいくつかあるが、そのひとつはセイカパル(Sey-ka-par)といい、「貝殻・薄い」という意味で、剥がれやすい樹皮の状態を示すものとみられている[6]英名は Hop Hornbeam(ホップホーンビーム)だが、アメリカでは Iron wood(アイアンウッド)、あるいは Stone wood(ストーンウッド)とよばれ、その材が堅いことに由来する呼び名である[8]中国名は鐵木[1]あるいは鉄木で、これも材が堅いことからついた名称である[8]

分布

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日本から朝鮮半島中国にかけて分布し、日本では北海道(中部以南)・本州四国九州の山地に自生する[3][4][5]アサダ属は世界に7から8種あり、いずれも北半球温帯から暖帯の地域に分布する[5]

形態・生態

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落葉広葉樹の高木で、樹高は10 - 25メートル (m) にもなる[3][4]樹皮は暗褐色で、ミノカブリの別名のとおりよく剥がれて反り返り、ささくれたような見た目が本種の特徴である[4]。内部は紫色を帯びた淡褐色ないし淡褐色[6]。一年枝は褐色から紫褐色で、毛がある[4]

は長さ6 - 12センチメートル (cm) 、幅3.5 - 5 cmくらいで、濃い緑色をした長楕円形で先が急に細くなって尾状に尖り、葉縁には不整で粗い重鋸歯がある[5]葉身葉脈は表面ではやや凹んで見えるのが特徴的である[5]。葉脈は羽状に走り、9 - 15対でやや湾曲している[9]。イヌシデ(学名: Carpinus tschonoskii)の葉よりも大きいが、質は薄く、葉柄も細い[3]。葉柄は葉身に対してやや短い[9]。葉の表面は暗緑色で軟毛が散生し、裏面はやや白っぽい淡緑色で軟毛が多少密生し脈上に多い[9]。葉や果実はイヌシデに似ており、秋の黄葉は黄色から橙色に色づくことが多い[3]

花期は4 - 6月[4][5]雄花カバノキ属によくあるように細長い緑色を帯びた黄色の紐状の穂ないし尾状になる[5]雌花も緑色を帯びた黄色で、地味なほうである[5]。果穂は長さ2 - 5 cmで、長い柄がつく[5]クマシデ属と同じく、大型の鱗片を持つ果穂がつき、アカシデの果穂よりもかなり小型であるが、鱗片状の包葉はむしろ大きい[5]。包葉は瓦状に重なり、広卵形ではっきりした平行脈があり、縁に毛がある[5]。果穂ははじめ淡い緑色をしているが、のちに淡褐色になる[5]

冬芽互生し、雄花序の冬芽以外は鱗芽で、褐色の卵形で樹脂がつく[4]。芽鱗の数は6 - 10枚[4]。雄花序は裸芽で円柱形、枝先に数個つける[4]。雄花序の下につく側芽は、葉芽か雌花序の冬芽である[4]。葉痕は半円形で、維管束痕が3個つく[4]

利用

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材は緻密で堅いため、建築材、家具材、船舶材に使われる[3]。床板のフローリング材に最も適しているといわれている[3]。材質は日本に産する樹木の中で最も重い部類で、極めて堅く緻密で、磨けば美しい光沢を生じる[6]。材の色は紅色を帯びた淡い褐色である[6]。材が堅くて耐久性があるため、やその他の小物、などの道具のソリの材料にも使われた[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 辻井達一は語源には2説あるとし、ostrua説以外に「オーストリアオーストラリアの語源にもなっている、南を意味する Oztria に由来する」との別説を紹介している[6]。ただし、オーストリアはドイツ語の「東の国」(Ost:東、Reich:国)を語源とするので国名に「南」の意はなく、一方でオーストラリアは確かに「南の地」を語源とするが元のラテン語記述は terra australis であり Oztria ではない。なお Oztria が何語の単語であるかを辻井は明らかにしていない。

出典

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  1. ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ostrya japonica Sarg. アサダ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年4月20日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ostrya japonica Sarg. f. homochaeta (Honda) Hiyama コアサダ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年4月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 亀田龍吉 2014, p. 64.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 137
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 辻井達一 1995, p. 98.
  6. ^ a b c d e f 辻井達一 1995, p. 96.
  7. ^ "Ostrya". Merriam-Webster Dictionary. 2024年4月30日閲覧
  8. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 97.
  9. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 99.

参考文献

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