アルファフライト(Alpha Flight)は、マーベル・コミックのスーパーヒーローチーム。数少ないカナダのスーパーヒーローチームである。ジョン・バーンによって創造され、「アンキャニィX-メン」120号(1979年4月)で初登場した。
その歴史のほとんどにおいてこのチームは、超人的な能力を持つ者たちを取り扱うカナダ国防省の(架空の)一部門「デパートメントH」に属している。チームメンバーのほとんどはイヌイットやファースト・ネーションの伝承のような、カナダを象徴する性質を持っている。
アルファフライトは元々、X-メンのメンバー、ウルヴァリンのバックストーリーの一部でしかなかったが、1983年にバーンはこのチームが活躍する単独のシリーズを書き始め、1994年まで続いた。その後3度の短期的なリバイバルが試みられ、最新のタイトルは2007年4月からスタートした「オメガフライト」である。
アルファフライトのストーリーの多くは、カナダ先住民の伝承に強く影響を受けている。ツンドラという名の復活した悪霊と戦ったこともあり、特にメンバーの一人であるスノーバードは、先住民が信じる女性の精霊(女神)と人間の間に生まれた子供である。
バーンはシリーズ28話までの原作と作画を(あまり気乗りせずに)担当し、別の製作チームに引き継がせた。この時期のシリーズでは一話に一人もしくは二人のメンバーを扱い、チーム全員が登場することは滅多にないというストーリー展開でファンを惹きつけていた。このあまり普通でないアプローチはX-メンやアベンジャーズ、ファンタスティック・フォーといった他のマーベル・コミックのチームタイトルとは対照的だった。
当初のアルファフライトの構成は全員カナダ人であった。
バーンが去った後、シリーズは他の多くのライターに引き継がれ、その中にはビル・マントロ、ジェームズ・ハドナル、Fabian Nicieza、スコット・ロブデル、シモン・ファーマンがいた。130号まで継続し、多くのキャラクターやヴィラン(最も中心的なものはタリスマン、マディソン・ジェフリーズ、ボックス、ダイアモンド・リー、Persuasion、ゴブリンなど。)が登場し、マーベル・ユニバースの他のキャラクターとのクロスオーバーにも登場した。シリーズは1994年に終了した。
1997年、マーベルはシリーズをVolume 2としてキャラクターの大部分を入れ替えて再始動させた。原作はその頃DCコミックスのバーティゴシリーズで知られていたスティーブン・シーグル。作画のほとんどはスコット・クラークとDuncan Roulearu。13号ではゲストとして作画にアシュレイ・ウッドを招き彼にとっては異色の紋切り型のスタイルで描いたが、マーベルのスーパーヒーローコミックではかなり独特なものとなった。このシリーズは1999年にわずか20号を月刊で出版しただけで終了した。新たなメンバーは以下の通りである。
復帰したメンバーはヴィンディケイター(=ヘザー・ハドソン。新たなコスチュームと新たに地熱に関する力を得た)、若返ったガーディアン(オリジナルのジェームズ・ハドソンのクローンだということが明らかになった。19歳。)、パックである。日本人ミュータント・サンファイアも身体の不自由を治療する方法を探しながら短期間だがメンバーになっていた。
このシリーズの焦点はデパートメントHの首尾一貫して隠されてきた政策とアルファフライトがそのことに応じてきた事である。一つの例としてウォルター・ランコウスキではなく、実際にはビッグフットタイプのモンスターだと分かったサスカッチに対する非人間的な扱いが挙げられる。シリーズはこのアルファフライトがマリナを除くオリジナルのラインナップと共に一つのミッションに臨み、終了した。
2004年、マーベルは『All-New, All-Different』という接頭辞をつけて再びアルファフライトを再スタートさせた。
最初の6号分はサスカッチが新たなチームを結成しようとする様子を描いており、『You Gotta Be Kiddin' Me.』と呼ばれている。
サスカッチがスカウトした新たなチームメンバーには
その後の6号分では『Waxing Poetic』と題してガーディアン、ヴィンディケイター、パック、シャーマンらオリジナルメンバーの帰還を描いている。
シリーズは売り上げ不振によって12号で打ち切りとなった。
サスカッチ、ガーディアン、ヴィンディケイター、シャーマン、メジャー・メイプルリーフ二世及び二人のパック達は『ニューアヴェンジャーズ誌』16号で新たなヴィラン、コレクティブ(米国の郵便局員マイケル・ポインターに宿っていた)からの攻撃を受ける。コレクティブは続いてアメリカに渡り、ユーコンテリトリーで彼等の身体から離れた。確認された生存者はサスカッチだけだった。
『アルファフライト』のタイトルは2007年四月に5号構成の短期シリーズ『オメガフライト』としてリランチした[1]。新たなシリーズはMichael Avon Oemingが原作を、スコット・コリンズが作画を担当した。現在のメンバーの中にはベータ・レイ・ビル[2]、USエージェント、アラクネ、タリスマン、そしてガーディアンのユニフォームに似たスーツを身にまとったマイケル・ポインターがいる。サスカッチはグループの勧誘者及びリーダーとして登場した。
Oemingは他のアルファフライトのメンバーも最終的には登場すると言っている。
アルファフライトは多くの犯罪者や邪悪な存在と戦ってきた。多くはカナダに拠点を置く彼等独自のものである。特筆すべき例は
などがいる。
アルファフライトはアニメ化されたX-メンの『Repo Man』というエピソードに登場している。ガーディアンは改名前のヴィンディケーター(マック・ハドソン)としてアルファフライトを率い、ウルヴァリンを捕える。カナダ政府は超人計画再開のため、当初の計画通りウルヴァリンをチームに加えるか、さもなくば彼の破壊不可能のアダマンチウム骨格を回収しようとしていた。ストーリーはガーディアンの(ウェポンアルファとしての)原作初登場回である『アンキャニィX-メン』109号に類似していたが、原作ではウェポンアルファが単独でウルヴァリンを追ってきていた。
ハルクことブルース・バナー博士は、旧友であるドクター・ランコウスキを探そうとカナダを旅した。彼はどうにかして彼を見つけ出し、二人はバナーからハルクを永久に取り除こうと試みる。しかし、ブルースは友人の彼の命を脅かすかもしれない恐るべき秘密を発見する。