アマドコス1世 (古代ギリシア語 : Ἀμάδοκος )、アマドクス 、アマトコス 、おそらくより正確にはメートコス またはメードコス (古代ギリシア語 : Μήτοκος/Μήδοκος, Mētokos/Mēdokos, ラテン語 ではメドクス Medocus) は、オドリュサイ のトラキア人 の王。紀元前5世紀後半から紀元前4世紀前半、少なくとも紀元前405年以前から紀元前390/389年以後にかけて在位したと推定されている[ 1] 。
間接的史料から、アマドコス1世はシタルケス の息子であり、オドリュサイの王統のうち「小」と呼ばれる系統の代表者であった[ 2] 。イソクラテス は彼を「大アマドコス」と呼んでいるが、テオポンポス (英語版 ) によればアマドコスという名の王は親子二人おり、子の方がマケドニア王ピリッポス2世 と同時代人であったという[ 3] 。これに従えば、アマドクス1世はアマドコス2世 の父ということになる。現代の歴史家のほとんどは、メードコスとアマドコス1世を同一人物とみなしている[ 4] 。
メードコス/アマドコス1世がセウテス1世 (英語版 ) からオドリュサイ王位を継いだのは明らかであり、少なくとも紀元前405年には、セウテス(一般にはセウテス2世 (英語版 ) と同一視される)と共同でその座についていた[ 5] 。紀元前405年のアイゴスポタモイの海戦 において、アテナイ の政治家・軍人であったアルキビアデス が、トラキア王メードコスとセウテスが自分たちの同盟者であると語っている[ 6] 。メードコス/アマドコス1世はみずから後見を務めるセウテス2世を南東トラキアのより下級の王としたが、かつてセウテス2世の父マイサデス (英語版 ) が支配していた領域全てを掌握することはできず、そのいくらかはテレス2世と呼ばれる人物に属していた。紀元前400/399年冬、アテナイのクセノポン率いる傭兵隊がセウテス2世のもとで仕えていた。後に歴史家として知られるようになるクセノポンによれば、メードコス/アマドコス1世はセウテス2世の主君かつ保護者であり、海岸から12日かかる内陸に居を構えていたという[ 7] 。
後にセウテス2世はメードコス/アマドコス1世をさげすんで反乱を起こした[ 8] が、アテナイの将軍トラシュブロス が2人を和解させ、紀元前390/389年に両人とアテナイ間の同盟を更新した[ 9] 。
メードコス/アマドコス1世は、オドリュサイ王の硬貨に、両刃斧(ラブリュス )の図像を紋章のような形で刻ませた。これは彼の王統の数世代に受け継がれた[ 10] 。
メードコス/アマドコス1世は、おそらく紀元前390/389年の後まもなく死去した[ 11] 。
南極圏サウス・シェトランド諸島のリヴィングストン島 にあるアマドク峰 (英語版 ) は、アマドコス1世の名にちなんでいる。
^ Smith, William (1867). "Amadocus (I)" . In William Smith (ed.). Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology . Vol. 1. Boston: Little, Brown and Company . p. 135.
^ Topalov 1994: 50-64, 73, 212-213; Vulpe 1976: 29-30 had reached the same conclusion on other grounds.
^ Tacheva 2006: 107; Vulpe 1976: 32.
^ For example, Vulpe 1976: 29; Topalov 1994: 13-14; Zahrnt 2015: 42-44, and the various other contributors to Valeva 2015; Tacheva 2006 considers these different rulers, reigning c. 404-390 BC and c. 390-after 384 BC, respectively.
^ For example, Zahrnt 2015: 42; Tacheva 2006: 82, 90-91 sees this as one last reference to Seuthes I.
^ Diodorus Siculus , Bibliotheca historica 13.105.3.
^ Xenophon , Anabasis 7.2.32, 7.3.16-17.
^ Aristotle , Politics 1312a8-14, ed. Gottling, vol. 8: 182.
^ Xenophon , Hellenica 4.8.26; Diodorus Siculus , Bibliotheca historica 14.94.2.
^ Topalov 1994: 38-42, 50-64; Tacheva 2006: 91-96.
^ Zahrnt 2015: 44.
M. Tacheva, The Kings of Ancient Thrace. Book One , Sofia, 2006.
S. Topalov, The Odrysian Kingdom from the Late 5th to the Mid-4th C. B.C. , Sofia, 1994.
J. Valeva et al. (eds.), A Companion to Ancient Thrace , Wiley, 2015.
R. Vulpe, Studia Thracologica , Bucharest, 1976.
M. Zahrnt, Early History of Thrace to the Murder of Kotys I (360 BCE), in: J. Valeva et al. (eds.), A Companion to Ancient Thrace , Wiley, 2015: 35-47.
この記事には現在パブリックドメイン である次の出版物からのテキストが含まれている: Smith, William , ed. (1870). "Amadocus (I)". Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology (英語).