アラン・ギバード(Allan F. Gibbard、1942年4月7日 - )は、アメリカ合衆国の哲学者、経済学者。専門は倫理学・社会選択理論。
現在はミシガン大学リチャード・B・ブランド特別哲学教授(Richard B. Brandt Distinguished University Professor of Philosophy)を務める。とりわけメタ倫理学の分野で重大な業績を残している他、言語哲学、形而上学の分野でも活躍した。社会選択理論においても重要な論文を書いており、経済学にも影響力を及ぼしている。
ギバードの倫理学の理論への貢献は以下の2冊の本にまとめられている。
1つはWise Choices, Apt Feelings: A Theory of Normative Judgment(1990年)であり、この中で倫理的な判断と合理性についての判断に関する一般理論を展開している。もう1冊にあたるThinking How to Live(2003年)では、規範的な言説(ディスクール)と記述的な言説との区別の再構築について議論している。倫理学や言語哲学以外での業績でよく知られているのは、社会選択理論におけるギバード=サタースウェイトの定理(en:Gibbard-Satterthwaite theorem)の定式化である。これは社会的選択や投票の環境において戦略的な操作を防止するのは不可能であることを示した。戦略的操作とは、社会的選択もしくは投票に参加する個人が自らの選好を偽って表明することで自らにとってより望ましい結果を実現することである。