アズラ・ガーニ

アズラ・ガーニ
Azra Catherine Hilary Ghani
居住 イギリス
研究分野 疫学
研究機関 インペリアル・カレッジ・ロンドン
オックスフォード大学
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
出身校 インペリアル・カレッジ・ロンドン (博士号)
サウサンプトン大学 (修士号、MSc)
ケンブリッジ大学 (修士号、MA)
主な業績 感染症の数学的モデリング
プロジェクト:人物伝
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アズラ・キャサリン・ヒラリー・ガーニ: Azra Catherine Hilary Ghani, FMedSci)はイギリスの疫学者で、インペリアル・カレッジ・ロンドン感染症疫学教室の教授である。感染症の数学的モデリングを専門としマラリア牛海綿状脳症、コロナウイルスなどを検討する。世界保健機関と協力してマラリア撲滅の技術戦略に取り組んできた。MRC国際感染症分析センター(英語版)の副ディレクターを務める[1]

幼少期と教育

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ガーニの両親は、フェローズとヒラリーという[要出典]ケンブリッジ大学数学を学び[2]1989年に卒業、サウサンプトン大学に移って科学的技法オペレーションズ・リサーチを研究、修士号を得る。1993年にインペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程において淋病と性的パートナーのネットワークを疫学的に調べ、博士号を取得。オックスフォード大学ウェルカム・トラストより助成金を得て研究したのち、インペリアル・カレッジ・ロンドンに移り王立協会ドロシー・ホジキン研究フェローとして研鑽を続ける[3]

研究と履歴

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2005年、ガーニはロンドン大学衛生熱帯医学大学院教員に任命された。ここでマラリアに関心を持ち、わけても疾病の複雑さと、よりよく制御するには科学と社会の多くの側面を理解する必要性にひかれた[3]。2007年にインペリアル・カレッジ・ロンドンに戻ると感染症疫学の教授およびマラリアのモデリング研究グループの責任者を務める。その研究ではマラリア牛海綿状脳症HIVSARS、コロナウイルスなどの感染症の疫学について考察する[4]。マラリアの伝染動態をよりよく説明できる数学モデルを開発し、その模式により伝染動態が人間と蚊の両方にどのように影響するか視覚化し、この病気との戦いに洞察を与えた[5]。ガーニは世界保健機関マラリア政策諮問委員会で委員を拝命し、また海綿状脳症諮問委員に選出された[6]

2017年、ガーニはイギリス医科学院会員(英語版)に選出される[7]。感染症に関する知見を通して、ガーニは公衆衛生への介入によりよい情報提供を図ろうとしている[8]。2020年には新型コロナウイルスのパンデミックの最中に、自主的な隔離と家庭検疫ならびにソーシャル・ディスタンスを実施すると、コロナウイルスに起因するイギリス国内の死者数を2万人に抑制できる可能性があると報告した[9] [10]。またニール・ファーガソンと協力してパンデミックの期間中の発症数は国民保健サービスが対応できる限界を超えるであろうと提示した[11]

受賞と栄典

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ガーニは王立統計学会のフェローである[13]

主な出版物

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  • Cheng, Allen (2009-05-13). Faculty of 1000 evaluation for Pandemic potential of a strain of influenza A (H1N1): early findings.. doi:10.3410/f.1159624.619929. 
  • Whittaker, Charles; Slater, Hannah; Bousema, Teun; Drakeley, Chris; Ghani, Azra; Okell, Lucy (2020). Global & Temporal Patterns of Submicroscopic Plasmodium falciparum Malaria Infection. doi:10.1101/554311. 
  • Donnelly, Christl A; Ghani, Azra C; Leung, Gabriel M; Hedley, Anthony J; Fraser, Christophe; Riley, Steven; Abu-Raddad, Laith J; Ho, Lai-Ming et al. (May 2003). “Epidemiological determinants of spread of causal agent of severe acute respiratory syndrome in Hong Kong”. The Lancet 361 (9371): 1761–1766. doi:10.1016/s0140-6736(03)13410-1. ISSN 0140-6736. PMC 7112380. PMID 12781533. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7112380/. 
  • Imperial College COVID-19 Response Team (2020年3月16日). “Impact of non-pharmaceutical interventions (NPIs) to reduce COVID19 mortality and healthcare demand” (pdf). Imperial College London. 2020年3月16日閲覧。

学位論文、博士論文

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出典

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  1. ^ Governance” (英語). Imperial College London. 2020年7月8日閲覧。
  2. ^ Bio Ghani - International Conference on Infectious Disease Dynamic” (英語). www.elsevier.com. Elsevier. 2020年3月18日閲覧。
  3. ^ a b WHO | Modelling: from runways to bednets” (英語). WHO. 2020年3月18日閲覧。
  4. ^ WHO | Current MPAC members” (英語). WHO. 2020年3月18日閲覧。
  5. ^ Faces behind MNMUK” (英語). Malaria No More UK. 2020年3月18日閲覧。
  6. ^ (英語) The Government's Review of the Principles Applying to the Treatment of Independent Scientific Advice Provided to Government: Third Report of Session 2009-10. 2. The Stationery Office. (2009). ISBN 978-0-215-54281-6. https://books.google.com/books?id=hn1HDGfruWMC&pg=PA26&lpg=PA26&dq=azra+ghani+royal+statistical+society#v=onepage 
  7. ^ a b Professor Azra Ghani | The Academy of Medical Sciences” (英語). acmedsci.ac.uk. 2020年3月18日閲覧。
  8. ^ Does travel make you ill?” (英語). royalsociety.org. Royal Society. 2020年3月18日閲覧。
  9. ^ “UK’s original coronavirus plan risked ‘hundreds of thousands’ dead” (英語). Financial Times. (16 March 2020). https://www.ft.com/content/249daf9a-67c3-11ea-800d-da70cff6e4d3 2020年3月18日閲覧。 
  10. ^ “Sobering coronavirus study prompted Britain to toughen its approach” (英語). Reuters. (2020年3月17日). https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-britain-research-idUSKBN2141EP 2020年3月18日閲覧。 
  11. ^ COVID-19: Scientists Question UK Government Plans” (英語). Medscape. 2020年3月18日閲覧。
  12. ^ 11 reasons 2017 was a success for RSTMH” (英語). Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene (2017年12月14日). 2020年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月18日閲覧。
  13. ^ Honours and Memberships - Professor Azra Ghani”. www.imperial.ac.uk. 2020年3月18日閲覧。