アラン・ベネット・クルーガー (英語 : Alan Bennett Krueger 、1960年 9月17日 - 2019年 3月16日 )はアメリカ合衆国 の経済学者 。プリンストン大学 の教授であり、全米経済研究所 (NBER)のリサーチ・アソシエイトでもある。バラク・オバマ 大統領の大統領経済諮問委員会 (CEA)の委員長も務めた。
政策評価や社会学の実験にも用いられる実社会のデータから結果を出す自然実験 の手法を開発し、教育が収入に与える影響、最低賃金が雇用に与える影響などを研究した[ 1] [ 2] 。2021年にノーベル経済学賞 を受賞したデヴィッド・カード 、ヨシュア・アングリスト らと授賞理由に関する共著を行っており、自殺で亡くなっていなければとアラン・クルーガーの功績を称え惜しむ声もある[ 3] [ 4] 。
研究の例として、以下のようなものがある。
最低賃金を引き上げたニュージャージーのレストランの仕事と、そうでなかったペンシルベニアのレストランの仕事を比較し、ニュージャージーのレストランの雇用は増加したが、ペンシルベニアでは減少したことを発見した[ 5] 。この結果は、最低賃金の雇用効果に関する議論を再活性させた。
テロ活動家が、賃金が低く低学歴の階層から出るかについても研究を行い仮説を否定する結果を提示している(日本の例では、オウム真理教 や日本赤軍 のメンバーの多くは高学歴)。
1960年 ニュージャージー州 リヴィングストン (英語版 ) で生まれる。
1979年 リヴィングストン高校を卒業する。
1983年 コーネル大学 のSchool of Industrial & Labor Relationsを優秀な成績でB.S. を取って卒業する。
1985年 ハーバード大学 でA.M.を取る。
1987年 ハーバード大学よりPh.D. を得る。
1987年 プリンストン大学 経済学部とWoodrow Wilson Schoolの教授に就任。
1989年~1990年 全米経済研究所 のOlinフェロー となる。
1994年~1995年 労働省 のチーフエコノミストとなる。
1996年 計量経済学会 のフェローに選ばれる。
1997年 カーショウ賞に選ばれる。
2000~2006年 ニューヨーク・タイムズ に‘Economic Scene ’というコラムを載せる。
2001年 マハラノビス賞に選ばれる。
2002年 アメリカ芸術科学アカデミー のメンバーに選ばれる。
2003年 アメリカ政治社会学会のフェローになる。
2003年~2009年 経済教育に対する国家会議のチーフエコノミストになる。
2005年~2007年 アメリカ経済学会 の役員になる。
2005年 労働経済学会のフェローとなる。
2006年 政治学および社会学のIZA賞にデビッド・カード と共に選ばれる。
2007年 『テロの経済学』を出版する。
2009年~2010年 財務省 の財務次官補(経済政策担当)およびチーフエコノミストとなる。
2010年 プリンストン大学へ戻る。
2011年~2013年 大統領経済諮問委員会 の委員長となる。
2013年 トムソン・ロイター引用栄誉賞 受賞。
2019年 自殺 により死去[ 6] 。
クルーガー氏は「米経済や、労働市場が治癒しつつあることを示している」と指摘。雇用情勢の行方は11月の大統領選を左右するとみられているだけに、政権の取り組みが実を結びつつあるとの考えを強調した。
一方で、欧州の政府債務(借金)危機などの影響で「世界経済は脆弱な状態が続いている」との認識も示し、「米国内の需要を増やすなど我々がとれる対策を打つことが重要だ」と語った。
具体的には、昨年12月末の期限切れ直前に米与野党が合意した「給与税減税の2カ月延長」について、今年末まで延ばす必要性を強調。また「インフラへの投資を増やし、教師や警官・消防士の雇用を維持するために米国の各州や地方政府を支援する」ことなどを挙げ、「これらは米経済がいま必要としている一種の治療薬だ」と語った。
欧州危機については、9日に独仏首脳会談が開かれることを念頭に、「欧州連合(EU)のリーダーたちが、問題に対処する対策をとることが重要だ。彼らは早く行動する力がある」と、欧州が自発的に危機を封じ込めるよう促した。
^ Casselman, Ben (March 18, 2019). “Alan B. Krueger, Economic Aide to Clinton and Obama, Dies at 58” (英語). The New York Times . ISSN 0362-4331 . https://www.nytimes.com/2019/03/18/obituaries/alan-krueger-dead.html March 18, 2019 閲覧。
^ Smith, Noah (March 18, 2019). “Alan Krueger Led a Quiet Economics Revolution ”. Bloomberg . March 18, 2019 閲覧。
^ Natural experiments in labour economics and beyond: The 2021 Nobel laureates David Card, Joshua Angrist, and Guido Imbens Jörn-Steffen Pischke 更新日:16 October 2021 参照日:21 October 2021
^ 今年のノーベル経済学賞の受賞者たちの功績は「統計」を「洞察」に変えたこと サイト:クーリエ・ジャポン 更新日2021.10.20 参照日:21 October 2021
^ Nasar, Sylvia (August 22, 1993). “Conversations/David Card and Alan Krueger; Two Economists Catch Clinton's Eye By Bucking the Common Wisdom ”. The New York Times . August 29, 2011 閲覧。
^ A・クルーガー氏死去、オバマ米前政権のCEA委員長 58歳 ロイター